艦娘と改造人間   作:断空我

48 / 56
44.それぞれの戦い

「返してよかったのかよ?」

 

鎮守府を出ていく風見志郎の背中を見ながら天龍が訊ねる。

 

敵なんだろうという問いにヤマトが返す。

 

「敵とか以前に身内の死を知ったんだ。そんな奴をどうこうするつもりはない」

 

「甘いな」

 

「悪いか?」

 

「いいや、俺様の提督としては満点だよ」

 

「…」

 

きょとんとした顔でヤマトは天龍を見た。

 

「な、なんだよ」

 

「お前。俺の事提督とみていたんだな」

 

「なっ!?」

 

顔を真っ赤にして天龍は刀を振り回す。

 

「う、うるせぇ!ここにいる以上、てめぇは提督なんだよ!悪いか!?」

 

「いいや。さて、叢雲」

 

「……」

 

「あれ、叢雲さん?」

 

「なによ」

 

「しばらく鎮守府は待機状態に入る。業務も停止だ」

 

「はぁ!?何するつもりよ」

 

叢雲の問いにヤマトは迷わずに答える。

 

「戦い、だよ」

 

悲観が含まれているヤマトの表情を見て。

 

叢雲はどうしょうもない不安に駆られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早朝、立花ヤマトはガレージに置かれているサイクロンに跨る。

 

艦娘達は全員寝ているだろう。

 

ヘルメットを被ろうとしたところで入口に誰かが現れる。

 

「僕の事、忘れていないかい?」

 

「起きていたのか」

 

「まぁね…というより親友のやろうとしていることに気付かないわけないだろ?」

 

苦笑しながらやってくる光太郎にヤマトも乾いた笑みを浮かべた。

 

「僕も行くよ。あんな非道なこと…許せない」

 

「…光太郎」

 

ヤマトは笑みを浮かべて立ち上がる。

 

そして、迷わずに彼の腹部へ一撃を叩きこむ。

 

「ヤ…マト…」

 

「悪いな、ショッカーと戦うのは俺の役目だ。お前は…ここを頼むよ」

 

倒れる光太郎を置いてサイクロンを走らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある港、本来なら大本営管轄の鎮守府や警備府が管理している場所なのだがそこはショッカーによって占領されていた。そこにいた提督や艦娘は用済みとして処分されている。

 

占領した港を動き回るショッカーの戦闘員に交じって一人の男が指揮を執っていた。

 

「これより!ナノマシンを地下の基地へ輸送する!いいか、この作戦が成功すればショッカーが日本を征服できる。この任務に就けることを誇りにおもえぇええええええ!」

 

メガネをかけた短髪男の叫びに戦闘員たちは答えるように叫ぶ。

 

大型トレーラーを中央にバイクや車を展開して港から走り出す。

 

「行くぞォ!」

 

男の合図とともに前を走っていたバイクが角を曲がる。

 

曲がった所でバイクが吹き飛び、戦闘員と車が建物にたたきつけられた。

 

男は車から身を乗り出す。

 

爆発の中、一台のバイクに乗った人間がいた。

 

「奴は…」

 

その姿を見た男は察する。

 

裏切り者がきたと。

 

「走れぇえええええええええええ!」

 

男の叫びと共に立花ヤマトはタイフーンを出現させ仮面を装着してサイクロンを走らせる。

 

戦いが始まった。

 

周囲に展開している戦闘員たちのバイクが仮面ライダーに迫る。

 

仮面ライダーがトレーラーに近づいてナノマシンを破壊すれば終わり。それを理解しているからこそ道を阻もうとした。

 

しかし、彼らのバイクとサイクロンでは性能が違いすぎる。

 

接敵しようにも距離が縮まらず、追いつけない。

 

しかし、相手が速度を落としたときには殴られ、蹴り飛ばされて戦闘員はバイクから叩き落されている。

 

「チィィィィッ!」

 

車で男は仮面を被る。

 

ジャガーの特性を備えた次世代型改造人間シザーズジャガーは地面を蹴りトレーラーに飛び移る。

 

それをみた仮面ライダーも一台の車を横倒しにしてトレーラーに飛び乗る。

 

「Yah!!」

 

二つの刃を交差させてシザーズジャガーは不敵に笑う。

 

仮面ライダーは拳を構える。

 

地面を蹴りナノロボットが内包されているタンクへ拳を放つ。

 

しかし、その一撃はシザーズジャガーの刃に阻まれる。

 

「切り刻んでやる!」

 

シザーズジャガーの刃が煌めく。

 

ギリギリのところで受け流し顔へ拳を放つも避けられてしまう。

 

高笑いするシザーズジャガーは仮面ライダーの足を蹴り地面へ倒す。

 

倒れた仮面ライダーの胸部を踏みつけながら叫ぶ。

 

「Comeon!」

 

後方にいるトラックにぶつかるよう指示を出す。

 

うなりを上げて近づいてくるトラック。

 

それをみて狂ったように嗤うシザーズジャガーの傍を一台のバイクが通過した。

 

「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

「Oh!?」

 

サイクロン2号に跨っていた水瀬隼人は横転するトラックの中に入り変身しながら急発進する。

 

炎の中から仮面ライダー2号が現れた。

 

猛発進したサイクロンからトレーラーへ移る。

 

移る際にシザーズジャガーを蹴り飛ばす。

 

「Shit!?」

 

攻撃を受けてタンクにもたれるシザーズジャガー。

 

その間に1号が立ち上がる。

 

「水瀬…」

 

「連絡ぐらいしろよな。遅刻しちまったじゃねぇか」

 

「お前を呼んだ覚え、ないぞ?」

 

「ハッ、つれない態度だ」

 

「行くぞ」

 

「あぁ」

 

二人は拳を構える。

 

シザーズジャガーは笑いながら刃を交差させる。

 

二対一の戦いが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方、何をしているの?」

 

如月は風見志郎の前に立つ。

 

「何を?だって」

 

「そうよ」

 

「私はショッカーに属している。命令を果たすために」

 

「呆れた。まだ、そんなことをいっているの?」

 

鋭い目で如月は風見志郎を睨む。

 

「ちはるちゃんはナノロボットを散布する計画を止めてほしいと願っているのよ!?仮面ライダーが奮闘しているのに……彼女のお兄さんが想いに応えてあげようとしないのは何故!」

 

「しかし……」

 

「貴方にとってショッカーがそんなに大事?妹の願い、家族よりも大事なものなの!?」

 

背の低い如月が風見の胸倉を掴む。

 

「ちはるの想い…願い…そうか」

 

風見志郎は理解した。

 

自分は空っぽ。

 

ショッカーに改造されて潤いを求めていたことは間違い。

 

自分は妹の幸せを願うべきだった。

 

「私は……」

 

彼は手の中にある時計を見る。

 

ちはるが送ってきた小さな、とても小さな時計。

 

それをみた彼はポケットの中にしまう。

 

「私は、まだちはるの願い、望みを叶えられるか」

 

「当たり前よ」

 

如月は胸を張る。

 

「お兄ちゃんは遅れてでも妹の願いをかなえるものなんだから」

 

風見志郎は苦笑しつつ歩き出す。

 

改造人間として、

 

風見ちはるの兄として。

 

ショッカーの計画を阻むため。

 

風見志郎はその一歩を踏み出した。

 

如月は悲しみつつもその背中を見送る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がぁああああああああ!」

 

シザーズジャガーの一撃を受けて仮面ライダー1号はトレーラーから放り出される。

 

サイクロンに乗ってその様子を見ていた2号はトレーラーへ拳をぶつけた。

 

衝撃でトレーラーは道を外れてあるレストランに向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

トレーラーの向かっている先のレストラン。

 

この場所こそがショッカーの地下基地がありナノロボットを日本全土へ散布させる終点でもあった。

 

レストランの中は多くの客でにぎわっている。

 

その中で階段を下りていくのはチェーンソーリザードの女とショッカーライダー達。

 

至る所から戦闘員も現れる。

 

客たちは呆然とその光景を見ていたが車が店の中へ突っ込んできたことで悲鳴を上げて逃げ惑う。

 

壊れたトレーラーからナノロボットが入ったケースを取り出すシザーズジャガーが店内へ入り込む。

 

「イケェ!」

 

シザーズジャガーの指示で店内へ追いかけてきた1号にショッカーライダーと戦闘員が迫る。

 

遅れてやってきた2号がケースを抱えているシザーズジャガーに向かって戦闘員を投げ飛ばす。

 

戦闘員にぶつかった拍子にシザーズジャガーの手からケースが零れ落ちる。

 

ケースを2号が狙うが戦闘員に阻まれた。

 

「チッ!」

 

舌打ちしつつ、戦闘員を殴り飛ばしたところでチェーンソーが眼前に迫る。

 

ギリギリのところで受け止めたらチェーンソーリザードが立ちはだかった。

 

「バラバラにしてあげるわぁ」

 

声と共に繰り出される斬撃を躱したところでショッカーライダーの蹴りがくる。

 

それを寸でのところで手で受け流しショッカーライダーの足をへし折った。

 

チェーンソーリザードへ向きなおろうとした時、背中を青い光線が襲う。

 

ショッカーも仮面ライダー達も動きを止める。

 

レストランの壊れた入り口からゴルゴムの三大怪人のバラオムが現れた。

 

「ゴルゴムの繁栄のため、ここで消えろ!ショッカー、仮面ライダー!!」

 

「チッ、面倒な時に面倒なもんがやってきやがった!って、ぐぉっ」

 

バラオムの攻撃を躱したところでショッカーライダーのキック、続いて、パンチを連続して受ける。

 

のけ反り、倒れそうになったところでチェーンソーリザードの肩を掴む。

 

チェーンソーリザードは2号のマフラーを掴むと顔を近づける。

 

「哀れだなぁ」

 

笑いながらチェーンソーを振るう。

 

斬撃を受けた2号は窓から外へ放り出された。

 

「水瀬!」

 

「貴様から消えろ!」

 

1号が駆け寄ろうとしたところでバラオムに捕まれて近距離で光線を受けて外に吹き飛ぶ。

 

外に放り出された二人、

 

それを別々の方向から二台のバイクが広い仲へ戻る。

 

二階に降り立ったバイクは2号をカウンターへ押し戻す。

 

停車する際に傍にいたショッカーライダーを引き倒した。

 

「おい!」

 

文句を言おうとしたショッカーライダーの顔を殴る。

 

「まさか…裏切るつもり!」

 

チェーンソーリザードが乱入してきた男、風見志郎へ問いかける。

 

彼はハリケーンに跨ったまま一度、うつむき。顔を上げた。

 

仮面に隠れて見えないがその顔は決意した者の表情だった。

 

「これがちはるの願いなら…ちはるの望みなら繰り返しちゃいけないんだ!」

 

フッと水瀬隼人は仮面の中で笑いながら声をかける。

 

「良かったな、アンタはもう空っぽじゃない。俺達と同じ…仮面ライダーだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バトルホッパーに跨ったBLACKによって室内へ戻された1号。

 

「光太郎、おまっ!?」

 

声をかけようとしたところで腹に一発入れられる。

 

「一撃、入れただろう?これはお返しだ」

 

「あぁ、くそっ、俺のより強いんじゃないか!?」

 

「どうだろうね…ヤマト。僕達は親友で兄弟のような関係だ。隠し事とか一人で無茶はしないでくれ。今度、こんなことやったら許さないからな」

 

「……わかったよ」

 

バトルホッパーから降りたBLACKはバラオムやショッカーライダー達と対峙する。

 

階段のを中心に四人の仮面ライダーがそれぞれ構えた。

 

シザーズジャガーが叫びショッカーライダーや戦闘員が動き始める。

 

「ブラック!貴様は俺が倒す!」

 

戦闘員を蹴散らしバラオムが迫る。

 

その前に1号が立ちはだかった。

 

バラオムが拳を放つ。

 

それを受け止めて1号が仕返しとばかりに殴る。

 

「ドケェ!」

 

叫びながらレーザー光線を放つ。

 

咄嗟に躱すと標的を失ったレーザー光線はショッカーライダーと戦闘員達を貫く。

 

「俺の、邪魔をするなぁああああああああ!」

 

「うぉおおおおおおおおおおおおお!」

 

バラオムの拳と仮面ライダーの拳がぶつかり合う。

 

激しい衝撃で二人とものけ反る。

 

「ちぃっ!」

 

レーザー光線を放とうとした時、目の前に1号の姿がなくなっていた。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおお!」

 

地面を滑るようにして移動しながらバラオムの腹部へ強烈なキックを叩きこむ。

 

壁に体をめり込んだバラオム。

 

顔を上げた時、視界に広がる仮面ライダー1号の蹴り。

 

ライダーキックが炸裂する。

 

さらに壁へめり込むバラオム。

 

「ぐっ、俺がこのまま終わるわけにはいかん。最悪、貴様だけでも」

 

バラオムが覆いかぶさるように1号へ迫る。

 

本来なら後ろへ下がるべきなのだが、仮面ライダー1号は前へ踏み込む。

 

「なっ、にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

叫びと共にバラオムの体が外へ吹き飛ぶ。

 

放った一撃の直後、雄たけびをあげてバラオムは爆発する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーBLACKは2号と共にシザーズジャガーと戦っていた。

 

次世代型改造人間ということだけあって二人の仮面ライダー相手にアクロバティックな動きを見せている。

 

「YAHOOOOO!」

 

叫びと共に刃がBLACKを襲う。

 

「ちぃっ!」

 

2号がカウンターに立つシザーズジャガーを払いのけようとするが空中にジャンプされてしまう。

 

「ちょこまかと!猫かよ!?」

 

「Shit!」

 

叫びと共に二つの刃が煌めく。

 

降り立つと同時に2号の喉元で交差させる。

 

両者の動きが一瞬、止まる。

 

「ライダーパンチ!」

 

エネルギーを纏ったBLACKの拳がシザーズジャガーの刃の片方を砕く。

 

「Ohhhhhhhhhhhhhhhhhhh!」

 

叫びをあげて背を向けた途端。

 

「Suprise!」

 

回転しながら生えてきた刃を振るう。

 

ギリギリのところで二人は躱す。

 

カウンターが刃で両断される。

 

BLACKは両手をベルトの前で構えた。

 

「キングストーンフラッシュ!」

 

眩い閃光でシザーズジャガーの視界を奪う。

 

「Noooooooo!?」

 

刃で目元を隠す。

 

2号が地面を蹴り、ライダーパンチをシザーズジャガーに放つ。

 

目が見えないながらも刃で攻撃を防ごうとする。しかし、2号の一撃によって刃が砕ける。

 

「南!」

 

「よし!」

 

二人は同時に宙へ跳ぶ。

 

ふらふらと動きが鈍いシザーズジャガーの体へダブルライダーキックを放った。

 

「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

攻撃を受けたシザーズジャガーは不気味な痙攣をした後、体が爆発する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

V3は地下の施設の中でチェーンソーリザードの攻撃を躱す。

 

唸るチェーンソーをV3は掴むとそのまま腕を回転させて地面へ叩きつける。

 

派手な音を立ててチェーンソーが腕から千切れ落ちた。

 

「アァアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

 

声にならない悲鳴を上げて腕を抑えるチェーンソーリザード。

 

V3が追撃を仕掛けようとしたところでちぎれた腕からチェーンソーが復活する。

 

振るわれた斬撃を躱せずV3は後ろへ下がった。

 

互いに距離をとる中、緑の複眼が輝く。

 

チェーンソーを構えて叫びながらチェーンソーリザードが走る。

 

同様にV3が走る。

 

地面を蹴ったV3のキックがチェーンソーリザードの体に突き刺さる。そのまま相手の体を踏み台に、反転してキックを放つ。

 

攻撃を受けたチェーンソーリザードは大きく吹き飛び、数秒後爆発を起こした。

 

メラメラと暗い闇の中で燃える炎がナノロボットを保管してるケースを包み込む。

 

音を立てて燃え始めるケース。

 

「……これで」

 

ちはるのような犠牲者が出ることもない。

 

V3が仮面の中で微笑もうとした時、背中に激痛が襲う。

 

振り返った途端、無数の触手が襲い来る。

 

いくつかを拳でいなしたが襲撃者の顔を見てV3の動きが止まった。

 

その隙に触手がV3を突き飛ばす。

 

衝撃で仮面が外れる。

 

風見志郎は驚きの表情で目の前の相手をみていた。

 

現れた相手は風見ちはる。

 

ナノロボットによっておぞましい姿に変貌してしまった風見志郎の最愛の妹だった。

 

 

 

 




次でNEXTの話は終わります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。