拳の一夏と剣の千冬   作:zeke

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第71話

 愛娘の学園来訪が終わると一夏は花束を持ってもう一人の肉親と言えるマドカの病室に向かった。

 更識の息が掛かった病室だけあって設備は上々で医者の腕も確かなものだ。

 

コンコンと個室の扉を叩き返事を待つが、一向に返事が来ない。失礼するぞと一言断りを入れて扉を開くとそこには誰一人おらず、綺麗に折りたたまれたマドカが使っていたであろう布団がベッドの上におかれていた。

 

「……そうか。あいつには、あいつの道があるんだから当然と言えば当然か」と一人その結果に納得をすると病室を後にする。その表情は少し寂しそうな表情であった。

 

病院を出て待たせている更識家の車に向かう道中ポケットの携帯端末がけたたましい音で鳴りすぐさま携帯端末を取り出すとAIであるMAKUBEXがあわてた様子で携帯端末の画面に現れた。

 

「ご報告します!織斑千冬と接触した追跡中のご息女が不審人物と接触し連れ去られました!」

 

「何!?」

 

驚きのあまり携帯端末を落としそうに成るがすぐに正気を取り戻して白式を展開するとMAKUBEXにナビゲーションさせてすぐに飛び立った。そして、AI搭載型無人機を3機発進させて愛娘の下へと向かわせる。

 

 

「待っていろ、クー!必ずお前を助けてやる!!」

 

 本来市街地でISを使用することは十分な規則違反なのだが、なりふり構ってられなかった。愛娘の命がかかるかも知れない事態に規則もへったくれも関係なかった。クーの元へと向かう一夏の瞳は焦りと共に憎悪が色濃く出ていた。

 

「いざとなればISで……いや、それでは…」

 

いざとなればISで敵を始末してしまおうかと思ったが、それでは束が作ったISを人殺しの道具として穢してしまう。そうした時束はどんな表情をするかと思うとISを使用して始末しようとは思わなかった。

 

「まあ、構わんだろう。ISを使用せずとも始末できる。そう、例え敵がISを使用したとしても」

 

 今の一夏はそれだけ怒り、殺気立っていた。 

 怒りと殺意に満ち溢れた一夏に敵の生死は関係ない。

 

           ○          ■            ○ 

 

 

 

「よく帰ってきてくれたわM」

 

「フン、心にも無い事をほざくな」

 

 一夏の元から帰ったマドカにスコール・ミュゼルは労いの言葉を言いながら彼女を抱きしめる。マドカの顔に当たるスコールの大きな胸を鬱陶しそうに思いながらぶっきらぼうに答えるとスコールはマドカを開放する。

 

「M、支度をして頂戴」

 

「支度だと?」

 

「ええ、そうよ。今から篠ノ之束博士に会いに行くのよ」

 

「……私が行く必要などない」

 

「あら、あるわよ。私の護衛」

 

 スコールのISと戦闘能力をしているマドカにとってみれば皮肉にしか聞こえなかった。

 

「フン、どうだか」

 

 渋々といった表情でスコールの後についていくマドカ。その後の最悪な場面に出くわすとも露知らず。

 

 

 高級ホテルの最上階に位置する綺麗な夜景が見えるレストランで束はスコールと会食を行っていた。

貸し切りのフロアに亡国機業の力の大きさが伺える。

次々と運ばれてくる料理に手を付けながらさっさと要件を聴く。

 

「それで、何かな?」

 

 

「お気に召しまして?束博士?」

 

「んー。そうだね。そこの睡眠薬入りスープ以外は、ね」

 

 そう言って手に持ったフォークで冷えたスープを指しながら食事を続ける束。

 

 一夏が聞けば血祭りものだが、残念ながら一夏はその場には居なかった。

 居ればスコールは瞬きする間も無く愉快な肉塊へと変貌すること間違いなしだが、一夏が居なかったため愉快な肉塊に変貌せずに済んだ。

 

 

 企みを暴かれても顔色一つ変えずニコニコ笑っているスコール。

 

「我々亡国機業に新造ISを提供する話です。勿論コア込みで」

 

「無理だよー」

 

「そこをなんとかお願いします」

 

「お断りします」

 

「ふう、どうしてもですか?」

 

「うん」

 

 それでは、こちらも如何ですか?とスコールがパチンと指を鳴らすと映画のような演出で現れる拘束されたクロエとその首筋にナイフを当てているオータム。本来ならばオータムに引けを取らないであろう腕を持つクロエだが、世界最強を相手に【邪眼】を二回も消費してエネルギーが減った状態で疲労による体力低下の状態ではオータムに捕らえられてしまった。

 束に向かって「すみません」と小さな声で謝るクロエ。

 

 何ならこの小鹿ちゃんのステーキを用意しますけどとスコールが束に訊いた瞬間、ホテルが天井から揺れた。巨大な物体が空から高級ホテルの最上階にあるレストランに直撃し巨大な物体が天井を貫き、レストランにいる束とスコールのすぐ傍に土煙をあげながら落下した。

 

 グルルルルと獣の如く唸り声をあげながら土煙の中から一人の人間が飛び出した。天井を蹴り、クロエの首にナイフを当てるオータムに目掛けて弾丸の如く強襲し飛びかかる。オータムの両手を両脚でナイフを右手で、オータムの頭を左手で掴んでフロアに倒すと全体重をかけて押し潰しにかかる。

 それは、プンチャック・シラットの技の一つ猛獣跳撃(スラガンハリマウ)と呼ばれるもの。

 ミシミシとオータムは自身の頭蓋骨が悲鳴を上げる音を聞きながら徐々に徐々に意識が遠のいていった。

 

 

「オータム!?」とスコールの悲鳴に近い叫びがレストラン内に響き渡ると護衛で来ていたマドカは瞬時に銃を取り出し獣の如き男に発砲する。

弾丸は男に当たらなかったが、男はオータムから離れたため牽制となったので上々だろう。ただ一点、男がマドカの相手をする羽目にならなければ。一瞬で現れた男にマドカが銃を向けるよりも早く男が動いた。

向ける銃を手で押さえマジマジとマドカの顔を見ながら唇を歪ませる。

 

「お前が俺の前にこうして現れるとは、な!だが、今はお前の相手をしてやっている暇など無い!!」

 

 マドカの手を掴み、勢いよくマドカを土煙のする方へ向けて投げる。

 土煙の中にいるそいつの固い手がマドカの体をがっしりと掴む。

 

「GINJI!JUBE!そいつと束とクーを連れて安全な場所まで避難しろ!MAKUBEXは安全な場所を瞬時に検索しナビゲーション!!」

 

 そう言ってクロエを開放すると土煙のところまでお姫様抱っこで一瞬で移動する。 

 そして、土煙の中にいるAI搭載型無人機にクロエを渡すと土煙の中から出てくる。徐々に土煙は治まり、土煙の中からAI搭載型無人機の姿が顔をのぞかせる。

 

 最後に束の手を引っ張り無人機の所までエスコートをすると無人機の肩に乗る様に促した。

 GINJIの右肩にクロエ、左肩に束。JUBEの手にはマドカがお姫様抱っこされた状態で一夏に安全に運べとの指示を受け徐々に飛翔する。

 天井に空いた大きな穴からJUBEとGINJIが出て行くとその穴を塞ぐかのようにAKABANEが立ちはだかる。

 

 束達の離脱を見送った一夏はスコールに振り返る。

 その瞳は怒りと憎悪の炎が色濃く映っておりスコールは本能的にやばいと感じたが打つ手がなかった。

 

「お前は、お前達は……これだから弱者は嫌いなのだ!束を利用しようとし、我が愛娘にまで危害を加えようとする!!」

 

「お、お許しを!!」

 

 普段のスコールでは考えられない謝罪の言葉を口にした。そして、あまつさえ土下座までした。

 だが、それは全て逆効果だった。

 

「あまつさえ、失敗をすれば許しを請う弱者の姿勢!!許しがたく、度し難い!」

 

 憤怒の一夏。

 キレれば最早手のつけようなど無かった。

 

 

 周囲に無意識の状態で体からあふれ出る殺気と覇気をまき散らし、パキパキと指を鳴らしスコールを睨みつける一夏の脳内に優しさという言葉は一ミクロンもなかった。

 

「さあ、我が未来の妻と愛娘に向けた脅威、その罪科汝の身をもって受けるが良い!!」

 

 

 

 一 撃 九 殺

 

 一夏の部下5人の神の手(ゴッド・ハンド)が修めた武術を繰り出す摩天楼の王のみが許された絶技。

 一撃で5人の神の手(ゴッド・ハンド)が扱える技を全て繰り出す事が出来る絶技だ。

 オータムを襲った猛獣跳撃(スラガンハリマウ)5人の神の手(ゴッド・ハンド)の一人が修めたプンチャック・シラットの技の一つなのだ。

 

武術の修羅達の王が部下に出来て出来ないという事がない様に5人の神の手(ゴッド・ハンド)が修めた武術は全て習得している。摩天楼の王とは、それすなわち修羅達の見本であり目標。修羅最強であらねばならない。

 

 

 後ずさるスコールに向けてその絶技が放たれた瞬間、最上階のレストランは崩壊した。

 

 

 最上階のレストランが崩壊し、ホテルは大混乱に陥った。ホテルのエントランスでは最上階のレストランが崩壊したことでその瓦礫が数多く落ちている。しかも現在進行形で瓦礫が落ちているのだ。道を歩いていた人達は蜘蛛の子を蹴散らしたように一斉に逃げる。ハイパーセンサーで目撃者がいないことを確認すると瓦礫が落ちる天井から二つの機影が飛び去った。

 

 

 二つの機影が降り立ったのは更識家が保有する隠れ家。

 人気は全くなく、拷問するのにも始末するにも最適な場所だった。

 AKABANEにオータムを拘束するように指示を出すとスコールの顔に大量の水をぶっかけて意識を取り戻させた。

 

「ブハッ、ゲホッ」

 

 

「ククク、お目覚めかい?」

 

「お、織斑一夏………」

 

「まあ、そう睨むなよ。あのホテルの最上階にあったレストランが一つ潰れた具合じゃないか。そんな事、今から起こる絶望には対した事無いよ!!」

 

怪訝な顔をするスコールを前に厭らしく笑うとパチンと指を鳴らすとAKABANEは拘束していたオータム右腕を掴むと徐々に徐々に引っ張る力が強くなる。やがて呻き声をあげるオータム。

 

「オータム!?」

 

「ハハ、もうすぐ生きた状態で腕を引きちぎられるぞ。どんな悲鳴で泣くのか楽しみだな!」

 

「やめて!?」

 

「ハハ、必死だな!」

 

「彼女は私の恋人なのよ!」

 

「成程、それはさぞや大切な存在だろう。だが、だからこそ断る!これは罰なのだから。罪には罰を当然だろう?」

 

邪悪にまみれた笑みをスコールに向ける。

 

「さあ、もうすぐだ!もうすぐ右腕。そして次は左腕だ!!その後は音と光を奪うとしよう!!お前はその様をただただ見つめる事がお前へと罰だ!愛する者の無残な姿へと変貌姿をみればもう二度と歯向かおうとも思うまい」

 

 

ミシミシとスコール達には聞こえないオータムの腕の悲鳴。聞こえない代わりにオータムは今までに見た事のない苦悶の表情を浮かべた。

 

 

「何でもする!何でもしますから!!」

 

 ピクリと一夏の眉が動いた。

 何でもすると言ったか?と再度確認するとスコールは無言で何度も首を縦に振った。

 

 

「ハハハ、なら!」

 

 パチンと再び指を鳴らすとどさりと力なく椅子に座らされるオータム。邪悪に微笑んだまま一夏は力なく椅子に座るオータムに近づきがら懐からピストル型携帯注射機を取り出し、オータムの首筋に刺した。そして引き金を引くと注射器の中身がオータムの中に首から入っていく。中身が全部注射されたのを確認すると一夏はピストル型携帯注射機を捨て、スコールに視線を向ける。

 

「彼女には監視用ナノマシーンを注射した。これよりお前達は我が軍門に入って貰う!その命尽きるまで我に仕えよ!」

 

「誰が!」と意識を取り戻したオータムが喚くが、煩いと一夏はオータムの腹を容赦なく蹴り飛ばした。地面に横たわるオータムに弱者は黙っていろ!次は強制的に黙らせると警告すると再度スコールに視線を向ける。

 

 

「マドカ……Mに使用していた監視用ナノマシーンの改良版だ。取り出そうとしたり、裏切ろうとしたりすればその瞬間に彼女の命を奪うだけだ。して、返答は?」

 

 

「御意に」

 

 

 スコールにはもう頷くしか道は残されていなかった。

 恋人であるオータムは一夏の意のままに命を握られている。打つ手がなしの状態で一夏の気に少しでも触るような事があればオータムの命はと思うとぞっとする。 

 

平伏し、ただただ一夏に頭を下げる事しかできないスコール。

頭を下げたままのスコールに冷たい視線を向ける一夏。

 

「本来ならばお前等の組織を全て潰していたところだが、今回だけはこれで矛を引いてやる。が、次はお前達の組織を全て正義の名の下に処断する」

 

それは宣言だった。宣言である以上履行されねばならないが、今はその時ではない。

 

 

 スコールとの連絡先を交換すると一夏はAKABANRと共に更識家が保有する隠れ家を後にした。

 

 

 

 

 GINJIとJUBEに連れられて安全地の更識家の別荘に到着した束、クロエ、マドカ。別荘は更識家の所有物と言うだけあって大きかった。

 降ろされると同時に束とクロエから距離をとるマドカ。その手には銃を持っており、クロエはそんなマドカを見て対峙する。

 

不穏な空気が二人の間に流れまさに一触即発の状態。クロエは疲労困憊から体力が回復しておりマドカと戦っても互角に渡り合える状態だった。無論、【邪眼】を使用すれば更に軍配はクロエに向くだろうが、それでも十分に渡り合える。

 

「ホラホラ、クーちゃんそんな怖い顔しないの~。可愛い顔が台無しだよ~」

 

背後から束がクーに抱き着き困惑するクロエ。

そんな様子を見て、くだらないと呟くマドカ。力こそが己を示す証明と信じるマドカにとってみれば馴初めなど不要だった。

 

「んでさぁ、んでさぁ、君の名は?」

 

「……織斑マドカ」

 

「織斑マドカか――んじゃあ、マドっちね。マドっちは強くなりたいんだよねえ?」

 

こくりと頷き肯定の意を示すマドカ。

 

「そんじゃあ、うちに来なよ」

 

「「!?」」

 

 その言葉にマドカは勿論クロエも驚いた。

 余りにも危険だ。不穏分子のマドカを手元に置くなどあまりにも無防備すぎてならない。

 

 危険です!と言おうとするクロエの口をキスで塞ぎものを言わせなかった。

 

「クーちゃん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとうね。さて、マドっちどうする?」

 

 マドカにとって束の提案は良いのか悪いのか解らなかった。

 束とクロエの戦闘能力は未知数。倒せるかどうかわからない相手と行動を共にするというのはハイリスクな事だ。

 

 迷うマドカに束は一つの提案をする。

 

「来るならば、君だけの専用機を開発してあげよう」

 

 それが事実ならば願ってもない提案だった。ISはそれ自体が脅威であり各国の軍事力の大半を占めている。ISに戦艦やら戦車を戦わせてもISが勝利してしまうのが通例の考え方だ。そして、その中でも篠ノ之束に開発された専用機となればパイロット共々各国が喉から手が出るほど欲しくなるのは必須だろう。

 

「解った。その提案を受けよう」

 

 自らの存在の証明に翻弄される少女は力に翻弄される。

 優しき天才はそんな少女に愛を教えようと我策し、その愛娘は新たなる不穏分子の監視に目を開からせようと決意する。そして、修羅達の王は家族を付け狙う賊に誅罰を下さんが為に世界を変えようと我策する。

 それぞれの思惑が入り混じる。

 

 

 

 

        □              ■             □

 

「さて、どうしたものか……」

 

 駒はそろいつつある。

 IS学園、亡国機業、摩天楼、更識家、ギャングキング、青狼会。

 恐るべき数の人材が、力が、権力がたった一人の少年の下に集った。過剰戦力と言っても過言ではないかも知れない。

 

 だが、まだ足りないと手元にある駒を確認しながら呟いた。

 

「足りない。これで足りないなんて欲深にほざくのはお前ぐらいだよ」

 

 幼い少年の傍に侍らせている赤髪の少年はそう進言した。

 だが、幼き姿に戻った少年は首を横に振り否定する。

 

 人々が欲深いのならば、誰よりも欲深くなければいけない。幼い姿に戻った少年は世界の理に真正面から向き合う。誰よりも強欲で罪深く、優しく厳しくなければならない。

 そう、世界を変えるならばまずは己を変えて世界に示さなければならない。何が良くて、何が悪いのかを。その見本がなければ世界に示しがつかない。

 

「いや、だが優しさは不要か。それはあいつの仕事だ」

 

 強欲で罪深く、優しく厳しくから優しさを除ければ強欲で罪深く、厳しくのみになってしまう。果たしてそれで誰がついて来るというのだろうか?と赤髪の少年は尋ねると幼い姿の少年は鼻で笑いながら答える。

 

「いいや、ついて来るさ。だって、世界に示すのは俺だけじゃなくあいつと一緒に示すのだから」

 

 成程、二人で示すかと少年の答えに赤髪の少年は納得して思わず頷いた。

 

「かつてアダムとイヴが人間界に落ちた時に、何故二人で落ちたのかと考えた事は無いか?知恵の実を食べて知恵をつけたならば、一人を誰も入れない無人島に置き、一人をエデンから追放した方がよっぽど残酷であっただろうに。だが、神はそれをしなかった。知恵の実を食べたアダムとイヴが一つの生命体としてもう自分の手から巣立つ事を悟ったのだとしたら、また違う見方に成ると思わないか?アダムとイヴが生命体としてやっていけるようにエデンを追放し、自分達の居場所を自分達で作らせ文明を発達させる為に追放したのだとしたら?」

 

 赤髪の少年は成程と思った。そして、面白いとすら感じた。

 これが神童と謳われた少年の頭脳か。

 

「追放する事で自らの生存本能を叩き起こし、子を作り集落を作った。原初のアダムとイヴが長となり法となった。その法の名残が年配者を敬うという年功序列というものだ」

 

 

 まあ、これが妥当な解釈ではないか?年を負うとはそれだけの経験があるという証明だ。

 そんな証明があれば、納得するのは当然と言えば当然だろう?そんな当然を無くすとしたらどうするか?答えは酷く簡単な事だ。圧倒的な力で全ての長を降せば全てが降る。自分より強い存在、自分より優れた存在が降れば大半の人間が降る。それが、脆弱な人間の証明だ。

 

 少年から語られる言葉は真理を得ていた。群れる事が人間の性である。その証明が国でああり、会社であり、軍隊だ。

 それらの長が降る事が企業買収だったり、属国だ。

 

全てを圧倒的な力で手に入れる。

ぎゅっと手を握りしめ、再び手元の駒を見る。

 

 

IS学園、亡国機業、摩天楼、更識家、ギャングキングのリーダー、青狼会。計6つの駒。

 

 そして、対戦相手は……世界。

 だだっ広い世界。一つの国家だけでなく、この世界全てを我が手に治めんとする少年。

 

 

 世界に対して6つの駒程度では物足りない。

 この世界全てを我が手中にと少年は謳う。

 

「さあ、この世界を手に入れよう!亡国機業など眼ではない、あまねく広きこの世界を!!俺の国を俺らにふさわしき国を、世界をこの世界に示そう!!」

 

 

 それに赤髪の少年は大きく頷いた。

 

「ああ、俺等の世界を世界に示そう」

 

 そう言って少年が見る方向へと視線を向ける。

 そこには人は誰もいない。あるのは虚空のみ。されど、その眼には世界そのものが映っていた。

 

「世界は変わる」

 

「ああ、俺達が変える!!」

 

 王とは宣言するもの。その口から発する言葉には責務が待っている。例え語り合ったとしてもそれを口に発した瞬間それは宣告となる。

 二人が語りあったこれが宣告となり後に世界に影響を及ぼすとは本人達も含め誰も予想はしなかった。ただ一人の人物のみがその影響を知っていた。

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