魔法使いは覚り妖怪となっていた   作:アリヤ

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この作品に登場させたい、東方キャラのアンケートを取りましたので、確認お願いします。

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第七話 闇と隙間と博麗と①

「……ここですか」

 

 私は目の前にある階段の上を見て、鳥居らしきものを見つけ、目的地である神社の階段下に着いたと解った。

 一々階段を登らずに飛んでいけば苦労せずに着けるが、もし人に見られていたということを考慮すれば、飛んでいくというのは危険行為なので、飛んで神社に行くという行動は即座に諦めた。

 

「とりあえず登りましょうか。これくらいの階段、ここに来るまでに登った山に比べたら余裕です」

 

 その登山ですら、人間の頃に比べれば体力を残して、こいしと共に登っていたので問題はなかった。

 私は階段に対して特に気にもせず登っていたが、妹紅さんに言われた内容について考え始めた。

 

「しかし、博麗が大妖怪と共にいるというのはどういうことでしょうか。妹紅の忠告を聴いた限り、博麗は妖怪に対して容赦ないのに、大妖怪と一緒にいる可能性が高いというのは……」

 

 妹紅さんの心を読んでもよく解らなかったので、私は気になっていた。心を読んだ限り、妹紅さんは博麗について名前くらいしか知らず、直接会ったことがなかった。この時代に写真はペリーがまだ来航してきていないので、顔写真などは存在しないので、妹紅さんは顔も知らないようだった。

 特に私が気になっていたのは、私が口に出して言った、何故博麗が大妖怪と一緒にいることがある理由についてだった。

 大妖怪が人間側の味方をしているのか。

 それとも何かしらの意図があって、博麗と一緒にいるのか。

 などという考えが幾つか浮かんできたが、本人から答えを聴くなり読むなりしなければ解らない内容なので、私は様々な予想を考えた。

 こういう風に予想することは転生前から好きなことで、魔法を考察するさいにもよく予想してしまうことがあった。だいたいがその予想した通りの魔法が使えたりするが、そうでない場合は苛立ってしまう癖がある。性格故に仕方ないことだが、今私がいる時代の魔法使いが聴けば、魔法使いに向いてないといわれるだろう。というか、転生前の親にすら言われたことがあるので、自覚はしているが直らず、研究者としても向いてない性格な私だった。結果が全てということではないというのは解るが、私の性格的に今まで直ることはなかった。

 

「さて、ようやく着きましたね。とりあえず――」

 

 私は神社に着くと、すぐさま賽銭箱がある所まで移動し、持っていたお金を賽銭箱に入れ、二礼二拍一礼をした。妖怪が神社に参拝することすら怪しく思えるだろうが、人間だった頃にしていたことでもあり、個人的に違和感はなかった。

 参拝が終えた後、私は神社の周りを歩いてみることにした。神社にいるから住職や巫女などが居ないかと思って探していたのだ。妹紅さんが忠告した博麗と大妖怪でも問題ないから、誰かこの神社に関わっている方に会いたかった。そうでないと、この神社に来た意味がなくなるからだ。

 妹紅さんには挨拶するために神社によると伝えたが、わざわざそのために神社に来たわけではない。この里に来て、妖怪がたくさん居ることは既に解っている事で、妹紅さんの家に向かう際や、そこから大通りに出る際も妖怪らしき気配は見かけたし、何より人間に紛れ込んでいる妖怪もいるというのに、この小さな山の上にある神社は森の中にあり、遠目で見ても廃れている気配がなかったので、その神社が気になって、そこで暮らしている住職や巫女に会ってみようと思ったのがきっかけだった。

 妹紅さんに忠告を聴いて、博麗という人物が済んでいることは解るが、博麗という住職や博麗という巫女と言わなかったことについて、私は気になっていた。最低でも博麗という陰陽師と言えば解らなくなかったのですが、あの時妹紅さんの心を読んだときは博麗としか思ってなく、住職でも巫女でも陰陽師という言葉は心を読んでも単語として出てこなかったのだ。

 博麗というのはここで住職、もしくは巫女をしている人間と友達だからこそ、妹紅さんは忠告したのではないかと考える方が、この時の私は最適な結論だった。

 

「……ん? あそこに人間が居ますね」

 

 神社を調べてから少しして、神社の外廊下の所で巫女服を着ている一人の幼き少女の姿が呑気に横になって地べたで寝ていた。この子が博麗かと私は思ったが、それにしては幼すぎるし、巫女服を着ているとしてもまだ五、六歳程度の幼女だった。

 というより、この山来る際にも妖怪は見かけていたので、呑気に寝ていてこの子は大丈夫なのかと私は思って苦笑いが出ていたが、すぐにその笑みは消えた――

 

「私の子供に何のようだ。妖怪」

 

 なぜなら、もの凄い殺気で私のことを見ている人の気配を感じ取れ、女性の声が聞こえてきたから――

 

「……よく私が妖怪だと気づきましたね」

「長年の勘だ。私は陰陽師でもないから妖怪の区別は断言出来ないが、勘である程度解るさ」

 

 私は振り向いて、即座に彼女の名前などの情報を心を読んで調べた。その結果、本当に勘で私を妖怪だと決めつけていたようだ。なんですか、その勘は。

 彼女の名前は博麗沙良(はくれいさら)。ここの巫女でもなく、陰陽師でもない只の人間で、私の近寄った少女の養子親のようだ。

 彼女の心を読んで、この神社と少女の関係や、妹紅さんが言っていた大妖怪との関係がようやく理解できた。

 この神社の名前は稻河(いなが)神社――これについては神社の鳥居に稻河と書かれていたから既に解っていたことだが、先代稻河神社の住職兼陰陽師が妖怪退治の際に亡くなり、その娘だったそこで寝ている少女こと稻河霊幡(いながれいは)を養子として引き取ったのが目の前にいる女性――博麗沙良という女性だということだ。元々貴族の出身だが、家が嫌になって家出し、現在は稻河もとい、博麗霊幡(はくれいれいは)を稻河神社の巫女兼陰陽師に育てるため、神社で暮らしているようだ。

 また陰陽師にするためとしても、博麗沙良では教えられることもなく、博麗霊幡の実父や博麗沙良と仲がよかった大妖怪――八雲紫に、博麗霊幡は陰陽師のことを教えてもらっているようだ。

 また、妹紅さんが危険と言った人物は、次期稻河神社を継いだ博麗霊幡ではなく、博麗沙良の方だったりするが、博麗沙良の心を読んで即座に理解した。武士に劣らぬ強さを持っているということに――

 

「それで、何しにこの神社に来た? 稻河の巫女が幼いうちに殺しておこうと危惧したのか?」

「……否定したところで信用しないでしょう?」

「ごもっとも。だからまずは霊幡から離すっ!!」

「そうですか……なら私は相手を――」

『いいえ、沙良は何もする必要はないわ。私があの妖怪を仕留めるから――』

 

 刹那、沙良の近くで、突如空間に亀裂が入り、大量の目がある空間が出現した。それを見た私は即座に嫌な予感がよぎり、自分を囲むように防御魔法を即発動した。

 その直後、突如現れた謎の空間から大量の妖力を込めた攻撃が、私に向かって放たれた。それも、背後には博麗霊幡が居るというのにだ。もちろんそのことに対して怒ったのは、博麗沙良だった。

 

「お、おい紫!! なぜ背後にいる霊幡に当たるような攻撃を放った!!」

「このくらいであの妖怪がくたばるとは思わないわ。よく見てみなさい」

 

 攻撃が放たれた影響で、私の周りは砂埃が舞っていたが、すぐに静まって博麗沙良が視認できるくらいになってきた。

 しかし、博麗沙良が居たところには博麗沙良だけではなく、この時代に有り得ないような中華風の服装と傘を持った女性が、博麗沙良の隣に現れていた。私は即座にその女性の心を読んだが、私が思っていた人物――いや妖怪だった。

 

「ほら、こんなことで倒れていないでしょ?」

「だからといって、もし霊幡に何かあったらどうするんだっ!!」

「自主練習をしておくようにと伝えてあったのに、寝ている霊幡が悪いわ」

「そういう問題では――」

「それに、妖怪が近づいていることに気づきもせず、しかも私が攻撃を放ったというのに、まだ呑気に寝ているのよ。次期稻河の巫女としてどうなのかしらね」

「……あの、私のことはよろしいのですか?」

 

 なんか、私を無視して二人で口喧嘩を始めようとしていたので、思わず私が話に割り込んでしまった。特に意識せず会話に割り込んだので、言って即座に後悔しましたが。

 

「……そうね。それに、何故あなたが西洋の魔法を使えているのか、知りたいわ」

「西洋? 魔法?」

「沙良はオランダという国とその周辺と思っていれば問題ないから」

 

 江戸時代において、西洋や魔法なんていう言葉を知っている人は居るわけがないだろう。でもたしか、江戸時代の時には魔法という言葉はあったということは昔聴いたような気がしましたけど、博麗沙良は知らないようなので、気にする必要もないと、私は思った。

 

「……で、どうしてあなたは魔法を使えるのかしら」

「黙秘します。そもそもわたしが使う魔法は現在西洋で使われている魔法ではありませんので、言ったところで理解出来ないかと」

「……口振りからして本当そうね。ならもう一つ質問。あなた、何の妖怪かしら?」

「答える必要はないですが、すぐに気づかれそうですし答えましょう。八雲紫と博麗沙良。そして、私が来た時から寝たふりをしている博麗霊幡さん」

「……あれ、気付いていたの?」

 

 その言葉に、私が来てからずっと寝たふりをしていた博麗霊幡がようやく起き上がった。博麗沙良と八雲紫は博麗霊幡が寝たふりをしていたことに驚いていたようで、どうやら寝たふりをしていたことに気づいていなかったようだ。

 

「気づいていたようなのは、私だけですけどね」

「凄い!! 紫さんですら私の寝たふりに気づいたことがないのに!!」

「……霊幡、後でその話を聴いていいかしら?」

「あっ」

 

 自分から墓穴を掘ってしまったことに博麗霊幡は気づいたようで、やってしまったというような顔をして声を出していた。

 そんな様子を見て博麗沙良は爆笑していた。爆笑していた理由を心を読んで確認してみたが、どうやらあの大妖怪こと八雲紫を、まだ陰陽師として未熟で幼少な博麗霊幡に欺かれていたことを知って、思わず爆笑していたようだった。

 

「沙良!! 爆笑するような問題ではないのよ!!」

「いやだって、大妖怪な紫がまだ五歳くらいの女の子に欺かれていたと思うだけで笑い物だろ。久々にこんなに笑ったわははは」

 

 まだ笑いが収まらないのか、博麗沙良は涙が出てくるほど笑っていた。笑われている身の八雲紫はついに我慢する事が出来なくなったのか、顔を真っ赤に染めて、先ほど私に攻撃として使ってきた自身の能力で神社から居なくなっていた。そんなことを気にせずに笑い続けている博麗沙良だったが、なにがなんだか状況を把握していない博麗霊幡は、何故か私の顔を見て首を傾げ、私はその反応に対して、苦笑で返すしかなかった――

 

 

 閑話休題

 

 

「なんか、辱めを受けただけなのに、なんか疲れたわ……」

 

 十分程度時間が経ち、八雲紫が戻ってきて、博麗沙良も笑いが落ち着いたようだった。

 私はその間に博麗霊幡から自ら淹れてもらったお茶を、博麗霊幡と一緒に呑気に飲んでいた。五歳でお茶を淹れることまで出来るということに、凄いと思いながら――

 

「兎に角、話が脱線してしまったわね……」

「元を辿れば、霊幡の寝たふりに今まで気づいていなかった紫が悪いだろ」

「なんでそうなるのよ!! 私を欺こうとして寝たふりをしていた霊幡が悪いでしょう!!」

「大妖怪である紫が気づけなくてどうする?」

「……まぁ、そこはそこにいる妖怪がなんとかしてくれそうだから問題ないわ」

「……気づいていましたか」

「まだ確証はないけど、その口振りからしてそのようね――覚妖怪」

 

 私は八雲紫の言葉を聴いて、本来の姿へ戻ることにした。といっても、変化しているところは髪の毛と第三の目くらいしかないため、そんなに変化したわけではないが。

 

「さ、覚妖怪って最近有名になっている……」

「そうよ。ついこの前火炙りの刑にさせられたと聴いていたけど……」

「あれは私の両親です。私たちを逃がすために――」

「……なんか、紫が余計なことを聴いてしまったようだ」

「あら、私のせい? まぁ、いいわ。それよりも私たちというのはどういう――」

「お、お姉ちゃん!!」

 

 八雲紫が私が言った複数形について聴こうとしたとき、タイミングを図ったかのように、こいしが空中から飛んで神社に向かってきていた。その顔は物凄く慌てているようで、よく見るとこいしが着ていた服が所々かすかに破れていた。

 

「こいし!! 一体何が――っ!? こいし避けて!!」

 

 一体何があった――と言おうとしたときに、こいしに向かって黒い槍のようなものが飛んでいることに気づいた。

 私は即座にこいしへ避けるように伝え、それを聴いたか解らないが、こいしは避けることをせず振り返った。しかし私が避けるように伝えたのに、こいしは何故かこいしと黒い槍の間に魔法を使った障壁を斜めになるように展開し、槍の軌道を大きくずらして攻撃を避けていた。

 何故そのようにしたのか私は気になったが、魔法による障壁は罅が入っているくらいの威力だったと気づいた。これは予想だが、避けたとしても攻撃の余波によってダメージを受けることを知っていたからこそ、こいしは避けずに軌道を大きくずらして避ける選択を取ったと――

 その後、こいしは私の隣に来て、いつもより呼吸が早くなっていた。先ほどからずっと逃げ続けていたのだと、私は即座に気づいた。

 

「紫、あの槍ってまさか――」

「えぇ。よりによって、一番面倒な妖怪を連れてきたわね……」

 

 博麗沙良と八雲紫の会話を聴いていた私は、即座に二人の心を読んだ。そして、二人が思っていることが正しければ、こいしはとんでもない妖怪に追いかけられていたと気づいた。

 

 ――人間の負によって生まれ、大妖怪である八雲紫ですら要注意として気にしている妖怪。

 宵闇の妖怪、ルーミアだと――

 

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