魔法使いは覚り妖怪となっていた   作:アリヤ

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プロローグ 未来の魔法使い

 --この世の中は退屈だ。

 

 私はいつものように大学の授業を受けていながら、そのようなことを思った。初めて思った訳でもなく、今まで思い続けたことだ。

 科学技術が進みすぎて、人間の必要性が少なくなり、仕事が少なくなってきているこの世の中。人となりに趣味……とは言っていいのか解らないが一応ある。しかし先ほど言ったとおり、そもそも趣味という範囲に入れて良いものか解らないし、生まれながら持ち合わせていたものだから、趣味と言われても実感が湧かない。楽しみとして愛好すると考えれば、確かに趣味ではあるが。

 しかし、その趣味というものは他人に伝えることは出来ないし、家柄的に秘匿しているものだ。なにしろ、この科学技術の進みすぎた世の中では非科学的なことだから--

 非科学的といえば、非科学的なことを調べ、解決しようとしている二人の女子生徒を思い出した。たしか……秘密倶楽部だったか? 正直名前なんてどうでも良いし、そもそもそのような非科学的なことは、私の中で既に解決しているからこそ、彼女たちの活動なんて興味すらなかった。でも、この科学技術が進んでいる中で、非科学的なことが起こっていることの方が、世の中的に問題だと私は思うが。

 そのようなことを考えていると、どうやら授業が終わったようだ。この後の授業は無かったので私は筆記用具などを片付け、帰る準備をしていた。筆記用具を片づけて思ったが、こういう物に関しては未だにアナログだと私は思ったが、正直くだらないことだと後になって思ったので、気にしないことにして帰ることにした。

 ……そういえばここまで話しておいて、私が誰が答えてなかったな。

 

 --私はとある大学生で、『魔法使い』だ。趣味は魔法研究と言っておこうか。

 

 そんな魔法使いである私だが、世の中ではごく普通の女子大生として通している。先ほど趣味を他人に伝えることは出来ないと言った辺りから察するとは思うが。

 兎に角、私はいつものように家で魔法研究を行いたく、急いで家に向かっていた。いつもの思うのだが、こういう登下校が楽になるように科学技術が進めよと世間に対して思う。

 そしていつものように走っていると、目の前に目立つような女の子が見えた。

 髪の毛は黄緑色をして、黄色いリボンが付いている帽子をかぶり、フリルをふんだんにあしらった服装をしていた。そして何より気になったのは、左胸付近にあった瞳らしき丸いもので、目が閉じたような形をしていた。明らかに普通の人間ではないとすぐに悟ったが、私は何故かこの少女に惹かれ、近づいていくと彼女は私の方に気づき、そして微笑みながら彼女は口を開いた--

 

 --ようやく見つけたよ、『お姉ちゃん』

 

 その言葉に私は否定しようとしたが、何故か口が開かなかった。

 そしてそれからまもなくして、私は意識を失った--

 

 

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(……ここは?)

 

 目が覚めると、私は見知らぬ天井が見えた。ここはいったい何処で、何があったのか思い出せなかった?

 そもそも、意識を失った時の記憶が全くなく、重要なことの記憶だったような気がするが、どうしても思い出せなかった。

 とりあえず、見知らぬ天井ということからして、誰かに助けられたのかもしれないと考え、その恩人に対して礼を申し上げたかった。

 しかし、何故か思うように体が動かせず、声も上手く出せなかった。どんなに頑張っても上手くいかず、体が拘束されているわけでもない。数分くらい頑張ったが、結局上手く動かせず、諦めて誰かが来ることを待つことにした。

 すると、襖のような物が開くような音がして、誰かが近づいてくる足音が聞こえてきた。そしてその人物の姿が見えてくると、和服姿の女性でかなりの美人だった。

 しかし、その女性から放たれた言葉によって、私は驚愕の事実を知ることとなった--

 

「あら、起きていたのかしら。『さとり』は元気な我が子なこと」

 

 この言葉だけで理解できた私は良かっただろう。目の前の女性は私のことを『さとり』と呼び、我が子と呼んでいた。

 ……どうやら私は、さとりという女の子になってしまったようだった--

 




魔法使いが生きていた時代はなんとなく察しがつくかもしれない。

ちなみに、彼女たちの名前は出すつもりもないし、文章の中にはたまに登場しますが、関わってくることはありません。
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