艦娘と改造人間   作:断空我

9 / 56
うーん、キャラ設定はいるのかなぁ?


8.深海棲艦との戦い

「ふーん、そんな条件が提示されたんだな」

 

ヤマトは自室で大井特製のお茶漬けを食べていた。

 

本来なら朝食は食堂にするつもりだったのだが何やらピリピリした空気で包まれていたので撤退、自炊をしようとしたら大井に台所を奪われ、彼女が作ったお茶漬けを食べることとなった。

 

「それにしても艦娘達だけで生活することをよく大本営は承諾したな。仮にも海軍だろうに」

 

「状況は常に変わる…というけれど、こればっかりは私も驚きました」

 

大井も信じられないという表情だ。

 

艦娘を管理することが大本営の仕事の一つ。それを半ば放棄するような決定はヤマトも半信半疑だった。

 

「ヤマトさんもこの鎮守府の手助けをするんですか?」

 

「…なんで?」

 

表情を変えずに大和は尋ねる。

 

何故、自分がそんなことをしなければならない?という問いに大井は満足した。

 

理解している者として彼がどういう態度をとるか分かった上の質問だった。

 

「そうですね、変な質問をしてすいません」

 

「ふーん」

 

ずずず、とお茶を一口して食べ終える。

 

即座に大井が皿を片付けた。

 

「私は大本営へ連絡することがありますので席を外しますね」

 

「……」

 

大井の姿が見えなくなってからヤマトはある冊子を手に取る。

 

鎮守府艦娘ノ数と書かれているそれは大井が来る前に陸奥が置いていったものだった。

 

興味はなかったが念のためといわんばかりに開く。

 

そこに記載されているのはこの鎮守府に所属している艦娘の内容。

 

ヤマトは静かに目を通す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駆逐艦 叢雲。

 

駆逐艦 如月。

 

駆逐艦 文月。

 

駆逐艦 曙。

 

駆逐艦 睦月。

 

駆逐艦 漣。

 

駆逐艦 潮。

 

駆逐艦 皐月。

 

駆逐艦 朧。

 

駆逐艦 長月。

 

駆逐艦 望月。

 

軽巡洋艦 天龍。

 

軽巡洋艦 阿武隈。

 

軽巡洋艦 川内。

 

重巡洋艦 足柄。

 

重巡洋艦 愛宕。

 

重巡洋艦 青葉。

 

軽空母 瑞鳳。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、まだいたんだな」

 

リスト一覧を見てヤマトは静かに呟く。

 

この書類は現在鎮守府にいる艦娘達の事が記載されているようだ。

 

「都合が悪いことは一切のせていないわけか」

 

大本営作成と書かれている裏を見てヤマトは呟く。

 

轟沈した、解体させられた艦娘はのせられていないことを理解する。

 

大井が戻ってくる前に書類を隠すとヤマトは立ち上がった。

 

「さて、そろそろ」

 

直後、ヤマトの部屋で爆発が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、

 

艤装を纏い叢雲、天龍、睦月、如月、曙、阿武隈は海へ出ていた。

 

目的は深海棲艦の掃討。

 

大本営から与えられた条件をクリアするため。

 

彼女達は輪陣形で現れる深海棲艦を倒していく。

 

「ハッ!この程度なら楽勝だな」

 

「そうね」

 

天龍の言葉に曙が同意する。

 

叢雲は何とも言えない表情を浮かべている。他のメンバーは困ったような、どうしたらいいのかという顔をしていた。

 

鎮守府海域に現れる深海棲艦は駆逐級、軽巡級ばかりで彼女達の敵ではない。

 

何より改という改装を終えている天龍や叢雲にとって目の前の深海棲艦等、雑魚に等しかった。

 

だから、天龍は余裕の表情を浮かべている。

 

しかし、叢雲の中に小さな疑問、不安が浮かんできていた。

 

――楽に攻略できていないか?

 

飛びかかってくる駆逐級に12.7cm連装砲を撃ち込みつつ、先に進む。

 

改になっている叢雲は並走する曙へ話しかけた。

 

「ねぇ、やけに順調に進んでいない?」

 

「そうね、少し」

 

――気になるという言葉を曙は発することができなかった。

 

すぐ傍で水柱が起こる。

 

「敵影!数は…!!」

 

阿武隈が声を詰まらせる。

 

目の前に現れた深海棲艦を見て全員が目を見開いた。

 

「嘘、だろ!?」

 

「重巡級!?空母級ですって」

 

「まずいわ!敵の艦載機よ!」

 

如月の言葉と同時に空から艦載機の爆撃が放たれた。

 

対空対策が薄い彼女達は爆撃で散り散りにされてしまう。

 

「くそぉぉ!」

 

天龍が砲撃をする。

 

重巡級の深海棲艦は天龍の攻撃をものとせず近づいてきた。

 

自分の攻撃が効いていない。その事実に苛立ちながらも魚雷を放つ。

 

「!?」

 

攻撃を受けた敵は無傷だった。

 

目を見開いている天龍へ仕返しとばかりに砲撃の雨が降り注ぐ。

 

全てを躱しきれずに天龍に直撃した。

 

「天龍さん!」

 

曙の悲鳴が響く。

 

近づこうとした彼女達へ駆逐級の反撃が襲い掛かる。

 

躱しきれず曙や叢雲は小破させられてしまう。

 

阿武隈が駆逐級を潰そうと奮闘するが空母級の艦載機がそれを阻む。

 

じりじりと彼女達は追いつめられていた。

 

笑うように重巡級はそれをみている。

 

その中、砲撃から仲間と切り離された艦娘二人、如月と睦月。

 

小破が多い艦娘達の中で如月だけが大破まで追いつめられていた。

 

「如月ちゃん!」

 

「私は大丈夫…」

 

「そんなわけないよ!ボロボロだ!すぐ鎮守府へ」

 

「ダメよ!」

 

睦月の言葉を如月は否定した。

 

「みんなを見捨てて逃げるなんてできるわけないじゃない」

 

ふらふらと体を起こして如月は艤装を展開する。

 

睦月が止めるのを聞かずに走り出す。

 

「そんな…」

 

――自分では止めることができない。

 

姉であり仲間の言葉を聞いてくれない。

 

とめることができなかった。

 

そんな彼女を止めることができる存在は、ここにいない。どこにもいないのだ。

 

「嫌だ」

 

睦月が去ろうとする如月の背中へ声をかける。

 

しかし、止まらない。

 

止まってくれない。

 

ボロボロの艦娘を飛行する艦載機が捉える。

 

艦載機に気付いた睦月が叫ぶ。

 

しかし、如月は振り返らない。

 

迎撃しようにも艦載機の距離がありすぎて睦月の艤装では届かない。

 

どうしょうもない無力感に支配される中、艦載機から攻撃が放たれる。

 

「やめろ、やめろ、やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

弾薬が尽きるのを構わず砲撃を放ち続ける。

 

スローモーションのように艦載機から爆撃が始まった。

 

睦月の奮闘むなしく。如月は炎の中に包まれた。

 

「…あぁ」

 

海面へ睦月は座り込む。

 

姉妹が沈んだ。

 

何もできなかった睦月に瞳から光が消えていく。

 

ゆっくりと深海棲艦が睦月へ集まっていた。

 

このまま彼女達の所に向かえるのなら…と。

 

顔を上げた睦月へ深海棲艦の砲塔が向けられる。

 

あぁ、これで終わるなら。

 

砲弾が一斉に睦月へ放たれた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。