魔法使いは覚り妖怪となっていた   作:アリヤ

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第六話 里と教師と不老不死と③

「何もかもお世話になってすみません」

「別に私は気にしないよ。ゆっくりしていてくれ」

 

 あれから私とこいしは妹紅さんの家で一泊する事になり、わたしとこいしは現在、妹紅さんの家に居ました。

 

「……それよりも、なぜ慧音までついてきた?」

「妹紅一人だとこの子たちの面倒出来るか気になったからと伝えただろう?」

「さっき知っただろう。この二人は妖怪だって」

「だが、この子たちの話を聴いている限り、養子と実年齢はさほど変わらない」

「……もう好きにしろ」

「……くすっ」

 

 慧音さんも一緒について来て、妹紅さんは慧音さんがついて来ることに歩いている間は問わなかったが、今になってその疑問を聴いていた。慧音さんは私たちが心配だからと答えていましたが、慧音さんが来た本当の理由を知っている私は思わずクスリと笑ってしまった。

 

「お、さとり。もしかして慧音がついて来た理由は違うのか?」

「えぇ、実はですね――」

「わー!! い、言わないでくれっ!!」

 

 妹紅さんは私がクスリと笑ったことによって察したようで、私が伝えようとしたが、慧音さんが声を挙げて阻止してきたので言えなくなった。こんな面白いものを私の前で隠すからいけないのですが、慧音さんが恥ずかしくて顔を赤く染めていたので、それに免じて言わないことにした。

 

「さとりに読まれたくなかったら、帰った方がいいと思うぞ」

「誰がそんな話を従うと思うか。というか妹紅、なぜ私をそんなに帰したがる」

「ん、最初はあったが今はないぞ。慧音がここまで恥ずかしがったりする光景はめったに見られないから、面白がっている方が多いくらいだ」

「……さとり、妹紅が言っていることは本当か」

「私を仲介して本心を聴こうとしないで欲しいですけど、質問の答えを言えば、妹紅さんが言っていることは本当ですよ」

「……帰る」

 

 この場にいるのは不利だと慧音さんは思ったようで、立ち上がって帰ろうとしていた。妹紅さんはそれを見て何も言わず、理由としてはこのまま慧音さんがいても弄られるだけになってしまい、逆に帰るように促したら感じ悪いと思われてしまうので、何も言わない方が最善だと思ったようだ。それはそれで、慧音さんから冷たく見えてしまいますが、私としても仕方ないと思ってしまった。この状況で、最善な選択肢は遅かったから――

 

「さすがに弄りすぎたか」

「……そうですね。私も悪乗りしてしまいましたし、妹紅さんだけのせいではありませんよ」

「……今度会ったときに謝っておくか。約束を放りっぱなしにしてしまったからな」

 

 慧音さんが帰ってしまった後、私と妹紅さんは反省しました。その場の乗りに任せてしまったせいで、慧音さんの機嫌を損なってしまったので、今度から気をつけないといけないと思った。覚妖怪になってから、他人の心を読めてしまうから、つい悪乗りしてしまった。

 しかし、今回の慧音さんにしてしまった件で、私は一つ懸念していることがでてしまった。それは私ではなく、こいしのことだ。

 今はよくいるような子供のように無邪気なところはあるが、未来で言われている第二次反抗期の年になった時が問題だった。

 反抗期が悪いというわけではなく、その頃の年齢が一番悪いことをしたりする年齢だからだ。妖怪ではあるが、元々人間だった私たちなので影響は出るだろうし、この時のこいしが悪さをしそうな気がしたのだ。私は今の年齢に転生前の年齢が加算されるから問題ないと思うが、こいしは違う。だからこそ姉として、こいしの面倒はしっかりしないといけないと思った。

 

「それで今更だが、ゆっくりしていてくれ。まぁ、これといって何もないがな」

「わざわざすみません。妖怪である私たちを泊めてくれるまでして――」

「だから気にするつもりはないよ。最初は長くこの場所に居るつもりは無かったから、一泊しか取ってなかったのだろう。私のせいで日が暮れてしまったことだし、これくらいのことはさせてくれ」

「まぁ、慧音さんも私たちを慧音さんの家で泊めても構わないと言われていたのに、妹紅さんが無理やり理屈を言っていましたからね。あの時の慧音さん、表情には出してなかったですが苦笑いを我慢していましたよ。変な理由を言わずに本当の事を言えば良かったのに」

「マジか……いやほら、二人は妖怪だからさ……」

「それこそ可笑しな話です。慧音さんは私たちのことを妖怪だと知っているでしょう。それに、慧音の家だと退魔師が来たりする可能性があるから、何が起こるか解らないと素直に言えばよろしいのに。それなら納得したと思いますよ」

 

 実は妹紅さんの家に来る前まで、私たちを妹紅さんの家か慧音さんの家で泊めるか揉めている間があった。その時妹紅さんが放った言葉が、支離滅裂ではなかったにしても少々無茶な内容で、慧音さんに気を使わせるようなことがあった。妹紅さんとその一件については反省しているが、なぜあんなことを言ったのか自分でも理解できていないらしい。

 

「確かにそうだな。なんで慧音にまで気を使わせたのだか……」

「……まぁ、妹紅さんがそう思う理由は解りますけどね。慧音さんは唯一の友達だからでしょう? もし私たちを泊めて退魔師と対峙するようなことが起こらないためにも、私たちを妹紅さんの家で泊めたかったのでしょう」

「……やはり隠し事は出来ないか。今度慧音に会ったときに謝っておくか」

 

 妹紅さんは私の言葉を認めた。覚妖怪()を欺こうとも考えたのでしょうけど、さすがに心を読める相手にそれは過酷すぎると、私自身も思いますが。

 

「……さて、タダで泊まらせて頂くのも釈然としませんので、夕飯は私が作りますよ」

「いやいや、客人に夕飯を作らせるのはどうかと私は思うのだが」

「これくらいさせてください。それに、妹紅さんが驚くような料理を作ってあげますから――」

「いや、そういうことではなく……」

「お姉ちゃんの料理はすごいんだよ!! お母さんと変わらないくらい美味しい料理を作れるし、てんんん!?」

「こいし、少し黙っていましょうね」

 

 私が未来から転生してきたとこいしの口から言うととっさに気づき、即座に回り込んで右手でこいしの口を塞いだ。こんな事を言えば変な人に見られるし、なにより気味悪がられると思ったので、阻止していた。魔法で口を塞げば良かったと後で思ったが、兎に角こいしを連れて妹紅さんが居ないところで話そうと思った。

 

「妹紅さん、ちょっとだけ間って頂いてもよろしいですか?」

「あ、あぁ。別に構わないが……」

「ありがとうございます。こいし、ちょっと来なさい」

「はーい」

 

 私はこいしを連れて一旦妹紅さんの家から外に出ることにした。外に出た理由は勿論こいしが言おうとしたことで、今までは私が未来から転生してきたなんて言うことを教えるような人が居なかったが為に、今までこいしに伝えておくことを忘れていたのだ。他人と付き合う予定は今まで無かったから、こいしに言う必要がないと思っていたのが失敗だった。

 

「こいし、今まで言いませんでしたが、私のことについて一つだけ隠しておきたいことがあります」

「何かな? もしかして転生して過去に来たこと?」

「……まぁ、そうです。さすがにそのことだけは、他人に伝えたくないので」

「うーん……詳しいことはよく解らないけど、お姉ちゃんの言うことを聴くよ」

「お願いねこいし」

 

『詳しいことはよく解らないけど』という部分は、こいしが私の心を読んで、理解できなかったから言ったのだろうと私は思った。私の記憶を知っていたとしても、さすがに未来の科学技術や専門用語などの言葉や意味を知ったところで、理解できない部分は絶対に出てくる。私ですら解らない単語なんて普通にあったから、完全に理解するなんて不可能だ。

 こいしと約束を交わしたあと、私たちは妹紅さんの家に戻った。覚妖怪故に忘れることはないと思うが、正直言うとこいしが約束を覚えているのに言ってしまいそうな不安はあった。その場のノリで話してしまう癖がこいしにあったから――

 

「お、話は終わったのか」

「すみません、こちらだけ一方的に隠し事なんてしてしまい……」

「いや、私は気にしないよ。別に私は不老不死なことを公にしないでくれたら問題ないさ」

「……あら、隠さないのですね」

「二人には知られていることだろう? なら隠す必要もないさ。それと、こっちから一つだけ約束して欲しい」

「……なんでしょうか」

 

 どのような約束か知っている私だが、一応妹紅さんの口から聴いておきたかった。心を読んで知ったところで、私が勘違いする可能性だって考えられるので、口から伝えられた方が正確なこともあるからだ。妹紅さんは私の返答にちょっと疑問に思ったようだが、特に気にせずに話し始めた。

 

「慧音のことだが、二人はもう解っているだろう?」

「……半人半妖のことですか?」

「そうだ。私の不老不死もそうだが、慧音の半人半妖のことも言いふらさないでくれるか?」

「解りました。私たちが覚妖怪だということを言いふらさない限り、守りましょう。こいしもよろしいですね」

「うん!!」

「なら良かったよ」

 

 妹紅さんは安心したようで、ホッと一息を吐いていた。

 その後、夕飯については妹紅さんと私の二人で作ることになり、妹紅さんが私の料理を食べて絶賛してくれたりしましたが、これといって話すことでもないし、睡眠するまで他愛もないような会話をしていたので、割愛します。

 余談ですが、私は料理を魔法と同じような物だと思っています。だって、必要な材料が多いことや、調味料(粉末)が必要なところは、魔法と似ているから――

 

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「もう少し泊まっても大丈夫だぞ」

「さすがに何度も泊まるのは気が引けます。それに、野宿については私たちは慣れてきていますので」

「そういう問題ではないと思うが……」

 

 翌日、私とこいしは身支度を済ませて、妹紅さんの家を後にしようとしていました。元々一泊したら出て行くつもりだったので、こいしにも了承は得てから、妹紅さんに一言伝えてでようとしていたところだった。

 しかし、妹紅さんは気にせずに泊まっても構わないと言われたが、私たちはこの里について調べたいことが既に幾つかあるから、妹紅さんの家に戻るのも遠いし、ここから調べに行くのは難しいところもあった。

 妹紅さんの家は近くに迷いの竹林と言われている場所がある。竹林に詳しくなければ絶対に迷ってしまうこともあり、迷って竹林に来てしまったら大変なことになる。立地的にも、よろしくなかった。

 

「……解った。だが、いつでもこの家に泊まっても構わないから」

「ありがとうございます」

「ありがとう!!」

「別にお礼されることでもないよ。それで、二人はどこか行く場所があるのか?」

「ちょっと山の上に見えた神社に行こうかと思いまして」

「……神社だと?」

 

 神社の話をした刹那、妹紅さんの表情から笑みが消えた。怒っているような表情ではなく、真顔になっていた。

 何か言ってはならないことを言っただろうかと私は妹紅さんの心を読もうとしたが、その前に妹紅さんから話し始めた。

 

「……どうしても行くというのなら私は止めないが、あそこは妖怪にとってよろしくない場所だ。行くのはよした方が良い」

「それは、この里の周辺を牛耳っている陰陽師の博麗と、大妖怪が居るからですか?」

「……そういうことだ。こういうときに手短に済むから助かるな。兎に角、博麗と大妖怪は気をつけろ。特に後者の大妖怪だが、その大妖怪は性格からして、心を読める覚妖怪を好まないだろうからな」

 

 妹紅さんの真面目な雰囲気からして、私は心を読む必要もないほどに、本当にただでは済まないと感じ取れた。人間であれば心配しなかったのかもしれないが、私たちは妖怪だから妹紅さんは心配しているのだろう。

 

「……解りました。気をつけて行ってきます」

「忠告したのに、それでも行くのか」

「はい、一応挨拶をしておくべきかと思いまして」

「……こいしも連れて行くのか?」

「いえ、こいしには元々別行動をとってもらうつもりだったので、神社へ行きませんよ」

「えっ!? そうなの!?」

「あ、こいしには伝えていませんでしたね」

 

 こいしが驚いていることを見て、そういえば伝えていたものだと思っていた。多分、どうせ心を読んで知っているだろうと思っていたからで、こいしもその記憶はどうでも良いものだと思ったのだろう。

 というより、覚妖怪故に覚えていることが多すぎて、取り出すのに時間が掛かるのは本当に何とかしたいです。魔法に支障が出そうですし……

 

「で、でも、お姉ちゃんは一人で大丈夫なの?」

「大丈夫ですよ。いざとなったら脱出しますから」

「……解った」

「話が終わったなら、表通りまで送るよ」

「ありがとうございます」

 

 私とこいしは妹紅さんの後について行く形で、妹紅さんの家を後にした。

 その後、表通りに着くと妹紅さんと別れ、私とこいしもそれぞれやることをするために、一旦別れることにした――

 

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