艦娘と改造人間   作:断空我

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42.拳と銃

「じゃあ、あとはよろしく」

 

MPと書かれている腕章を付けた男へ水瀬隼人は拘束している男を差し出す。

 

腕章をつけている憲兵が敬礼しようとしたのを見て止める。

 

「よしてくれ、俺はただの民間協力者であってもう軍属じゃない…ただ、こういうやつが許せないだけだ」

 

「しかし、水瀬さんのおかげで前よりも罪を犯す提督の検挙率が」

 

「それはアンタらが奮闘してくれているおかげだろ?さて、俺は帰るよ。後は任せるぜ」

 

「はい!」

 

「だから、それはいいって」

 

若い憲兵が敬礼しようとするのを止めて水瀬は去っていく。

 

警備府の提督をやめた水瀬隼人は民間協力者として艦娘に非道なことをしている提督逮捕に協力していた。

 

ゴルゴムのメンバーとなり下がっていた者の多くを逮捕してきたが未だに艦娘に非道な扱いをする連中は後を絶たない。

 

憲兵の数が増員され、今も悪徳提督を逮捕が続いている。

 

まるでイタチゴッコのようだと隼人は思う。

 

しかし、こうでもしないと艦娘達は救われない。

 

――偽善者。

 

捕まえた提督が隼人に向けて投げた言葉。

 

同じ人間に裏切られた。彼ら皆、同じことを考えているようだった。

 

「…くだらない」

 

思考を切り替えるように置いてあるバイクへ乗ろうとした時。

 

「きゃあああああああああああああ!」

 

絹をつんざくような悲鳴が響き渡る。

 

隼人は声の方へ走りだす。

 

建物の間を駆け抜けていくと小さな女の子を追いかけているロングコートの男の姿があった。

 

「おい!何をしている!」

 

「…邪魔をするな。痛い目をみるぞ?」

 

「あ?」

 

サングラスをかけた男の言葉に隼人は眉間へしわを寄せた。

 

「そこを」

 

「ふざけるな、小さな子供を追いかけるなんて」

 

「くそっ」

 

隼人を突き飛ばして後ろを見るが逃げていた子供の姿はなくなっていた。

 

男は舌打ちをして歩き出す。

 

「おい!」

 

「警告だ」

 

振り返らずに指をだして男は言う。

 

「俺の邪魔をすると命がないぞ」

 

「…ったく、何だあれ」

 

変な男だなと思いながら隼人はバイクの所へ向かう。

 

そんな二人の様子を陰から小さな少女が見ている。

 

少女の手の中には鷲のマークが記されているファイルがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、水瀬隼人はあるBarに来ていた。

 

上等な酒を味わっていた。改造人間となったことで内臓などが強いものに入れ替わっている為酔うことはできないが味を楽しむことはまだできる。

 

隼人が何杯目かのお酒を飲んでいると男の団体がやってきた。

 

「(陸軍の連中か)」

 

入店してきた男は陸軍の、階級的に上だろうか。恰幅の良い腹を揺らして周りを見下したような態度だった。

 

周りの客たちはお金を払って店を出ていく。

 

陸軍は海軍と同様、治安の維持を目的としているがこの周辺の陸軍はそれらの任務をカサにお金を巻き上げるなどといった行為をしている。

 

組織は大きくなるほど、問題が出てくるのだろう。隼人は組織にうんざりしつつ出されたグラスの酒を飲む。

 

「お客さん、出ていった方が」

 

「全席指定予約していたのか?」

 

「いえ…そういうわけでは」

 

「だったらここで一人飲んでいても問題ないだろう?」

 

「まぁ、そう、ですが」

 

「だったら問題ない。お代わり」

 

「……わかりました」

 

がやがやと騒ぎ出した陸軍のテーブルを横目で見つつ、隼人はグラスの酒を飲んでいく。

どうやら女性を連れていたらしい。楽しく設置されているビリヤードでゲームを楽しんでいた。

 

しばらくして、席がさらに騒がしくなる。

 

うるさいと思いながら隼人は向ける。

 

「……アイツ」

 

陸軍のお偉いとビリヤードの勝負をしていたのは今朝、隼人が遭遇した男だった。

 

耳を澄ますと陸軍の男とゲームをしようという提案だった。

 

景品は命というふざけた内容に男は断ろうとしたが周りの騒ぎが鎮火できず、ゲームに応じることとなる。

 

そうして、はじまったゲームは男の圧勝に終わった。

 

陸軍の男は本当に命を取られてしまうと恐怖している。

 

対してサングラスの男は小さく笑う。

 

「ま、命なんて危ないものをとることはしませんよ…そうですね。どうせだから……ドライバーなんてどうです?」

 

「貴様、どこで!」

 

陸軍の男が顔を顰めた。

 

何だ?と隼人が思っていると陸軍の男は激怒して店から出ていく。

 

逃げられたかとサングラスの男が呟いていると目が合う。

 

「おや、奇遇ですね」

 

「一応いっておくと先客は俺だ。出ていけとはいわないよな?」

 

「当然です」

 

男は腰かける。

 

「何の用だ?」

 

「貴方も髙宮中将に接近する目的はなんです」

 

どうやらこの男は陸軍の男、髙宮へ接しようとしているとみていたらしい。

 

「別に、俺は狙いなんかねぇよ。あの場にいたのは悲鳴が聞こえたからであって」

 

「雪風」

 

「は?」

 

「悲鳴を出して逃げていた女の子です。あの子は髙宮中将とどこかの提督とのメッセンジャーに使われている女の子だ。いや、艦娘という子らしいですね。確か」

 

「陽炎型駆逐艦八番艦、雪風のことか?」

 

提督をやっていたからこそ隼人は雪風という艦娘と聞いてそれが頭に浮かぶ。

 

そこで隼人は鋭い視線を男へ向ける。

 

「何故、俺にそんな話をする?」

 

「情報共有です。貴方も彼を追いかけているようですしね。何より、大本営の決まりに逆らって艦娘達に非道なことをしている提督を摘発している男がいると聴いてね」

 

「それが俺だと?」

 

そうとも、と男は頷く。

 

「貴方の追いかけているブラック提督と髙宮中将は繋がりがあるといえば、動くでしょう?」

 

「悪いが」

 

お金をテーブルへ置いて隼人は立ち上がる。

 

「楽しく酒を飲む席で仕事の話はしない主義なんだよ。失礼する」

 

「僕は滝、滝竜介です。お見知りおきを」

 

サングラスを外して男、滝は挨拶をする。

 

「水瀬隼人…名乗られたからには返すさ……失礼する」

 

そういって隼人は外に出る。

 

改造人間になってどれだけの強い酒を飲んでも酔うことがない。

 

昔のように酒で酔いつぶれることすら許さないという事だろうか。

 

「はぁ…気がめいることだぜ」

 

悪態をついた隼人の周りにショッカーライダーが現れる。

 

ショッカーライダーと共に現れたのはアルマジロを連想させる改造人間。

 

顔にタトゥーを彫り込んでいる男は鋭い目を隼人へ向けていた。

 

「用件はわかっているだろぉ?ショッカーは裏切り者を許さない」

 

「…しつこいなぁ」

 

隼人が悪態をつくとショッカーライダーが襲い掛かってくる。

 

迫る一体を受け流したところで別の個体が飛びかかった。

 

その個体の顔に弾丸が直撃する。

 

「逃げるぞ!」

 

バンバンと何発もの弾丸を撃ち込みながら現れたのは滝竜介。

 

彼の前で変身するわけにいかないので彼と共に走り出す。

 

ショッカーライダーが追いかけようとするがタトゥーの男が止める。

 

「別にいい、どこにいようと見つけ出す。この」

 

手の中にある仮面を装着して改造人間「ジャックナイフアルマジロ」はいう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成程、あれが噂に聞く“ショッカー”の改造人間か…とんでもないなぁ」

 

「…」

 

呼吸を整えようとしている滝の懐から手帳が落ちる。

 

地面へ落ちる寸前の所で隼人が掴む。

 

それをみて納得した表情を浮かべた。

 

「なるほどなぁ…」

 

隼人の中で歯車が合致する。

 

滝竜介へ手帳を返す。

 

「アンタ、インターポールだったのか」

 

「そ、インターポール特別犯罪捜査官、滝竜介ってね。まぁ、こっちにくるのもそうだけど、深海棲艦の影響で本部に戻ることは難しいから独自に調査をしているのさ」

 

「つまり、俺の事も?」

 

「まぁ、少しだけ…僕の知り合い、光太郎君から色々と教えてもらっていたんだ」

 

「南の奴」

 

南光太郎、ゴルゴムに改造された仮面ライダー。

 

水瀬隼人と同じ存在で仲間、なのだろう。

 

「キミが髙宮中将の事を調べているのなら都合がいいと思ったんだ」

 

「生憎、あのおっさんが何をしているかとかそんな調査はしてねぇよ。艦娘と繋がりがあること自体、知らなかったからな」

 

「そうか…」

 

「けれど、艦娘がかかわっているなら話は別だ」

 

水瀬隼人は滝竜介へ手を指し伸ばす。

 

「アンタの捜査に協力させてくれ」

 

「……ありがとう、キミがいてくれると心強い!」

 

二人は互いに握手を交わす。

 

「評価が高いね…はぁ、期待されるの好きじゃないんだよ」

 

「ハハッ、光太郎君が言っていた通りの人物だな。早速だがまずは」

 

「…そこで隠れている少女と話をすることだな」

 

隼人が「出てきなよ」と促すとゆっくりと一人の少女が現れる。

 

茶色いに髪、白に近いワンピースを着た女の子。

 

雪風がいる。

 

「あの、私は」

 

「駆逐艦雪風だね。元提督だけど、キミの事は聴いたことがある」

 

「その、お願いです!」

 

ぺこりと雪風は頭を下げた。

 

「しれぇを助けてください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪風の話によると彼女の提督は陸軍の髙宮の命令で何かの開発を行っているらしい。

 

その開発は大本営や陸軍が関与しているのではなく。

 

「ショッカーが関与…ね」

 

「はい、雪風が渡された書類を届けるようにと…でも、しれぇは嫌がっていました!こんなことをしたくないって、だから、雪風は、雪風は!」

 

「あぁ、泣くな泣くな」

 

後部座席で泣き出した雪風を見て隼人は頭を痛める。

 

ここに雷や朝潮がいれば…と思いそうになった。

 

「大丈夫、キミの提督さんは必ず助けるから」

 

「グスッ、はい、ありがとうございます」

 

「とりあえず、そこの鎮守府にいくか?」

 

「それがいいかもしれない、まずは」

 

「しれぇ!」

 

「は?」

 

「あ、おい!」

 

雪風が何かを見て車から飛び出す。

 

それをみて滝と隼人は慌てて追いかける。

 

視線の先は海軍服の男の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪風は扉を開ける。

 

「しれぇ!」

 

バンと開けて中に入った雪風がみたのは髙宮中将へナイフを突きつけている提督の姿だった。

 

「…しれぇ?」

 

「チッ」

 

「おい!勝手に」

 

「これは…」

 

目の前の光景に隼人と滝は目を見開く。

 

呆然とした表情で雪風はみている。

 

「しれぇ?」

 

「あ、雪風か。なぜここにいる?俺は鎮守府へ戻るよう命令した筈だぞ?」

 

「そ、そうですけど、しれぇ、その姿」

 

「ア?いいだろう!俺は選ばれたんだよ。ショッカーにさ」

 

見せびらかすように男は特殊戦闘服をみせる。

 

その姿に雪風は呆然としていた。

 

「俺はショッカーのために動く。この力を自由にできるなら良い!」

 

「……え、しれぇ、どうして…深海棲艦と戦うって」

 

「ア?そんなこともうどうでもいい。そうだ、お前も連れて行ってやるよ。雪風、そうしたらもっと強い力が手に入るかもしれない!まぁ、まずはこの男が研究しているドライバーを回収する」

 

歓喜の表情を浮かべて提督が微笑む。

 

その顔は雪風の知る提督の顔ではなくなっていた。

 

ショックを受けている雪風を庇うように隼人が前へ出る。

 

「はぁ、こうも厄介ないなことが起こるなんてなぁ…」

 

溜息を零しつつ、隼人が前に出る。

 

「お、裏切り者か。お前も邪魔するのか?」

 

「…滝、雪風を連れて離れていろ」

 

「わかった、ほら雪風君」

 

滝が雪風の手を掴んで後ろへ下がる。

 

「しっかし、お前も愚かだよなぁ?こんな力をもらえるのにショッカーを裏切るなんてもしかして、あれか戦うことに飢えた獣かなんか?もし、そうならお前の力も相当なんだろうな?何せショッカーを」

 

「いい加減、黙れよ」

 

腹部にタイフーンを出現させて隼人は言う。

 

「(なんて、冷たい声だ…さっすが、多くの改造人間を倒しているだけあるか)」

 

離れた所にいる滝は息を飲む。

 

男も驚きつつ仮面を装着する。

 

ジャックナイフアルマジロの姿をみても隼人は冷静だった。

 

緑の飛蝗を模した仮面を被る。

 

ナイフを構えてアルマジロが突撃をしてくる。

 

弾丸のような速度の突撃を受けた仮面ライダー2号は外へ放り出された。

 

コンクリートの壁をいくつも砕いて二人は外へ飛び出す。

 

ごろごろと地面を転がりつつ仮面ライダーが起き上がるとショッカーライダーが現れる。

 

「お前ら、引っ込んでいろ」

 

ジャックナイフアルマジロの言葉にショッカーライダーは下がる。

 

「待ってください!今ここで裏切り者を」

 

一体が意見具申する。

 

瞬間、ジャックナイフアルマジロのナイフがショッカーライダーの首をはねる。

 

「てめぇらは俺の指揮下だろ?偉そうに逆らうな」

 

「……お前」

 

転がってきたショッカーライダーの首を見て仮面ライダーは怒りの声を漏らす。

 

ギリギリとグローブの拳を握りながら立ち上がる。

 

「行くぞ、おらぁ!」

 

叫びと共にナイフを構えて襲い掛かるアルマジロ。

 

ナイフの軌道を見切り拳で受け流しつつ、腹部へパンチを叩きこむ。

 

衝撃を受けたアルマジロだが。

 

「その程度か?」

 

「なに?」

 

効いている様子がなかった。

 

内心、驚いているとアルマジロのタックルが仮面ライダーを突き飛ばす。

 

派手に吹き飛びながらも空中で回転して壁に足をつけつつ、勢いをつけてキックを放つ。

 

「おいおい、この程度かぁ!?」

 

「チッ」

 

衝撃と共に地面へ叩きつけられる。

 

アルマジロは仮面の中で溜息を零しながらナイフを構えた。

 

「所詮は旧式というわけか…もういいや、潰れて」

 

ジャックナイフを振り上げようとしたところで頭部に弾丸が命中する。

 

飛来した方へ視線を向けるとコバルトパイソンを構えた滝竜介の姿があった。

 

「…人間が邪魔するんじゃねぇよ」

 

ナイフを滝に向けて投擲する。

 

放たれたナイフを寸での所で躱す。

 

「ヒーハッハッハッハッ!邪魔する奴は皆殺しだよ!そうだ、俺達の邪魔をするなら徹底的に排除、排除なんだよぉ!」

 

叫んだ途中でアルマジロの姿がぶれる。

 

気づいた時には彼の体は地面に倒れていた。

 

仮面ライダーが自分を見下ろしている。

 

その姿を見てアルマジロは激怒した。

 

「てめぇええええええ!」

 

激怒したアルマジロは攻撃を繰り出す。

 

先ほどよりも早い、人間が捉えることができない速度の攻撃。

 

しかし、仮面ライダーはそれらすべてを受け流す。

 

「なっ!?なんで、視える!?旧式風情が俺の攻撃を」

 

「旧式、旧式ってわけわかんねぇこと言ってんじゃねぇよ」

 

「うるせぇ!」

 

「お前がうるさいんだよ!!」

 

叫びと共に振るわれたナイフと拳がぶつかりあう。

 

硝子のような音を立ててナイフが砕け散る。

 

「ぐぁああああああああああああ!?」

 

続けて放たれた一撃でアルマジロは地面を転がる。

 

痛みに悲鳴を上げながら地面をのたうちまわっていた。

 

「やめてください!」

 

そのまま仮面ライダーがゆっくり近づこうとすると雪風が前に立つ。

 

「お願いです。やめてください…提督を」

 

手を広げて攻撃をやめるよう訴える雪風。

 

それをみて、仮面ライダーの動きが止まる。

 

雪風の想いが伝わってきた。

 

相手がショッカーの改造人間だとわかっていながらも目の前にいる雪風の姿が“重なって”しまう。

 

「動くなァ!」

 

叫びと共に雪風ののど元にナイフを突きつける。

 

「し、しれぇ」

 

「動くなよ!少しでも動けなこの艦娘の命はねぇからなぁ!」

 

「なんて非道な!」

 

「うるせぇ!勝てばいいんだよ!勝てば!深海棲艦との戦いも!ショッカーの覇権も、全ては勝者がものをいう!俺は勝つ!勝ち続けるンダヨォォォォォォ!」

 

叫びながらキギリギリと雪風の首を締めあげていく。

 

「し、しれぇ」

 

「黙れ!うるさいんだよぉ!俺は俺はァ!」

 

ぽろりと雪風の目から涙がこぼれていく。

 

「やめ、ろぉおおおおおおおおおおおおおお!」

 

気が付いたら仮面ライダーが駆け出してパンチをアルマジロの顔に繰り出す。

 

轟音と共にアルマジロが爆発した。

 

滝が倒れている雪風へ駆け寄る。

 

「生きてる…まだ息があるぞ」

 

「……そう、か」

 

良かったと言葉を漏らして仮面を外す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事件から数日後、滝竜介と水瀬隼人は喫茶店で話をしていた。

 

「報告書は見たよ。あの提督、上の連中から非道な命令受けていたんだって?」

 

ジャックナイフアルマジロとなっていた提督は大本営から無理な進軍を命じられ、それを拒否したら様々な嫌がらせを受けていたらしい。

 

その中で順調に戦果を挙げていったことで周りの敵をはじいたそうだ。

 

「ショッカーに加担した理由は不明…か」

 

経歴を見ている限り、付け入られる隙はあったが自分で乗り越えているようだ。

 

ならば、どこでショッカーの勧誘があったのか。それらしき動きがまるでないのだ。

 

「彼のいる鎮守府は別の提督が着任することが決定したらしい」

 

「…そうか」

 

「それだけかい?」

 

「鎮守府と関わっていたわけじゃないからな…さて、そろそろ行くかね」

 

「もういくのかい?」

 

「あぁ、お代は置いていくぞ」

 

「そういえば、大本営からキミへ贈り物があるそうだ」

 

「要らないって伝えておいてくれ」

 

そういって隼人は外へ出るとサイクロンの前に立っている少女がいた

 

彼の姿を見て敬礼をとる。

 

「本日付で大本営直属独立遊撃部隊所属となりました雪風です!」

 

隼人は唖然としてきた道を戻る。

 

「お、戻ってきたのか」

 

「どういうことだ!?」

 

「報告書に書いてあっただろ?雪風君は書類上轟沈という扱いになっている。そこでキミと共に動けるパートナーとして働くことを希望したそうだよ」

 

「俺は誰かと行動なんて…」

 

「後ろの子に同じことを言えるか?」

 

「なぬ?」

 

振り返ると涙目の雪風がいた。

 

ヤバイ。

 

よくわからないがこのままだといたいけな少女を泣かせている男の図が出来上がってしまう。

 

隼人は少し考えてから。

 

「わかった、仲間として連れていく、だからもう泣くな」

 

パァァツと太陽のような笑顔を浮かべて雪風は隼人の腰辺りに抱き付いた。

 

「頑張ります!」

 

「はいはい…」

 

厄介ごとが増えたと隼人は思った。

 

ぎゅぅぅと抱き付いてくる雪風を引きはがすことをしない隼人見て、滝は笑い、隼人はあきれた表情を浮かべている。

 

「てか、雪風」

 

「はい」

 

「お前、俺なんかと一緒にいていいのか?その、俺は」

 

「貴方は提督を救ってくれました!」

 

雪風は表情を変えずに答える。

 

「俺はあいつの頭を叩き潰したぞ」

 

「いいえ、救ってくれました。周りが何と言おうとそれは変わりません!だから…」

 

ぽろぽろと雪風が涙を零す。

 

「しれぇを救ってくれた貴方を…ゆ、雪風は」

 

「わかった」

 

涙を零す雪風を隼人は優しく抱きしめる。

 

声を押し殺して泣く彼女の頭をやさしくなでた。

 

「守る…俺は何があっても守ってやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




同時刻、警備府にて。

「「ハッ!?」」

「何だ」

「感じたわ!」

「朝潮もです」

「「司令官に悪い虫が憑いた!」」

「お前ら、食事中に席を立つな」

那智に拳骨を受けながらも朝潮と雷はここにいない水瀬隼人へ思いをはせた。

そんなことを当人は知らない。








今回の話について補足を。

水瀬隼人は提督を休職扱いとなっておりますが本人は戻る気なし、憲兵と協力してブラック鎮守府摘発に動いています。

滝竜介はインタポール所属ですが深海棲艦の進行と制空権をおさえられていることから本部とは通信のやり取りのみ。
その中で独自の調査でショッカーとゴルゴムを追いかけています。


ジャックナイフアルマジロ。
元ネタはナイフアルマジロ、死んだ人間が人工心臓で生き返った設定、元ネタは顔に醜い痕がありますが、今回はタトゥーをいれています。ある鎮守府の提督ですが改造後にタトゥーを掘っています。

陸軍のドライバー。
果たして本編に出てくるかどうか未定です。仮面ライダーで続きをにおわして結局やらないのは定番の一つだと思っているので。



滝竜介。

かなり悩みました。滝和也、コミック版の滝竜二をだすかなど、色々と悩みつつ、BLACK要素が今後もでてくるから滝竜介にしました。滝和也はSPRITISで奮闘しているからこれくらいやっても問題ないよね?
ちなみにこの滝さん、これから登場していくかもしれません。


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