俺のホグワーツ日記   作:10E-18

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ハーメルンの皆様、お初お目にかかります。新参者の10E-18です。
この度ハーメルンで小説投稿を始めさせていただきました。以後よろしくお願いいたします。




1991年
7月


 

 

 

▼2日

 

日記帳を買った。

なかなか色っぽい、黒い革表紙のやつ。

今書いてるこれ。

そこそこ値ははったが、後悔はしていない。

 

 

 

▼5日

 

俺の鞄を噛んでズタズタにしやがったアホ犬よ。てめーは俺を怒らせた。

裁判不要の即極刑だ、鼻に唐辛子塗ってやる。

と思ったが、台所でアホ犬ふんじばっていざ実行しようとしたとたん母ちゃんに見つかってでかい雷落とされた。

小遣い減額とかマジありえねえ……

しかも妹にまで人間がやることじゃないと非難され、しばらく口を利いてもらえないハメになった。

解せぬ。激しく解せぬ。

 

 

 

▼6日

 

案の定というかなんというか、パフェを奢ってさえやれば途端に甘えん坊全開でよく喋るようになった。

チョロいのはありがたいんだが、妹に通用する札は年々高くつくようになってる気がして嫌な予感がする。

去年はジュース、一昨年はキャンディ、幼稚園の頃なら雑草の花なんかでも許してくれたのに。現金な奴。

来年は服を買ってくれなきゃ許さないとか言い出すんじゃねえだろうな。

 

 

 

▼10日

 

雨うぜえ。

 

 

 

▼11日

 

あのアホ犬にも学習能力と呼べるものが備わっていたようだ。

部屋の前に唐辛子の粉撒いといたら、そこから1歩も入ってこなくなった。

調子に乗って黒魔術風のヤバいデザインで拡大散布してみたら、2階に上がりもしなくなった。しかもうざったらしくじゃれてくるのもピタッと止んで、いつも俺を遠巻きに見るようになった。

俺すげえ!

 

 

 

▼12日

 

唐辛子魔法陣は母ちゃんに即一掃されたが、アホ犬は依然部屋には入ってこない。素晴らしい。

これで俺も枕を高くして眠れるってもんだ。

 

 

 

▼16日

 

悲しそうな目が見るに耐えかねたので、仕方なくアホ犬と遊んでやる。

馬鹿みたいにしっぽ振りやがって……

こちとら毛だらけヨダレだらけでいい迷惑なんだよ。

 

 

 

▼19日

 

浮気性の俺、別の文房具屋のショーウィンドーで見かけた日本の万年筆に一目惚れ。

やっぱりロンドンは素晴らしい! 文房具屋ひとつとっても別格だな。品揃えが豊富で毎回通いがいがある。

だけど衝動買いしようとしたら、別の用事だかなんだかで一緒に来ていた母ちゃんにすぐさま頭はたかれた。

別に文具馬鹿じゃねえよ、あと道で叱んなよ。超恥かいたじゃねえかよ。

でもまあ、直前まで万年筆トークで盛り上がってた店員のお姉さんが、諦めないでまた来てねって感じの優しい目を向けてくれたので許してやる。

 

 

 

▼22日

 

あいつ!!

あいつに勝手にこれを読まれた!!!

あいつのことも書いてるのに、「良い日記帳を使ってるのに文章がお粗末過ぎるよお兄ちゃん」だと!

あと「私は服より鞄が欲しいかな!」だと。

そっすか….…ずいぶん余裕っすね。

それとブツを指定してくんのやめてくれ。

とにかく、日記帳は外出先にも持ち歩くようにしよう。

下手に隠してもあいつに敵う気がしない。

 

 

 

▼27日

 

4日連続でイタズラ手紙が届いてる。しかも日増しに少しずつ数が増えてる。

妹の口車に乗せられて住むハメになった北向きの俺の部屋まで宛先に含まれてるから、気味が悪いというか不快だ。

しかも切手が貼られてないから、直接家に届けに来ていると思われる。

仕事で忙しいのに心配をかけたくないから、母ちゃんにはまだ見せてない。

同級生だった女の子とかにストーカーされてるんじゃない? とは妹の言。

もうじき11になるばかりの若い身空でそんな目に遭うのはご遠慮願いたいんだがな。

中身を見てみれば、と奴に急かされるけど、同級生がラブレター風の置き手紙を開けてみたらカミソリで指を切ったことがあったし、こんな手紙は開けない方が絶対いい。

庭で燃やすか、アホ犬に食わせるに限るだろう。

 

午後の歯医者行きたくねー!!!

 

 

 

▼28日

 

卒業記念に、学校のダチとロンドン遠征。まあ、文房具屋通いでかなり行き慣れちゃってはいるんだけど。

 

インテリキャラのジョナサンがバッキンガム宮殿に行きたいとか言い出したので、映画は後回しでまずそちらへ。

近衛兵を指差して笑ってる観光客と大学生グループにジョナサンはブチ切れてて、俺も少しいらついてはいたが、ダニーとカイル、まさかあいつらまでバカ笑い側に回るとは。

まあ、直後に近衛兵が大声で威嚇して銃構えたら、みんなビビって静かになってた。

あの歩き方を多少可笑しく感じるのはわかるけど……あちらは真剣に仕事中だからな。

 

映画館でダニーとカイルが爆睡してたので、上映終了後に放置プレイ。

出口のところのバスキンロビンスでジョナサンと感想を話してたら、案の定慌てふためいて半泣きのふたりが3番ホールから飛び出してきた。

ひとしきり笑ったあとにジョナサンとアイス買ってやって一応一言謝ったけど、こいつらが中学でもうまくやっていけるのか時々心配になるんだよな。

俺とジョナサンはしがない中流市民だけど、こいつらは一応良いとこの育ちだし、俺たちにゃ到底行けない金持ち学校に行くことが決まってる。

だけどこいつら、行きたくないって言ってんだよな。普通の地元の公立に俺たちと行きたいって。

俺もその方がこいつらに合ってる気がするけど、正直どうしようもない。

 

 

 

▼29日

 

イタズラ手紙の件がヤバくなってきた。

実は昨日も大量に届いていたのを、妹が母ちゃんから隠してくれていたらしい。

昨日と今日とで計50通。これはさすがに尋常じゃない。妹もやや青ざめた顔で見せてきた。

で、さすがに中身を見てみよう、ということになって、開けてみたのはいいんだが。

 

全部白紙だ。

中身は全部、何も書かれていない真っさらな羊皮紙が2枚ずつ。

なんだこれ?

 

やっぱりイタズラだね、と妹が言ったけど、正直異常すぎるだろこれ。

ただの白紙をこれだけの数送りつけてくるって。しかも今時珍しく、全部を妙ちきりんなデザインの封蝋で閉じてあるのに。

ジョナサンに電話で相談してみたら、犯人は昔手酷く振った彼女とかじゃないのとのこと。

んなわけあるか馬鹿野郎。彼女がいた試しがないって、幼なじみのお前がいちばんよく知ってるだろうが!

 

とにかく、最近働きづめで体調崩してる母ちゃんには内緒にしておこう、ということで妹と意見が一致。

俺の部屋のクローゼットで眠ってた(アホ犬がボロボロにしたあの)ボストンバッグに手紙を詰めて封印する。

送り主の名前も住所もわからない以上こちらは何もできないんだが、母ちゃんが気づく前にどうにか終わってほしい。

 

いったいだれだよ、こんな傍迷惑なことする奴。当事者の俺より妹の方が怯えてるだろうが、ふざけんな。

もし明日も投函してきたら絶対見つけて引きずり出して、鼻を2回はぶん殴ってやる。

 

 

 

▼30日

 

来やがった。

とうとう今朝だけで100通も出して来やがった。

しかもドアから窓からベランダから、あらゆる場所から差し込まれていた始末。

母ちゃんが起きだす前に全部回収する作業だけで軽く1時間かかったくらいだ、あのアホ犬もこの際駆り出して、本当にてんやわんやだった。

 

しかも中身は、また全部真っ白な2枚の羊皮紙。

全部俺宛。

昨日は誰かが侵入して来たときの用心として、金属製のバット抱えてリビングのソファで眠ったんだが、そしたら宛先の最後が全部そこに変更されてた。

 

妹がガチで震えてる。

「お兄ちゃん、そいつが明け方に、ずっと私たちの家の周りに張り付いて手紙をねじ込んでいたんだよ、私たちを見てたんだよ」って。

こんな時だけアホ犬って有能なのな、妹の手を優しく舐めて抱きしめてよってねだって、うまく妹をなだめてる。

少しずつ妹が落ち着いてる間にトーストや焼きベーコンの簡単な朝食を作りながら、この先どうしようか俺は凄く悩んでた。

 

妹宛の手紙ってんなら、まだわかる。

そしてその手の変態の仕業なら、俺だってもっと早くに母ちゃんに相談して、警察にも行っていた。

だけど、手紙は全部執拗なくらい俺宛てだ。そこがどうにも奇妙だ。

いや、男子だろうと変態に狙われないってわけでは決してないんだろうが、それにしてはやり方があまりにもおかし過ぎる。

 

それともただの嫌がらせなのか。

でもそれなら、100回の無言電話のほうがよほど楽だろうに。

わざわざ何も書いてない手紙だけを届けに来る作業が好きな、そういう方向の変態なのか?

それに、こんなことをされる理由も相手も、まるで心当たりがないのだ。

強いて言えば、もうじきパブリックに行くんだと威張り散らしてジョナサンを虐めてた同級生をぶん殴ったことはあったけども。

そいつらはダニーとカイルで、今じゃ俺とジョナサンを逆に慕ってくれるくらいには仲の良い関係を築いているし、わざわざそんなことを考えるまでもなくあいつらのわけがない。

あとは成績不振で教頭に嫌われていたが、奴との喧嘩は学校の中で毎日きっちり済ませてきたし、奴もこんなことをするよか生徒の成績状況を洗いざらい調べてる方が好きなはずだ。

 

わからない。考えたところでわかるはずもない。

わかるのはせいぜい、このままだと間違いなくヤバい事態になるってことだ。

 

とにかく俺はジョナサンとダニーとカイルに電話して、悪いけど明日予定してた遊びには行けそうにない、と連絡した。

ダニーとカイルは幸いただ残念がっただけだけど、昨日も電話で話したばかりのジョナサンにはすぐ「悪化したのか」と突っ込まれた。

俺も一晩そっちに居ようか、と申し出てくれたけど、さすがに巻き込めないので日中だけ来てもらうことにする。

 

夜7時、ジョナサンを帰す。かなりしぶしぶだったが、明日も手紙が来たら母ちゃんに打ち明けると約束したら納得してくれた。

 

夜9時、妹を寝かす。何も知らせてない母ちゃんは今、二階の部屋で夏風邪を療養中。

俺は今夜徹夜だ。とにかく、犯人の姿くらいは確認しておかないと。

 

夜11時、いよいよ日付がもうすぐ変わる。

もし変質者が襲ってきたら、父ちゃんに仕込まれたフルスイングを顎先に見舞ってやる。

来るなら来い。金属バット舐めんなよ。

家を守るのはこの俺だ。

 

 

 

▼31日

 

だれだこの鉤鼻。

 

 

 

 






さて、記念すべき(?)初投稿でした。いかがでしたか?
「これ小説じゃないじゃんよ」というお方。ごめんなさいその通りです。日記風の似非小説です。
本当はハリポタでちゃんしたSSを書きたかったのですが、なにぶん作者は物語をちゃんと完結させたことがなく……
故に、少し砕けていて噛みくだしやすい物語を書くことにいたしました。
オリキャラ主人公の「俺」はマグル育ちのごく普通の男の子です。一人前の男を振る舞いたいお年頃です。
適応力は高そうなので、まあホグワーツでもうまくやっていくことでしょう。
ハリーたちともそのうち絡むようになります。あと、ドラコの子分ふたりには妙な保護欲を覚えるでしょうね……
次回8月分が終われば、9月からは魔法学校ヒャッホウな日々が始まります。まずはそこまで読んでみてくだされば幸いです。

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