拳の一夏と剣の千冬   作:zeke

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第44話

「わ、私は……」

 

 箒は一人砂浜に佇んで海を見ていた。

 箒が見ている方角は一夏が撃墜された方角。自分のせいで一夏が撃墜された方角だ。

 あの時の自分は初めて専用機()を貰い、浮かれていた事は否定できない。だが、それによって一夏が撃墜されってしまった事実も否定できない。

 

「私は、もうISに乗らない。乗れない」

 

 そう呟いた時箒に声をかける人物がいた。

 

「乗れる人が、乗らない、乗れない、乗りたくないと言って、はいそうですかって乗らさない世界じゃないのよ、この世界はね!」

 

 箒を視線を海から声をかけた人物にへと向ける。そして、そこにいたのはセカンドだった。

 

「あんたが言っているのは子供の我儘にすぎないのよ!残念ながら力ある者は世界から必要とされその力を振るわねばならない。あ、これ一夏が言ってた言葉なんだけれどね。そして、一夏(あいつ)は、こうも言ってた。そんな傲慢で腐った世界、俺は嫌だね。でもな、そんな世界に作っちまったのも俺ら人間なんだよ。今のあんたを一夏(あいつ)が見たらきっとこう言うね。そんな世界に抗う()を手前は持っているのに、手前は一人でのんびり海を眺めて高みの見物、傍観者気取りになったつもりか?残念ながら世界は力のある者をのさばらせておくほど甘くわねえぞ。ってね」

 

 セカンドの言葉は箒の心を適確に抉る。

 

「だったら、だったら私にどうしろというのだ!?銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)はすでに戦闘空域を離脱し、行方知れずなのだぞ!」

 

「そう、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の行方が分かればあんたは再び立ち上がるのね?」

 

 セカンドはそう言って八重歯を出してニヤリと笑い背後を振り返った。

 そこには、ラウラとデュノアとセシリアが立っていた。

 

「どう?こっちは発破をかけ終わったけれど」

 

「こちらも目標を発見した。銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)はここから東に20km離れた上空で蹲っているようだ」

 

「僕もリヴァイブ専用防御パッケージ ガーデン・カーテンをインストールしたよ」

 

「私もブルー・ティアーズの強襲離脱用高機動パッケージ ストライク・ガンナーはインストール済みですわ。ラウラさんも……」

 

「私も準備を怠るほど愚かな軍人ではない。本国からパンツァー・カノニーアと言うのを取り寄せた。これにより大口径レールカノンの代わりに80口径レールカノン2門と物理シールド4枚が追加された。お前の方はどうなのだ?凰 鈴音」

 

ラウラの質問にセカンドは呆れたように返事をする。

 

「あんたねえ、私が一番最初に終わったからに発破をかけに行ったんでしょうが!」

 

「フム、そうだったか。それはすまなかった。どうも作業に集中すると周りの事が見えなくなってしまう性分なのでな」

 

「ったく」と呟きながらセカンドは再び箒を見る。

 

「それで、篠ノ之箒!あんたはどうすんのよ?このままこの場に留まって一生負け犬のままで終わるか、それとも私達と一緒に戦って汚名返上をするか。一夏(あいつ)が言いそうな言葉をもう一つ言ってあげる。手前はこのまま何もせず、何も出来ずに黙ってくたばる脆弱な人物(タマ)か?ってね」

 

 それはセカンドの最後の発破(カード)であった。

 これで箒が立ち上がらなければこのカードはもう効果を発揮しない最後の賭けとも言えた。

 

 だが、発破(カード)は効果を発揮しなくてもセカンドは箒抜きでセシリア、デュノア、ラウラと共に銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)と戦う腹づもりでいた。やる気の無い者を戦闘に出してもはっきり言って戦闘の邪魔になるだけ、むしろ足を引っ張るだけで任務達成の成功率を下げるだけだ。箒の第四世代の機体はあれば任務達成の成功率を格段にあげるだろう。

 しかし、下手をすれば一夏と同じ様に死亡する。これ以上の犠牲は払うつもりは無い。

 

 箒は黙って立ち上がる。その瞳には再び闘志が灯っていた。

 

「私は、私は戦う!もう泣き言は言わない!!」

 

ニヤリとセカンドは八重歯を見せながら笑った。

 

「なら決まりね。私達のやるべき事はただ一つ銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)と戦い、戦闘に勝利する。この戦いは一夏の弔い合戦よ!」

 

 一夏は別に死んで無いのだがそれを指摘するのは無粋というものだろう。

 専用機持ち4人の士気は高まり、各自ISを展開させて大空へと飛び立つのだった。

 

           ■             ■ 

 

「これから、これから戦う。戦う。戦う。戦える!再び俺は戦える!!」

 

 白式が一夏の拳打によって戦闘経験値が溜まり、第二形態に成ったのだが問題はそれによってエネルギー消費に拍車がかかり、半端ない程エネルギーが消費されるようになったのだ。

 機動力、攻撃力、エネルギー消費力等更にupして以前よりも申し分無いほど攻撃特化の糞な機体に第二形態で成り上がってしまった事は頂けないが、今更文句を言っても問題解決には成らない。文句を言って問題が解決出来るなら一年中文句タラタラで生活しているだろう。特に千冬の家事とか、千冬の使用した服の処理とか、千冬の整理整頓が出来ない事とか、千冬の家でのだらしなさとか……今の現状よりも千冬の女子力の無さに絶望的なのだが。

 

 一夏はそう言いながら眉間を人差し指と中指でつまみ、瞑想してた。それは一種の自己暗示でこの絶望的な状況を打破するのに色々と考えた。

 先ず、海を泳いで宿泊施設へ帰るという案。だが、この案は宿泊施設に帰ったのは良いがすぐに任務に向かうとなると疲れて戦闘では使い物にならなくなるデメリットがある。メリットではISのエネルギーを使用しないという点だ。

 次に考えたのがISを使用して帰るという案だ。だが、これは途中でエネルギーが尽きるという点と何よりも一夏の戦闘以外でISを使用するとIS酔いしてしまうという欠点がある。これではどう考えても使えない。

 そこで、一夏は自己暗示をかける事によって脳内のアドレナリンを分泌させ、この状況を打破しようと考えた。宿泊施設までの距離を通常ならば飛行できないが一夏の白式には雪片弐型というエネルギー生産率はもの凄く悪いが、それでもエネルギー供給できる武装がある。消滅領域(デリート・ゾーン)にある雪片弐型を無数の拳打によって衝撃を与える事でエネルギー生産を行おうと思っていた。

 

「これから戦う。俺は戦う。戦うんだ!」

 

 次第に脳の奥からジワジワと暖かくなっていき、戦闘でなるいつもの高揚感が一夏を襲う。

 

「まだだ。まだ足りねえ。もっとだ!」

 

 そして、一夏の唇は無意識に歪み、目は鋭い猛禽類のような腹を空かせた肉食獣のような獰猛な目となっていく。

 もう完璧に一夏はいつもの戦闘状態の一夏になっていた。脳内に万遍なくアドレナリンは供給され、IS酔いをする事など無いポンコツではない戦士としての一夏。

 

「ああ、これだ!これだぜ!!」

 

 自らの高揚感を感じると一夏は頷いた。

 これで宿泊施設まで帰れる。移動して帰ってすぐに再び銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)と戦うはめに成っても問題無く戦える。それに、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)と一人で戦う事になっても勝ち目はある。織斑流拳術をつくっている最中に秘孔を突く技があるのだ。秘孔をつかれれば北斗○拳みたいに内側から人が爆発するとかあり得ないのだが、腕を麻痺させたり脚を動かせなくさせる事が出来る。その技を使って銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)を止める。所詮軍用ISと言ってもIS、人が動かせなければ鉄の鎧はただの使えない鎧に成り下がる。

 織斑流拳術断空手刀で両手両足の骨をへし折っても良いが、今回の依頼は操縦者の確保だ。難癖付けられても困る。

 いや、困りはしないが何かあった時の対応が面倒臭い。

 

「行くぜ白式!」

 

 一夏は白式を展開し、大きくなり増えたウィングスラスターを噴かせ砂浜の砂を巻き上げながら大空へと羽ばたいた。

 その手に第二形態に成ったため更に大きくなった雪片弐型を握りしめ、大空へと羽ばたく。

 大型化したウィングスラスターは全部で4機。最大速度も50%程向上しているが、それによりエネルギー消費も半端ない。だが、ウィングスラスターが4機に増えた為エネルギー消費が今まで以上になったデメリットもあるが一方でメリットもある。ウィングスラスターが4機に増えた事によりとある可能性が出てきた。

 それを今から実践して検証してみる。

 

 先ず、一機の大型ウィングスラスターを起動し加速させる。

 それにより一夏は空中を加速するも暫くすると最初の大型ウィングスラスターを最大までに出した後は、冷却時間を置く必要がある。そうしなければ全てのISに言える事だがスラスターの噴射口が熱で溶けて塞がる。その為、セシリアの専用機ブルー・ティアーズのような射撃タイプのISが的確に効率よくダメージを与えるコツはISのスラスターを噴かし終えた後の硬直状態と言えるだろう。

 無論地面に足がついた状態であれば地面を走って回避行動にとれるため全部が全部とは言えないが空中戦となればこの戦法は非常に有効な戦法となる。

 

 話を戻すが一夏がしようとしている事、それは4機の大型ウィングスラスターを一機ずつ使用する事によりウィングスラスターの冷却時間に要する硬直の隙を無くす事だ。

 

 一夏は自分の考えを検証しながら宿泊施設へと帰る為に海上を進んでいく。未だ生体センサーは壊れたままの状態で。

 

           ■                        ■

 

 銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)は空中で膝を抱えて蹲っていた。特徴的な翼を自身の体に巻きつけて防御の姿勢を取った状態で。

 不意に頭を上げるとその頭に目がけて砲弾が撃ち込まれた。

 

「初弾命中!次弾装填する」

 

 ラウラのパンツァー・カノニーアをインストールしたシュヴァルツェア・レーゲンの砲撃が銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の頭部に命中したのだ。

 砲撃が頭部に命中した銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に向かってセシリアのISブルー・ティアーズの主力武装スターライトmkⅢによるビーム射撃とシャルル・デュノアのISラファール・リヴァイヴ・カスタムIIの重機関銃デザート・フォックスによる射撃が別々の個所から行われる。

 

「Laaa♪」

 

 それに怒ったのか銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)はマルチロックオンシステムを起動させて翼の砲口を開きラウラ、セシリア、デュノアに対して同時射撃を行う。

 

「「今(よ)(だ)!!」」

 

 それに対してセカンドが空中から、箒が海中からそれぞれセカンドは双天牙月を箒は雨月と空裂を握りしめた状態で銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に急接近しマルチロックオンシステムによるセシリア、デュノア、ラウラに対しての同時射撃を行おうと砲口を開いた翼を斬りつける。

 その特徴的な翼を切られた銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)はまさに羽を無くした鳥。

 真っ逆さまに海へと落ちていく。

 

「これで終わったね」

 

「やりましたわね」

 

「ああ」

 

 デュノア、セシリア、ラウラが安堵の声を上げ、セカンドと箒が笑みを浮かべたその時、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が落ちた場所の海水が一瞬にして蒸発し海の中から巨大なエネルギー翼を自身の体に巻きつけた銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が現れた。

 

「まさか!」

 

第二形態(セカンド・シフト)!?」

 

「こんな時に!?」

 

 絶望的な状況(現実)が戦場を走る。

 先ほどの作戦も捨て身の作戦も半分まぐれで、しかも一夏を犠牲に一回銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)と戦ったから出来た作戦なのだ。あの時上空にいたセカンドと海中に潜んでいた箒に銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が気付いていたらこの作戦は成功しなかった。正直に言って勝率40%以下の大博打だったのだ。相手は軍用IS。レーダーも最新鋭のものを使用されているだろうし機動力に火力は申し分ない。まさに軍用IS。空中の無敵艦。

 

「箒!ここはあんたと私で殿をするわよ!他の三人は撤退して!!」

 

「ですが!?」

 

「セシリア、何も私と箒はこのままくたばるつもりは無いのよ。三人が無事戦闘空域を離脱したら私は箒に引かれてこの戦闘空域を離脱するつもりよ。箒の機体は第四世代機。機動力はあの銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に負けてないわ!正直いってこのままじゃ全滅よ!箒もそれで良い?あんたが嫌ってんなら、ここは私一人で食い止めるわ」

 

「自分の犯した失態を償わずに逃げるほど私は落ちぶれてはいない!」

 

「そう、なら決まりね。セシリア達3人がこの戦闘空域を離脱するまで私とあんたで食い止めるわよ!」

 

 作戦は決まった。

 だが、一つ彼女らは見誤っていた。自分らの戦闘能力と第二形態(セカンド・シフト)銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の能力を。

 

 銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)は蛹が羽化するように自身の体に巻きつけた巨大なエネルギー翼を開き、更に速くなった機動力でセカンドの首を掴むと箒やセシリア達と引き離して巨大な翼で自分とセカンドをすっぽりと覆う。

 やがて翼が開かれると中からセカンドが脱力した状態で落ちていく。

 

「「「鈴(さん)!?」」」

 

 装甲は無惨に破壊され、衝撃砲も破壊されており、手に持つ双天牙月はかろうじて破壊されてはいないが脱力して海に落ちていく途中で手から離れ量子変換され収納される。

 

「Laa♬」

 

 マルチロックオンシステムによりセシリア、ラウラ、デュノア、箒をロックすると巨大になったエネルギー翼の砲門を開き、全方向同時射撃を浴びせる。第二形態(セカンド・シフト)によって更に威力がついた射撃は最早砲撃。セシリア達のシールドエネルギーを瞬く間に削っていく。

 だが、それは問題ではなかった。残酷な現実がセシリア達の戦意をそぎ落とす。

 

「もう駄目ですの……」

 

「駄目なのか?」

 

「この現状を覆す事は無理なのか……」

 

「もう打つ手が」

 

 セシリア、箒、ラウラ、デュノアの戦意が喪失しかけた時不意にオープンチャンネルから声がかけられた。

 

『今の現状を受け入れ、満足し自ら戦意()武器()失った(捨てた)者はただ、ただ墜ちていくだけだ!未だ手前等は抗う意志()を持っているならばその武器()を持って、その糞ったれな現実に抗えば良い。その糞ったれな現実を受け入れた瞬間が手前等の真の敗北だ。負けたのならば勝利()を目指して抗や良い。そこが頂点ならば更なる上を目指せば良い。ただそんだけだろうが!!』

 

 巨大な大剣雪片弐型を肩に担ぎ、一夏が海上すれすれを飛行する。

 一夏は宿泊施設に向かう途中に銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)と戦っている箒達が自分の進行方向に丁度いただけなのだが、運は箒達に向いていた。

 海面すれすれを飛んでいたのにも上空を飛ぶよりも海面すれすれを飛行した方が無駄にエネルギーを使わずに済むというのが理由なのだが今の一夏は箒達にとってヒーローに見えた。

 一夏の白式はつい5分前にエネルギーを充電したためエネルギーは満タン。戦闘には申し分ないコンディションだ。

 

『Laaa♬』

 

 銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)第二形態(セカンド・シフト)になった為更に速くなった自慢の機動力で一夏との距離を瞬時につめる。

 

「フ、織斑流拳術 円破槍肘(えんはそうちゅう)

 

 向かってくる銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)よりも高い高さとなり、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の正中線に目がけて曲げた肘を体の回転と共にぶつける。その肘はまさに槍の如く鋭い形となり、正中線に正確にぶつかった。自身の攻撃が当たる前に攻撃を受け腹部の装甲が爆ぜ、体がくの字になる銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に一夏は更に追撃をかける。

 

「まだだ。織斑流脚術千武脚(せんぶきゃく)

 

 まるで千の蹴りを思わすほどの残像をつくりながら一夏は銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の全身の装甲を破壊していく。

 だが、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)はただでやられず、攻撃を受けながら巨大なエネルギー翼で一夏を包み込もうとする。

 

「諦めが悪いんだよ!いい加減墜ちやがれ零落白夜発動――双頭の蛇!!」

 

 既に蹴りの攻撃範囲外にいる銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の翼に対して第二形態(セカンド・シフト)して更に巨大になった雪片弐型の零落白夜を発動させ、雪片弐型による2回同時攻撃を叩き込む。

 巨大なエネルギー翼は零落白夜を発動させた雪片弐型によって2回同時攻撃を受けて根元からぶった切られて海へと落ちていく。

 

「ありゃりゃ、秘孔をつかなくても済んだ、か」

 

 そう呟きながら一夏は海へ落ちていく銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)を空中でキャッチするとすぐそばの無人島まで運び、報酬の銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)のコアを頂こうとコアへへと手を伸ばす。

 

「!?」

 

 だが、突如伸ばした腕を掴まれた。掴んだのは銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の操縦者で

 

「お、お願い。この子は、この子だけは」

 

 戦闘の影響で脳震盪を起こしているのかろれつが回らない状況で、それでも懸命に一夏の腕を掴み、コアを取ろうとする一夏の前に立ちふさがる姿は、まるで我が子を守ろうとする母親のようであった。約束は、報酬は銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)のコアだ。

 だが、今の銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の操縦者の姿とクーを守ろうとする束の姿がどうしても重なって見える。

 

「……安心しろ。もうコアを抜き取らねえよ」

 

 一夏の言葉に安心したのか銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の操縦者は意識を失った。

 自分の腕の中に倒れこむようにして意識を失った銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の操縦者を見ながら一夏はため息を一つはいた。

 

 普段の一夏ならば騙される方が悪いんだとか、約束は約束だとか言って無慈悲に意識を失った銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の操縦者からコアを抜き取るのだが今の一夏はそんな気分ではなかった。束とこの銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の操縦者の姿が重なってどうしてもそんな気分になれなかった。

 

「やれやれ、俺も甘ちゃんだ事。赤の他人(虫けら風情)に情が移るなんてな」

 

 やれやれと言い肩をすくめながら一夏は銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の操縦者を地面に寝かせ、取り敢えず雪片弐型に衝撃を与えエネルギーを生産するために雪片弐型に拳打を叩き込むのだった。




一夏君の新たな武装ですが、披露するのはオータムさん襲撃の時にしようかと思いまして、今回は出しませんでした。

紅椿=供給>消費 第四世代 遠、中、近距離の全局面に後付け武装なしで対応できる
白式=供給<消費 第三世代 雪片弐型にエネルギー供給装置が取り付けられるもエネルギー消費が原作よりかは改善されているが、それでも瞬時加速や零落白夜、新たな武装を使用すれば原作同様すぐエネルギー残量がゼロになる超攻撃特化型。一夏の拳術のおかげで零落白夜をあまり使用せずにいる為エネルギー消費が抑えられ、強く見えるだけ。
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