ハイスクールD×B×F   作:ゴンサレス斎藤

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第20話

 

 

 ~夕方・公園~

 

 

 

「今日は、とても楽しかったわ」

 

 

 

 公園の噴水近くで微笑む夕麻。

 

 

 

「よかった~、初めてのデートだから良くわからなくて、夕麻ちゃんが楽しんでくれたならうれしいよ」

 

 

 

 兵藤は自分の計画したデートプランが成功したことに安堵していた。

 

 

 

「それでね、イッセーくん。実は私、イッセーくんにお願いがあるの」

 

 

 

「お、お願い!?な、なにかな」

 

 

 

 夕麻から目を背けしゃがみこんだ兵藤の頭の中はすでに甘い妄想の中にいた。キス?それとも自分の初めて?どんなお願いが来ようともすべてを受け入れようと考えていたのだ。・・・が、

 

 

 

「死んでくれないかな」

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

 いきなりの言葉に兵藤は振り返ると、黄色い光ったものが目の前にあった。兵藤はとっさに顔だけを横にずらすと、そのまま横を通り過ぎるが、少しだけ頬を切ったのか、生温かい感覚があったので、手で触り見てみると、その手には真っ赤な血がついていた。

 

 

 

「あら、運よく避けたのね。人間の癖に生意気ね」

 

 

 

 夕麻は先ほどのあたたかい口調とは打って変わって、冷酷で冷たい口調であった。

 

 

 

「まぁ、そんな偶然一度だけですし、これで終わりよ」

 

 

 

 夕麻は片腕を上げると、そこには何かの陣が現れ、光が形を作り、まるで槍みたいになった。先ほど自分に投げたのはこれと同じものだと考えられた。

 

 

 

「う、うわあああ」

 

 

 

 兵藤は声をあげ、駆け出したが、運悪く足が縺れてしまい、少し進んだだけで転んでしまった。その際、胸ポケットにしまってあった、紙切れが飛び出した。それは、先日駅前で配っていた何かの勧誘だかの紙だったと思うのだが、そのときの兵藤は、紙の内容よりも配っていた女性に目を奪われていたので、特に気にせずその紙をもらっていたのだ。

 

 

 

 そんなことは脳内の片隅に追いやり、今この状況に意識を戻した兵藤。今目の前には、自分の命を奪う存在、先程まで楽しくデートをしていたはずの夕麻ちゃんに。

 

 

 

「それじゃあね、イッセーくん。なかなか陳腐なデート本当に楽しかったわ。あまりに楽しくて、途中で貴女を殺したかったくらいに」

 

 

 

 頭上に掲げた掌にある光の槍が、まっすぐ兵藤を捉えている。

 

 

 

「あ・・・あぁ・・・」

 

 

 

 兵藤は頭の中が混乱していたが、今すぐ逃げないと自分は死ぬことになると気づいてはいる。だが、あまりの恐怖に腰が引け、立ち上がることさえ出来ない。その為、尻餅をつきながらも、少しでも距離をとるかのように後ずさりしていた。その最中に、先ほど落とした紙切れに、血のついた手が触れた。

 

 

 

「さよなら」

 

 

 

 だが、無常にも然程距離を離すこともなく、光の槍が放たれる。兵藤は走馬灯のようになり、物事がすべてスローモーションになった。徐々に近づく光の槍、その延長線上に薄ら笑みをする天野夕麻。光の槍が自分に届くまでの距離が二人の間の半分になった瞬間・・・

 

 

 

 バシュゥゥゥゥゥン

 

 

 

 真横から、別の青光りした光の線が見え、兵藤に迫っていた光の槍が弾け消えた。

 

 

 

「「なぁ!?」」

 

 

 

 その場にいた二人の声が見事にハモッた。

 

 

 

「何者!!」

 

 

 

 天野夕麻は声を上げ周りを見渡すが、周囲には自分たち以外には見当たらなかった。

 

 

 

『人ならざる者よ、この場から去れ』

 

 

 

 急に声が聞こえたかと思えば、それは周囲から聞こえてきており、声の発信者がどこにいるかもわからなかった。

 

 

 

「誰だ!どこにいる!」

 

 

 

 天野夕麻は必死に声の主を探すが、

 

 

 

『もう一度言います。人ならざる者よ、今すぐこの場から去りなさい。さもなければ、先ほどの攻撃を、貴女の心臓めがけて放ちます』

 

 

 

「っく・・・」

 

 

 

 天野夕麻は苦虫を噛み潰したかのような顔をするが、冷静に考えると、ここで目の前の男を殺しても、先ほどの光の筋は自分にはかわせない、確実に死ぬ。ならば、ここから去るほうが懸命だと思い、足元に転移の魔方陣を作り出す。

 

 

 

「命拾いしたわねイッセーくん。貴方とはこれでさよならね」

 

 

 

 そう言うと、そのまま姿を消していった。兵藤は声をかけることもなく、その場にただただへたり込むだけだった。

 

 

 

『少年、今日起こったことは忘れなさい、すぐにとはいかないがこれからの人生を謳歌しなさい』

 

 

 

 そう言うと、その声は聞こえなくなり、人の気配も消えた。あたりには風の吹く音しか聞こえなかった。その直後、手に触れていた紙から赤い光が発せられると、そこから魔方陣が現れ、そこから兵藤が見知った人物が現れた。

 

 

 

「あら、私を呼んだのは貴方かしら?」

 

 

 

 それは、自分が通う駒王学園の二大お姉さまの一人、リアス・グレモリーがいた。

 

 

 

「・・・・・」ドサッ

 

 

 

 この短時間にいろんなことが起きすぎて、ついに心身ともに疲労が限界に達した兵藤は、憧れのお姉さまを前に一言も喋らずに、その場で意識を失い倒れこんだ。

 

 

 

「ちょ、ちょっと!どうしたのよ貴方!」

 

 

 

 あまりの展開に、リアス・グレモリーは困惑した。そのとき、

 

 

 

「な、何だこりゃ!なんで兵藤が死んでねぇんだよ!」

 

 

 

 あまりの怒号に、リアスは振り返ると、そこには一つ下の後輩で、学園髄一の目立ちたがり屋、日向正義がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 一方そのころ、なぞの声の主はと言うと・・・

 

 

 

「やれやれ、帰宅と同時に殺意を持った魔力反応、駆けつけてみれば、先程別れた二人組、そのうちの一方の女性は人ならざる者、もう一方は彼女が出来たと喜んでいたクラスメイト、見られるとまずいので、距離を置いての《白雷(びゃくらい)》、脅しをかけてうまく撤退してくれたはいいけど、暫くは兵藤には深い傷が残るだろうなぁ」

 

 

 

 翌日学園で会う気落ちしたクラスメイトを想像していた颯は、はぐれ悪魔の排除に向かうため、自宅から飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 ~翌日~

 

 

 

 いつも通りの時間に登校した颯は、授業が始まる時間まで、人がいない教室で、日課の読書をしようとした矢先、いきなり教室のドアが開くと、そこには日向正義が入ってきた。そして乱暴に歩きながら、そのまま颯の前に立ち止まる。

 

 

 

「おい!お前は一体何者だ!」

 

 

 

「・・・質問の意図がわかりませんが」

 

 

 

「とぼけるな!!お前が現われてからずっと俺の計画が狂い始めたんだ!計画通りにいっていれば、今頃この学園の美女と言う美女が、俺のものになっていたんだ!それをお前が邪魔してからこんなことに!!」

 

 

 

「なにを言っているのかは知りませんが、邪魔をした覚えはありませんし、そもそも人を物扱いにするのはどうかと思いますけど・・・」

 

 

 

「うるせぇ!!」

 

 

 

 正義は原作を知る転生者である。昨日、原作では兵藤が殺される現場に立会い、秘密裏に兵藤の死体を処分し、その後現われたリアス・グレモリーを呼んだのは自分だと偽り、転生の特典としてもらった能力を神器として、この能力があるから殺されそうになったと証言し、眷属になろうと考えていたのだ。

 

 

 

 だが実際は、兵藤は殺されることもなく、そればかりか、なぜこの子が殺されるのがわかっていたかのような発言をしていたのかとリアス・グレモリーに聞かれていたため、うまく説明(言い訳)をすることが出来ず、彼女は理由を聞くこともなく、兵藤を連れて行こうとした。その際正義は、自分も連れて行ってくれと嘆願するが、素性の知れない人物と馴れ合うつもりは無いと、バッサリと拒絶したため、開いた口が塞がらなかった。そして姿を消す前にリアス・グレモリーは正義に対して、今日あった事と自分のことを周りに公表すれば、貴方を存在ごと消してあげると言い残し、転移していった。

 

 

 

 その後の正義は、なんで計画が狂ったのか考えていた。そもそも初めは、姫島神社で幼かった姫島朱乃を救い出し、モノにするはずだった。だが、到着したときにはすでに事が終わっていて、無人の神社が残っていただけであった。(その仕業が颯だとは知らない)成長し、目的の駒王学園に入り、特典でもらった身体能力の強化で周りに自分は優秀だと見せ付けてはいたのだが、いつまでたっても、リアス・グレモリーやソーナ・シトリーに勧誘されることなく、現在に至る。そして昨日の一件でリアス・グレモリーに完全に拒絶されたため、今まで溜まっていた不満がストレスになり、その原因は原作では現れなかった颯に向けられた。正義は自分の思い道理にいかなかったのはそいつのせいだと自分勝手な解釈をした。そのような彼にとって邪魔な颯を始末すれば、今まで自分を見なかった二人も見てくれるはずだと浅はかな考えに至った。

 

 

 

「お前のような奴は俺は知らない!だから原因は全部お前にあるんだ!」

 

 

 

「本当に貴方は何を言っているんですか?」

 

 

 

「黙れ!俺の邪魔をした以上、お前を・・・」

 

 

 

 そう言うと正義は、手近にあったイスをつかむ。するとそのイスは、赤い血管みたいなものが張り巡らされる。それを見た颯は、表情は変えなくても、いつでも動けるようにはした。だが、

 

 

 

 がやがや・・・

 

 

 

「ちっ・・・」

 

 

 

 教室の外から聞こえてくる複数の人の声、それを聞いた正義は、イスを手放し颯から離れる。

 

 

 

「いいか、これ以上俺の邪魔をすれば今度こそお前を殺してやる!」

 

 

 

 そう言い残し教室から出て行った。

 

 

 

『主よ!今すぐあ奴のそっ首をはねさせて下され!』

 

 

 

「(落ち着け、千本桜。まだ実害があったわけじゃない。もしこのまま態度を変えずに自分を排除しようとするならそれ相応の対処はするけど、とりあえず干渉はしないでおこう)」

 

 

 

 自分の中にいる魂が自分のために怒っていることをうれしく思うと同時に、不用意な争いを避けるようにした颯。そのとき・・・

 

 

 

 ガラッ・・・

 

 

 

 再び教室のドアが開けられた。そこにいたのは・・・生徒会長の支取蒼那だった。そしてそのまま教室の中に入ると真っ直ぐ颯のもとへ近づいて声をかけた。

 

 

 

「東雲颯君ですね?」

 

 

 

「そうですが、生徒会長が自分にどのような用事でしょうか?」

 

 

 

「詳しいことは後で説明しますが、要点だけ言います。東雲君、生徒会に入りませんか?」

 

 

 

 

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