問題児たちが異世界から来るそうですよ?~英雄を統べし神子~   作:覡 殺梛

3 / 7
第2話となります。

1話のちょっとおかしかった部分を気づけた限り修正しました。

ちょっとラスト部分、白夜叉の強さについて説明足らずだったようなので少し追加しました。プラス、フラグ回収w

それではどうぞ♪


第2話:害獣出現と変態幼女様だそうですよ?

ーーー箱庭二一〇五三八〇外門・内壁。

飛鳥、耀、刀馬、ジン、三毛猫の四人と一匹は石造りの通路を通って箱庭の幕下に出る。

 

『お、お嬢!外から天幕の中に入ったはずなのに、お天道様が見えとるで!』

「・・・・・本当だ。外から見たときは箱庭の内側なんて見えなかったのに」

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。そもそもあの巨大な天幕は太陽の光を直接受けられない種族のために設置されていますから」

「それはなんとも気になる話ね。この都市には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」

「え、居ますけど」

「それは是非とも合ってみたいな!」

「そ、そうね」

 

なんとも複雑そうな顔をする久遠飛鳥。ちょっとビビリ気味である。

刀馬は先ほどから話は聞いているものの、ずっと耀のことが気になっていた。

ここに来てから何度か三毛猫と話しているようなそぶりを見せている。

 

「あら、春日部さんなにか言った?」

「・・・・・・。別に」

 

どうやら本人はあまり触れてほしくないらしいと感じた刀馬はしばらく様子をみることにした。

飛鳥は特に気にしたそぶりを見せず、近場にあったこの辺では一番綺麗な店でお茶にしようと提案する。

 

「いらっしゃいませ~。ご注文はどうしますか?」

「えーと、私は紅茶で」

「私は緑茶で」

「俺は・・・無難に緑茶にするか。後は・・・耀なにか食べたいのか?」

「え?」

「いや、すまん。食べ物の欄を凝視してたからつい・・・。気を悪くしたらすまん」

「ううん。気にしてないよ。ありがとう」

 

耀は気遣ってくれた刀馬に微笑んだ。

その笑顔に刀馬は動揺し頬を赤らめ。

 

「そ、そうか。じゃあなにか食べるか?」

「ジン。いいかな?」

「かまいませんよ。丁度昼食の時間帯ですし皆さんもどうぞ」

『お嬢ネコマンマを!』

「なんだ、三毛猫も食うのか?」

「え?三毛猫の言葉わかるの?」

「あぁ、やっぱりお前が話してたのって三毛猫だったのか。俺の場合は先祖に動物と会話できる人がいてな。その血も引いてるから話せるんだよ」

 

どうやら盛り上がりそうだと感じた飛鳥とジンは残りのメニューを適当に注文しながら話しに加わった。この時、三毛猫が猫店員をナンパしていて刀馬は苦笑いしていたが。

 

「・・・・・・凄い、私以外に三毛猫と話せる人を初めて見たよ」

『きてよかったなお嬢』

 

耀は自分以外にも三毛猫と話せる人と出会えて珍しく本気で喜んでいた。

 

「耀さんは、猫以外の動物とも意思疎通は可能ですか?」

「うん。生きているなら誰とでも話せる・・・と思う」

「それは素敵ね。それじゃああそこの鳥とかとも会話が?」

「うん、きっと出来・・・・・る?ええと、鳥で話したことがあるのは雀や鷺や不如帰ぐらいだけど・・・・・・ペンギンいけたから多分大丈夫」

「ペ、ペンギン!?」

「う、うん。水族館で知り合った。他にもイルカ達とも友達」

「ハハ、俺は鮫と喧嘩しながら会話して友達になったぜ♪」

「さ、鮫ってあなた・・・どんな生活してたのよ」

 

まさか鮫と喧嘩するような人間がいるとは思わなかったのだろう、飛鳥とジンは若干顔を引きつらせていた。

逆に耀は刀馬をキラキラした目で見始める。

 

「し、しかし全ての種と会話が可能なら心強いギフトですね。この箱庭において幻獣との言葉の壁というのはとても大きいですから」

「そうなんだ」

「幻獣だからといっては人語を話せるわけじゃないんだな」

「はい。一部の猫族やウサギのように神仏の眷属として言語中枢を与えられていれば意思疎通は可能ですけど、幻獣達はそれそのものが独立した種の一つです。同種族か相応のギフトがなければ意思疎通は難しいというのが一般的です。箱庭の創始者の眷属に当たる黒ウサギでも、全ての種とコミュニケーションをとることはできないはずですし」

「そう・・・・・・春日部さんたちは素敵な力があるのね。羨ましいわ」

 

飛鳥に笑いかけられて困ったように頭を掻く耀と苦笑する刀馬。

 

「久遠さんは」

「飛鳥でいいわ。よろしくね春日部さん」

「う、うん。飛鳥はどんな力を持っているの?」

「私?私の力は・・・・・・まぁ、酷いものよだって」

「飛鳥」

「え?」

「どんな力だって良いんじゃないか?結局は使い方次第だし、この箱庭で俺たちの力がどの程度通用するのかもわからないんだ。前の世界のことなんて置いといて、ここで貴女の力をどういうふうに使っていくかを考えたほうがずっと有意義だと思うぜ」

「・・・・・・・・。そうね、そうしま」

「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ”名無しの権兵衛”の」

「おい、俺たちはお互いに親睦を深めてる最中だったんだ。そこに無理やり入ってくるのは失礼じゃねえか?」

「こ、これは失礼しました。私はガルド=ガスパー。箱庭上層に陣取るコミュニティ”六百六十六の獣”の傘下である「烏合の衆の」コミュニティのリーダーをしている、ってマテやゴラァ!!誰が烏合の衆だ小僧おぉ!!!」

 

ジンに横槍を入れられたガルドの顔は怒鳴り声とともに激変する。

 

「口を慎めや小僧ォ・・・・・紳士で通っている俺にも聞き逃せねえ言葉はあるんだぜ・・・・・・?」

「はぁ・・・いい加減にしろよお前。こっちは楽しいひと時を満喫してたのを邪魔されたんだ、用件があるならさっさと進めな」

「失礼。では・・・あなた方は彼のコミュニティの現状をご存知ですか?」

 

~害獣説明中~

 

「なるほどな。で?それを踏まえた上でお前はどうしようってんだ?ガルド」

「お話が早くて助かります。単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」

「な、何を言い出すんですか!?」

「ジン、お前は黙ってろ」

「っ・・・・」

「で、ガルド。俺の返事なんだが、悪いが俺はジンのコミュニティに入るから断るわ」

「「は?」」

「二人はどうするよ?俺としてはせっかくこっちに来て初めて仲良くなれそうな奴だから一緒のコミュニティに入ってほしいんだが」

「そうね・・・正直私は今さら裕福な生活がしたいわけじゃないの。それなのにたかが小さな一地域を支配しているだけの組織の末端に迎え入れてやる、などと慇懃無礼に言われてもまったく魅力を感じないわ。だから、刀馬君と同じくジン君のコミュニティに入らせてもらうわ」

 

飛鳥は少し不機嫌そうな表情になりガルドを睨みながらそう語る。

 

「そうか。耀はどうするんだ?」

「私は・・・」

 

耀は少し悩んだ。最初はただ友達を作りにこの世界にきただけだったから本当ならどっちのコミュニティでもよかったのだが、これまでの会話で刀馬と飛鳥には多少好感を持ち始めていることに気づく。

特に刀馬は初めて同じ動物と話せる相手であり気にかけてくれる優しい一面もあることから飛鳥以上に好感度が高い。

 

「うん、私はこの世界に友達を作りにきたから。せっかく仲良くなり始めた二人と離れるのは少し寂しい・・・から、ジンのコミュニティに入るよ」

「お、じゃあ俺友達第一号な♪よろしく耀」

「・・・うん///」

「あら、じゃあ私が友達二号かしら。よろしくね春日部さん」

「うん、よろしく」

 

三人はなんかいい雰囲気をかもし出し微笑みあっている。

(おい、変な言い方してんじゃねえよ)

ちょ、お前までこっちに突っ込んでくんなよ!?

(あぁ?)

あ、すみませんした。

 

「お、お言葉ですがお三

『黙りなさい』

 

ガチン!とガルドは不自然な形で、勢い欲口を閉じて黙り込んだ。

 

「・・・・・・!?・・・・・・・・・・・!??」

(へぇ、これが飛鳥の力か・・・ハハ、確かにこれは使い方間違えたらやばいな)

 

刀馬は飛鳥の力を見てさっき飛鳥が陰鬱な表情をしていたことに納得した。

 

~飛鳥尋問中~

 

「素晴らしいわ。ここまで絵に書いたような外道とはそうそうであえなくてよ」

「彼のような悪党は箱庭でもそうそういません」

「ま、こんな奴が他にもたくさんいたらここいら一帯はここまで賑わっていないだろうな」

「それもそうね。---ところで今の証言で箱庭の法がこの外道を裁くことはできるかしら?」

「厳しいです。彼は多くの違法行為をおこなっていますが、裁かれる前に彼が箱庭の外に逃げ出してしまえばそれまでです」

「そう、それは残念ね」

 

苛立たしげに指をパチンと鳴らす。それを合図にガルドの体が自由になり、怒り狂ったガルドはカフェテラスのテーブルを勢いよく砕くと、

 

「こ・・・・・・この小娘がァァァァァアアアアアアア!!」

 

雄叫びとともにその体をワータイガーへと変貌させ、飛鳥に襲い掛か

 

「おい、俺の友人に手ぇ出してんじゃねえよ」

 

れずに刀馬の手によって物凄い音を立てながら潰される。

 

「アギャ!!」

 

そのあまりの衝撃に苦悶の声を上げるガルド。刀馬はそのまま腕を後ろに捻り動きを止める。

 

「フフ、いい格好ね。でも私はこの程度じゃ満足できないの。だから皆に提案があるのだけれど」 

 

飛鳥はさながら魔女のような、刀馬は鬼神のような、耀は・・・無表情ながらも確かな殺意を持ってガルドを睨む。

 

「ガルドさん、私達と『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の”フォレス・ガロ”存続と”ノーネーム”の誇りと魂を賭けて、ね」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

日が暮れたころ、五人の問題児は噴水広場で合流していた。

みんなお互いにあったことを話していると、突然と言うべきか案の定と言うべきか黒ウサギが怒涛の勢いで怒り出す。

 

「な、なんであの短時間に”フォレス・ガロ”のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になるのですか!?」

「しかもゲームの日取りは明日!?」

「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」

「準備している時間もお金もありません!」

「一体どういう心算があってのことです!」

「聞いているのですか四人とも!!」

「「「「ムシャクシャしてやった」」」

「「「今は反省しています「反省するつもりは微塵もない」」」」

 

「黙らっしゃい!!!」

 

誰が言い出したのか、まるで口裏を合わせたように言い訳をする。刀馬をのぞいては・・・。

 

「別にいいじゃねえか。見境なく選んで喧嘩売ったわけじゃないんだから許してやれよ」

「そうそう♪それにそんな三下以下のお馬鹿さんなんかぶっちゃけ刀馬一人いれば楽勝だし♪」

「お、お二人は面白ければいいと思ってるかもしれませんけど、このゲームで得られるものは自己満足だけなんですよ?この”契約書類”を見てください」

 

十六夜と絢は黒ウサギが渡してきた契約書類を覗き込む。

そこには勝利した際の報酬などが書かれていた。

 

「ふーん。まあ、確かに自己満足だ。時間をかければ立証できるものを、わざわざ取り逃すリスクを背負ってまで短縮させるんだからな」

「そうです。でも時間さえかければ、彼らの罪は必ず暴かれます。だって肝心の子供達は・・・・・その、」

 

黒ウサギが言いよどむ。

 

「そうだ、人質はもうこの世にはいない。けどな?時間をかければアイツは箱庭の外に逃げるかもしれない。そうなれば、人質を殺された連中が浮かばれないだろ・・・」

「刀馬さん・・・」

「ま、さっき絢も言ってたが俺が出る以上は負けは無い。それに耀と飛鳥、それにジンの協力もあるんだ、信じて待ってな」

「はぁ・・・わかりました。とりあえず、明日に備えて出来るだけの準備だけはいたしましょう」

 

そういって無理やり背筋とウさ耳を伸ばす黒ウサギはジンの方を向き。

 

「ジン坊ちゃんは先にお帰りください。これから皆さんのギフト鑑定をお願いしに”サウザンドアイズ”に行ってまいります。この水樹のこともありますし」

「わかったよ。黒ウサギたちも気をつけてね」

「はいな♪」

 

”サウザンドアイズ”店前

 

日が暮れて看板を下げる割烹着の女性店員に、黒ウサギは滑り込みストップを、

 

「まっ」

「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやってません」

 

かけることも出来なかった。

 

「なんて商売っ気のない店なのかしら」

「ま、全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」

「文句があるなら他所へどうぞ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です」

「出禁!?これだけで出禁とか御客様を舐めすぎでございますよ!?」

 

キャーキャーと喚く黒ウサギに店員は冷めたような眼と侮蔑を込めた声で対応する。

 

「なるほど、”箱庭の貴族”であるウサギの御客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますので、コミュニティの名前をよろしいでしょうか?」

「・・・・・う」

 

一転して言葉に詰まる黒ウサギ。しかし十六夜が躊躇い無く名乗る。

 

「俺達は”ノーネーム”ってコミュニティなんだが」

「ほほう。ではどこの”ノーネーム”様でしょう。よかったら旗印を

「おい待て。」

「なんですか?」

「あんた最初から俺たちが名も旗印も無いのを知ってて聞いてきたな?」

「!?」

「図星か。確かに今回は俺らが無理やり押し通そうとしたのが悪かった。謝る。だがな?それを踏まえた上でも、俺の仲間を侮辱するようなその態度は許せねえ。黒ウサギに謝れ」

 

店員と絢以外の全員が驚いた。店員の態度は確かに失礼ではあったが、彼がここまで怒るとはおもわなかったのだろう。

 

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・っ」

 

お互いにしばらく沈黙し、店員が刀馬の殺気に折れかけた頃それは現れた。

 

「いぃぃぃやっほぉぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギイィィィィ!」

「きゃあーーーーーー・・・・・・・・・・・・・!」

 

突然突撃してきた少女のタックルを食らい、黒ウサギは一緒になってクルクルクルと回転しながら浅い水路まで吹っ飛んで行った。

 

「おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら折れも別バージョンを是非」

「ありません」

「なんなら有料でも」

「やりません」

 

なに言ってんだコイツみたいな目で十六夜を見る刀馬。

呆然とする耀と飛鳥。

アヒャヒャヒャと笑い転げる絢。

 

「し、白夜叉様!?どうして貴女がこんな下層に!?」

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろうに!ふふ、フホホフホホ!やっぱり黒ウサギは触り心地が違うのう!ほれ、ここが良いかここが良いか!」

 

スリスリスリスリ

 

「し、白夜叉様!ちょ、ちょっと離れてください!」

 

白夜叉と呼ばれた少女を無理やり引き剥がし、頭を掴んで店に向かって投げつける。

くるくると縦回転した少女を、十六夜が左足で受け止め、

 

「刀馬!パース!」「ゴフゥ!」

 

右足で刀馬のほうへ蹴り飛ばした。物凄い勢いで向かってくる少女を刀馬は出来る限り衝撃を吸収しながら受け止める。

 

「おい十六夜!多少変態だからって女の子を蹴り飛ばす奴があるか!」

「そうじゃそうじゃ!初対面の美少女を蹴り飛ばすとは何様じゃ!」

「十六夜様だぜ。以後よろし「先に誤れこのアホ!」ぐほぁ!!」

 

刀馬の拳骨により十六夜の頭が地面に埋まる。

十六夜の力を見ていた黒ウサギは「嘘!?」と驚き、飛鳥と耀はまたもや呆然・・・絢は「あははは」とまた笑い転げている。

白夜叉は刀馬の力に「・・・ほう」と目を鋭くした。

 

ズボッ

 

「刀馬てめぇ何しやがる!!」

「お前が悪いんだろうが!女の子にはもう少し優しくしろ!」

 

女性店員は目の前で起こっている人間離れしたやり取りに頭が追いつかなくなって口を開けて固まっていた。

 

「ったく・・・すいませんウチの悪ガキが。痛いところはありませんか?」

「ハッハッハ!大丈夫じゃよ。それよりさっきは受け止めてくれてありがとうの」

「いえいえ、怪我が無かったようで何よりです」

 

刀馬はさっきの剣幕はなんだったのかと言うようなやわらかい笑みを浮かべた

 

「う、うむ///」

「ところで、貴女はこの店の人なのかしら?

「あ、うむ、そうだとも。この”サウザンドアイズ”の幹部様で白夜叉様だよ御令嬢。仕事の依頼ならおんしのその年齢のわりに発育がいい・・・あ、いやなんでもないの、うん」

「む・・・・・」

 

白夜叉はいつもどおりに変体発言をしようとしたが、刀馬の方を一瞬見た後なぜか言いよどんだ。

飛鳥とチラ見された刀馬、いつもの変態発言が出なかったことに女性店員が首をかしげる。

そんな白夜叉のようすに耀はなぜかむっとするのであった。

絢は耀の変化に(おやおや?これってばまさか・・・)と一人ニヤニヤしているのであった。

 

「うう・・・・・・・・・まさか私まで濡れることになるなんて」

「因果応報・・・・・・かな」

「よ、耀さん?なんか不機嫌でらっしゃいますか?」

「・・・・・別に」

 

そんなやりとりの最中も、白夜叉たちの話は進んでいく。

 

「ふふん。お前たちが黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たということは・・・・・・・黒ウサギが遂に私の元へ」

「行きません!どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」

 

ウさ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。何処まで本気なのかわからない白夜叉は笑って店に招く。

 

「まあいい。話があるのなら店内で聞こう」

「よろしいのですか?彼らは・・・」

 

ギロ・・・・。瞬間、刀馬に睨まれて言葉に詰まる女性店員。

 

「よいよい。身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任を取る。いいから入れてやれ」

 

女性店員は頭を抱えながらも問題児たちは店内へと入っていく。

 

「・・・・・・・えーと」

「なんですか・・・」

「あ~なんだ、俺もノーネームだからって馬鹿にされなきゃ睨んだりしない。だから、まあ、もし上司のこととかでストレス溜まってたら愚痴くらいは聞いてやれる」

「・・・・・・・・・・・はあ、私もすみませんでした。それと、その時は・・・お願いしてもいいでしょうか?」

「ああ。その時は声かけてね。それじゃ!」

「ありがとうございます」

 

刀馬は店員と別れ、皆の後を追いかけた。

 

「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で簡便してくれ」

「へぇ・・・着ている服もそうだが部屋も準和風か。白夜叉とは気が合いそうだな」

「そ、そうかの?よいせっと///」

「お、おい白夜叉?」

「む~・・・」

 

なぜか刀馬が正座している膝の上に座っている白夜叉とそれを見てまたも唸っている耀・・・これわこれわ。

(あはは♪刀馬モテモテだね~耀も唸りながらちゃっかり刀馬の隣に陣取ってるし)

いやだから・・・ry

 

「さて、もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の外門、三三四五外門に本拠を構えている”サウザンドアイズ”幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸している器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

「はいはい、お世話になっております本当に」

 

投げやりな言葉で受け流す黒ウサギ。耀が小首を傾げて問う。

 

「その外門ってなに?」

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強力な力を持つ者たちが住んでいるのです」

 

黒ウサギが図を描きながら説明する。

 

「・・・・・超巨大タマネギ?」

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

「そうだな、どちらかと言えばバームクーヘンだ」

「ふむ、材料があったら作ってみるか」

「お!刀馬のお菓子は絶品だから楽しみ♪」

「刀馬・・・私の分もつくってくれる?」

 

小首をかしげながらお願いする耀。

 

「お、おう。ちゃんと皆の分つくるから心配するな・・・(くそ・・・耀のこの仕草は反則だろう!)」

「ふふ、うまいこと例える。その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。ちなみに外門のすぐ外は、”世界の果て”と向かい合う場所になる。あそこには強力なギフトを持った者たちが棲んでおるぞーーーその水樹の持ち主などな。ところで私にもバームクーヘン作ってくれんかの?」

「わ、わかった。今度来るときまでに作ってくるよ(な、なんで今日はこんなに女の子にドキドキするんだ!?おかしいだろ俺!?)」

 

刀馬の様子に(おやおや~?満更でもない様子ですな~。・・・ん?でもなんで私は胸が痛いんだろう?)と、内心で思っていたことに首をかしげる絢。

 

「して、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」

「いえいえ、これは十六夜さんと絢さんがここに来る前に、蛇神様を素手と槍で叩きのめしてきたのですよ」

 

自慢げに黒ウサギが言うと、白夜叉は声を上げて驚いた。

 

「なんと!?さっきのやりとりをみて只者ではないと思っとったが直接倒したとな!?ではその者たちは神格持ちなのか?」

「いえ、黒ウサギはそう思えません。神格なら一目見ればわかるはずですし」

「む、それもそうか・・・しかしあの力は」

 

白夜叉は先ほどの刀馬と十六夜のやり取りを見ていたが、人間というにはあまりにも規格外な腕力だったことを思い出していた。

 

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

「ん?ああ、知り合いも何も、アレに神格を与えたのは私だぞ。もう何百年も前の話だがの」

 

その話を聞いていた刀馬以外の問題児四人は瞳を光らせて立ち上がる。刀馬は白夜叉が膝に座っているため立てなかった。

 

「へえ?じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」

「ふふん、当然だ。私は東側の”階層支配者”だぞ。この東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶものがいない、最強の主催者なのだからの」

 

(へえ、強いとは思っていたけど白夜叉ってそんなに凄かったんだな)

 

「そう・・・・・・ふふ。ではつまり、貴女とのゲームをクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティということになるのかしら?」

「無論、そうなるのう」

「あはは!なら・・・挑まないわけにはいかないよね?」

「だな!」

 

四人は剥き出しの闘争心を視線に込めて白夜叉を見る。白夜叉はそれに気づいたように高らかと笑い声をあげた。

「抜け目ない童たちだ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

「え?ちょ、ちょっと皆様!?」

 

慌てる黒ウサギを刀馬が制する。

 

「まあまあ黒ウサギ、この人相手に自分たちが何処まで通用するか試してみるのも良い手だよ」

「ふふ、そうじゃの・・・私も遊び相手には飢えている。だが・・・」

「「「「!?」」」」

 

急に白夜叉が立ち上がり自身のギフトカードを取り出しながら、壮絶な笑みで一言。

 

「おんしらが望むのは”挑戦”かーーーーーーもしくは、”決闘”か?」

 

刹那、全員の視界に爆発的な変化が起きた。

たどり着いたのは、白い雪原と凍る湖畔ーーーそして、水平に太陽が廻る世界だった。

 

「「「「・・・・なっ(はっ)・・・・・・・・・!?」」」」

 

余りの異常さに十六夜たちは同時に息を呑んだ。

刀馬だけが、冷静に白夜叉を見つめている。白夜叉を受け止めたとき、その力の大きさに気づいていたのだった。

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。私は”白き夜の舞おう”---太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への”挑戦”か?それとも対等な”決闘”か?」

 

 

 

 

結局、十六夜たちは挑戦選んだ。

その後に現れたグリフォンとゲームをすることになり、一番手に耀が手を上げた。

 

「・・・耀」

「ん・・・なに?刀馬」

「勝ったら今度お前が好きな料理作ってやる。だから、絶対勝て」

「あ・・・ふふ、わかった。頑張る」

 

 

結果はまあ耀の勝ちだった。

その後、皆でギフトなどの話で盛り上がり、

 

「さて、刀馬よ」

「ん?どうした?」

「おんしはどうする?ほとんどしゃべっておらんかったが」

「あ~俺は白夜叉の強さを理解しちゃってるからなあ・・・。条件付の決闘とかでどうだ?」

「ほう・・・条件付とはいえ、私に決闘を挑むか」

 

刀馬の提案にもう一度白夜叉が壮絶な笑みを浮かべる。

自分の力を理解したと言っているのに、それでもなお決闘を挑んでくることに数百年ぶりに高揚しているのだ。

そんな白夜叉に絢が声をかける。

 

「あ~白夜叉さん。条件なんだけどそれなりなものにしないと刀馬が確実に勝つよ」

「ほう・・・例えばどんなじゃ?」

「そうだね・・・一分間耐えるとか、一撃いれるとかなら百パーセント刀馬が勝つと思う」

「な!?」

 

驚いたのは黒ウサギだった。この中では最も白夜叉の実力を知っているはず。だからこそ、絢が発した言葉が信じられなかった。

 

「ふむ・・・ではこのルールでいこうかの」

 

 

『ギフトゲーム名  ”白夜叉と神子の舞闘会”

 

  ・プレイヤー一覧 天城 刀馬

 

  ・クリア条件 三分間の間に白夜叉に五十撃入れるもしくは白夜叉より多く攻撃を入れる。

 

  ・敗北条件 戦闘不能になるか白夜叉よりも攻撃を入れた回数が少ない。

 

  宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催     します。

 

                  ”サウザンドアイズ”印』

 

「な、ななな!こんなの無理なのですよ!?」

「ん~まあこのくらいで丁度いいんじゃないかな?後は白夜叉さんがどこまで本気を出すかによるね♪」

「で、どうするかの?刀馬よ」

「ん、OK。やるよ」

「刀馬さん!?」

 

黒ウサギは悲鳴にも似た声を上げる。

 

「大丈夫だよ。殺されはしないだろうから」

「よし、では始めるかの!」

 

ついに刀馬と白夜叉の一騎打ちが始まる・・・と、絢以外の全員がそう思った。

 

「召喚・・・兵たちが夢の後・朧!」

 

刀馬が右手を前に出し叫んだ瞬間、彼を中心に茜色の光が直径二十メートル程の範囲で光り輝く。数瞬の内に光は収まっていき、次に全員が目にしたのは・・・刀馬を囲むように立つ五人の少女の姿だった。

 

「「「「「なぁ!?」」」」」

 

絢以外が驚愕に染まる。特に十六夜、黒ウサギ、そして白夜叉の驚きは異常だった。

なぜなら・・・召喚された少女たちが纏う闘気は尋常ではなく、一人一人が常識外れな強者であることを物語っていたからだ。

 

「関羽、甘寧、夏候惇、政宗、幸村・・・眼前の相手を倒せ!」

「「「「「御衣!」」」」」

 

少女たちは刀馬の指示に従い白夜叉へと駆け出す。

 

「さて、もう一つ!召喚・・・飛将軍、呂 奉先!」

「ご主人様・・・久しぶり」

「久しぶり。貴女の心を俺に貸してほしい」

「・・・わかった」

「汝が心、我が絆に応え、顕現せよ!天下無双神戟!!」

 

刀馬が呂布の胸元に手をかざし唱えると、そこから長さ三メートルにも及ぶ戟が出現する。それを見ていた十六夜たちは、もはや開いた口が塞がらないの状態で固まってしまっていた。

 

「おっし!行くぞ白夜叉ぁぁぁぁあああああああ!!!」

 

 

刀馬が武器を呼び出している一方、白夜叉は必死に少女たちの攻撃をしのぎ、隙あらば反撃していた。

 

(こ、こやつら・・・本物か!?関羽と夏候惇にいたっては神格までもっているではないか!!)

 

白夜叉は完全に後手に回ってしまっていた。いかに刀馬が強いといっても三割程度の力で良い勝負になるだろうと踏んでいたのだ。ところが開幕早々の召喚で度肝を抜かれてしまい、その隙をつかれて完全に包囲されてしまった。

しかも連携にも殆ど隙がないのである。

 

しかし流石は白夜叉と言うべきか、わずかな隙をついて無理やり包囲から抜け出すことに成功する。

 

「ありゃ、抜け出されちゃったか」

 

抜け出すのとほぼ同時に刀馬が馬鹿でかい戟を片手に近づいてきた。

 

「おんし、とんでもない奴じゃのう・・・ここまで焦ったのは数百年ぶりになる」

「そいつはどうも。そんじゃ、第二ラウンドといこうぜ!」

「望むところじゃ!」

 

そういうと、白夜叉は白く輝く槍をギフトカードから取り出し刀馬たちに飛び掛る。

そこからはまさに、武の応酬となった。

 

刀馬達が連携を駆使して白夜叉に襲い掛かれば、白夜叉は槍と体術、結界などを駆使してそれらを全て裁ききり反撃に移る。刀馬たちは反撃の一撃一撃をお互いにカバーしながら防いでいく。

 

お互いに中々攻撃が決まらないまま時間が過ぎていき、残り時間が一分を切った。

 

「チッ・・・このままじゃ勝てないな。・・・仕方ない、呂布!!!」

 

刀馬が名前を叫んだ瞬間、戦況が傾いた。

刀馬は本来呂布を除いた六人で勝つつもりだったのだが、念のためにと呂布をいつでも攻撃に移れるように待機させていたのだ。

 

「な!??」

 

白夜叉の表情が苦悶に歪む。

 

「悪いな白夜叉。勝たせてもらうぜ!!」

 

呂布の参戦により徐々に白夜叉へ攻撃が入り始める。・・・そして。

 

「そこまで!決闘終了なのですよ!!」

 

黒ウサギのゲーム終了の声が上がった。

 

白夜叉を含む八人はお互いに武器を構えたまましばらく無言で佇んでいた。

 

十六夜たちも声を出せずにその様子を見ていたが、十六夜が最初に沈黙を破った。

 

「・・・・・ふぅ。いや、なんつうか・・・凄かったな」

「え、ええ。私は・・・正直ほとんど見えなかったのだけれど凄かったのだけはわかるわ」

「私も・・・あんまり見えなかったけど、凄かった」

「うっひゃ~白夜叉さん、私が思ってたより三倍は強かったよ・・・正直やりすぎじゃないかと思ったけど。刀馬は私以上にあの人の力を正確にに読んでたみたいだね」

 

それぞれの感想を述べながら、刀馬達の元へ歩いて行く。

 

「刀馬よ。私をここまで追い詰めたのはおぬしが久しぶりじゃ・・・」

「いや、今回は殆ど引き分けだよ。俺は呂布を使うつもりはほとんどなかったんだ。けど、貴女は俺の予想より遥かに強かった。今回も接近戦としてはほぼ全力だったんだろうけど、実際には半分も力を出してないんでしょ?」

「ん・・・まぁ、そうじゃな。術や他のギフトを使えば、あるいは私が圧倒していたやもしれんが。私も今回は基本接近戦のみと決めておったでの」

「ハハ、なるほど」

 

(仏門に下り力を抑えられているとは言え、私と互角にやりあうとの・・・。しかも、恐らく召喚できる人数はもっとおるじゃろうし・・・。いやはや、本来の戦い方をすれば私の圧勝とわ言え、恐ろしい男だのう。・・・フフフ///)

 

白夜叉は思わぬ強敵との戦いに今だ興奮が冷めず、しかもその男が自分が好意を持った男だったため心が温かくなるのを感じていた。

 

「白夜叉、今度は俺ももっと強くなってもう一度挑むから。そんときは、貴女も今日以上に本気で来てくれよ?」

「ふふ、良いじゃろう・・・私も次は手加減せんからな?」

 

二人は互いを称えあい、握手を交わす。

 

「それでは、箱庭の中枢から届いた結果を発表するのですよ!刀馬さんが与えた回数、三十六回。白夜叉様が与えた回数二十九回。これはルール上問題なしということで、刀馬さんが召喚した方々が与えた回数と与えられた回数も含んでいます。よって、”白夜叉と神子の舞闘会”は刀馬さんの勝利です!」  

 

ここに、刀馬の初のギフトゲームが終了した・・・。

 

 




次回はゲーム終了後からになります。

初の長いオリジナル戦闘・・・いかがでしたでしょうか。

正直・・・刀馬君強すぎ???

いや、でも刀馬は最終的に今と強さはあんまり変わらない(どんどん新しい武将は出す予定)し、原作キャラも強化するつもりだからだいじょうぶだよね・・・。

それでは!またお会いしましょう♪
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。