「わ、私は……」
箒は一人砂浜に佇んで海を見ていた。
箒が見ている方角は一夏が撃墜された方角。自分のせいで一夏が撃墜された方角だ。
あの時の自分は初めて
「私は、もうISに乗らない。乗れない」
そう呟いた時箒に声をかける人物がいた。
「乗れる人が、乗らない、乗れない、乗りたくないと言って、はいそうですかって乗らさない世界じゃないのよ、この世界はね!」
箒を視線を海から声をかけた人物にへと向ける。そして、そこにいたのはセカンドだった。
「あんたが言っているのは子供の我儘にすぎないのよ!残念ながら力ある者は世界から必要とされその力を振るわねばならない。あ、これ一夏が言ってた言葉なんだけれどね。そして、
セカンドの言葉は箒の心を適確に抉る。
「だったら、だったら私にどうしろというのだ!?
「そう、
セカンドはそう言って八重歯を出してニヤリと笑い背後を振り返った。
そこには、ラウラとデュノアとセシリアが立っていた。
「どう?こっちは発破をかけ終わったけれど」
「こちらも目標を発見した。
「僕もリヴァイブ専用防御パッケージ ガーデン・カーテンをインストールしたよ」
「私もブルー・ティアーズの強襲離脱用高機動パッケージ ストライク・ガンナーはインストール済みですわ。ラウラさんも……」
「私も準備を怠るほど愚かな軍人ではない。本国からパンツァー・カノニーアと言うのを取り寄せた。これにより大口径レールカノンの代わりに80口径レールカノン2門と物理シールド4枚が追加された。お前の方はどうなのだ?凰 鈴音」
ラウラの質問にセカンドは呆れたように返事をする。
「あんたねえ、私が一番最初に終わったからに発破をかけに行ったんでしょうが!」
「フム、そうだったか。それはすまなかった。どうも作業に集中すると周りの事が見えなくなってしまう性分なのでな」
「ったく」と呟きながらセカンドは再び箒を見る。
「それで、篠ノ之箒!あんたはどうすんのよ?このままこの場に留まって一生負け犬のままで終わるか、それとも私達と一緒に戦って汚名返上をするか。
それはセカンドの最後の
これで箒が立ち上がらなければこのカードはもう効果を発揮しない最後の賭けとも言えた。
だが、
しかし、下手をすれば一夏と同じ様に死亡する。これ以上の犠牲は払うつもりは無い。
箒は黙って立ち上がる。その瞳には再び闘志が灯っていた。
「私は、私は戦う!もう泣き言は言わない!!」
ニヤリとセカンドは八重歯を見せながら笑った。
「なら決まりね。私達のやるべき事はただ一つ
一夏は別に死んで無いのだがそれを指摘するのは無粋というものだろう。
専用機持ち4人の士気は高まり、各自ISを展開させて大空へと飛び立つのだった。
■ ■
「これから、これから戦う。戦う。戦う。戦える!再び俺は戦える!!」
白式が一夏の拳打によって戦闘経験値が溜まり、第二形態に成ったのだが問題はそれによってエネルギー消費に拍車がかかり、半端ない程エネルギーが消費されるようになったのだ。
機動力、攻撃力、エネルギー消費力等更にupして以前よりも申し分無いほど攻撃特化の糞な機体に第二形態で成り上がってしまった事は頂けないが、今更文句を言っても問題解決には成らない。文句を言って問題が解決出来るなら一年中文句タラタラで生活しているだろう。特に千冬の家事とか、千冬の使用した服の処理とか、千冬の整理整頓が出来ない事とか、千冬の家でのだらしなさとか……今の現状よりも千冬の女子力の無さに絶望的なのだが。
一夏はそう言いながら眉間を人差し指と中指でつまみ、瞑想してた。それは一種の自己暗示でこの絶望的な状況を打破するのに色々と考えた。
先ず、海を泳いで宿泊施設へ帰るという案。だが、この案は宿泊施設に帰ったのは良いがすぐに任務に向かうとなると疲れて戦闘では使い物にならなくなるデメリットがある。メリットではISのエネルギーを使用しないという点だ。
次に考えたのがISを使用して帰るという案だ。だが、これは途中でエネルギーが尽きるという点と何よりも一夏の戦闘以外でISを使用するとIS酔いしてしまうという欠点がある。これではどう考えても使えない。
そこで、一夏は自己暗示をかける事によって脳内のアドレナリンを分泌させ、この状況を打破しようと考えた。宿泊施設までの距離を通常ならば飛行できないが一夏の白式には雪片弐型というエネルギー生産率はもの凄く悪いが、それでもエネルギー供給できる武装がある。
「これから戦う。俺は戦う。戦うんだ!」
次第に脳の奥からジワジワと暖かくなっていき、戦闘でなるいつもの高揚感が一夏を襲う。
「まだだ。まだ足りねえ。もっとだ!」
そして、一夏の唇は無意識に歪み、目は鋭い猛禽類のような腹を空かせた肉食獣のような獰猛な目となっていく。
もう完璧に一夏はいつもの戦闘状態の一夏になっていた。脳内に万遍なくアドレナリンは供給され、IS酔いをする事など無いポンコツではない戦士としての一夏。
「ああ、これだ!これだぜ!!」
自らの高揚感を感じると一夏は頷いた。
これで宿泊施設まで帰れる。移動して帰ってすぐに再び
織斑流拳術断空手刀で両手両足の骨をへし折っても良いが、今回の依頼は操縦者の確保だ。難癖付けられても困る。
いや、困りはしないが何かあった時の対応が面倒臭い。
「行くぜ白式!」
一夏は白式を展開し、大きくなり増えたウィングスラスターを噴かせ砂浜の砂を巻き上げながら大空へと羽ばたいた。
その手に第二形態に成ったため更に大きくなった雪片弐型を握りしめ、大空へと羽ばたく。
大型化したウィングスラスターは全部で4機。最大速度も50%程向上しているが、それによりエネルギー消費も半端ない。だが、ウィングスラスターが4機に増えた為エネルギー消費が今まで以上になったデメリットもあるが一方でメリットもある。ウィングスラスターが4機に増えた事によりとある可能性が出てきた。
それを今から実践して検証してみる。
先ず、一機の大型ウィングスラスターを起動し加速させる。
それにより一夏は空中を加速するも暫くすると最初の大型ウィングスラスターを最大までに出した後は、冷却時間を置く必要がある。そうしなければ全てのISに言える事だがスラスターの噴射口が熱で溶けて塞がる。その為、セシリアの専用機ブルー・ティアーズのような射撃タイプのISが的確に効率よくダメージを与えるコツはISのスラスターを噴かし終えた後の硬直状態と言えるだろう。
無論地面に足がついた状態であれば地面を走って回避行動にとれるため全部が全部とは言えないが空中戦となればこの戦法は非常に有効な戦法となる。
話を戻すが一夏がしようとしている事、それは4機の大型ウィングスラスターを一機ずつ使用する事によりウィングスラスターの冷却時間に要する硬直の隙を無くす事だ。
一夏は自分の考えを検証しながら宿泊施設へと帰る為に海上を進んでいく。未だ生体センサーは壊れたままの状態で。
■ ■
不意に頭を上げるとその頭に目がけて砲弾が撃ち込まれた。
「初弾命中!次弾装填する」
ラウラのパンツァー・カノニーアをインストールしたシュヴァルツェア・レーゲンの砲撃が
砲撃が頭部に命中した
「Laaa♪」
それに怒ったのか
「「今(よ)(だ)!!」」
それに対してセカンドが空中から、箒が海中からそれぞれセカンドは双天牙月を箒は雨月と空裂を握りしめた状態で
その特徴的な翼を切られた
真っ逆さまに海へと落ちていく。
「これで終わったね」
「やりましたわね」
「ああ」
デュノア、セシリア、ラウラが安堵の声を上げ、セカンドと箒が笑みを浮かべたその時、
「まさか!」
「
「こんな時に!?」
絶望的な
先ほどの作戦も捨て身の作戦も半分まぐれで、しかも一夏を犠牲に一回
「箒!ここはあんたと私で殿をするわよ!他の三人は撤退して!!」
「ですが!?」
「セシリア、何も私と箒はこのままくたばるつもりは無いのよ。三人が無事戦闘空域を離脱したら私は箒に引かれてこの戦闘空域を離脱するつもりよ。箒の機体は第四世代機。機動力はあの
「自分の犯した失態を償わずに逃げるほど私は落ちぶれてはいない!」
「そう、なら決まりね。セシリア達3人がこの戦闘空域を離脱するまで私とあんたで食い止めるわよ!」
作戦は決まった。
だが、一つ彼女らは見誤っていた。自分らの戦闘能力と
やがて翼が開かれると中からセカンドが脱力した状態で落ちていく。
「「「鈴(さん)!?」」」
装甲は無惨に破壊され、衝撃砲も破壊されており、手に持つ双天牙月はかろうじて破壊されてはいないが脱力して海に落ちていく途中で手から離れ量子変換され収納される。
「Laa♬」
マルチロックオンシステムによりセシリア、ラウラ、デュノア、箒をロックすると巨大になったエネルギー翼の砲門を開き、全方向同時射撃を浴びせる。
だが、それは問題ではなかった。残酷な現実がセシリア達の戦意をそぎ落とす。
「もう駄目ですの……」
「駄目なのか?」
「この現状を覆す事は無理なのか……」
「もう打つ手が」
セシリア、箒、ラウラ、デュノアの戦意が喪失しかけた時不意にオープンチャンネルから声がかけられた。
『今の現状を受け入れ、満足し自ら
巨大な大剣雪片弐型を肩に担ぎ、一夏が海上すれすれを飛行する。
一夏は宿泊施設に向かう途中に
海面すれすれを飛んでいたのにも上空を飛ぶよりも海面すれすれを飛行した方が無駄にエネルギーを使わずに済むというのが理由なのだが今の一夏は箒達にとってヒーローに見えた。
一夏の白式はつい5分前にエネルギーを充電したためエネルギーは満タン。戦闘には申し分ないコンディションだ。
『Laaa♬』
「フ、織斑流拳術
向かってくる
「まだだ。織斑流脚術
まるで千の蹴りを思わすほどの残像をつくりながら一夏は
だが、
「諦めが悪いんだよ!いい加減墜ちやがれ零落白夜発動――双頭の蛇!!」
既に蹴りの攻撃範囲外にいる
巨大なエネルギー翼は零落白夜を発動させた雪片弐型によって2回同時攻撃を受けて根元からぶった切られて海へと落ちていく。
「ありゃりゃ、秘孔をつかなくても済んだ、か」
そう呟きながら一夏は海へ落ちていく
「!?」
だが、突如伸ばした腕を掴まれた。掴んだのは
「お、お願い。この子は、この子だけは」
戦闘の影響で脳震盪を起こしているのかろれつが回らない状況で、それでも懸命に一夏の腕を掴み、コアを取ろうとする一夏の前に立ちふさがる姿は、まるで我が子を守ろうとする母親のようであった。約束は、報酬は
だが、今の
「……安心しろ。もうコアを抜き取らねえよ」
一夏の言葉に安心したのか
自分の腕の中に倒れこむようにして意識を失った
普段の一夏ならば騙される方が悪いんだとか、約束は約束だとか言って無慈悲に意識を失った
「やれやれ、俺も甘ちゃんだ事。
やれやれと言い肩をすくめながら一夏は
一夏君の新たな武装ですが、披露するのはオータムさん襲撃の時にしようかと思いまして、今回は出しませんでした。
紅椿=供給>消費 第四世代 遠、中、近距離の全局面に後付け武装なしで対応できる
白式=供給<消費 第三世代 雪片弐型にエネルギー供給装置が取り付けられるもエネルギー消費が原作よりかは改善されているが、それでも瞬時加速や零落白夜、新たな武装を使用すれば原作同様すぐエネルギー残量がゼロになる超攻撃特化型。一夏の拳術のおかげで零落白夜をあまり使用せずにいる為エネルギー消費が抑えられ、強く見えるだけ。