テスト期間真っ只中だから変なノリと勢いで書きました。
PS.オリキャラの名前を変えました。物々しくヤンキーみたいな感じですが気にしないで結構です。
某月某日の正午過ぎ、ある公園に一人の男がベンチに横たわっていた。
ポンチョというあまり見慣れない服の下にTシャツとズボンを履いた男は、まだ義務教育が終わったばかりかと思う程度の幼さが見え隠れしているものの、整った見た目をしている。だがボサボサの長い髪、目立った汚れはないが使い込んでいるのだろう、やつれた服がそれを台無しにしていた。
「疲れた……お腹もそろそろすいた……。どうしようかなぁ」
男はダルそうな雰囲気を隠そうともせず、独り言を呟きながら身を起こす。髪には少々跡がついていた。男はそれを直しながら足を伸ばす。
「でも最近、“丁度いいやつ”がいないんだよなぁ。……嫌だけど、あいつらを頼ってみるか……。っと、なんだあれ」
お腹をさすり、困った表情を作る男は空から降ってくる封書を目にした。そのまま見続けると封書は、一寸の狂いなく男の膝に落ちていく。
「誰かの落し物……てか飛ばし物? ……届けなきゃダメだよなぁ。裏になんか書いてないか……?」
訝しげに手に取ると、男は封書をひっくり返した。そしてそこに書かれた自分の名前を見つける。男の眉間にはシワがより、ハタから見ても不機嫌なのが読み取れた。
「……んー。我輩、まだあの世から手紙が来る程寿命が来てる訳じゃ……あったや」
見た目にそぐわない一人称を呟くとともに、名前が書かれている所を指でなぞる。その顔は何故か達観しているように見え、更にこの時を待ち望んでいたかのようにも見えた。
「まぁ、あの世から手紙が来るなんて思ってはないんだけど、これは絶対に厄介事だろうね。……もう捨ててもいい命だ。ここからどう転ぶかは、どうでもいい事だよねぇ」
クツクツと笑い、男は封書の封を切る。中にはこう、書いてあった。
『悩み多し異彩を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの“箱庭”に来られたし』
瞬間、男は空に放り出された。他にもどうやら同じような経緯を経た者がいるのを横目で見た後、落下に伴う圧力を受け流しながら、眼前に広がる風景に目を見開く。
視線の先に広がる地平線は、世界の果てを彷彿とさせる断崖絶壁。眼下に見えるのは、縮尺を見間違うほどの巨大な天幕に覆われた未知の都市。彼らの前に広がる世界はーー完全無欠に異世界だった。
それを誰に言われる間もなく理解した男、
上空4000mから落下した四人と一匹は、落下地点に用意してあった緩衝材のような薄い水膜を幾重も通って湖に投げ出される。
「むぐっ」
着水した彌禍は他の三人が無傷であることを確認し、唯一無事でない三毛猫を救出し陸地に持っていく。
「大丈夫かー」
『あ、あんぢゃんあんがど……』
「おーし大丈夫そうだね」
水を吐き出す猫の背を撫でながら彌禍も陸に上がる。するとこちらに、というか猫に駆け寄ってくる女の子が見えた。
「三毛猫……!」
『お嬢ー! もうお嬢とは会えないかと思ったでー!』
女の子は飛びついてきた猫を抱き抱える。その目には僅かな涙があった。
「うん、良かった……。あなた、三毛猫を助けてくれてありがとう」
「どういたしまして。命は大事にするものだからね」
お礼を言う女の子に笑顔で返す彌禍。 それを見た女の子は微かに笑う。しかしすぐに無表情に戻り、服を絞り呟く。
「それにしても此処……どこだろう?」
「さあな。まぁ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」
女の子の呟きに応えたのは先に陸地に上がっていた男の子であった。先程までもう一人の女の子と会話(という名の口論)をしていた筈なのに、こちらの声に即答できるとは中々耳聡いのだろう。彌禍はポンチョを絞りながら物陰に目をやる。
「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」
「そうだけど、まずは“オマエ”って呼び方を訂正して。ーー私は
「……
「我輩は流丸忌彌禍。別にお前呼びでも気にしないよ」
「そう。よろしく春日部さんに彌禍君。最後に、野蛮で凶暴そうな貴方は?」
「高圧的な自己紹介をありがとうよ。見たまんま野蛮で凶暴な
「そう、取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」
全員がそれぞれ自己紹介を済ます。と、飛鳥と十六夜の間に彌禍が入り込む。その手は頭を支えていた。
「あー、つかぬ事を訊くが不良くん。君はバトルジャンキーかな?」
「ん? その“不良くん”が俺の事なら、その質問には『ハイ』でお答えするぜ?」
「やっぱりか……。お嬢ちゃん、こういう奴に取扱説明書は存在しないと思って」
「あら、彌禍君はこの手の人間が知り合いにいるのかしら?」
「知り合いというか、仲間にな……。強敵だったりラスボスだったりする奴に喜んで喧嘩を売るような奴がな、いるんだよ……」
「ほほう? 俺と似たような奴がいるとはな。是非とも手合わせ願いたいもんだ」
「やめろ地形が変わる絶対変わる」
「……はぁ、変な殿方達ね」
心からケラケラと笑う逆廻十六夜。
傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。
我関せず無関心を装う春日部耀。
気怠るそうに腕を組む流丸忌彌禍。
そんな彼らを物陰から見ていた人、黒ウサギは思う。
(うわぁ……なんか問題児ばっかりみたいですねぇ……)
召喚しておいてアレだが…彼らが協力する姿は、客観的に想像きそうにない。流丸忌彌禍と名乗った少年は少し協調性はありそうだが、黒ウサギは陰鬱そうに重くため息を吐くのだった。