超次元ゲイムネプテューヌmk2++ LastGoddess 作:神奈月 椎菜
あとこれR-18あったりするかもしれないので注意してください。
問題があればR-15外してR-18にします。
ユニに連れられて来た部屋は、期待を真正面から打ち抜いてくれた。
飛び乗れば跳ねそうなベッドもある、無駄に容量がありそうな収納スペースがある、色々使えそうな机がある。私が欲しいと思っていたものは全てあった。
「使ってない部屋だから色々足りないだろうけど我慢して」
これだけあれば十分だろう、と言いたくなったが飲み込んだ。本気でそう思っていそうだったし自前で用意するものも多いと言えば多い。
一度荷物を持って来ようかと思っていたらいつの間にかユニがベッドに座っている。若干抗議の目を向けるが気にする節はない。
「……ねぇ、フィオネ・ジャーネフェルト」
「フロムだっつってんだろ」
「じゃあ、何でケイはあんたをフィオネって呼ぶの?」
「知るかんなもん、本人に聞いてくれ」
私の対応が冷たかったのかユニは黙ってしまう。
これのお守りとか早まったかなと今更後悔しはじめたがもうどうにもならない。仕方なく無視して荷物を取りに行こうと扉に手をかけ開き外に出ようとしたら
「やぁフロム君。早速だが仕事を持ってきたよ」
無駄に爽やかな教祖様が待っていたかのように書類を片手に立っていた。出待ちしてたのかこいつは、ストーカーか何かなのだろうか。
考える暇もなくケイに書類を渡される。軽く目を通してみるが、その内容のえぐさに一瞬息が止まった。
「おいケイ、私の役目はアレのお守りだよな?連れてけってのか」
「必要なことだ。ノワールがいない以上ユニに可能な限り働いて貰わなければ国の存続も危ないからね」
「なによ、あたしがお荷物になんてならない事ぐらいあんたらも知ってるでしょ!」
流石に聞こえていたようでユニが私の手から書類を奪い取る。即座に読み始めるが、数秒もしない内に青ざめてケイを見た。
「け、ケイ……?これ、本当にやるの?」
いくらなんでもヘタレるのが早すぎやしねぇか、と言いたくなる気持ちすら失せる。
私が受け取った書類には、こう書かれていた。
【ラステイション領に存在する町の1つがコピー集団に乗っ取られた。これを殲滅せよ。なお、街の被害については一切の遠慮を不要とする】。
やること自体は単純だが、言いたいことが多すぎる。
大きく息を吐いて、私はケイに向かい直した。
「1つ、コピー集団ってのは、そういうことでいいんだな」
「ああ。人間のコピーだ」
「2つ、見分ける手段はあるのか」
「先ほどユニにあるシステムをいれておいた。それで判別できるはずだ」
「3つ。アレに人間撃たせるのか」
「その必要があるというだけだよ」
涼しい顔でいうケイ。その徹底ぶりから冷血教祖の異名を聞いたことがあるが、まさしくその通りだ。まがい物とはいえ人間を撃てだ、この女神様にできるのか非常に不安だ。できない時のための私なのだろうが……
「ケイ……」
「いずれ君にやらせることを今やらせることになった、それだけのことだよ」
「人、よね……」
「詳しい説明は省くが、コピー人間に人権は認められていないため社会的には人間ではない。ユニ、本来ならば君にはまだこの経験をしてもらう予定はなかった。しかしノワール始め四女神の敗北、コピーによる信仰の低下、政府の台頭から脱するにはもはやこれしかない。これは残った女神の責務だ」
ユニは俯いて何も言わない。何も言えない。
何かを言い返そうと必死に頭を回して、それでもなお何も言い出せないのだろう。私は最初から口を挟む気もないので部屋の隅でできる分の支度をしていたが、ケイの視線がこちらに向いた。
「フロムくん、依頼内容は先ほどのとおりだ。やり方自体は、君に任せるよ」
「へいへい、今ちょうど作戦を思いついたところだ。今から出発する」
「バイクなら用意するよ」
「いんや。もっといい移動手段がある」
笑みを浮かべる私にユニもケイも首を傾げた。
「……ねぇ」
「んだよ」
広い空の下、目的の街に向かう途中でふとユニが口を開いた。
これから人型殺しをするというのだから少しでも清々しい気分を続けていたいというのに、なんと空気の読めない奴だろうか。
「聞こえてるわよ、というか……なんでアタシは移動手段役なのよぉぉぉぉ!!」
「うおぉぉぉ揺らすな落ちる!落ちる!!」
ブンブンと乗っている私を振り落とそうとするユニからおちまいと必死にしがみつく私。
そう、私達は現在、空を飛んでいる。
正確に言えば、女神化して飛行するユニに私が乗っている。
ただでさえデカイ銃を持っているから人一人ぐらい乗っていけるだろうと考えた結果、本当に乗れたのだ。狭いのは仕方ないとしても、なかなか快適だ。基本的に平べったい体型してるのもあって思ったよりも安定している。
「それで?なんでバイク使わずアタシに乗るって言ったのよ、帰りの分シェア持つかわかんないのに」
「なぁに、行きはよいよい帰りはこわいだ。正確には空からの奇襲をするわけだな」
「はぁ……ラステイションの女神がラステイションの街を壊すだなんて」
「膿は摘出しなけりゃなんねぇってことだよ。見えてきた見えてきた」
ラステイション程ではないにしろ、地階層を壁で覆った街が見えてくる。中心には高い塔が建てられており、一見すれば黒いプラネテューヌ本都にも思えるほどだ。
あそこではいま、コピー人間どもが人間様に成り代わって生活しているのだろう。そう考えればまだやりやすいというものだ。
「ユニ、中央の塔、屋上に着陸できるか」
「少し昇るわ、落ちない……やっぱ落ちちゃえ」
「ははは絶対落ちてやんねぇ」
女神化しているユニは何かと掴む部位が多い。肉体には顔の両側にあるドリル状の髪ぐらいしかないがプロセッサユニット、周囲に浮かぶ女神装甲は掴めるためか意外と安定感はある。流石にこのツインドリルは掴むのが気が引けた。髪を物理的に引かれる辛さはよく知っているつもりだ。本音を言えばケイに言いつけられるのが怖かっただけなのだが。
壁の内(上空だが)に入ると、工場街といった感じの灰色がほとんどを締め、ところどころに人らしき色も散らばっている。上空から見てみると蟻でも見ている気分だ。
しかしまぁ、黒い光まき散らしながら飛んでる人影をスルーとは、見張りは無能なのだろうか。それとも上は見ていないとかか?
「はー、やっとついた」
ユニの声ではっと現実に戻り、塔の屋上に着陸してカバンを開いて二丁の銃を取り出す。
私が背負える程度のカバンだというのに私程度に長い銃が入るというのも不思議な話だ。ラステイションはこういう実用性に関しては他国よりかなり秀でていると思う。
「さてやるか。手は出さなくていいぞ、私が全部やる」
「……あたしは、バイク替わりってわけ?」
「さてな、少なくともこの街を脱出するのと、見分ける程度の役割はあるが」
辺りを見渡して見つけた扉から塔内に侵入。身を隠しながら階段下の様子を伺っていると、コツンコツンと階段を登る音が聞こえ咄嗟に隅に隠れた。
数秒後、二人の男女が私に気づくことなく外に出ていく。私達に気づいた様子はなく、はぁと息を吐いた。
とりあえずあの二人からどうにかするかと外に出ようとした時、何かに引っ張られ立ち損ねる。後ろを見ると私の服の裾をユニが掴み、微かに震えていた。
まだ殺しすらしていないというのに、明らかに異常な様子だった。放っておく訳にも行かずどうした、と小さく聞いた。
「あ、あの二人……真っ赤だった……」
「真っ赤?」
「肌から、髪から、全身真っ赤で……あれ、人間なの……?」
ケイが言っていたあるシステムとはこういうことなのだろう。
私が見る限りさっきの人間たちは両方黒髪だった、それに肌が真っ赤ということなら私だって驚いている。私としては便利なことこの上ないが、ユニ本人にとっては気色悪いという問題ではなさそうだ。さっさと終わらせることにして、ユニは大人しくさせ私は先ほど屋上に出たふたりの後を追った。
隠密の邪魔になる銃は全て置いていき、両袖に仕込まれたレーザーブレードだけが武器の状態でゆっくりとその二つの背に近づいていく。
「これからどうなるのかなぁ」
「なるようにしかならないわ、こうして生まれちゃって、こんなことしちゃったんだもの」
二人は私に気づくことなく愚痴るように話す。
会話の内容からして、コピーは自分がコピーだということを知っているようだ。やはり、この街はコピーに文字通り占領されたのだろう。
「使われるだけの皆を集めて、こうやって勝ち取る。いつだって、そうするしかない」
息を殺し、手が届く距離まで近づく。
無警戒な奴らだ、苦手な私でもここまで気づかないとは。
「始めてしまった。ああ、始め―――ぐぅっ!?」
男の背、心臓部に右手を付けレーザーブレードを起動。現れた光の刃は男の肌、骨、内蔵を焼き切って貫通する。
「どうし―――っ!?」
「Freeze.(動くな)」
女の顔面に手を向け、鼻先まで刃を伸ばしながら止める。もう少し手を伸ばせばスっと顔面を通り脳まで焼き切るだろう。それがわかっていたのか女は黙った。
右手の剣を消し、そのまま殴るように男の背を押す。
心臓を焼き切られた上に数十mはある塔の頂上から、しかも頭から落下だ。助かりはしないだろう。
悲鳴をあげようとした女に手を突き出して黙らせる。命は惜しいのだろう、それがコピーされた人間でもだ。
「いいか、私の質問に正確に答えろ。さもなければ、今の奴の所に逝くことになる」
「……!!!」
震えながら何度もうなづく女。
一種の優越感に浸りながら、剣を一旦消して向きなおした。手は向けたままで、いつでも突き刺せるということをアピールしておく。
「1.貴様はコピーされた人間か」
女は静かに頷く。いや、声を出したくても出せないのだろう。わたしの機嫌を損ねないようにしているのだろうか。
「2.貴様らは何故この街を占領した」
「つ、つくられた私達を、ど、道具としか見ていないひとたちからにげだして、私達の町を作るため……」
「3.その目的は、こうして元の住民を殺してまですることか?」
「に、人間たちは、私達コピーを、人とは認めない、から……!」
途切れ途切れながら私に訴えかけるようにいう。
同情でも誘っているのだろうか。まぁ、確かに同情の余地はあるかもしれない。
「4.この街には、コピー人間しかいないのか」
「あなた以外は、いないでしょうね……」
その情報が聞きたかった。笑びが浮かびかけたがぐっと我慢して手を下ろす。
女も私を不安げに見ている。
「質問は以上だ。よくちゃんと話してくれた」
「そ、それじゃあ……!」
「ああ。死ね」
女の首をつかみ剣を出す。
首をつかみながら剣を出した結果、必然的に女の首を焼き切った。首をまるごと切ったためか頭だけが残り床に体が崩れ落ちる。
「ど………し……」
「答えなかったら殺すとは言ったが、答えたら殺さないとは一言も言っていない。来世はれっきとした人間に生まれて、約束事はきちんと詰めることだな」
頭を崩れた胴体の脇に転がす。首なし騎士なんてものは未だ見たことないが、化けて出られても面倒なので一緒に置いておく。
どうやら遠慮はいらなさそうだ。誤ってまともな人間を殺してしまったら面倒になるしな。
久々の大きな仕事だと思うと心が昂ぶる。楽しくなってきたと思いながらまだ震えているだろうユニの元に戻ることにした。