艦娘と改造人間   作:断空我

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今日の更新はひとまずこれまで、

活動報告にアンケートをのせているので時間があれば見てください。




21.忍び寄る悪意

 

 

 

激しい雨が降っていた。

 

全身を針のような雨に打たれる中で仮面ライダーはいた。

 

今のような深緑色のグローブやブーツではない。

 

ライトブルーに近い色をした仮面。

 

その仮面やブーツは砲撃と血で汚れていた。

 

海が荒れている中、仮面ライダーと向き合っている深海棲艦がいる。

 

振るえる拳を構えて、仮面ライダーは海を蹴り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そうか、もうそんな時期か」

 

薄暗い部屋の中でヤマトは目を覚ます。

 

最近見ることのなかった。

 

“あの日”の夢。

 

最初は毎日のように見てきた。決して忘れることがなかった。最近は、見ることが年々減っていた気がする。

 

「忘れるなということだろうな」

 

誰に言うことなくヤマトは呟く。

 

夢を見たという事は忘れるなということなのだと考える。

 

立花ヤマトよ。お前は決して許されていないのだ、と。

 

天井へ拳をあげる。

 

決して消えることのない感触。

 

感覚、全てが鮮明に思い出せる。

 

ヤマトは――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタ達、ずっとあの人間の話ばかりするわよね」

 

曙は鎮守府の艦娘寮にいる。

 

そこでは同じ綾波型の潮、漣、朧の姿があった。

 

「へ?そう?」

 

「まー、ご主人様と話すことは楽しいよね」

 

「う、うん…」

 

「あの人間と話すことのどこが楽しいの?」

 

「あ、曙ちゃんも話してみようよ。そうしたら」

 

「悪いけど、無理」

 

「まだ、信用、できない?」

 

「…うん」

 

潮へ曙は正直に話す。

 

この鎮守府は最初のころと比べると変わった。

 

最初は叢雲を筆頭に人間の力を借りない動きをとっていた。それが次第に人間と共に戦うみたいな話へなっていた。

 

曙としては叢雲が指揮を執ることは変わりないから何も言わない。しかし、あの人間、立花ヤマトと話をすることは死んでも嫌だ。

 

未だに曙は人間が信じられない。

 

潮達は心を開いているが彼女だけはどうしても信用できないのだ。あの提督も、その次にやってきた人間も、もしかしたらという気持ちが曙に立花ヤマトと関わることを抑え込んでいた。

 

潮達としては本当に信じられる人間だから話をするべきだといっているが今までの事から曙は踏み入れなかった。

 

「ま、無理強いはしないよ?」

 

「ありがと、機会があったら…そうする」

 

朧が仲裁に入ることでこの話は終わる。

 

曙はちらりと外を見た。

 

空は分厚い雲に覆われ始めていた。

 

「(立花ヤマト…ね)」

 

立花ヤマト。

 

提督代行でこの鎮守府へやってきたが提督らしい仕事は全くしていない。というより自ら関与することを拒んでいる節がみられる。

 

叢雲が書類作業に戸惑っているとさりげなく助けている姿を何度か目にしたことがあるだけ。

 

その時の叢雲の顔を思い出して曙はまた考えてしまう。

 

あの人間は信用できるか。

 

おそらくYESだろう。

 

しかし、本当に?という疑問がいつまでたっても曙の中から消えない。

 

過去の受けた傷が今も彼女に最初の一歩を踏み出すことを止めている。

 

曙がそんなことを考えて廊下を歩いていると反対側からやってくる艦娘がいた。

 

「あ、曙ちゃんじゃないですか」

 

「…青葉?」

 

重巡洋艦青葉、この鎮守府に所属する艦娘だったのだが、最近姿を見なかった。

 

「アンタ、今までどこに?」

 

「やー、新しくここへ提督さんがくることになったじゃないですか?その人の情報を集めて回っていたのです」

 

「…既に着任しているけど」

 

「えぇええええええええええええええええええええええ!?」

 

付け加えるならどこかどんくさいところがあるということだ。

 

勝手に鎮守府を抜け出すことは問題なのだが曙はスルーした。ここで責める人間はいない。そもそも青葉が取材と称して外へ抜け出したことで前々提督の悪行は表へでてきたのだ。

 

「みなさん!無事ですか!?ひどい目にあったりとかは」

 

「そんなことないわよ」

 

「え?」

 

青葉が信じられない顔をしていた。

 

「あの、着任した人って、立花ヤマトさんですよね?」

 

「何よ、どうせ的外れな情報をとってきたんでしょ」

 

「いえ、実はですね」

 

青葉が持ってきた情報に曙は大きく目を見開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…さて、と」

 

ヤマトは食堂へ向かう。

 

食事当番は艦娘によるローテーションのはずだったのだが今日はどういうわけかヤマトが当番になっていた。

 

納得できないと抗議したかったが陸奥の「働かぬもの(以下略)」により轟沈。エプロンを装着して簡単な野菜炒めを作る。

 

ご飯が炊き終わった所で訓練を終えた艦娘達がやってきた。

 

「ヤマトさん!お疲れ様です」

 

ビシッと敬礼を決めて吹雪がやってくる。

 

「ほらよ。足りなければもっと出すぞ」

 

「い、いえ、これでも多いかと」

 

「お前は少食だからな。これぐらい食え、長月、そのニンジンを隣へやったら次から俺は容赦しないぞ」

 

「う…」

 

「わ!長月!好き嫌いはやめろよ」

 

「そ、そういう皐月こそ!ピーマンを残しているぞ」

 

「ボクは後で食べるから大丈夫だい」

 

そんなやり取りを睦月や如月がニコニコとみている。

 

暖かい場面。

 

今朝の夢があるからこそ余計にヤマトは思う。

 

暖かい場面が絶望へ反転したのはその瞬間だった。

 

派手な音を立てて食事をしていた文月と望月が倒れる。

 

続いて食事をとっていた長月と皐月もだ。

 

「さ、皐月ちゃん!?」

 

「みんなどうしたの!?」

 

異変に気付いて訓練から戻ってきた艦娘達が駆け寄る。

 

「すぐに彼女達を医務室へ!いえ、入渠施設!!」

 

叢雲が指示を飛ばして川内や足柄達が運び出していく。

 

残されたヤマトは置かれている食事へ手を伸ばす。

 

舌へ含んだ途端、吐き出した。

 

「(薬物が混入している…だと)」

 

目を見開いているヤマトがこの事実を知り、他の者は気づかなかった。

 

一人、天龍だけが彼の様子を見ているのみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「足柄さん、文月たちの様子は?」

 

「命に別状はないわ。只…しばらくおかゆの食事になるわね」

 

「驚いたな~、艦娘で医師免許とっているなんて」

 

「取れる資格は全てとる。できる女の基本よ」

 

「ま~、それでいい男は捕まっていないけどね」

 

「愛宕!!」

 

医務室で愛宕を怒鳴る足柄、文月達が無事と聞いて吹雪たちは安堵の表情を浮かべる。

 

しかし、次の言葉で場が重くなった。

 

「それで、原因は何かしら?」

 

声を発したのは叢雲。

 

その言葉に誰もが言葉を詰まらせる。

 

「俺が作った昼飯だ」

 

沈黙が場を切り裂いた。その根源はヤマト。

 

ヤマトへ全員の視線が集まる。

 

「どういう、こと?」

 

「俺の料理に劇薬が混入していた。それを文月達が食べて――」

 

「アンタがやったわけね!」

 

扉が乱暴に開いて曙が現れる。

 

彼女の目は怒りに染まっていた。

 

曙は周りの制止を聴かずにヤマトの胸倉をつかむ。

 

「俺、じゃない」

 

胸倉を掴まれながらもヤマトは表情を変えない。

 

自分はやっていないという。

 

しかし、曙は冷静さを欠いていた。

 

彼女の家族、姉妹の潮と漣も被害を受けていたのだ。

 

だからこそ、曙は言ってしまう。

 

ヤマトにとって最も禁忌、告げてはいけない言葉を。

 

「この艦娘殺し!!」

 

「…!!」

 

曙が叫んだとともに信じられない力で突き飛ばされる。

 

派手な音と共に曙は地面へ倒れこむ。

 

吹雪が慌てて彼女に駆け寄る。

 

無表情のヤマトはそのまま部屋を出ていく。

 

突然の事態に誰もついていけず困惑する。

 

その事件が切っ掛けなのか曙が叫んだ「艦娘殺し」が原因か。

 

翌日。

 

立花ヤマトは鎮守府から姿を消した。

 

 

 

 

 

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