問題児たちが異世界から来るそうですよ?~英雄を統べし神子~ 作:覡 殺梛
二話の誤字脱字など気づいた限り修正しました。
キャラ紹介の刀馬の欄に体術を追加しました。
感想、評価お待ちしております。
ではどうぞ♪
一部気づいた誤字を修正しました。ってか今回誤字多すぎた(ーー;)
申し訳ない
ゲーム終了後・・・。耀が心配そうに声をかけてきた。
「刀馬、大丈夫?」
「ん?ああ大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
「うん・・・えへへ///」
刀馬は優しく微笑み耀の頭をなでた。耀は頬を赤らめながらも嬉しそうに笑った。
「さて、私達のゲームをクリアしたおんしらには褒美を与えねばの。ちょいと贅沢な代物だが、復興の前祝いとしては丁度よかろう」
白夜叉がパンパンと拍手を打つ。すると五人の眼前に光り輝く五枚のカードが現れる。
カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。
コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム ”正体不明”
ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム ”威光”
パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトゲーム”生命の目録””ノーフォーマー”
ホワイトのカードに天城刀馬・ギフトネーム”英雄との絆””英雄の血””心剣”
パープルシャドウのカードに北郷絢・ギフトネーム”常山の昇り竜””龍牙””華蝶仮面”
それぞれの名とギフトが記されたカードを受け取る。
黒ウサギが驚いたような、興奮したような顔で五人のカードを覗き込んだ。
「ギフトカード!」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「暑中見舞い?」
「クリスマスプレゼント!」
上から十六夜、飛鳥、耀、刀馬、絢である。
「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息が合っているのです!?このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!耀さんの”生命の目録”だって収納可能で、それも好きなときに顕現できるのですよ!」
「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」
「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」
黒ウサギに叱られながら五人はそれぞれのカードをものめずらしそうに見つめる。
白夜叉からカードについての説明をうけながらカードを弄っていたが、”全知の一端”その言葉に十六夜が面白そうに反応する。
「へえ?ぁあ俺のはレアケースなわけだ?」
白夜叉はその言葉に十六夜のカードを覗き込み驚く。
そこには”正体不明”と刻まれていた。
「・・・・・・いや、そんな馬鹿な」
「どれどれ?・・・正体不明?これじゃどんなギフトかわからねえな」
「いやいやありえん、全知である”ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど」
「ん~、解析を無効化したとか?いや、けどそれであの身体能力は・・・」
「ハハ、何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」
白夜叉と刀馬はなぜ解析できなかったのか悩むが、皆が帰る話をし始めていることに気づき。二人で顔を見合わせるとお互い苦笑いになりゲーム盤を後にした。
「今日はありがとう。また遊んでくれると嬉しい」
「あら、駄目よ春日部さん。次に挑戦するときは対等の条件で挑むのだもの」
「ああ。吐いた唾を飲み込むなんて、格好つかねえからな。次は懇親の大舞台で挑むぜ」
「うんうん!私ももっと強くなって挑みに来るからまっててね♪」
「ふふ、よかろう。楽しみにしておけ。・・・・・・ところで」
白夜叉はスッと真剣な顔で黒ウサギたちを見る。
「今さらだが、一つだけ聞かせてくれ。おんしらは自分達のコミュニティがどういう状況にあるか、よく理解しているか?」
「ああ、名前とか旗の話か?それなら聞いたぜ」
「ならそれを取り戻すために、”魔王”と戦わねばならんことも?」
「聞いてるわよ」
「・・・・・・。では、おんしらは全てを承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな?」
黒ウサギはドキリとした顔で視線をそらす。そして同時に思う。もしコミュニティの現状を話さない不義理な真似をしていれば、自分はかけがえのない友人を失っていたかもしれない。
「そうよ。打倒魔王なんてカッコいいじゃない」
「”カッコいい”で済む話ではないのだがの・・・・・。まったく、若さゆえのものなのか。無謀というか、勇敢というか。まあ、魔王がどういうものかはコミュニティに帰ればわかるだろ。それでも魔王と戦うことを望むというなら止めんが・・・・・・・そこの娘二人。おんしらは確実に死ぬぞ」
予言をするように断言する。二人は言い返そうとするが、十六夜と刀馬がそれをさえぎった。
「今のままならってことだろ?」
「それなら、今後力をつけて行けば良いだけの話しだし」
「刀馬とあんたの戦いを見た後だと、正直俺や絢ももっと力をつけないといけない」
「だからそれまでは、新しいギフトを手に入れたり俺が修行つけたりして基礎戦闘力の向上を心がけるさ」
刀馬はともかく、十六夜がこんなことを言うのが意外だったのだろう。黒ウサギたちが驚いた顔をしていた。
「フフ、わかった。そこまでわかっているのならもう何も言うまい」
「・・・・・ご忠告ありがと。肝に銘じておくわ」
「頑張って・・・・・・強くなる」
「うむ、しっかり励むのだぞ。・・・ああ、そうじゃ刀馬はこの後少し残ってくれんかの?少し話と、聞いておきたいことがあるのじゃ」
「ん、わかった。黒ウサギ、そういうことだから先に帰っててくれ」
黒ウサギたちはサウザンドアイズを出て行く。耀だけは、少し寂しそうな表情を浮かべていた。
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刀馬と白夜叉はまた彼女の私室へと戻っていた。
「で、話ってなに?」
「うむ、その前に聞きたいのだが・・・。おんしは何人まで先ほどの召喚を使えるのかの?」
「ん?ああ、今のところは最大で二十人だな。召喚は俺の精神力で行っているんだけど、二十人以上召喚すると俺の精神が崩壊して暴走する可能性があるから無理はしないようにしてる。さらに言うと、召喚できる武将の霊格によっても増減するな。例えば英霊クラスならフルで召喚することができるかわりに一人一人の力は弱いから人海戦術向きだ。逆に神霊クラスばっか召喚すると最大でも五人が限界だけど、一人一人の強さは桁違いに高い。こっちは白夜叉みたいな強い奴と戦うのに向いてるね」
「なるほどの・・・。神霊クラスは全員が今日戦った関羽と同等とみて良いのかの?」
「そうだね。ただ、呂布と謙信だけは別格だよ。呂布は俺の世界では死なずに蜀陣営でさらなる功績を積んで武においては神に匹敵するほどの霊格を得た。謙信にいたっては、実際に毘沙門天の加護を身に纏える上に戦国最強クラスの腕前っていうチートな存在になってる」
白夜叉は軽く眩暈を起こした。呂布に関してはこの箱庭でも、裏切りの果てに早死にしなければ箱庭でも最低四桁にまで上がれる功績を残しただろうと言われていた。
謙信についても他の世界では実際に毘沙門天の加護を受けていたのではなく、そう見せることで圧倒的なカリスマを見せていたとされている。しかし刀馬の世界の謙信は実際にその加護を受け、活躍していたと言うのだからチートどころのはなしでは終わらない。
「一つ聞きたいのだが・・・。おんしの世界の戦国時代はどの勢力が統一したのかの?」
「聞かなくてもわかるだろ?上杉家だよしかも武田家と同盟まで組んでいたらしいよ。謙信は統一後は養子の娘に家督を譲って自分は軍師をしていた男と結婚して、城下で家族と暮らしながら民草のために活動していたらしい」
「ふむ・・・。話してくれてありがとうの」
「これくらいならお安い御用だよ」
白夜叉は刀馬の笑顔に頬を染める。今は二人きりなのだ長い時を過ごした白夜叉といえど、好いた相手と二人きりという状況は相当ドキドキするようだ。初心でもあるまいし・・・。
(仕方なかろう!?これでも私の初恋なのじゃぞ!?)
ちょ、あんたまでこっちに反応しないでくださいよ!?
(うるさいわ!人をババアのように言ったおぬしが悪いんじゃ!!)
わ、わわ!すみませんごめんなさーい!?
「白夜叉?どうした?」
「ひん!?い、いや!?なんでもないぞ?うん」
「そ、そうか?ならいいんだが」
白夜叉は内心の恥ずかしさを押し込め、次の話に移る。
「さ、さて。おんしの力を再確認した上で、話したいことがある。・・・まあ、黒ウサギたちのことなのだが」
「まあそうだろうとは思ってたよ。それで?」
「うむ。さきほど本人達にも言ったがあやつらはまだまだ未熟じゃ。飛鳥と耀もそうじゃが絢や十六夜もどこか危なっかしいところがあるでの・・・。黒ウサギの奴はな、あれで二度もコミュニティの崩壊を経験してるのだ。もしまた、同じようなことがあれば今度こそあの娘の心は壊れてしまうかもしれん」
「あの黒ウサギが・・・か」
「そうじゃ。だからこそ、おぬしに頼みたい。あやつらを守ってやって欲しい。私はもう、あの心優しき娘の絶望する姿を見たくはないのじゃ・・・!」
白夜叉は新参でしかない刀馬に向けて、頭を畳にこすり付けるようにして頼んだ。本来なら天地がひっくり返ってもありえない状況だが、白夜叉は頭を下げ続ける。
「白夜叉、頭をあげて。大丈夫、貴女のその願い確かに受け取ったよ。俺にどこまでできるかはわからないけど、可能な限りあいつらを守り、育てていくことを天城の誇りに誓って約束する」
白夜叉が顔を上げると、そこには十六夜たちとふざけていたときとは真逆の一人の男の真剣な顔があった。自分の目に狂いは無かったと胸を撫で下ろす。
「そうか・・・。ありがとう刀馬。恩に着るぞ」
「任せておけ」
「ふふ・・・。ああ、そうじゃもう一つ。おぬしは私との直接のゲームをクリアしたからの。個別に報酬を与えたい、なにか欲しいものはあるかの?」
「え?うーん・・・。あ、じゃあ耀みたいに飛べるようになるギフトとか駄目かな?」
「ふむ・・・。本来なら簡単に渡せるような安いギフトではないのだが・・・今回のゲーム内容と結果を見ればそれくらいならよかろう」
そういいながら、白夜叉は自分のギフトカードから少し大きめの緋色の宝石が装飾されたネックレスを取り出した。
「これは特別な浮遊石を加工した物に飛行のギフトを施したものでな、速度などは使用者の能力次第といったところかの」
そういってネックレスを刀馬に渡す。
「へえ・・・綺麗だな。ありがとう白夜叉」
「うむ・・・。ふむ、今日はもう遅いしこのまま泊まって行け。黒ウサギたちには私のほうから連絡してく」
「ん、もうそんな時間か。わかったお世話になるよ」
(・・・・よし!)
心の中でガッツポーズをする白夜叉。
「どうした白夜叉?」
「うぇ!?い、いやなんでもない。ところでおんしはいける口かの?」
そういいながら白夜叉は、右手を口元でクイッっとなにかを飲むような仕草をとる。
「ふふふ、これでも飲べえな英雄達にきたえられてるからな・・・酒の勝負といこうか!」
「ふはは!よかろう、早々に潰れてくれるなよ?」
こうして、白夜叉と刀馬の不毛なしかし負けられない戦いが始まった・・・。
世界が変わろうとも日は沈み夜が訪れ、朝になればまた昇る。
二人は夜遅く潰れるまで飲みまくるのであった・・・。
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チュンチュン・・・。
朝。目が覚めた白夜叉は気だるそうに体を起こし、周りを見回す。
(あれ・・・。昨日は・・・刀馬と飲み比べをして・・・・・・・どうなったのじゃったか)
寝起きだからか、または酒のせいか。頭が回らない白夜叉。
しばらく瞬きしながら、ようやく思考が追いついてきた。
「ふむ、どうやら気づかぬうちに寝てしまったようじゃの・・・」
ふと、白夜叉はあることに気づく。布団の中になにかいるのだ。
慌てて布団をまくる白夜叉。そこには・・・。
「ん、寒い・・・。ふぁぁ・・あ。ん~、あれ?おはよう白夜叉」
刀馬が寝ていた。隣で。白夜叉と同じ布団で。
顔を真赤にして慌てだす白夜叉。
「な、ななななんでおんしがここに!?」
「ん・・・。あ~昨夜飲んでる途中で酔っ払った白夜叉が俺に膝枕させてそのまま眠っちまってな。このままじゃ風邪引くと思って悪いとは思ったんだが勝手に布団を引いてそこに寝かせたんだ。んで、俺も客間に移動しようとしたんだが、白夜叉が俺の服の裾を掴んで離してくれなくてな・・・。起こすのもかわいそうだからそのまま畳の上で寝たんだが・・・無意識に寒くて潜り込んじゃったみたいだな。その・・・、すまない」
さすがに少女の布団に潜り込んでしまいまずかったと思ったのか頭を下げる刀馬。
「い、いや!私こそすまなかった。態々布団まで引かせてしまった上に客人を畳で寝かせてしまうとわ・・・」
「いや、それは気にしなくていいよ。白夜叉の可愛い寝顔も見れたし」
「~~~~~~~~!///」
羞恥心のあまり悶える白夜叉。そんな白夜叉を刀馬は優しく見つめていた。
白夜叉が落ち着き朝食食べた後、刀馬はサウザンドアイズを後にし本日ガルドとのゲームが行われる場所へと直接向かっていた。
現地につくと、他のメンバーが既に揃っていた。
「お、来たな刀馬!重役出勤とはいいご身分じゃねえか」
十六夜の声で他のメンバーも気づく。なぜか耀は刀馬を見た瞬間嬉しそうな笑顔になったと思ったらすぐにジト目に変わる。
「おっす。みんなもう来てたんだな・・・って、なんで耀は不機嫌そうになってるんだ?」
「・・・・・・・・・・・別に」
「あ、あはは」
飛鳥は苦笑いし十六夜はなぜかニヤニヤしている。
「?」
わけがわからない刀馬はとりあえず話を進めることにした。
「で?もうゲームは始まってるのか?」
「あ、YES!ですが、少々マズイことに・・・」
「どれどれ?」
刀馬は黒ウサギから渡された契約書類を見る。
『ギフトゲーム名 ”ハンティング”
・クリア条件 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐
・クリア方法 ホスト側が指定した武具でのみ討伐可能。指定武具以外は”契約”によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能。
・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・指定武具 ゲームテリトーリーにて配置
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、”ノーネーム”はギフトゲームに参加します。
”フォレス・ガロ”印』
「なるほどな・・・これじゃあ飛鳥のギフトも効くか怪しいな」
「はい・・・」
「まあ、ここであれこれ考えても仕方ないし、まずはその指定武具を探そう」
「そうね、それがなくてはどの道あの虎を倒すことはできないのだしそうしましょう」
「・・・うん」
刀馬、耀、飛鳥、ジンの四人はジャングルとなった舞台へと進んでいった。
~指定武具捜索中~
「ないわね・・・」
「・・・お腹すいた」
「お二人ともなんでそこまでのんきでいられるんですか・・・」
「ハハ、まあ下手に気負うよりはマシだろ。けど、ここまで探しても無いってことはもしかしたらガルド自身がその武具を守ってるのかもしれないな」
「ありえますね・・・。ガルドにとっては現状一番の脅威でしょうからその確率が高いかもしれません」
「よし、耀!ガルドの居場所は掴んでるか?」
「うん・・・本拠の二階・・・・・そこにいる」
木の上から探していた耀は猛禽類のような金の瞳で本拠の二階を見つめていた。
刀馬はそんな彼女の能力を使いどころを見極めれば極めて有能な能力だと思っていた。
後は本人の能力を向上させていけばきっと一角の将になるだろうと、刀馬は期待の眼差しをむける。
「よし、ならさっさと乗り込むぞ!」
「ええ!」
「わかりました!」
「わかった」
本拠内入り口広場。刀馬は後ろを振り返る。
「飛鳥とジンはここで退路を守っていてくれ。正直に言ってしまうけど、今回のゲームでは基礎戦闘力の低い二人は足手まといになってしまう」
刀馬の言葉に、二人は反論しようとするものの悔しそうな表情を浮かべ了承した。
「・・・・・・・わかったわ。でも、もし負けたりしたら承知しないわよ?」
「ハハ、了解。サクッとぶちのめして来るよ」
耀は、刀馬が自分を連れて行ってくれることを認められてると思い心の中で喜んでいた。好意を寄せている相手に認められたのである嬉しいに決まってる。
・・・・・だが、
「----・・・・・GEEEEEEYAAAAAAAAaaaaa!!!!」
言葉を失った怪物が、白銀の十字剣を背に守って立ち上がった。
刀馬はその姿を見た瞬間、違和感を感じた。
ここに来る途中でジンから鬼化について聞かされたが、ガルドの異様さはあきらかにそれ以上の力を身に纏っているように感じる。
考えている刀馬をターゲットにしたガルドは、二人の予想を遥かに超えるスピードで迫ってきた。
「っ!・・・・不味い。飛鳥!ジンを連れて逃げろ!!!」
「でも!!」
「いいから逃げろ!こいつ、鬼化以外にもなにかある!!」
「くっ!ジン君いくわよ!!」
「な、飛鳥さん!?」
飛鳥はジンの手を引き、外に向かって走っていく。
「さて、耀。俺があいつの注意をひきつけるから、その隙に剣を奪ってくれ」
「・・・わかった」
「いくぞ!」
刀馬はガルドが突進してくるのをかわし、反撃する。
「俺の力はギフトだけじゃないんだよ!・・・天城体術秘伝の一・飛燕連舞!!」
刀馬は自身の身体能力を生かしガルドめがけて跳躍し、高速の空中連続回し蹴りを叩き込んだ。
天城体術とは・・・刀馬が生まれ持った身体能力を生かし、自己流の技をいくつも開発、その練度を高め必殺の業へと昇華させたものである。業は全部で十個あり数が多くなるにつれてその威力も上がっていく。
さらに、奥義として上の十個の他に二つの業が存在している。
連続で十二回もの蹴りを浴びたガルドは悲鳴をあげながら刀馬の後ろに落ちる。
その隙に耀が十字剣の奪取に成功していた。
そのときだった・・・。
十字剣を手に入れ一瞬気を抜いた耀に対して、ガルドは呻いていたのが嘘のような速さで立ち上がり襲い掛かる。
「耀!!!」
「!!???」
耀は襲い掛かるガルドを視界に捉えた瞬間、恐怖で体が固まり目を瞑ってしまう。
(まにあえぇぇぇええええええええ!!!)
すぐにでも衝撃が襲って来ると思っていた耀は、いつまでたっても来ない衝撃を疑問に思い恐る恐るめを開けた。
「ハハ、なんとか・・・間に合ったか・・・・・・ゴプッ・・」
そこには、体をガルドの大きな牙に抉られ大量の血を流しながらも自分を背に両手を使いガルドの体を押さえつけている刀馬の姿があった。
「な・・・なんで」
「い・・・いから。早く、その剣で・・・コイツを斃せ!耀!!」
恐らく刀馬もギリギリ抑えているのだろう。あれだけ血を流しているのだ、意識を保っているのすらやっとなのかもしれない。
耀は手にある十字剣を強く握り、雄叫びを上げながらガルドにきりかかった。
「あああぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!!」
「---GEEEEEEEAAAAAAAaaaa----・・・・・・・」
十字剣の一撃をその身に受け、ガルドは灰となってこの世を去った・・・。
それを見て、刀馬は耀に微笑みかけ・・・崩れ落ちた。
SIDE 耀
「黒ウサギ!お願い、早く。早く来て!!」
「刀馬さん!?と、とにかく本拠で治療します!!手伝ってください!」
「刀馬!・・・とうまぁ!!!」
「落ち着いて春日部さん!いったいなにがあったの!?」
「耀ちゃん。ゆっくりでいいから、教えて?」
飛鳥と絢は耀を宥めながら少しずつ、中でなにがあったのかを聞いた。
十六夜はそれを、険しい顔で空を見上げながら聞いていた。
「そう、春日部さんを庇って・・・」
「わ、わたしがぁ・・・グスッ・・・私が、あそこで油断・・・しなければぁ・・・・」
耀は説明している間もずっと手で涙を拭いながら泣きじゃくっていた。
「そっか、刀馬はちゃんと耀ちゃんをまもれたんだね・・・。大丈夫だよ、刀馬はアレくらいで死ぬようなたまじゃない」
「でも・・・でもぉ」
そこで十六夜が声を上げた。
「いつまでも泣くな!あいつの事が心配なら、大事なら!今すぐ戻って黒ウサギの手伝いでもやれ!!看病やらなにやらできる事はいくらでもあるだろ!」
十六夜の言葉に、ようやく耀の鳴き声が収まってくる。
「・・・グスッ・・・・ヒック・・・・・・・わかった」
耀は風を操ると、急いで飛び立っていった。
残った十六夜たちももちろん心配ではあるのだが、自分達にはまだやるべきことが残っている。
心配する心を無理やり押さえ込み、最後の仕上げに取り掛かるのだった。
SIDE OUT
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SIDE ???
「はあ・・・せっかくこの私が力を与えたというのに。まああの程度の外道にしては良くやったと思うべきでしょうか・・・」
十六夜たちが旗を返却していく姿を上空から眺めながら導師服を着た男がつぶやく。
「さて、次はどんな手段で困らせてあげましょう。・・・フフフ。せいぜいあがいてくださいね、北郷一刀の末裔・・・天城刀馬、北郷絢さんーーーー・・・・」
それだけを言うと、導師服の男は音もなくその場から消え去った。
まるで最初から何も無かったかのように・・・・。
SIDE OUT
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ガルドとの戦いからしばらくたった頃、刀馬の自室。
「・・・ん・・・・・・ここは」
目を覚ますと、目に飛び込んできたのは自室の天井だった。
体を起こそうと力を入れると、
「イ!!!!!????????ツゥ~~~~~~!!!」
あまりの激痛にベットでのた打ち回りそうになる。
「はぁ・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・そうか、俺は耀を庇って」
「ん・・・んぅ・・・・・・」
その時、隣から声が聞こえた。首だけ動かし声がしたほうを向くと、そこには涙の後を頬に残したまま眠っている耀の姿があった。
近くには水桶とタオルが置いてある・・・。
「看病してくれてたのか・・・」
刀馬は泣きはらすまで心配してくれた耀に愛しさを覚え、痛む体を無理やり動かし耀の頭をなでた。
(守れて良かった・・・。心配させてごめんな)
「・・・ぅ・・・・ん」
しばらく撫でているとゆっくりと耀の目が開く。
「おはよう」
「・・・え?・・・・・刀馬!!」
ガバッと起き上がり、刀馬が目覚めたことに安堵する。
「よ、良かった・・・。私、ずっと・・・心・・配・・・で」
安心して気が緩んだのか、また涙があふれてくる。何度拭っても止まらず、そのまま泣き崩れてしまった。
刀馬はそんな耀の頭を片手で抱きかかえ、何度も頭を撫でる。
「ごめんな、心配かけて。俺はもう大丈夫だから、だからもう泣かなくていいんだよ」
「うん・・・うん!」
その後、耀の鳴き声に驚いた黒ウサギたちが飛んできて慌てるが、事情を話すと呆れたような顔をされたもののみんな安心した様子で耀を励ます。
耀は顔を真っ赤にして照れていたものの、嬉しそうにしていた。
「にしても、あれだけの傷だったのにたった数日で目を覚ますとはな」
「いや、俺も今回はマジで死んだと思ったよ。治療と看病してくれた黒ウサギと耀には感謝してる」
「それが、実は白夜叉様のおかげなのです」
「白夜叉の?」
「はい。ここにあるギフトだけでは刀馬さんの怪我を治すことができなくて、そこに突然白夜叉様が現れて傷を塞いでくれたんです。ただ、内臓の方までは完全には治療できなかったようで」
黒ウサギの説明を聞いて、白夜叉にはなにかお礼をしなくちゃいけないなと刀馬は心に刻むのだった。
~一週間後~
持ち前の回復力と、耀の献身的な看病のおかげでようやく動けるようになった刀馬は、改めて白夜叉にお礼をしようとサウザンドアイズの店に耀に肩を借りながら訪れていた。
「久しぶり、白夜叉」
「刀馬!!もう傷の具合はよいのか?」
「ああ、白夜叉とみんなのおかげで早く回復できた。ありがとう」
「そうか・・・そうか・・・本当に良かった」
刀馬と耀は驚いた。あの白夜叉が人前だというのに泣いているのだ。
「心配かけてごめんな」
「よいのじゃ・・・生きていてくれただけで私は感無量じゃ」
「ハハ、ありがとう。あ、そうだ耀あれを」
「うん・・・白夜叉、受け取って」
そういいながら耀は持ってきた箱を白夜叉に渡す。
「これは?」
「前に約束してたバームクーヘンだよ。リハビリがてら作ったやつだけど、よかったら食べてくれ」
「そうか・・・。うむ、後で食べさせてもらうとしよう」
そこからはいつものようにたわいのない話で盛り上がり、日が暮れる前にサウザンドアイズを後にした。
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まだ本調子ではない刀馬は、耀に心配させないために部屋で大人しくしていた。
動けるようになってからは、耀や飛鳥に基本的な戦い方などを教えたりもしていたのだが、長時間やっているとだんだん耀が心配そうな顔になってくるのではでに動けずにいたのである。
そんなある日の夜、刀馬はそとから聞こえる喧騒で目お覚ました。
「ったく・・・。誰だこんな時間に」
外に出て行くと十六夜と金髪の美しい少女と黒ウサギがなにやら騒いでいた。
話から、少女の名前はレティシアと言うらしい。
その名前に聞き覚えがあった刀馬は、すぐにジンが言っていた元メンバーのことだと思い出す。
その時、奥の方から強い光の束が向かってくるのが見えた。
十六夜たちは突然のことで硬直してしまっている。
(このっ!またかよ!?)
無意識に刀馬は走り出す。
「「な!?」」
なんとか黒ウサギを射線から突き飛ばし、レティシアを抱えて跳ぶ。
かわしきれなかったようで、左足が石になってしまい転倒してしまう。
とっさに空中で自分を下になるようにして落ち、レティシアに怪我が無いことを確認する。
「大丈夫か?」
「あ、ああ。すまない」
「よかった」
刀馬の笑顔に心臓が跳ねるレティシア。さらには落ちたときに彼に覆いかぶさる形になってしまい刀馬は無意識だったのだがかなり強めに抱きしめられていたため顔を真っ赤にして慌ててしまう。
「そ、そろそろ離してくれ」
「え?あ・・・ご、ごめん!」
「い、いや大丈夫だ。助けてくれてありがとう」
攻撃が来たほうを見上げると、十六夜が襲撃者たちを叩きのめしている最中だった。
まああの程度ならすぐ終わるだろうと結論し、黒ウサギに事情を聞く。
「なるほど、つまりレティシアを助け出すにはペルセウスと戦う必要があるわけだ」
「はい、ですが・・・」
「おわったぜ!」
十六夜はボッコボコにした襲撃者たちを一まとめの山にして近づいてきた。
傍らには耀もいる。しかもなぜか凄く怒っている。刀馬は冷や汗をかいた。
「刀馬・・・なにか言うことは?」
「い、いや!ああしなきゃレティシアが石に・・・」
「刀馬?」
「すみませんでした」
二人の姿に十六夜はケラケラと笑い、黒ウサギはほほえましく見ている。
「彼は私を助けるために飛び出してくれたのだ。あまり怒らないでやってくれ」
レティシアの救いの手によりようやくお説教が終わり胸を撫で下ろす。
「もう、せっかく怪我が治ったばかりなんだから無理はしないで・・・。心配だから」
「・・・はい」
尻にしかれ始めている刀馬だった。
その後、ペルセウスのリーダーであるルイオスと話をし一週間後にレティシアを取り戻すためのゲームを確約させた次の日。
耀とレティシアは白夜叉の元を訪れていた。
「よう来たの。なんじゃ、レティシアも来たのか?」
「ああ、耀の様子から私も来るべきだと判断してな」
「なぬ!?まさかおぬしまで刀馬のことを?」
「まだ・・・わからない。この気持ちが恋なのか、それとも一時の気の迷いなのかは判断できないのだが、もしこの気持ちが本物の恋なのだとすれば二人に遅れをとるわけにはいかないからな」
「そうか・・・。まあ今日はそのことについて話し合おうと思っての」
「話し合い?」
ここまでの会話を聞いてもわかるとおり、白夜叉は刀馬を廻る恋のライバルであろう耀を呼び出したのであった。
その事に気づいた耀は体をこわばらせる。
「そんなに硬くならんでもよい。今日はちと提案があっての。それを聞いてもらうために来てもらったのじゃ」
「提案?」
「うむ・・・。その名も!天城刀馬・ハーレム計画!!!」
ズドォォォォオオオオオン!!!
と後ろから色とりどりの煙を幻視するほどの勢いで宣言する白夜叉。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「ん?なんじゃ?二人して固まって」
いや、そりゃ固まるだろう。
「白夜叉・・・なにか変なものでも食べたのか?」
「頭・・・大丈夫?」
「ええい!そんな可愛そうなものを見る目をするでない!!私だって散々悩んだのだ。だが、昨日あることに気づいた!」
「あること?」
「うむ、なんでも刀馬の先祖である北郷と天城という男はな、妻を何十人と侍らせておったらしい」
「「な!?」」
「なんでもその妻たちは全員、その時代の有名な武将や軍師だったそうじゃ」
「つ、つまり、刀馬が召喚する武将たちは、そのまま刀馬の先祖でもある・・・てこと?」
「そういうことじゃ。さらに言えば、刀馬はそういった英雄達の血異常に北郷と天城の血を濃く受け継いでいるように思う。だとすれば、今後どれだけのフラグを立てまくるか考えたくも無いの」
「「な、なるほど」」
「そこでこのハーレム計画じゃ!私たち全員が一番を目指すのではなく、みな仲良く二番として刀馬に愛してもらう!おぬしらはどう考える?」
二人は悩んだ・・・。
確かに白夜叉の言っていることはわかる。
刀馬は見た目は綺麗なお姉さんって感じだけど、言動や行動は男らしくてカッコイイ。
そこにあの思わず見惚れてしまう笑顔を向けられれば、今後刀馬に惚れてしまう女性が増えると言うのはありえる・・・と言うか、たやすく想像できてしまう。
「私は、白夜叉の案に賛成してもいい・・・かな。正直、今の私では白夜叉に勝てる魅力がない。でも、私は、こないだ刀馬が大怪我しただけで泣き出して取り乱して・・・もう、刀馬がいない生活なんて考えられないから」
「おぬし・・・そこまであやつのことを」
普段、自分のことはほとんど話さない耀が胸のうちを語ってくれたことで、白夜叉も覚悟を決める。
「私もな・・・おぬしと同じじゃよ。刀馬の傷を治し、店に戻っても・・・刀馬のことが心配で全く仕事に手がつかんじょうたいでな。店員にはかなり迷惑をかけてしまった・・・。その時に気づいたんじゃ。私は本気で刀馬に恋してしまったのだと」
「そっか・・・私達、意外と似たもの同士なのかな」
「フフ、そうかもしれんの・・・。して、レティシアよ。おぬしはどうするのじゃ?」
レティシアいまだに悩んでいたが、顔を上げる。
「私は、やはり・・・まだ自分の気持ちが本物なのか自信が持てない。だが、もしこの気持ちが恋なのだと確信できたときには白夜叉殿の考えに賛同すると誓おう」
「そうか・・・ありがとう」
「ありがとう、レティシア」
「それでは、このことはいつ刀馬に話そうかの?」
「ん~今はみんなペルセウスのことでピリピリしてるから、ゲームが終わって・・・レティシアをちゃんと取り戻してからのほうが良いと思う」
「そうだったな。私はまだノーネームに戻れると決まったわけではないのだったな」
「レティシアよ。そこは心配せんでもいいぞ。あやつらがルイオスごときに負けるはずがないからの。」
三人はこれからの事や刀馬のこと、お互いのことなどの話に花を咲かせた。
そんな中、耀は今度こそ足手まといにならない・・・と決意を新たにするのだった。
今日もまた日が沈む・・・。
少女達は未来への期待に胸を躍らせて・・・。
新たな誓いを胸に秘め・・・。
微笑を浮かべながら眠りにつく・・・。
どうでしたでしょうか?
刀馬はあんまり強化しないと言ったが・・・今後の展開上飛行スキルは必須なので追加しました。
あと体術ですが、こちらは言ってしまうとネタバレになってしまうのでやめておきます。