問題児たちが異世界から来るそうですよ?~英雄を統べし神子~   作:覡 殺梛

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はい!1話目の投稿となります。

駄文・誤字脱字などあるかもしれませんが生暖かい目でご覧くださいw


~新生ノーネーム編~
第1話:YES!ウサギがよびました!


ある夏の日、蝉の鳴き声がうるさい季節・・・。

とある家で騒ぐ二人の少年少女がいた。

 

「ちょっ!待てこら!脱がすんじゃねぇ絢!!!」

「うぇっへっへ!この絢お姉さんからは逃げられないぞ~!」

「ばっ!マジでやめろ!・・・うぎゃぁぁぁぁあああああああ!!!」

 

・・・・・・・。え?なにこれ・・・・どういう状況??

状況がつかめないまましばらくすると、絢と呼ばれた少女が高らかに笑い声を上げた。

 

「ハーハッハッハッハッハッハ!!!いつも抵抗するだけ無駄だと言っておろう刀馬よ!」

「・・・・・・・。あぁまた女物の服を・・・ってこれ着物じゃないか。はぁ、てかその口調いつの時代の人間だよ」

「およ?いつもより反応が薄いね・・・いつもなら今頃涙目になって怒ってくるのに。」

「まぁ・・・いつもはスカートとかに合わせて下着まで女物履かせられるからな・・・それに比べれば下着が男物なだけマシだ」

「なんだよ~つまんな~い!!」

 

えっと・・・なるほど。つまり刀馬と呼ばれた少年は姉に理不尽な女装をさせられるのが日常なわけか・・・

てか、いつもは下着まで脱がされてるのかよ!?

『いや、その時は刀馬に自分で着替えさせてるよ?下着以外脱がせちゃえば逃げられないしね~。うぇっへっへ!』

ちょ!こっちに反応するのやめて!!まぁでもそれなら良かった・・・。良かった・・・・・のか?

『こまけぇこたぁいいんだよ!!』

はい・・・。

 

「ったく!毎度毎度女装させてなにが面白いんだか・・・。」

「え~刀馬が美人すぎるのが悪いんだよ~。髪も肌もこんなにきれいなんだからぁ♪」

「あ~もぅ。いちいち引っ付くなうっとうしい!!」

 

いや~・・・。あはは・・・、仲いいねぇお二人さん。

 

「そういいながらも実は嬉しい刀馬くである♪」

「んな訳あるか!!!・・・ん?おい絢、ありゃなんだ?」

「んも~照れちゃって♪・・・って、なにが?」

「あの手紙だよ」

「手紙?」

 

視線を向けると、天井付近からヒラヒラと一通の手紙が舞い降りてきた。

 

「なんで上から降ってきたんだ?え~っと、差出人は・・・ねえな。」

「刀馬。あて先人はどうやら刀馬宛てみたいだよ?」

「はぁ?」

 

絢に言われ、手紙を裏返すとそこには『天城刀馬様へ』と書かれていた。

 

「へぇ・・・どこの誰かは知らないが、面白いじゃないか」

「確かにね♪ねね!私にも見せてよ!」

「OK・・・じゃあ開けるぞ」

 

封を切り、二人で中の手紙を読んだ・・・そこには。

 

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

 その才能を試すことを望むのならば、

 己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

 我らの”箱庭”に来られたし』

 

その瞬間、世界が変貌した。

 

 

 

 

「わっ」

「きゃ!」

「ヤハハハハハハハ!」

「ひゃっほぉぉぉぉおおおおおう!」

「あははははははははは!」

 

急転直下、彼らは上空4000mほどから落下を始める。

眼前には見たことのない風景が広がっていた。

 

彼らの前に広がる世界はーーー完全無欠に異世界だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ボチャン、と4000mから落ちてきたとは思えない軽い音とともに5人と1匹は湖に着水した。

5人はそれぞれ陸地に上がりながら、各々の反応をみせていた。

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

「その割にはずいぶん楽しそうに落ちてたじゃないか、まあ俺も人のことは言えないけど」

「・・・・・。それよりも、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

「俺は問題ない」

「俺も多分だいじょうぶかな」

「私はちょっとむりかなぁ・・・あはは!」

「笑い事じゃないと思う・・・」

 

それぞれ不毛な言い合いをしながら服を絞っていく。刀馬と絢は着物だったためかなり大変そうだ。

耀は服を絞りながら。

 

「ここ・・・・・・どこだろう?」

「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」

「どうだろうな・・・・・まぁ、どこだろうが関係ないんじゃない?楽しければさ」

「ハハ!ちげぇねぇ!!」

 

全員ある程度服を絞り終えたところで、十六夜は気になっていたことを喋りだす。

 

「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前たちにも変な手紙が?」

「そうだけど、まずは”お前”って呼び方を訂正して。---私は久遠飛鳥よ。以後は気おつけて。それで、そこの猫を抱えている貴女は?」

「・・・・・春日部耀。以下同文」

「そう。よろしく春日部さん。じゃあ、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

刀馬と絢は『うわぁ・・・俺(私)たち以上に個性的な人間初めて見たよ・・・・』と思った。

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

飛鳥の返しもまたすごいな・・・。

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

『作るの(んだ)!?』

 

「はいはい、それで・・・そちらの着物のお二人は?」

「じゃあ俺から、一応英雄の血を多く受け継いでいる天城刀馬です。こいつの趣味でこんな格好してますが男です。よろしく三人とも」

 

と、絢を指しながら自己紹介する。

 

「「「・・・・・・・・・・・・はぁ!?」」」

 

刀馬の自己紹介に十六夜、飛鳥、耀の三人が素っ頓狂な声をあげた。

 

「あ~やっぱりそういう反応になるよねぇ・・・・・」

「え、男!?こ、こんなに綺麗なのに?」

「ま、マジかよ・・・てっきり男口調なだけの女だと思ってたぜ」

「なんか・・・ずるい。男なのに・・・・こんなに美人だなんて」

 

三人はありえないという顔で刀馬を見つめた。

 

「あっはは~♪刀馬美人でしょ?もう可愛すぎていつも着せ替えして遊んでるんだぁ♪」

「え、えっと。凄い趣味ね。貴女は?」

「おっと、失礼♪私は北郷絢!三国時代の英雄、趙雲の血を濃く受け継ぐ人間だよん♪」

「趙雲だと?そういや刀馬のやつもさっき似たようなこと言ってたよな」

「あぁ、多分お前たちとは違う世界の話になると思うんだが俺たちは」

「私たちの世界に迷い込んだで三国統一の立役者になった北郷って人と」

「その後日ノ本で活躍し、日ノ本統一を実現させた軍師、天城って男」

「そして時代を越えてそれぞれの子孫たちが偶然交わって血を色濃く受け継いで生まれたのが」

「俺や絢ってわけだ」

 

再度、十六夜たちは驚愕した。自分たちとは異なる世界から来たという二人のこともそうだが、三国統一の立役者、日ノ本統一の立役者という偉業を成し遂げた人物の血をどちらも引いているのだという。

どちらか一方ならまだわかる。それほど珍しくはないだろう。

だが、二つ両方となると話は別だ。

まず時代が違いすぎる。飛鳥と耀は気づいてないようだが十六夜だけはあることに気づいていた。

 

「つまりお前らは俺たちが知っているような有名な武将たち全員の血を引いてるってことでいいのか?」

「私はちょっと違うかな♪私が一番色濃く引いてるのは北郷と趙雲の血で、多分多少は他の武将の血も受け継いでるとは思うよ」

「俺については正解だな。それこそ勢力とわずありとあらゆる武将たちの血を全て、ほぼ100%受け継いでいる」

 

今度こそ三人は完全に固まった。

本来ありえないのだ。それだけの数の血を全て受け継いでいるだけでも天文学的な確率だというのに、さらにはそれをほぼ純度100%で受け継いでいるなど人間という生物上絶対にありえないはずなのである。

 

「ヤハハ・・・。凄いなお前。ってことはお前自身も結構強いのか?」

「当然。それに、俺にはいろいろと特殊な能力もあるしな」

「へぇ・・・面白いなお前。今度俺と勝負しようぜ!」

「ハハ、いいぜ。俺の出自を聞いても挑んできたやつは殆どが力の差がわからない馬鹿か、もしくは極少数のわかっていてなお自分の力を試したいと願う本物の兵のどちらかだった。お前はどっちだろうな?十六夜。」

「ハッ!面白いじゃねえか。ほえ面かいてもしらねえぞ?刀馬」

 

心からケラケラと笑う逆廻十六夜。

いまだに固まっている久遠飛鳥と春日部耀。

そうそうに面白そうな相手ができて高揚している天城刀馬。

そんな十六夜と刀馬を見て嬉しそうにしている北郷絢。

 

そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは思う。

 

(・・・・・・か、完全に出て行くタイミングを失ってしまったのデスヨ)

 

本来ならもっと早く出て行き箱庭の説明をする予定だったのだが、彼らの話が盛り上がりすぎてタイミングを失ってしまったのだ。

黒ウサギはあの問題児っぷりから後の展開を想像し、陰鬱な表情になりウサ耳をへにょらせる。

 

 

 

十六夜たちはお互いにしばらくしゃべっていたのだが、いい加減今後のことが気になったのか十六夜が声をあげる。

 

「で、呼ばれてから結構時間もたっちまったんだがなんで誰も説明役が現れねえんだ?」

 

ビクッ

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

「・・・・・・・。この状況で落ち着いて会話してたのもどうかと思うけど」

「耀だって普通におしゃべりしてたじゃん。口数は少なかったけど」

「刀馬。そういうことは思っても口に出さない方が良いよ?モテたかったらね♪」

「・・・うっせぇ」

 

(ま、まままま不味いのデスヨ)

 

黒ウサギはこれ以上は本当に不味いと悟り、恐る恐る出て行こうとする。

                    

「---仕方がねえな。こうなったらずっとそこに隠れている奴にでも話を聞くか?」

「まぁ流石にみんな気づいてるよな・・・」

「「「そうね(だね)」」」

 

(あわわわわわわわわわわ・・・)

 

「や、やだなぁ皆様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ? ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここはひとつ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

「断る」

「却下」

「お断りします」

「誰のせいだろうな?」

「ほんとにねぇ♪」

 

表情はみんな笑顔なのに完全に目は笑っていなかった・・・。

黒ウサギは背中に汗をダラダラ流しながら。

 

「あっは、取り付くシマもないですね♪」

 

努めて明るく”バンザーイ”と降参のポーズを取る。

 

(お、怒ってる・・・怒ってるのですよ~)

 

黒ウサギはおどけつつも内心では完全にビクビクしていた。と、耀はそんな黒ウサギにスッと近づき黒ウサギの耳を根っこから鷲掴み、

 

「えい」

「フギャ!」

 

力いっぱい引っ張った。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとは、どういう了見ですか!?」

「好奇心の為せる業」

「自由にも程があります!」

「まぁ散々待たせた罰だと思っとけ・・・」

「そだね~♪というか私にも触らせろ~!」

「じゃあ私も」

「ちょ、ちょっと待ーーー!」

 

今度は耀が右から、飛鳥が左か一つずつ、更には絢が後ろから両方の上の部分を思いっきり引っ張られ、黒ウサギは言葉にならない悲鳴を上げた。

十六夜と刀馬はその様子をニヤニヤと眺めていた・・・。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あ、あり得ない。ありえないのですよ。まさか話を聞いてもらうのに小一時間以上も消費してしまうとは・・・」

「諸行無常」

「自業自得」

「自由奔放」

「他力本願」

「唯我独尊」

 

上から十六夜、飛鳥、耀、絢、刀馬。

 

「学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」

「いいからさっさと進めろ」

「・・・ハイ」

 

黒ウサギはなんとか気取り直して咳払いをし、両腕を広げて、

「それではいいですか、みなさま、定例文で言いますよ?言いますよ? さあ、言います! ようこそ、”箱庭の世界”へ!我々は皆様にギフトを与えられた物たちだけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

 

~黒ウサギ説明中~

 

 

「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが・・・・・・よろしいです?」

「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」

 

以外にも静聴していた十六夜が威圧的な声を上げて立つ。ずっと刻まれていた軽薄な笑顔がなくなっていることに気づいた黒ウサギは、召喚時のこともあり怯えそうな心を無理やり押さえ込んで聞き返した。

 

「・・・・・どういった質問です? ルールですか? ゲームそのものですか?」

       

「そんなものはどうでもいい。原のそこからどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでお前に向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねえんだ。世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねえ。俺が聞きたいのは・・・・・・・たった一つ、手紙に書いてあったことだけだ」

 

十六夜は視線を黒ウサギから外し、他の四人を見回し、巨大な天幕によって覆われた都市に向ける。

彼は何もかもを見下すような視線で一言

             

「この世界は・・・・・・・面白いか?」

 

「-------」

 

他の四人も無言で返事を待つ。

彼らを呼んだ手紙にはこう書かれていた。

『家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨てて箱庭に来い』と。

それに見合うだけの催しがあるのかどうかこそ、五人にとって一番重要なことだった。

 

「---YES!『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保障いたします♪」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ジンぼっちゃーん!新しい方を連れてきましたよー!」

 

名前を呼ばれた少年、ジンは外門前の街道から黒ウサギと女性三人が歩いてくるのを見つける。

 

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性三人が?」

「はいな、こちらの五名さまがーーー」

 

クルリ、と振り返る黒ウサギ。

 

カチン、と固まる黒ウサギ。

 

「・・・・・・え、あれ?もう二人いませんでしたっけ? ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から”俺問題児”ってオーラをはなっている殿方と、落ち着きがなくて、目をキラキラさせてて”天真爛漫”って感じのお嬢さんが」

「ああ、十六夜と絢なら”ちょっと世界の果てを見てくるぜ!””刀馬!私は十六夜についていくから黒ウサギが気づいてからでいいから伝えといて♪”って言いながら走ってったぞ。あっちの方に」

 

あっちの方に。と言いながら刀馬は召喚時に上空から見た断崖絶壁を指差す。

街道の真ん中で呆然となった黒ウサギは、ウサ耳を逆立てて三人に問いただす。

 

「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

「”止めてくれるなよ”と言われたもの」

「ならどうしてすぐに教えてくれなかったのですか!?」

「さっき刀馬がいってた。”黒ウサギが気づいてからでいい”って」

 

ね~っと言いながら微笑む三人

 

「と、刀馬さんはともかく、お二人はホントは面倒くさかっただけでしょう!」

「「うん」」

 

ガクリ、と前のめりに倒れる。完全にorzの状態でピクピクしている・・・。

 

そんな黒ウサギとは対照的に、ジンは蒼白になって叫んだ。

 

「た、大変です! ”世界の果て”にはギフトゲームのために野放しにされている幻獣が」

「幻獣?」

「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に”世界の果て”付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ちできません!」

「あら、それは残念。もう彼らはゲームオーバー?」

「ゲーム参加前にゲームオバー?・・・・・・斬新?」

「あ~まああの二人なら大丈夫だと思うけどな・・・」

「冗談を言っている場合じゃありません!」

 

ジンは必死に事の重大さを訴えるが、飛鳥と耀は肩を竦めるだけで刀馬にいたっては絢が一緒に行ってる時点で全く心配していなかった。

と、その時黒ウサギがため息を吐きつつ立ち上がった。

 

「はあ・・・・・・ジン坊ちゃん。申し訳ありませんが、御三人のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「わかった。黒ウサギはどうする?」

「問題児たちを捕まえに参ります。事のついでにーーー”箱庭の貴族”と謳われるこの黒ウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」

 

そういうと黒ウサギは怒りのオーラを全身から噴出させ、艶のある黒い髪を淡い緋色に染めていく。

 

「一刻ほどで戻ります!皆さんはゆっくりと箱庭ライフをご堪能ございませ!」

 

そう言いながら全力で跳躍し、あっという間に四人の視界から消え去っていった。

 

「・・・・・。箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に関心するわ」

「うん・・・凄い」

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属。力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女ならよほどの幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが・・・・・・」

 

ジンの言葉に刀馬は(あ~黒ウサギ・・・多分返り討ちにあうだろうなぁ・・・・・)と静かに手を合わせた。

 

「まあ、黒ウサギも堪能くださいと言っていたし、お言葉に甘えて先に箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」

「え、あ、はい。コミュニティのリーダーおしているジン=ラッセルです。齢十一になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。あなた方の名前は?」

「久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが」

「春日部耀・・・・でこっちが」

「天城刀馬だ・・・よろしくなジン」

 

三人は自己紹介するとジンは驚いたように声を上げた。

 

「天城・・・刀馬・・・・・え、あれ?もしかして・・・男の方・・・ですか?」

「おう。こんな格好だが俺は男だ」

「ぇぇぇぇぇぇええええええええええ!!!????」

「やっぱり驚くわよね・・・」

「・・・・・うん」

 

ジンが落ち着くまで待つ三人・・・。

 

「す、すみません。取り乱しました。まさか男性の方だったとは・・・勘違いしてしましすみません」

「まあ気にすんな。こんな格好してる俺もわるいしな」

「あはは。じゃ、じゃあ気お取り直して行きましょうか」

「そうね。とりあえず、軽い食事でもしながら話を聞かせてもらえると嬉しいわ」

 

飛鳥の言葉に頷き、四人は笑顔で箱庭の外門をくぐっていった。

 

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SIDE:十六夜&絢

 

「ヤハハハハハ!トップスピードでないとはいえ俺についてくるとは、お前すげえな!」

「キミホントに人間!?この私がついていくのがやっとだなんて!」

「俺は人間だぜ?まあちょっと特殊ではあるかもだがな!」

「ちょっとどころじゃないよ!刀馬ですら十六夜の全速力には追いつけないんじゃないかな・・・」

 

十六夜と絢は黒ウサギ達とわかれてからそんなことを言いながら走っていた。

目指すは世界の果て・・・二人は言い合いながらも満面の笑みで目標の場所へと走って行く。

 

「おぉ!見てみろよ絢!この河すげえぞ!」

 

急に止まった十六夜に驚きつつも絢は少し引き返し十六夜とともに眼前にそびえる河・・・トリトニス大河を見る。

 

「うっひゃ~!でっかーい♪」

 

『ほう、人間とは珍しいな・・・』

 

「あん?」

「およ?」

 

声が聞こえ視線を移す二人。

 

そこには白い、巨大な蛇がいた。

 

「おぉ!?」

「おお!この蛇もでっかーい♪」

 

『フフ、我の姿を見ても臆さぬか・・・。よかろう、人間よ貴様らの力を試してやろう。試練を選ぶがいい!』

 

「「へぇ・・・?」」

 

大蛇の言葉を聞いた二人は目に怪しい光を灯し・・・

 

ズドォォォォン!!!

 

一瞬で大蛇の腹へ接近し、おもいっきり蹴り飛ばした。

 

バッシャァァァアアアアン!!!

 

大蛇が河に倒れた拍子に舞い上がった大量の水で二人がまたもやずぶ濡れになる。

 

「やべ、蹴り飛ばした後のこと考えてなかったぜ」

「うわ~・・・またまたビショビショだよ~」

 

その時ようやく黒ウサギが十六夜たちに追いついて息をきらせながら近寄ってきた。

 

「ん?あれ、お前黒ウサギか?」

「え?あ、ホントだ。って・・・その髪どうしたの?」

 

なぜかまたずぶ濡れになっている問題児二人を見て黒ウサギは、散々振り回してくれた問題児への怒りが堪えられなくなり勢いよく飛び掛る。

 

「いったいどこまで来ているのですか問題児様がたぁぁぁぁああああああ!!!」

 

ビュン!

 

「うお!」

 

ズバァア!

 

「せいや♪」

 

ドスゥ・・・

 

十六夜に不意打ちで一撃入れ、勢いを殺さず絢にも入れようとした黒ウサギは。

どこから取り出したのか、いつの間にか絢が持っていた槍の後ろ側の突きによって迎撃された。

って・・・絢ちゃんや、それは流石に酷くないかい?

『いきなり飛び掛ってきたウサギさんが悪い』

だからこっちに突っ込んでこないでよ・・・。

『そっちから聞いてきたんだよ?」

わわ!わかったから槍を向けないで!!

 

「う・・・い、痛いのですよ」

「いきなりなにしやがんだ黒ウサギ!」

「勝手にいなくなっておいて何を言ってるのでございますか!?黒ウサギは十六夜さんたちが幻獣にゲームを挑んだんじゃないかと思い心配したんですよ!!」

「む・・・まぁ、それは悪かったよ」

「あはは~ごめんね。黒ウサギ。でも実は既に遅かったり・・・」

「へ?」

 

『まだ・・・・・まだ試練は終わってないぞ。小僧共ォォォオオオオオオ!!』

 

「蛇神・・・・・!ってどうやったらこんなに怒らせられるんですか二人とも!?」

「いや、なんか偉そうに『試練を選べ』とかなんとか、上から目線で素敵なこと言ってくれたからよ。俺たちを試せるのかどうか試させてもらったのさ」

「結果は残念な白蛇さんだったけどね♪」

 

『貴様ら・・・・・・付け上がるなよ人間!我がこの程度で倒れるか!!』

 

「あはは♪さっきまで倒れてたじゃん、ザッパーンって!」

「お二人とも下がってください!というか挑発しないでください!!」

「何言ってやがる。下がるのはテメェだろうが黒ウサギ!」

「そうだよ~。邪魔するならウサギさんから先に潰すよ?」

 

二人の殺気にたじろぐ・・・

 

「これは俺らが売って、奴が買った喧嘩だ。邪魔するんじゃねえぞ!」

 

ようやく黒ウサギも始まってしまったゲームには手出しができないことに気づき歯噛みする。

 

『心意気は買ってやる。それに免じ、この一撃を凌げば貴様らの勝利を認めてやる』

 

「寝言は寝て言え。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。敗者を決めて終わるんだよ」

 

絢も自分の勝利を微塵もうたがっていない表情をする。

 

『フンーーーーその戯言が貴様らの最後だ!』

 

蛇神の雄たけびとともに嵐のように川の水が巻き上がる。竜巻のような渦を巻い二つの水柱は蛇神の丈よりも遥か高く舞い上がり、何百トンもの水を吸い上げながら二人に迫っていく。

 

「十六夜さん、絢さん!」

 

黒ウサギが叫ぶ。しかしもう遅い。

 

「ハッーーーーしゃらくせぇ!!」

「我が槍に貫けぬものなど無し!なんちゃって♪」

 

二人の掛け声とともに、二つの竜巻が爆散する。

十六夜は腕の一振りで、絢は槍の一薙ぎで嵐をなぎ払ったのだ。

 

「嘘!?」

『馬鹿な!?』

 

蛇神は渾身の一撃を弾かれ放心するが、そこを見逃す二人ではなかった。一瞬でまた腹に接近し、一度目よりさらに重い一撃を胴体に叩き込む。

あまりの衝撃に蛇神の巨躯が空中へと大きく打ち上げられ、そのまま川へ落下した。

その衝撃で川が氾濫し、水で森が浸水する。

 

本日三度目のずぶ濡れに、流石の二人も顔を合わせて苦笑い。

 

「くそ、今日はよく濡れる日だ。クリーニング代ぐらいは出るんだよな黒ウサギ」

「う~水着ならまだしも着物で何度もグショグショになるのは簡便だよ~」

 

冗談めかした十六夜と、割と本気で陰鬱そうな顔をしている絢。だが黒ウサギには二人の声は届いていなかった。

彼女の頭の中はパニックでそれどころではなかったのだ。

 

(人間が・・・・・神格を倒した!?それも只の腕力で!?そんなデタラメがーーー!)

 

ハッと黒ウサギは思い出す。彼らを召喚するギフトうぃ与えた”主催者”の言葉を。

 

 

 

「彼らは間違いなくーーー人類最高クラスのギフト保持者よ、黒ウサギ」

 

黒ウサギは二人の力を目の当たりにしコミュニティの再建も夢じゃないと心躍らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 




次回は刀馬たちSIDEから始まります。

ええ、害獣と変体幼女様ですねw

お楽しみに♪

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