架物語   作:藍鳥

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 最近は寒いようなそうでもないような......。
 ともあれオリキャラ投下です。


こよみアクセル 001

 

   015

 

 「あァ? オマエら向こう側の人間かァ? ったく、どうなってンだ、学園都市のセキュリティシステムは」

 

 僕と一方通行、忍と打ち止めは奇妙な集団に出会していた。

 敵とのエンカウントである。

 

 「いえ、学園都市のセキュリティシステムは優秀の一言に尽きます。ですが僕たちにとってはそんな物は関係ないのですよ」

 

 ローブのフードに隠された顔からも、その声色からも、彼らの正体をうかがい知ることはできない。もっとも、フードを取っても、その正体は僕にはわからないだろうけど。

 人を殺せそうな視線で睨みつつ、一方通行は告げる。

 相手の目的も都合も関係なしに、あくまで冷酷に。

 ここは学園都市。科学の街だ。

 だから、これは偏見かもしれないけれど、ローブなんていう西洋風な格好をしている人間がいるとは思えない。

 だとすれば、なんだ?

 

 「今すぐここから消え失せろ。まァ、スクラップをお望みならば、遠慮なしにいかせてもらうがなァ!!」

 

 十分時間はあった。敵にこれ以上のシンキングタイムはない。

 一方通行が直接動く。

 

 「___ぶゥッ潰す!!」

 

 僕は一方通行の学園都市最強と謳われる超能力の詳細など分からない。

 だけど、直感でこれだけはわかった。

 あいつの両腕は、冗談抜きに、一瞬で人を殺せる腕だと。

 その気になれば、吸血鬼だって灰に還せる腕だと。

 そして。

 白色の死がローブの集団に到達する___

 

 バキィィィィィィイン!!!

 

 「ッ!?」

 

 何かに阻まれた。

 初めて一方通行に驚愕の表情が浮かぶ。

 僕や忍、打ち止めはそこから一歩も動けないでいた。動く暇もない。

 再び一方通行が動く。

 

 「ふざけてンじゃ、ねェ!!!」

 

 ごがっ!! と暴風が吹き荒れる。

 そこで僕はようやく実感した。

 ヤバい。

 このままでは巻き込まれて死ぬ。

 

 「忍!! 打ち止めちゃんを連れて飛べ!!」

 

 「ドーナツ一個追加じゃぞ!」

 

 忍は打ち止めの後ろから腰に手を回し、飛んだ。

 よし、これで忍と打ち止めの脱出は完了だ。

 これで存分に戦える、という訳ではないが、いくらか動きやすい。

 

 「ブッ飛べ!!」

 

 暴風がローブの集団に集中する。

 しかし。

 それでもヤツらは動かない。

 

 「我々は『新世界』の人間。そのような子供騙しは通用しません。所詮は学園都市、この程度でしょうか」

 

 学園都市最強の超能力者を、子供騙しと、その程度だと言った。

 あの格好、西洋風魔法使いみたいな雰囲気。

 ヤツらはおそらく超能力者ではなく、魔術師の方だろう。

 科学に対するもう一つの力、魔術。

 そしてついにヤツらが動いた。

 五人がバラバラに散らばる。

 

 「クソッたれが!」

 

 一方通行はその中の一人、先程言葉を発したおそらくリーダーだと思われるヤツへと一直線に飛んでいく。

 攻撃を仕掛ける。

 しかし。

 

 「ダメですよ、そんな力じゃ」

 

 対して相手は虚空に火の玉を発現させる。火の玉、と言うよりは分離した魂のような。

 ますます魔術っぽい。

 僕はまだ呑気にそんなことを考えていた。

 火の玉が飛ぶ。

 

 「舐めてンじゃねェ!」

 

 一方通行は火の玉を跳ね返した___反射した。

 直後、火の玉は虹色に霧散した。

 

 「なるほど、さすが学園都市第一位。この程度の魔術はなんてことない、ということですね」

 

 ニヤリ、とフードの奥で、笑った気がした。

 一方通行は。

 

 「がァあァァァァァァァァァァァ!!?」

 

 絶叫した。

 絶叫しながら、僕の方へ後退する。

 

 「どうしたんだ!?」

 

 「魔術かッ! クソがッ!!」

 

 魔術。

 一方通行の力すら通用しない、魔術師。

 ヤツらは一体何者なんだ?

 だけど、今はそんなことを考えている暇はない。

 この状況を切り抜けることを考えろ。

 やるべきことは何だ?

 応戦か。

 逃走か。

 一方通行に頼りっきりにはなれない。

 さぁ、どうする。

 

 「なぁ、一方通行。あいつらの『壁』を取り払えば、後はお前の力でなんとかなるんだよな」

 

 「あァ、おそらくはなァ」

 

 ならば、いける。

 あいつらが魔術の『壁』によって守られているのなら、一つできることがある。

 僕は告げる。

 提案する。

 

 「一方通行、あの『壁』は僕に任せてほしい」

 

 「何言ってンだ、オマエ」

 

 「あの『壁』は僕が破る」

 

 再び火の玉が飛ぶ。続いて、電撃、雹の弾丸、黒色の何か。

 一方通行がその全てを消しさる。

 五人が僕たちの周りを回る。攻撃のタイミングをうかがっている。

 僕は地面を蹴る。

 

 「うおぉぉぉぉぉ!!」

 

 リーダーのローブまであと十メートル。

 吸血鬼の脚で加速する。

 九メートル。

 八メートル。

 七メートル。

 六メートル____そして。

 

 「行くぜ! 魔術師!!」

 

 ___昨日の夜、バスタブに横になる直前。

 僕は忍に一つ頼みごとをした。

 

 僕の影。

 その奥に潜む一本の、妖刀。

 

 「これでも、喰らえ!」

 

 僕は影から型無しの抜刀術を繰り出した。

 妖刀『心渡』が魔術の『壁』を打ち破る。

 

 「なるほど」

 

 そのまま『心渡』の斬撃は、ローブごと切り裂いた。

 

 ブッ......、とローブの姿がブレる。ノイズが走る。

 まるで、映像のように揺らいだ。

 

 「何!?」

 

 その姿を歪めながら、ローブは言う。

 

 「なるほ...ザザザザ...ど、これが異...ゾゾゾゾゾゾゾ...ですか...ガガガ」

 

 何が起こってる?

 突然、他のローブたちの姿にもノイズが走りだした。

 

 「これは...ジジジ...十分な、収...ザザザ...」

 

 もう、何を言っているのか聞き取れなかった。

 やがて......。

 

 「消えた、のか?」

 

 「そォみたいだなァ」

 

 気付けば、元の学生で溢れた学園都市に戻っていた。

 

 

 

 

 

   016 @ 3rd person

 

 第三次世界大戦は科学サイドの勝利に終わった。それは紛れもない事実である。

 しかし実際それは右方のフィアンマなど一部の魔術師が独断で始めた戦争であり、この世界に存在する全ての魔術師が科学に反抗した訳ではなかったのだ。

 そして、その結果に納得しなかった魔術師たち。

 

 「勝手に魔術サイド代表を名乗って、勝手に負けてんじゃねぇよ」

 

 「『神の右席』が最強だと思ったら大間違いだぞ」

 

 そんなヤツらが集い、新たに世界に反したのが『グレムリン』だ。

 隻眼のオティヌスを中心に、彼女を魔神に仕立てようとして、実際に魔神にまで昇華させた『グレムリン』。

 だが、逆なのかもしれない。

 全ては最初から隻眼の魔神によって決められていたこと。

 『グレムリン』がオティヌスを魔神に昇華させたのではなく。

 オティヌスが『グレムリン』を操作し、自身を魔神にまで昇華させた。

 その可能性だって十分にあるのだ。十分過ぎる程にあるのだ。

 

 最終的にオティヌスは、幻想殺しの少年、上条当麻によって救われたのだが、それはまた別の話。

 そして、今回もまた同じなのかもしれない。

 世界に納得せず、世界に理解されず、世界に絶望した者たち。

 彼らが望む物は何だ。

 己を支える希望か。

 誰かを貶める絶望か。

 それとも___

 

 『新世界』。

 

 新たなる反逆者が現れた。

 

 

 

 

 「___なるほど、『新世界』、ですか」

 

 神裂火織は報告書に目を通し、一度深く息を吐いた。

 上条当麻に、禁書目録(インデックス)、それに魔神オティヌスまでもが消えてしまったという大問題。

 良からぬことを企む魔術結社に下手に知られれば、また科学と魔術の戦争が起こりかねない。

 そしてこの男も同意見のようだ。

 

 「なんとしても、あの子を連れ戻して、上条当麻を一発ぶん殴るまでは気が済まない!」

 

 ステイル=マグヌス。

 神裂とステイルは共にイギリス清教『必要悪の協会(ネセサリウス)』所属の魔術師だ。

 ちなみに、上条当麻消失の情報は、学園都市在住のスパイやらなんやらいろいろやってる土御門からの情報である。

 

 『新世界』を名乗る謎の魔術結社が突然変異のように現れ、一瞬にして学園都市に大規模術式を発動させた。

 一体どんな術式が組まれたのかはまだわかっていないが、上条当麻の幻想殺しで打ち消しきれなかったところを見る限り、かなり強力なものと思われる。

 

 「しかしこれ程の術式となると、相当の人員が必要ですよね」

 

 「ああ。もしくは物凄い魔力を持った単体か、だ。それも魔神レベルの」

 

 「魔神オティヌスを上回る魔神ですか......」

 

 いよいよ大変なことになってきた、と神裂は身を引き締める。

 上条当麻も禁書目録も魔神オティヌスも、なんとしてでも取り戻さなくてはならないのだ。

 そのための『必要悪の協会』である。

 

 とそこで。

 

 

 「話は聞かせてもらったぞ」

 

 

 「!? あなたは......!」

 

 いきなり何者かが闖入してきた。

 見た目、禁書目録とそう変わらないサイズの少女___

 

 「レイヴィニア=バードウェイだ」

 

 「いえ知ってますよ。ですからそうではなくて、なぜあなたがこんな所にいるのですか!」

 

 神裂が慌てた様子で訊くと、バードウェイは困ったような呆れたような顔で、

 

 「私が協力してやると言っている。それ以上何か言う必要があるのか?」

 

 と言うと、逆に今度は神裂の方が困った顔で、

 

 「いえ、そういうことではなく。あなたはイギリス清教にあまり良い目で見られていなかったと思うんですが」

 

 と言った。

 実際、彼女の所属している黄金系魔術結社『明け色の陽射し』は何度かイギリス清教の強襲を受けており、そのためロクな拠点を構えられない状況なのだ。

 だから当然、『明け色の陽射し』のリーダーがそう簡単にイギリス清教と手を組めるはずなどないのだが......。

 

 「その点なら問題ない。今回は『明け色の陽射し』のトップとしてではなく、レイヴィニア=バードウェイ個人として協力すると言っている」

 

 「はぁ、なら別に構わないのですが、一体なぜわざわざ首を突っ込むのですか?」

 

 神裂がまぁあたりまえの質問をする。

 あのレイヴィニア=バードウェイ様のことだから、たとえイギリス清教側から協力を依頼しても「めんどくさい」と突っぱねてしまいそうなのだが......、と神裂は考える。

 

 「ああー......、ま、まぁ気まぐれだよ。たまたま仕事の手が開いたのでな、付き合ってやることにした」

 

 無い胸を張りながらなにやら懸命に誤魔化すバードウェイ様。

 

 「どうする神裂。僕は一秒でも早くあの子が戻ってこれるのなら構わないけど?」

 

 「そうですね、わかりました。レイヴィニア=バードウェイ、ご協力感謝します」

 

 こうして、イギリス清教とバードウェイは一時的に共闘戦線を結んだのであった。

 そう言えば、どうしてバードウェイは極秘秘密である上条当麻消失の件を知ったのかは、聞かない方が己の身のためである。

 

 

 




 とりあえず出したかったバードウェイ様。
 三人称視点はとりあえずこんな感じでやります。阿良々木暦以外は三人称でやるつもりです。
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