問題児たちが異世界から来るそうですよ?~英雄を統べし神子~ 作:覡 殺梛
ちくしょおおおおおおお!
はい、お見苦しい姿をお見せしました。今回は結構長いです。前回の倍は書きましたw
感想&評価お待ちしています。
ではどうぞ!
十六夜と飛鳥が去ったあと。
「れ、レティシア様!?なぜあなたまで邪魔を!?」
「元々私は刀馬に説教するためにきただけだ。仲直りしたら刀馬と一緒に行動するにきまってるだろう?」
「な····ですがそれでは十六夜さんたちはコミュニティを!」
黒ウサギはこのままではコミュニティを脱退されてしまうと焦る。
「あ~その事なんだけどね···絢から聞いたけど冗談なんだってさ」
「じょう···だん?」
「うん、私と刀馬はその事を聞いてなかったから捕まえるのを手伝おうかと思ったんだけど···」
「さっきの二人がなんかいい雰囲気だったから逃がす事に決めた。だから黒ウサギも出来れば説教は後にしてあげて欲しい」
「はあ···分かりました。」
なんとか黒ウサギは怒りを納めてくれたようだ。と、そこへ白夜叉がやって来る。
「終わったようじゃの。ならそろそろ燿は大会の会場へ向かった方がよい。」
「あ、もうそんな時間?刀馬、行ってくるね」
「おう!頑張れよ!」
燿は手を振りながら会場へと飛んでいった。
「すまんが、お主たちは付いてきてくれんかの。内密に話しておきたいこともある。」
「わかった。案内よろしく白夜叉」
SIDE 十六夜 飛鳥
二人は今、小腹が空いたためクレープを買った所だった。
「これは···どうやって食べるのかしら」
「ん?あ~こうやって食べるんだよ」
そう言いながら十六夜は自分のクレープにかじりつく。
飛鳥はそれを見て一瞬戸惑うが、恐る恐るかじりついた。
「あ···美味しいわ」
「そりゃ良かった」
「十六夜君のはどんな味なの?」
「うん?食べてみるか?」
十六夜は自分のクレープを飛鳥の口許に持っていった。
それを見て飛鳥は焦る。
(え!?これってあれよね、俗にゆう「あーん」ってやつよね!?しかもこれじゃ間接ki
「食わないのか?」
「え!?えっと···い、いただくわ」
飛鳥はかなり照れていたが意を決して食べてみた。
「あ、これも美味しいわ···」
「そっか。飛鳥のもちょっと貰っていいか?」
「え···うぅ···ど、どうぞ」
「サンキュー♪」
(あ~もう!十六夜君は恥ずかしくないの!?)
「ん、これも美味いな。ありがとな飛鳥」
「い、良いのよ///って···あら?」
飛鳥は切子細工のグラスをキラキラとした瞳で眺めていた小人の女の子を見つける。
「十六夜くん、あれはなにかしら」
「あん?···小人?」
二人は物珍しそうにとんがり帽子の小人に近づく。
背後から二人の影が掛かったのか、小人は驚いて振り返る。
三人の視線は、自然に交差した。
「「「············、」」」
途端、「ひゃっ!」と愛らしい声を立てて逃げる小人。
二人は残り少なくなっていたクレープを一気に口へ放り込み、小人の背中を追った。
SIDE 燿
燿はギフトゲーム"造物主達の決闘"予選の決勝戦に挑んでいた。
『お嬢おおおおおおおお!! そこや! 今や! 後に回って蹴飛ばしたれええええ!!』
三毛猫がセコンドで叫ぶなか、燿は至って冷静に相手を観察していた。
燿はこれなでの予選での戦いで、刀馬に言われていたことを実戦していた。
『いいか?たとえ相手が格下だったとしても、適当に戦ってはいけない。格下との戦いでも得るものは必ずある。相手の動きを観察し、最低限の動きで攻撃をかわし、弱点を見つけて最大の一撃を叩き込む。これは格上との戦いのときに必ず役に立つ経験を積めるまたとないチャンスだと思うんだ。どんなに面倒でも、強くなりたかったらこれを実践すること···いいね』
(相手の動きを観察して···)
対戦相手の自動人形の巨人が大降りの一撃を繰り出す。
(紙一重でかわし···)
攻撃をかわされた自動人形は腕がリングに埋まってしまい動きが停止する。
(隙できたら、弱点を突く!!)
燿は一瞬で後ろへ回り込み、弱点と思われる背中のコアに全力の一撃を叩き込んだ。
「天城体術 秘伝ノ三!風神天昇!!」
グリフォンのギフトを持っていた燿はこの業を一番最初に覚えていた。今回はアッパーではなく上空からのうち下ろしだったが、重力加速による威力の増加も手伝い自動人形をコアもろとも粉々に打ち砕いた。
『お嬢おおおおおお! うおおおおおお! お嬢おおおおおお!』
三毛猫は燿の雄姿に雄叫びを上げていた。
燿は確実に強くなってることを実感して、粉々になった自動人形を見下ろし小さくガッツポーズをするのだった。
その後、主催者である白夜叉とサンドラから本戦のルール説明がされた。
燿は白夜叉の近くに刀馬が座っているのをみつけ、目が合ったのに気づいて手を振ると、刀馬も振り替えしてくれて喜ぶのだった。
~運営本陣営·謁見の間~
予選が終わり、刀馬・燿・レティシア・黒ウサギ・絢・ジンの六人は白夜叉とともに本陣営まで来ていた。
「さて、みな揃ったところで会議をはじめようかの」
白夜叉の近くには、先ほど本戦の説明をしていたサンドラと、腰に刀を下げた男・・・名をマンドラと言う・・・がいた。
「話と言うのも、昼の続きなのじゃがの。すまぬが、サンドラとマンドラ、それとノーネームの者以外は下がってもらえるか?」
サンドラは人がいなくなると、硬い表情を崩し、ジンの側に駆け寄り少女っぽく愛らしい笑顔を向けた。
「ジン、久しぶり!コミュニティが襲われたと聞いて随分と心配してたんだよ!」
「ありがとう。サンドラも元気そうでよかった」
「ふふ、当然。魔王に襲われたと聞いて、本当はすぐに会いに行きたかったんだ。けどお父様の急病や継承式のことでずっと会いに行けなくて」
「それは仕方ないよ。だけどあのサンドラがフロアマスターになっていたなんてーーー」
「その様に気安く呼ぶな、名無しのこぞーーーガッ!?」
マンドラがジンに切りかかろうと剣を抜こうとした瞬間、刀馬の手刀によって地面に叩きつけられる。
「おい、折角うちのリーダーが旧交を深めてるときに何しようとしやがった?」
「ぐ・・・貴様!!」
「サンドラはまだ若いんだ、そうやって色々押し付けてちゃいつか必ず・・・いや、すまんこれ以上は言い過ぎになるな。だが、もう少しサンドラ自信のことを考えてやれ。白夜叉、騒いですまなかった」
「まあ、今のは仕方ないじゃろ。マンドラも、このものたちは私が直々に招待したのじゃこれ以上の無礼は許さんぞ?」
「くっ・・・たかがノーネームごときに何ができると言うのだ!此度の噂も、東が北を妬んで仕組んだ事ではないのか?」
「マンドラ兄様!!いい加減にしてください!!」
「マンドラよ・・・次はないと言ったぞ?この際だから言っておくが、さっきお主を叩きのめした男は私の恋人じゃ。愛しいものを馬鹿にされて黙っているほど私は優しくないからの」
白夜叉にさっきを向けられて蒼白になるマンドラ。そこに刀馬が割って入る。
「白夜叉。それくらいで勘弁してあげて。今回は俺もやり過ぎだったと思うから・・・ね?」
「刀馬がそう言うのであれば・・・仕方ないの。では、話を戻そうか。まずはこの封書を読んで欲しい」
そう言って白夜叉は一枚の封書を渡した。そこには・・・・・・、
「刀馬さん・・・・・?何が書かれているんです?」
「・・・火竜誕生際にて、"魔王襲来"の兆しあり」
「・・・・・・なっ、」
これは・・・はは、十六夜が聞いてたら大喜びしそうだな。
「それで?俺たちはどう動けばいい?」
「うむ、正直相手の規模がわからんからの。魔王の相手は私がするとして、おぬしらにはその他の露払いをして貰いたい。」
露払いか・・・
「ねえ白夜叉、別に俺たちの誰かが魔王を倒してしまっても構わんのだろう?」
「刀馬・・・それは微妙にフラグになっておらんか?」
「あ、バレた?まあ、今回は白夜叉に任せるよ。魔王がどれ程かを知るいい機会だしね」
「うむ、頼んだぞ」
さーて、どうなることやら。十六夜は戦いたがるだろうなあ
SIDE 十六夜 飛鳥
刀馬達が魔王の襲来について話していたころ、十六夜たちは美術展の出展会場に来ていた。
二人は小人を捕獲したのち、三人で展覧会を見て回っていたのだ。
小人は飛鳥の手の上で少しビクビクしているように見える。
「別にとって食おう、と言うわけじゃないの。ただあなた方可愛らしかったからお友達になれないかと思っただけよ」
「··············、」
「ヤハハ、そう警戒すんなって極チビ」
小人は大の字で寝そべると、「ひゃ~」と疲れきった声を上げた。
飛鳥は麓の売店で買ったクッキーを割って、小人の少女に分け与えた。
「はいコレ。友達の証よ」
「ーーーーー!?」
ガバッ!!と甘い臭いに釣られて起き上がる小人。
焼きたてのクッキーはアーモンドの香ばしい薫りとキャラメルの焼けた薫りが混じりあい、おいかけっこで疲労した小人の食欲を刺激した。自分の背丈ほどのクッキーをシャリシャリとかじった小人の少女は「キャッキャッ♪」と愛らしい声を上げて飛鳥の頭の上まで登る。
十六夜と飛鳥はその様子を見て「ヤハハ」「ふふ」と微笑みあった。
「それじゃ、仲良くなったところで自己紹介しましょうか。私は久遠飛鳥よ。言える?」
「··········あすかー?」
「ちょっと伸ばしすぎね。締まりが無くてだらしないわ。もう少し最後をメリハリつけて」
「··········あすかっ?」
「もう少しよ、頑張って。最後を綺麗に区切って発音するの」
幼い口調の小人の少女は二度三度と頭を横に振り、小首を傾げて名前を呼んだ。
「··········あすか?」
「そう。その発音で元気よく、疑問形抜きで」
「··········あすか!」
「ふふ、ありがとう」
「次は俺だな。俺は十六夜だ、言えるか?」
「·········いざよい!」
「ハハ。今度は一発だったな。流石は飛鳥だ」
飛鳥はちょっと頬を赤らめながら小人の頭を撫でた。
「ふふ、ありがとう。それじゃあ貴女の名前を教えて貰えるかしら?」
「らってんふぇんがー!」
「········? ラッテン·········?」
「それはコミュニティの名前じゃねえか?」
「?」
どうやらこの少女には名前がないらしい。
どうしたものかと二人で頭を悩ませたが結局は、
「まあ今は良いだろ。ほら、二人ともあそこの展示品に人が集まってるから行ってみようぜ!」
「フフ、そうね。行ってみましょうか」
「いくー!」
三人は大きな空洞に出て、驚いた。
「あれは·········!」
「へえ·····」
そこにあったのは、あまりにも巨大な···。
「紅い········紅い鋼の巨人?」
「おっき!」
「ハハハ!カッコいいなこれ!」
十六夜はどこのコミュニティ造ったのか気になり、看板を見る。するとそこには『制作·ラッテンフェンガー 作名·ディーン』と記されていた。
「おいおい飛鳥!これ作ったの極チビのコミュニティみたいだぞ」
「ホントに!?」
飛鳥も看板を見て驚く。小人の少女は「えっへん!」と胸を張った。どうやら間違いないようだ。
「そう·········凄いのね、"ラッテンフェンガー"のコミュニティは」
小人の少女は誉められて嬉しかったのか、「らってんふぇんがー!」と叫び続けた。
二人はその様子に苦笑いを浮かべながら、他の展示品を回ろうと足を進める。
ーーー異変は直後に起きた。
「·······きゃ·······!?」
「おっと!」
転びそうになった飛鳥を咄嗟に支えて抱き寄せる。
飛鳥は顔を真っ赤にしてしまう。
そんな飛鳥を見て"可愛いなぁ"と思ってしまい十六夜も顔を赤くする。
ヒュゥ、と。大空洞に一陣の風が吹く。
それにより辺りを照らしていた灯火が一斉に消えてしまい、薄暗くなってしまった。
回りの客たちも突然のことに混乱してしまっていた。
十六夜は急いで燭台を探し、備えられていたマッチで火を点ける。
『ミツケタ·······ヨウヤクミツケタ·········!』
十六夜たちは反響する声の主を特定しようと背中合わせに見渡す。
しかし、声が反響して見つけることができない。仕方なく、飛鳥は力を込めて叫んだ。
「この卑怯者!『姿を隠さずに出てきなさい』!」
飛鳥の支配力のある声が反響する。しかし犯人からの反応はない。
代わりに五感を刺激する笛の音色と、怪異的な声が響き渡った。
『ーーー嗚呼、見ツケタ·········!"ラッテンフェンガー"ノ名ヲ騙ル不届者!!』
声が響き渡ると、洞穴の細部から何千何万匹の紅い瞳の、大量の鼠の群れが襲いかかってきた。
途端、周囲は混乱に陥り右往左往しながら逃げ惑う。
まずいと感じた十六夜。
「飛鳥!俺があれを押し止めるから、お前の力で他の客達を避難させろ!」
「わ、わかったわ!」
飛鳥はパニック状態になっている客たちに向かって"威光"を行使する。
それによってまさに軍隊のような統率で洞穴を爆走する一団。
それを見てホッとした瞬間、腕に痛みが走った。
「痛っ!·······こ、この!」
「飛鳥!?」
十六夜は慌てて飛鳥を抱き上げて走り出す。
飛鳥は突然お姫様抱っこで抱き上げられたことに驚き十六夜に抗議しようと顔を上げたが、十六夜の必死な表情にドキッとしてしまい頬を染めて俯いた。
十六夜は自分の体で飛鳥を守りながら走っていたのだが、ネズミはいたるところから湧いてきて少しずつ飛鳥にも傷が増えてきて閉まっていた。
内心で舌打ちしながらも、ようやく外へと脱出した十六夜は飛鳥を下ろした。
「すまん、飛鳥」
なぜ謝られたのか分からない飛鳥は、十六夜に向き直り驚いた。
あの十六夜が、泣きそうな顔で自分を見つめていたのである。
「ど、どうして謝るの?」
「守ってやれなかった·····」
十六夜は飛鳥の頬についた小さな傷に手を添えて言った。
飛鳥は突然頬を触られたことに照れながらも、自分を必死にかばってくれていたのだと、十六夜に付いた無数の傷を見て嬉しく思うと同時に、悲しくもなった。
「謝ることはないわ。私は嬉しいわ、十六夜君が必死にかばってくれたのが分かって。だから、そんな泣きそうな顔をしないで?」
そう言いながら、十六夜の手をとり胸元へ抱き寄せる。
突然の行動に驚き顔を真っ赤にさせながらも、飛鳥の言葉に少し感動してしまい空いてる方の手で飛鳥の頭を抱き寄せた。
「い、十六夜くん!?」
「ごめん···少しだけ···このままでいさせてくれ」
飛鳥は恥ずかしさの余り変な声が出るが、十六夜の手が優しくて、暖かくて、自然と力が抜けていき、そのまま体を預けるのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーー境界壁の展望台·サウザンドアイズ旧支店。
「お風呂へ駆け足!!今すぐです!」
白夜叉たちに展覧会場での一見を報告した十六夜は、飛鳥を探そうと廊下に出た瞬間に割烹着姿のいつもの女性店員に風呂場へ連行された。
「脱いだ服はこの篭に入れておいてください!洗濯します!」
「わ、わかった」
十六夜は店員が出ると服を脱ぎ捨て腰にタオルを巻いて勢いよく温泉へと繋がる扉を開けた。
すると···
「い、十六夜君!?」
「な、あ、飛鳥!?」
飛鳥が先に温泉に入っていた。
慌ててタオルで身を隠すと、顔を真っ赤にしながら聞いてきた。
「な、なんで十六夜君がここに!?」
「し、知るかよ!俺はあの店員に無理やり!!」
二人はそれだけ言うとしばらく固まってしまう。ーーー先に沈黙を破ったのは飛鳥だった。
」
「ーーーふぅ···とにかく、入って良いわよ。そのままでは風邪をひいてしまうわ」
「い、いや!いい、今すぐ出るから!」
「いいから!その、なんとなく、今は一緒にいたいのよ///」
背中を向き、こちらを伺うようにしながら言う。その顔は真っ赤になっていたが、怒っているわけではなく、恥ずかしがっているだけのようだった。
「わ、わかった」
二人は背中合わせに温泉につかった。
ふと、飛鳥が話し出す。
「私···ここに来てから守られてばかりね」
「急にどうしたんだ?」
「ここに来てから、私はまだなにも出来ていないの。ガルドのときも、ルイオスと戦った時も、そして今日も···私は守られてばかり·······」
確かに、と十六夜は思った。
ガルドの時は刀馬に、ルイオスと今日は、俺が助けていた。
俺は蛇神倒して水樹手に入れたし、刀馬は白夜叉に勝ちアルゴールを倒し、更には俺たちに稽古も付けてくれてる。春日部はガルドの討伐にルイオスの打倒し刀馬と共にレティシアの奪還に貢献した。
これだけを見ると、飛鳥はなにも功績を上げていないからさっきのように言ってしまうのも仕方がないのだろう。
「確かに、今のところは何も功績を残せてないな···でもさ、飛鳥だってここに来たときよりもずっと強くなってる。だから焦らなくてもいいんじゃないか?···それに」
「·····それに?」
「あ、いや·····」
十六夜は少しだけ悩んだ後、言葉を発した。
「·······その、好きかもしれない女の子を守れるのは、嬉しいからさ」
「············え?」
「今は·····まだこの気持ちが、本当に恋なのかは分からない。でも、多分···俺は、飛鳥のことが好きなんだと思う」
飛鳥は突然の告白に完全にパニックになってしまっていた。
(好き?十六夜君がわたしを?ど、どうしよう!嬉しいけど···だって私だって、私だって十六夜君のことが好きだしそれに!ああ、もう!女は度胸よ!!せっかく十六夜君が好きだっていってくれたんだもの!ここで答えなくてどうするの!?)
「あ、あの、十六夜君!」
「な、なんだ?」
「わ、私も···!私も、十六夜君の事が好き。最初は、野蛮で狂暴そうで変態な所があって印象最悪だったけど」
「グッ!や、やっぱ印象悪かったよな····」
十六夜は好きだと言われた事よりも自分の印象が最悪だったことのほうに頭が行ってしまう。
「でも、今はそうじゃない···。私が落ち込んでる時に励ましてくれたり、なんだかんだ言いながらもコミュニティために頑張ってたり、その為に自分のプライドを曲げてでも刀馬に鍛えてもらったり···私は、そんな貴方のことを見て、優しくて努力のできる素敵な人なんだって思えたの」
「飛鳥···」
「私、久遠飛鳥は···そんな貴方の事が好きです。十六夜君」
飛鳥の真摯な告白に、十六夜は一度目を瞑り。
「飛鳥···。俺は、まだこの気持ちが恋なのか確信できないでいる。だけど、お前のが好きだって気持ちは間違いじゃない。これから先、もっと好きになれると思う。だから···こんな甲斐性なしな俺だけど、恋人になってほしい」
「十六夜君···。ええ、ええ!これから恋人としてお願いね!十六夜!!」
飛鳥はあまりの嬉しさに、今自分がどんな格好なのかも忘れて十六夜に抱きついた。
「あ、飛鳥は!?これは不味いって!見えてる!見えてるから!!」
「え?あ、きゃあ!?」
二人は慌てて離れるも、またどちらからともなく近より寄り添うのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
二人が温泉から出てくると、そこには刀馬たちが勢揃いしていた。
「あれ?なんで二人一緒に···ああ、なるほどぉ」
出てきた二人を見て刀馬や白夜叉といったメンバーがニヤニヤしだす。
「ん、まあ···あれだ。お幸せに?」
「コノヤロウ···まあ、ありがとな。気づいてるとは思うが、飛鳥と付き合うことになった」
十六夜の言葉に飛鳥は顔を真っ赤にして頷き、その様子に皆が喜び祝福した。
その後、落ち着いた一同は来賓室に場所を移動し、白夜叉の進行のもと会議が行われる。
「それでは皆のものよ。今から第一回、黒ウサギの審判衣装をエロ可愛くする会議を」
「始めません!」
「··········。」
「なんじゃ?反応が薄いの」
「飛鳥と恋人になったからな。もう飛鳥以外には反応しないことにしたんだよ」
「なんじゃ、つまらんのう」
寂しそうに肩を落とす。
それを見て刀馬が先を促す。
「白夜叉も俺と恋仲なんだからそういうのは卒業したらどうだ?後、早く話を進めて」
「そ、そう怖い顔をするな!わかった
実はの、明日から始まる本戦の審判を黒ウサギに依頼したいのだ」
「あやや、それはまた唐突で御座いますね。何か理由でも?」
「うむ、おんしらがおいかけっこしているときに黒ウサギの走り回る姿を目撃した連中が"月の兎"が来ていると騒ぎはじめてしまっての。さらに予選の決勝で私の側にいたことで明日のギフトゲームで見られるのではないかと期待が高まっているらしい。"箱庭の貴族"が来臨したとの噂が広がってしまえば、出さぬわけには行くまい。黒ウサギには正式に審判·進行を依頼させて欲しい。別途の金銭も用意しよう」
なるほど、と納得する一同。
「分かりました。明日のゲームの審判·進行は黒ウサギが承ります」
「うむ、感謝するぞ。······では次じゃ。明日のゲームについてじゃが····」
その後は本戦の参加コミュニティやルール、十六夜の言葉から予言された魔王について話し合うことになった。
最終的に、白夜叉の主催者権限によるルールで魔王が祭典中に襲ってくる可能性は低いが油断は禁物ということで話は纏まり、本戦では燿の補佐に刀馬が参加することに決定した。
「よろしくな。明日は勝とう」
「うん、刀馬と一緒ならなにも怖くないよ」
「だが、油断はするなよ。ウィル·オ·ウィスプは北側の下層では上位の実力を持つコミュニティだ。それに魔王のこともある」
「大丈夫だよレティシア。ゲーム前に予め上位の英雄達を召喚して守りに付かせる。例え魔王が奇襲してきてもすぐに動けるようにするからさ。ゲームの方は、まあルール次第にはなるけど全力で行くさ」
「レティシア、私も油断せずに全力で行く。だから応援してて?」
「フフ、そうか。ならば二人が怪我なく帰ってこれるようにだけ祈っておこう」
三人はキスを交わし、明日に備えて眠りにつくのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
SIDE ???
「フフフ·····全く、あなたちは変わりませんねえ。いつもいつも自分の好きなように生きている。自分が"外史の作られた存在でしかないと知ったら···。フフフ、絶望に歪む顔が早く見たいところですが、私もまだ準備が整っていないので今回は彼らに手を貸すだけに留めておきましょう」
そう言った導師服の男の側には巨大な影が佇んでいた。
「さあ、今回も踊っていただきましょう!私の手のひらの上で!」
導師服の男と巨大な影は、闇に溶けるように消えていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本戦当日ーーー。
割れるような歓声のなか、ノーネームの一同は運営側の特別席に腰かけていた。一般の席が空いていないということで、舞台を上から見ることのできる本陣営のバルコニーに席を用意してくれるよう、サンドラが取り計らってくれたのだ。十六夜たちは嬉々とした面持ちで本戦の開幕を待ちわびていた。
「早くはじまんねえかなあ。刀馬と春日部が無双出来るようなルールだと面白いことになりそうなんだけどな!」
「昨日のような決闘なら確かに無双できしうよね」
「あはは!そんなことになったら闘技場が破壊されちゃうよ♪」
三人の言葉にサラマンドラのメンバーは首を傾げる。あの闘技場はギフトによって強度を上げているため生半可な力では傷ひとつつけることは出来ないのだ。マンドラとサンドラだけは、昨日の一件で刀馬の力を見ていたので若干顔をひきつらせる。
そんな話をしていると、黒ウサギが舞台の中央にたち、開会の宣言を始める。
『長らくお待たせしました!火竜誕生祭のメインゲーム·"造物主達の決闘"の本戦を始めたいと思います!司会進行及び審判は"サウザンドアイズ"の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお務めさせていただきます♪』
黒ウサギが満面の笑みを振り撒くと、歓声以上の奇声が舞台を揺らした。
「うおおおおおおおおおお月の兎が本当にきたあああああああああああああああああ!!」
「黒ウサギいいいいいいいいいい!お前に会うために此処まできたぞおおおおおおお!!」
「今日こそスカートの中を見てみせるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「黒ウサギいいいいいいいいいいい!結婚してくれええええええええええええええええ!!」
割れんばかりの熱い情熱を迸らせる観客。
黒ウサギは笑顔を店ながらもへにょり、とウサ耳をたれさせて怯んだ。
何か言い表せない身の危険でも感じたのだろう。
「·······················。随分と人気者なのね」
「一昨日までの俺ならあいつらの気持ちも分からなくはないと思うと微妙に複雑な気分だな」
「あら、じゃあ今は違うのかしら?」
「俺にはもう飛鳥がいるからな。他の女なんて目に入らないぜ!」
「十六夜君///」
イチャイチャしだす問題児二人。
サンドラはその様子を見て頬を赤らめる。
マンドラはそんな妹の目をそっと手で塞いでいた。
刀馬と燿、そしてレティシアは、観客席からは見えない舞台袖でこちらもまたイチャイチャしていた。
「刀馬~。ンフフ~///」
「こら燿!そんなにくっつくな!私がくっつく場所が無くなるだろう!!」
「二人とも、くっつくのは良いけど仲良くね」
燿とレティシアは揃って刀馬の腕に自分の腕を絡ませて抱きついていた。
回りの参加者やスタッフたちは、三人の発する桃色オーラに胸焼けしたように胸を押さえている。
はたからみたらバカップル全開な光景だが三人は全く気づいていない。
舞台の真ん中では黒ウサギがクルリと回り、入場口から迎え入れるように両手を広げた。
『それでは第一回戦!の出場者に入場していただきましょう"ナイト·オブ·ブラッド"所属、ヒースクリフさんと、"月夜の黒猫団"所属、ケンタさんです!』
第一試合はそこそこ白熱した。お互いに自作の武具を使い戦っている。ケンタは素早いモーションからの連撃を次々と放ち、ヒースクリフはそれを左手の盾で完全にガードしていくという激戦だったが、ケンタが疲労により見せた隙をヒースクリフがついて転んだところ。首もとに剣をつきつけることで勝敗は決した。
会場が盛り上がる中、刀馬は勝負の考察をしていた。
「あのヒースクリフって男強いな···。正確無比に盾でガードして隙をつく。派手さはないけど、余程自分の力に自信がないと出来ない戦い方だ。」
「うん、それにギフトも使ってない。ケンタって人のほうは剣に宿ったギフトを使ってたみたいだけど」
「いや、あの盾にはギフトが宿っていると見て良いだろう。出なければ相手のギフトによる攻撃で壊されていた筈だ」
「確かにな···っと、次は俺たちの番だな。行こうか」
「二人ともしっかりな」
「うん、頑張る」
刀馬と燿は黒ウサギの進行に従い舞台へと上がって行く。客席を見回すと、主賓席の所に仲間たちの姿が見えたので手を振った。
その瞬間ーーー燿の元へ高速で駆ける火の玉が迫ってきた。
「YAッFUFUFUUUUUUUuuuuuu!!」
「わっ········!」
「おっと!」
突然のことに倒れそうになる燿を咄嗟に抱き上げる刀馬。
二人は抱き合う形になり顔を赤らめる。
「だ、大丈夫か?」
「う、うん。ありがと刀馬///」
「あっはははははは!見て見て見たあ、ジャック?あいつらって!なにイチャついてんだゴラァ!!」
「YAッFUFUFUUUUUUUuuuuuu!?」
観客席からも、「リア充爆発しろ!」などのヤジが飛んでくる。
そんな周りの様子に嫌らしい笑みを浮かべると、燿の唇にキスをする刀馬。
ヤジが大きくなり、対戦相手のアーシャは顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。
主賓席では白夜叉達が爆笑しながら見ていた。マンドラはまたもサンドラの目を手で塞いでいたが。
「カッカッカ!刀馬めやりおる!完全に相手のペースを乱したの」
「ああ、流石の俺でもいまはまだこんな大観衆のなかであんなことできないぜ!」
「あははははは!見せつけちゃってもう!妬ましいわね!!」
絢の言葉に「え?」と反応する十六夜たち。絢はそれには気づかずに大笑いしているが目だけが光を失っている。
絢のやつもしかして刀馬のこと···
うむ、本人は自覚しとらんようだが恐らくは···
やけに最近大人しいと思ってたがそれが原因か?
これは、一度話して見た方がよいかもしれんのう···
目と目で会話をする十六夜と白夜叉。基本的に似た者同士な二人にとってはこれくらいは朝飯前だった。その横では···。
「ジャック!ほらジャックよ十六夜君!本物のジャック・オー・ランタンだわ!」
飛鳥が十六夜に抱きつきながら物凄くはしゃいでいた。
「はいはい分かってるから。落ち着けって飛鳥」
素っ気なく言いながらもはしゃぐ姿にトキメいている十六夜だった。
眼下では、ようやく落ち着いたのかアーシャは怒りをあらわにして食いかかっていた。
「このっ···"ノーネーム"のくせに私たち"ウィル・オウィスプを馬鹿にしやがって!おい!いつまでイチャイチャしてやがる!」
『せ、正位置に戻りなさいアーシャ=イグニファトゥス!あとコール前の挑発行為は控えるように!それとお二人も、子供だって見ているんですからそろそろ離れて下さい!』
「くっ!この···覚えてろよ!」
「「残念·····」」
黒ウサギの言葉に悔しそうに戻っていくアーシャと、本当に残念そうに離れる刀馬と燿。けど手は繋いだままである···はお互いに正位置に付くと、開始の合図を待った。
「ーーーそれでは第二回選を開始したいと思います!白夜叉様、お願い致します」
途端、さっきまで騒いでいた観衆が一斉に静かになった。
「うむ。それではゲームの舞台を用意しようかの!」
白夜叉はそう言うと、柏手を2つ打った。ーーー瞬間、舞台上の様子が激変する。
さっきまで立っていた舞台場は消え、新しく竹が無数に生い茂る場所へと変貌した。回りは竹だらけでかなり視界が悪い。
場所の確認をしていると、空から"契約書類"が降ってきた。
『ギフトゲーム名 竹林に住む蓬莱人"
勝利条件 一、先に二人いる蓬莱人の内片方を倒す。
二、対戦プレイヤーのギフト破壊
三、対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなかった場合(降伏含む)
敗北条件 一、対戦プレイヤーが勝利条件を一つ満たした場合。
二、上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
備考 本物の蓬莱人は不死者だが今回の相手はそれを模倣した傀儡人形のため不死の属性は持たない。
』
「ーーー"審判権限"の名に於いて。以上が両者不可侵であること
御旗の元に契ります。皆様、どうか誇りある戦いを。此処に、ゲームの開始を宣言します」
黒ウサギの宣誓が終わる。それが開始のコールだった。
同時に、2つの場所で爆音が響いた。
悪い視界のなか音がした方を伺うと、銀髪で炎の翼を背に持つ少女と、黒髪で着物ににた衣装を纏った少女が竹林をなぎ倒しながら飛んでくるのが見えた。
それにいち早く気づいた刀馬と燿は銀髪の少女へと攻撃を開始する。
アーシャの方はあまりの事態に固まってしまい、ジャックが対応している状態だ。
「燿!恐らくジャックは不死だから壊せない!あいつらより先にこいつを倒すぞ!」
「わかっった!」
二人は少女へと接近すると、挟み込むように立ち回り攻撃を仕掛けて行く。
少女は炎の翼で縦横無尽に飛び回り炎の弾幕を放って来るが、二人はそれを最小限の動きで避わして行き、着実に攻撃を入れていく。
しかしーーー刀馬はある違和感を覚えていた。
攻撃が効いていない?ーーーいや、表情から察するにダメージは通ってる。けど傷がーーー
その時、刀馬はある光景を見た···。燿が風の刃で付けた傷が、みるみる塞がっていったのだ。
「おいおい!不死じゃないんじゃなかったのかよ!?」
「これじゃ、いくら攻撃しても倒せない」
二人の叫びを他所に、銀髪の少女は全身を火の鳥の姿えと変えて迫って来た。
一方アーシャたちはと言うと。此方も高い治癒性に苦戦していた。
ジャックの炎でどれだけ燃やそうとも一向に燃え尽きる気配がない。処か、燃えながらも弾幕を放ち接近選すら強いというチートぶりである。
ヒースクリフたちの試合がお遊びにしか見えない大激戦となっていた。
アーシャは最早付いていけず涙めになりながらジャックのカボチャ頭にしがみついている有り様である。
主賓席側ーーー
白夜叉は頭を掻いていた。
「ちと···やりすぎたかの?」
「やりすぎどころじゃねえだろあれ。観客達も静まり返ってるじゃねえか」
「あははは!でもさっすが刀馬と燿ちゃんだね!少なくとも確実に押してはいるし、あの治癒性をどうにかすれば倒せるんじゃないかな?」
そんな風に話している傍らで、サンドラとマンドラは冷や汗をかいていた。
マンドラは目の前で起こっている戦いを見て、自分が喧嘩を売ってしまった相手の実力をあまりにも下に見ていたことに。あのとき刀馬が思い止まってくれてなければ自分は今頃どうなっていたかを想像し、顔を蒼白に変えていた。
サンドラは自分の兄がもしかしたらボコボコにされていたかもしれないと想像し、涙目になってしまっている。
舞台中央にいるくも、全く予想していなかった展開に実況することすら忘れて呆然としてしまっていた。
SIDE 刀馬 燿
いまだに治癒性を突破できないまま、二人は無駄に体力を消耗させてしまっていた。
「あ~もう!せめて回数制限があれば攻略もできるのに!」
「刀馬!もしかしたらなんだけど···」
「なにか分かったの?」
「多分、回復に回数制限はないと思う。だから、このゲームの攻略方はまず相手のギフトを破壊するか、もしくは。ルール上倒せるって明言されてるんだから、回復が追い付かないほどの手数か威力で圧倒するしかないと思う!」
刀馬は考えた。燿の推理が正しければ、恐らくこちらもダメージ覚悟で特攻するしかない。
けれど燿には怪我をしてほしくないとも思っている。
そこまで考えた所で、燿からさらに声がかかった。
「刀馬。私を信じて欲しい。刀馬のお陰で私は強くなった···強くなれた。だから、刀馬に見て欲しいの。私が刀馬の側で戦えるくらい強くなったんだってところを!」
「···ったく!こっちはとっくに認めてるって言うのに。わかった···十秒後に仕掛けるぞ!」
「···うん!」
二人はタイミングを計りながら銀髪の少女へと接近していきながら、最大の一撃を放つ為に準備する。闘気を練り上げ、力に変えていく。
弾幕が終わり、一瞬の隙が生まれた瞬間、二人は爆音と共に飛びかかり最大まで高めた一撃を叩き込んだ。
「奥義!百花繚乱ぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
「秘伝ノ七!雷神の槌ぃぃぃぃぃぃ!!!」
刀馬は両足に獅子のような闘気を纏わせて無数の蹴りを放つ。その数、"百"常人では目に写すことすら出来ないほどの神速の乱舞が銀髪の少女の体を次々に破壊していく。
燿は現時点で自分が使える最大の業、雷神の槌を放つ。右腕に闘気を最大まで集め、それを雷の属性へ変換。刀馬の乱舞が終わり、距離を取った瞬間を見計らい、上空からその一撃を降り下ろす。
右腕から放たれた一撃は、光の柱に似た雷撃となって銀髪の少女を飲み込んでいった。
観客たちは先程とは違った静寂に包まれていた。
たかがノーネームだ、どうせすぐにやられるだろうと思っていたにも関わらず、その二人は見事な連携を見せた。
自分達では到底敵わないだろう敵を相手に互角以上に戦っているのだ。観客たちは皆、なぜあれほどのプレイヤーがノーネームなんかに甘んじているのか疑問を抱かずには要られなかったのである。
遂には、視界を覆うほどの雷撃が放たれ、辺りは爆音と煙によって覆いつくされた。
主賓席側ーーー
「どうなったのかしら···」
「恐らく倒したであろうな。いや、燿のやつ随分強くなったのう。一ヶ月前とはまるで別人じゃ」
「俺も驚いたぜ···。あいついつの間に七目の秘伝を使えるようになってたんだ?」
「燿ちゃんは元々、天城体術との相性が良かったからね♪生命の目録で属性の力を扱えたし、戦闘スキルも天性のものがあったから」
「後はやっぱり、ガルドとの一戦で刀馬君に大怪我させちゃったから···って言うのが大きかったんでしょうね」
そんな話をしているうちに煙が晴れていき、中の様子が見えてきた。
底には、手を繋ぎ、もう片方の手でピースを作っている二人の姿があった。
「「ヴィクトリー」」
その瞬間、勝敗が決まった。
『勝者!春日部 燿選手!!』
ハッと観客席から声が上がる。次に割れんばかりの歓声が会場を包んだ。
竹林から元の舞台へ戻った四人はお互いの健闘を称えあう。
「ヤホホ···今回のゲームは凄まじかったですねぇ」
「ああ、白夜叉のやつ、ホントやってくれたよ」
「お、お腹減った···」
「もう少し我慢してくれ」
そんなやり取りの中、アーシャが声を上げる。
「おい、お前ら!名前はなんて言うの?出身外門は?」
「七桁のノーネーム出身、天城刀馬だよ」
「同じく、春日部 燿」
「刀馬に燿··だな。私はアーシャ、アーシャ=イグニファトゥスだ!次はもっと強くなって、今度こそ私が勝ってやるからな!覚えとけよ!」
それだけ言うとアーシャは脱兎のごとくその場から走り去ってしまった。
「あの子、同年代の女の子に負けたことがない子でしたから。実力の差を見せつけられて悔しいのでしょう。」
「今回のゲームは多分、俺の実力を考慮した内容だった筈だから···別の内容だったらまた違った結果になってたと思うけどね」
「うん、どちらかと言えば私たちに有利な内容だった気がする。」
「ヤホホ! いや私も賭けに出ようと思っていたのですが先を越されてしまいましてね。次回は私も最初から全力でいかせて貰いますよ!」
「ハハ!望む所だ!」
「次も、負けない」
三人は拳を付き合わせて再戦を約束した。ーーーその時、
「魔王が·······魔王が現れたぞオオオォォォーーー!!!」
黒い"契約書類"と共に、魔王襲来の叫びが木霊した········。
どうでしたでしょうか?
ようやく?十六夜と飛鳥がくっつきましたね!ちょっと無理矢理感がありますが・・・
まぁ、ここでくっつけないと今後の展開上問題が生じるので勘弁してください汗)
アーシャとのギフトゲームはオリジナルにさせていただきました。
ゲーム盤は東方に出てくる迷いの竹林をモチーフに、出てくるキャラも妹紅と輝夜をモチーフとした傀儡人形という設定です。
不死ではないが強力な回復力を備えているということで、刀馬でも簡単には倒せない仕様となっております。
ちなみにジャックも霊格を解放した最大火力でなら輝夜人形を消し炭にすることができます。(あれ、霊格解放したらマズイんだっけ?)
耀の雷神の槌がなぜか刀馬が放った奥義より威力が高いような描写になっていますが、これは今後の話で説明したいと思います。
では!また次は第7話でお会いしましょう♪
See You Next Time!