立花ヤマト、南光太郎、そしてもう一人を含めた三人は同じ日に生まれたことをきっかけに近所付き合いがあり、親友の関係だった。
しかし、ヤマトがショッカーに拉致され、改造人間とされたことを切欠に二人と会うことがなくなる。
しばらくして南光太郎ともう一人も暗黒結社ゴルゴムに拉致されてしまう。
光太郎は改造人間となった。
そして、今回ビルゲニアの企みにより二人は一時的に戦った。
「光太郎…」
「ヤマト」
二人は驚いていた。
海から無事に這い上がった時、互いの姿をみて驚く。
「お前があの黒い飛蝗だったのか」
「ヤマト、キミもあの姿」
しばらくして、二人は互いに情報を伝える。
ヤマトはショッカーについて、鎮守府の艦娘のことを。光太郎はゴルゴムの事を、ビルゲニアの事を。
それらを伝えたところで二人は騙されたという事に気付く。
「ま、そのあと、鎮守府へ戻ったら回復した文月達から事情を聴かされた。急いでここへやってきたという次第だ」
敵と睨みながら叢雲へ事情を話す。
光太郎も頷く。
「ま、こんな形で親友と再会するとは思わなかったけど」
「俺のセリフだ」
そういいながら二人は相手の動きに注意している。
「まぁいい。まとめて潰したらいいだけだし」
「そうだな」
ソニックアローを構えて上条が、ビルセイバーを構えて不敵に笑うビルゲニア。
「行くぞ、光太郎」
「あぁ」
二人は同時に変身する。
光と風と共に仮面ライダーとBLACKとなる。
「ビルゲニアは俺が、あの青いのはヤマト」
「わかった」
BLACKはビルゲニアと戦う。
ビルゲニアは盾と剣で防ぐ、刃を振るうを繰り返している。
持ち前の俊足さを生かしてBLACKは刃を防ぎ、反撃で拳を放っていた。
「ビルゲニア!何を企んでいる!」
「決まっている。貴様を倒し、俺は創生王になる。その為に利用しているだけだ」
「あの騎士甲冑は」
「知らん、ただ使えるから駒としているのみ」
叫びながらビルゲニアはダークストームを放つ。
衝撃でBLACKは壁にたたきつけられてしまう。
「計画が少し狂ったがまぁいい。貴様を倒して俺は創生王となろう」
ビルセイバーを構えてゆっくりと近づいていく。
「ぐっ」
ふらふらと体を起こしたBLACKだが、ビルゲニアが刃を振り下ろす方が早い。
「俺の勝ち」
「させません!」
吹雪が連装砲でビルゲニアを狙う。
横から砲撃を受けて吹き飛ばされたビルゲニア。
「だ、大丈夫ですか?」
「キミは…」
「特型駆逐艦の吹雪です!援護します」
「しかし」
「私、だって」
吹雪の目は決意に満ちていた。
「仲間を傷つけられて怒っているんです!!」
そういってビルゲニアへ連装砲を撃つ。
「貴様ァ!」
激昂したビルゲニアは盾で砲弾を防ぐ。
続いて青葉が砲撃する。
「青葉だって、怒ります!真っ黒さん!援護しますから」
「仕方ない。援護を頼む……あと、BLACKだ」
流石に真っ黒と呼ばれるのはいやなのだろう。
訂正を入れてBLACKはビルゲニアとの戦いをはじめる。
飛来するソニックアローの矢を縦横無尽に飛び回りながら仮面ライダーは躱す。
上条は苛立ちながらソニックアローで追撃する。
飛来する矢を右へ左と躱しつつ、距離を詰めていく。
近づいたところでソニックアローのソードボウが煌めいた。
仮面ライダーは後ろへ反転、回避して拳を振るう。
アーマーの一部を受けて上条は地面に倒れる。
「この、艦娘殺し!」
「だからどうした?」
飛来する矢を躱してさらなる一撃を放つ。
衝撃と共に上条はのけ反る。
そのまま拳を構えたところで横から、後ろから艦娘達が仮面ライダーを羽交い絞めする。
「なっ!?」
咄嗟の事に仮面ライダーは動けない。
「死ね!」
そこを上条のソニックアローが降り注ぐ。
派手な爆発と共に仮面ライダーが地面に倒れる。
周囲にいる艦娘達は大破の手前だが生きていた。
「お前、彼女達を」
「優秀なコマだろう?レア度が高いから沈めないよう手加減したけど、まぁ、これでお前を楽につぶせるわ」
余裕綽々という態度でソニックアローの先を仮面ライダーへ向ける。
「彼女達は駒じゃない」
仮面ライダーはその言葉を否定する。
「お前が言うのか?その手で艦娘を殺したお前が?」
「だからこそいうのさ」
艦娘殺し。
人殺し。
同族殺し。
何であろうと殺した罪は消えない。
だからこそ。
「俺は忘れない。彼女の事を…」
「そうかい、貴重な艦娘を殺したことを後悔しながら消えろ」
ソニックアローにエネルギーが集まっていく中、陸奥の拳が上条に当たる。
「ぐふぅ?」
衝撃で宙を舞うが矢は止まらない。
標的が代わり、狙いは陸奥へ。
「う、ぅぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!」
痛む体を無理やり起こして仮面ライダーは走る。
飛来する矢が陸奥へ迫るギリギリのところで拳が間に入った。
激痛と鮮血が飛び散る。
「ヤマト!」
陸奥が悲鳴を上げる。
「大丈夫、だ」
右手を押さえながら仮面ライダーは言う。
「それよりも、無茶するな」
「嫌よ。姉さんだってあなたを助けるために無茶ばかりしていたわ。私だってそうする」
陸奥はそういってヤマトへ手を伸ばす。
硬い仮面に当たって頬へ触れることはできない。
「……」
姉といわれてヤマトは言葉を詰まらせる。
「貴方がずっと姉さんの事で苦しんでいるのは知っている。でも、今は戦って…貴方は」
「わかっている」
ヤマトはゆっくりと立ち上がる。
自分は――。
仮面ライダーは上条を睨む。
少しの時間だが体勢を整えたようだ。
ソニックアローを構えている。
勝負は一瞬、
逃したら負ける。
仮面ライダーは地面を蹴る。
突如、上条の姿が複数に増えた。
「何…」
「このまま消え去れ」
どれが本物かわからず動きが鈍る。そこを突いてエネルギーを収束した一撃が放たれた。
当たるという瞬間、眩い光がエネルギーの矢を打ち消す。
「なっ!?」
上条が動揺した瞬間、上空から仮面ライダーと仮面ライダーBLACKが現れる。
二人は同時に“ライダーキック”を放つ。
衝撃と共にキックはソニックアロー、腰のバックルを粉々に打ち砕いた。
バックルが火花を散らすと上条の鎧が消え去る。
「そん…な」
衝撃をまともに体で受けたからだろう。上条は白目をむいて気絶していた。
「…助けてと頼んだ覚えはないぞ」
「危なかっただろ?」
「そうだが…あのピンク野郎は?」
「逃げた」
「成程」
しばらくして谷元帥率いる憲兵によって上条提督は緊急逮捕された。
逮捕理由はよその鎮守府における資材の横領という理由だが実際は暗黒結社ゴルゴムに身を寄せていたという理由と艦娘の横流し。
どこへ横流ししてのかはわからない。
さらわれた艦娘の数は多く、ほとんどが行方不明なのだが書類上、轟沈、もしくは解体扱いにされているようだ。
その報告を聞いた叢雲は書類を机に置く。
上条提督の用意した書類は上層部が作成したモノ。
「それで、私達はどうなるのかしら?」
叢雲の前に待つ谷元帥へ訊ねる。
傍には側近として待機している大淀の姿があった。
陸奥は入渠中のため、代理として赤城がその場にいる。
「まずは、何度もキミ達を傷つけるようなことをしてしまって申し訳ない」
「…謝罪の言葉なんかいらない」
叢雲が鋭い目で睨む。
これまでに数多くの嫌なことがあった。
前々提督による無謀な進軍で多くの仲間が沈んだこと、次の人間も同じ奴だったこと。かつての提督が自分たちを再度利用しようとした事、今回の上条提督の件。
許せといわれて許せるものではなかった。
「また、私達は仲間を失う所だった…コードとやらのせいでね」
実際はビルゲニアの催眠術だがそれを証明する術はない。
故に空海の奴が以前述べていたコードを理由にすることとした。何分、冷静でいられたのは天龍が轟沈していなかったからだろう。そうなっていたら、冷静でいられた自信がない。
谷元帥は表情を変えない。
「確かに提督は非常時にキミ達へ特別に命令するコードが与えられている」
「私達はそれを知らない。暴動されないようにでしょ?」
「それもある」
「これだから人間は信用できない」
突き放す物言いに谷元帥は頭を下げる。
「何度キミ達に絶望されたとしても私はこうして頭を下げることしかできない」
「そうしてもらえればいつか許してもらえるって?悪いけれど、人間を許すつもりはない。何度も私達を騙して、今回の事も…限界よ。私はアンタ達を信じることはしない」
「叢雲さん!」
大淀が何か言おうとするがそれを谷は止める。
「ならば、どうする?」
「そうね。こちらから提案することがいくつかある。まずは」
「ヤマト」
「断る」
「まだ何も言っていないだろ!?」
「お前の事だから金を貸してほしいとか飯をおごってだろ?」
「そんなことを今まで頼んだことはない!からかっているな」
「あたり前だ。お前ほど、弄って楽しい友達はいない」
「全く」
鎮守府の入口でヤマトと光太郎は話をしていた。
親友で改造人間。皮肉としか言いようがない状況だが、お互いに親友と再会できた喜びは確かにある。
「ヤマトは提督をやっているのか?」
「いや違う」
「じゃあ、どうして艦娘と関わって」
「約束だよ」
「……約束?」
「そう、約束」
雨の日、そう長門をヤマトが殺した日。
血まみれの自分の腕を掴んで、抱きしめて長門と交わした最後の約束。
――私の仲間を守ってくれ。
彼女を殺したときと同じくらい忘れてはいけない約束。
その約束を守る為、ヤマトはここにいる。
「光太郎、お前はこれからどうするつもりだ?」
「え、あぁ、そのことなんだけど」
「嫌だぞ」
「実は部屋を、まだ何も言っていないんだけど!?」
「先が見えた…まぁ、しばらくはここにいるといいさ」
「……ありがとう、ヤマト」
「ま、ペンキまみれになるがいいさ」
「ペンキまみれ!?」
「さて、俺は…少し行ってくるわ」
ヤマトはぞろぞろとやってくる潮達をみて、近づく。
光太郎は遠くから見ることにしたようだ。
「あ、あの、ヤマトさん」
「潮達、もう動いても大丈夫なのか?」
「はい!ご主人様の愛の看病が欲しかったですけど」
「そんなものはない」
あぁ、つれない!という漣を押しのけて朧が前に立つ。
「あの、曙が話あって」
三人と入れ替わるようにして曙が前へ立つ。
怯えているのか目を忙しなく動かしてヤマトと合わせようとしない。
「あの、その」
「ほら、曙ちゃん」
「頑張って」
「大丈夫ですって、信じなさい救われる」
「うるさい!その…ご、ごめんなさい」
小さなものだったがヤマトの耳に届いた。
「事実だし、さして気にしてねぇよ」
「でも、事情を知らなかったから……」
「知っていたら言わなかったのか?」
「そ、それは!」
「違うだろ?だったら気にするな…といってもお前は気にするだろうからな。一つ罰を与えよう」
「罰?」
身構える曙へヤマトは頷く。
「明日の昼食、お前が作れ。それが罰だ」
「………………それだけ?」
「そうか、足りないか、ならどぶ掃除とかを」
「わー!凄いね曙ちゃん!」
「大変な罰なんだからしっかり受けないとね、昼食頑張って!」
朧と漣が叫び。
戸惑いながら曙は頷く。
「はい、明日はよろしく~はぁ、楽できるわぁ」
そういってヤマトは離れようとしたが。
「こ、これからお願いするわ。クソ提督!」
曙の言葉にヤマトは立ち止まる。
「なに?」
自分の耳が間違いでなければ提督と呼ばれたような?
「あれ、ヤマトさん、聴いていないんですか?」
「何を…?」
嫌な予感、早急に逃げよ。
頭の中でその文字が浮き上がる。しかし、すでに遅かった。
「叢雲ちゃんと谷元帥との取り決めで、ここの提督に正式採用されたって」
「これです!」
漣が書類をみせる。
それを眺めた後、ヤマトは小さく溜息を零す。
「マジ、か」
書類を見ているとつかつかと複数の足音がやってきた。
振り返ると叢雲をはじめとする舞鶴鎮守府の艦娘達だ。
「お前、これ」
「少し学んだのよ。提督は必要だって」
「でも」
「大本営から送られた人間は信用できない。なら、私達が適任だと決めた人を選ぶ権利をもらったのよ。さて」
艦娘達が横一列に並ぶ。
「立花ヤマト“提督”」
『舞鶴鎮守府へようこそ!』
全員が一斉に敬礼をとる。
中には敬礼ができていない艦娘もいるがそれはいいだろう。
しばし、呆然としていたヤマトだが、溜息を吐いてから。
「こんな奴だけど、まぁ、よろしく」
この日、立花ヤマトは正式に舞鶴鎮守府の提督となる。
開始してから25話くらいにしてようやく着任という展開、
いくつか意見をいただき、今後の方針も固まりました。
これからもよろしくお願いします。