ラウラを弄って楽しんだ一夏は第四アリーナに来ていた。第四アリーナの事前に予約していた為、一夏以外第四アリーナには誰もいない状態で一夏一人の為の貸切状態だった。
「良し!誰も居ねえ。アリーナに人の姿を確認できず。付近に巡回の先生を確認できず。オールクリア」
一夏はこの日の為に一週間以上も前にアリーナの予約をし、修行も繰り上げてハードコースで修行した。
一夏の今までの修行、それは単に雪片弐型のみを部分展開した状態で生身で雪片弐型を振るうのみ。80kgを超えるその鉄の塊を生身で振り回し、武器に振り回されないようにする。
それが、一夏が自分で自分に課した修行内容だった。
80kgを超える鉄の塊を生身で振り回す事で、一夏はIS起動時に大剣である雪片弐型を日本刀の様に軽々と振り回せる秘密だった。
純粋な剣術では千冬の足元にすら及ばないであろう自身の腕を一夏はしっかりと理解している。一夏の本当の得意分野は剣術では無く、拳術である。
剣では無く拳による術。
今の一夏は剣術なんて姉の千冬の足元どころか箒の腕にも及ばないであろう腕前だ。小学校の時に千冬に連れられて篠ノ之道場に通い始めて4年間しか通っていなかったし、一応その道場でも千冬に次いで二番目程には強くなった。
だが、剣の腕を周りと比べるならば成長は緩やかで二番目に強くなったと言っても所詮、晩成型でそこが限界だと一夏は感じていた。
だが、救いはあった。
篠ノ乃道場は武器を無くした時を想定して古武術を教えていた。篠ノ之一家がISの出現によって引っ越す丁度一年前から剣の道に己の限界を薄々感じていた一夏は古武術を教えて貰って、拳の道に活路を見出した。
それから篠ノ之家が引っ越すと、それを境に一夏は剣の道を捨て、拳の道を選んだ。
近隣のボクシングジムから空手、少林寺、ムエタイ。あらゆる格闘術を半分、道場破りの様に拳術に教えを乞うた。
半分、道場破りの様に教えを乞う時は決まって道場を襲撃し、一番強い弟子と戦い己の才能を師範に認めさせて拳術を磨いてきた。
その噂は一年で周囲に広まり、一夏が中学に入ると不良達が己が最強を目指して知名度が高い一夏を幾度となく襲撃した。時には集団で襲われる事もあった。
だが、その全ての襲撃を一夏は己の拳と体のみで撃退し、襲撃をされればされるだけ一夏は強くなった。
そんな一夏のもとに何時しか、襲撃した不良達は集まり
そんな組織を一夏は最初気にも留めていなかったが、日に日に勝手に大きくなる組織に一夏も遂に無視できなくなった。
具体的には朝起きて玄関を開ければ数十人の不良達がスタンバっていて「一夏さん、おはようございます!」とズラリと並んでいたり、出かける時も護衛や取り巻きの如く絶対に数人の、下手したら数十人の不良達が必ずと言って良い程に引っ付いてくる始末。
そんな状態に一夏は小6からの連れである五反田 弾に相談した。
そして、彼に相談した結果、
そんな彼に課せられたのは
丁度その時組織の人数は百人で、弾は百人との一騎打ちをした。
迫りくる不良達を弾は一人で叩きのめし、遂に百人目を倒した時、彼は自分の傷と相手の返り血によって彼の地毛である赤髪を思わす様に全身が血だらけであり、その姿から『鮮血の弾』と恐れと敬称を込めて呼ばれるようになった。
弾の参謀としての指揮は非常に優秀で組織の人数は日に日に増えるも、彼の指揮の能力はそんな中でも遺憾なく発揮され
――1つ。織斑一夏をトップにとし、力の探求をするだけ。
――1つ。
――1つ。
主に以上の三つが三原則であり、絶対のルールと成った。
つまる所、一夏を頂点にする代わりに
一件不良達が飲む事も無さそうである三原則が定められたが、
そんな変化に誰一人異論を唱える者は居なくなり、
もし、そんな輩が現れれば
と、まあこんな黒歴史があるわけだが、一夏の拳術はいまだ健在で、だてに4年間喧嘩と拳術に明け暮れていたわけでは無い。戦う事に強く成った一夏は拳の一夏と何時しか呼ばれるようになり、最強を目指す一夏にとって組織は彼を強くする場所でもあった。
そんな彼の磨かれた拳術はISの戦いにおいても使われ、セシリア戦ではピットを破壊し、凰戦ではセカンドに止めを刺した。
彼の拳術に対抗できるのは確認されている人物で剣術の千冬だけだ。
そんな一夏が大剣である雪片弐型を生身で振るうのにはもう一つ理由があった。武器に振り回されない様にするための筋肉をつけると共にその筋肉は一夏の拳をさらに早くする。
最強を目指す一夏にとって大剣である雪片弐型は、その重量故に生身で振るうには枷であると共に彼の拳を更に強くするパワーアップアイテムだったのだ。
そんな雪片弐型を初日は200回しか素振りできなかったが、今では1000回は軽く素振りでき、更に雪片弐型を生身の状態で軽々と振り回しながら走り回れる体力を身に着けた。
一夏はそんな中、雪片弐型の更なる使い道を考え出していた。
それは、軽々と生身で雪片弐型が振るえる様に成った事で中距離、遠距離攻撃が雪片弐型で行えるのではないだろうか?と言うものである。
その為に一夏はこの第四アリーナを一週間以上も前に予約し、修行を繰り上げた。
「ハアハアハア」
先ず、雪片弐型だけを部分展開しその実験を開始すると地面にはあちこち雪片弐型によって抉られ、アリーナの壁は無数の切り傷が刻まれた。雪片弐型を振り回す事によって培ったスタミナも実験をすると消耗し、どうしても疲弊の色を見せてしまう。額には雫の様な汗が無数に浮かび上がり、肩で息をした状態で地面に寝っころぶ一夏。
そんな彼から数十メートル先に雪片弐型は地面に突き刺さっており、地面に刀身が半分以上埋まっている。
僅か一日しかアリーナを借りられなかった。
アリーナを借りられる刻限ももう迫っている。
日が沈めばアリーナの使用時間は終了し、一夏はアリーナを出て行かなければいけなくなる。
刻一刻と時間が差し迫る中で一夏がアリーナに寝っころんでいる理由。それは、
「出来た!完成だ!!」
更なる
鋭い眼差しは猛禽類の様な眼と成り、唇は歓喜にふるえていた。
更なる
更なる攻撃《進化》を見出した一夏君は、如何だったでしょうか?
次回、デュノア君の正体が一夏に露見します。
更なる攻撃《進化》は、ラウラ戦で絶対に使います!絶対ですよ!