ハイスクールD×B×F   作:ゴンサレス斎藤

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第25話

 

 颯は自宅に着いて郵便受けを確認すると、そこには差出人不明の封筒が一通入っていた。颯は手に取り確認するが、危険物が入っているのでもなく、魔力探知にも引っかからなかったので中身を確認しようと封筒を開ける。そこには、なぜかはぐれ悪魔の潜伏先の場所と名前などの情報と討伐の成功の報奨金と討伐後の連絡先が記載されていた。

 

「(この場所は裏の顔をしっている人には隠している場所。学園と市役所には通達しているが、それでも差出人不明は今までない。なら裏の顔を知っていて自分の正体を知っている人。でもそんなに多くはいない。昔のギルドにも知らせていないから、こんなことが出来るのは)・・・サーゼクスさん達か」

 

 この場所が知っている関係者の中で、一番可能性が高い候補者を口にする。

 

「別にこんな手の込んだことしなくても、直接声をかければいいのに」

 

 颯は犯人がわかり、ため息交じりの感想を口にするが、すぐに準備し、いつもの死装束に魔力で換装し、ローブを羽織り、猿の仮面を着け、手紙に書かれている場所へと跳び出す。この時颯は気づかなかった。手紙の主が出した意図に、なぜこんな方法で依頼を出したかなんて颯は現場で知ることになる。

 

 

 

 

 廃墟となったビル、目的の対象はこの中にいた。

 

「ここにいるはぐれ悪魔さん、出てきてください」

 

 まるで対話するかのように声をかけ、ビル内に木霊する。しかし返答はなく、自分以外周りにはいない。・・・だが、

 

「・・・上、ですか」

 

 魔力察知により、対象が上にいると判断した颯は、普通の足取りで階段を昇る。そして、ある程度上がると、奥にいる暗闇からうごめくものが見えた。

 

 ケタケタケタケタケタケタ・・・

 

 不気味な声がすると同時に、重そうな足取りで近づく者がいた。

 

「臭いがするぞ、獲物の臭いが。美味いのか?不味いのか?」

 

 暗闇から姿を現したのは上半身が裸の女性。その光景を見れば健全な男子は絶叫ものだが、その後ろから現れたのは、女性の下半身で、そこには巨大な獣の体があった。さらにその獣の体の両手には槍のような獲物が一本ずつ所持していた。

 

「はぐれ悪魔、バイザーですね?依頼により貴女を討伐させていただきます」

 

「ケケケ、非力な人間が。お前たちはただ私に食われるだけの存在なのだぁ、ケケケケケ」

 

「一つ聞きます。あなたは今までに何人の人間を喰らいましたか?」

 

「フン、そんなこといちいち覚えていないわ!!」

 

「そうですか・・・」

 

 バイザーの答えに、颯は目を閉じ、黙祷をする。そして再度目を開けると、左手の人差し指をバイザーに向ける。

 

「あぁ?何だそれは?そんなもんで私を・・・」

 

「破道の四・白雷(びゃくらい)」

 

 バイザーの問いに答えることなく、颯は指先から一筋の雷をバイザーへと放つ。

 

「あぁ?」

 

 バイザーは自分に何かが当たった衝撃に違和感を覚えた。喰おうとした相手から放たれた光。その直後に何かが当たった感触。何かと思い目線を下に向けると、自分の胸に、正確には自分の心臓部分に空いた穴。そこからは肉の焼け焦げた匂いがし、そこから血が止め処なく出ていた。

 

「あ・・あ・・」

 

 バイザーは信じられない光景で焦りだした。そしてこの事態を起こした人間に目を向けようとしたが、下に向けていた目線にその人間が移りこんだ。先程まで丸腰だったが、日本刀を手に居合いの型をとっていた。そしてそのまま刀を抜き、バイザー目掛けて真上に振りぬく。

 

 直後、バイザーは真ん中から見事に半分に切られた。バランスを失いそのまま左右に体が割れながら倒れていった。バイザーが最後に見た景色は一瞬ではあるが、左右が分かれた世界だった。

 

 

 

 颯は斬魄刀についた血を一振りして払い鞘に戻す。そして懐から携帯電話を取り出し、バイザーの死体を撮影、依頼を出した相手に討伐完了の証拠をメールで送る。そして相手からの完了の返信を待っていたが、"先程からこちらを窺っている存在”に声をかける。

 

「そこから覗いている人たち、誰ですか?」

 

 するとそこには、颯が良く知る感じた気配と通っている学園の有名どころの人たちが姿を現した。

 

「あら、私たちのことに気づいていたのね」

 

 学園の二大お姉さまの一人、また颯の護衛対象の一人であるリアス・グレモリー。

 

「ええ、数分ほど前から」

 

「あらあら、では最初から全部気づかれていたのですねぇ」

 

 同じく学園の二大お姉さまの一人の姫島朱乃。

 

「(あの刀は・・・)」

 

 なぜか、自分の斬魄刀にするどい視線を向けている、同学年の木場裕斗。

 

「あの人・・強いです」

 

 こちらの力量を見定めている、学園のマスコット的存在、塔城小猫。

 

「え、え、はぐれ悪魔の討伐だと聞いてきたのに・・・えぇ」

 

 その後ろで、未だにこの状況の空気についていけない、変態三人組の一人で颯のクラスメイトの兵藤一誠。以上の五人が颯の前に現れる。

 

「それで、貴方はなにものなのかしら?」

 

「人にモノを尋ねるときは、まず自分からと教わりませんでしたか?」

 

 リアス・グレモリーの質問に返すこともなく、逆に常識を知らないのかと言うような口調で返した。

 

「うっ・・そうね、ごめんなさい。私はリアス・グレモリー。この地を管理する悪魔よ。後ろにいるのは私の下僕たち。さぁ、私は名乗ったわ。それで、貴方は何者?」

 

「私は“名無し”フリーのはぐれ狩りです。今日は依頼により、はぐれ悪魔バイザーを討伐しにこちらに赴きました」

 

「あら、貴方もなの?私たちも大公の依頼で討伐に来たのだけれど」

 

「では、どこかで別の依頼人が同じような依頼をしたようですね。ですがもう私が依頼をこなしてしまったので、申し訳ありませんが、お引取りください」

 

 この業界では良くある事で、違う地に行くと同じような依頼が複数出されているケースがある。そして知らずに同じ依頼を受けてしまった場合、より早く討伐した組が褒賞をもらえることになっている。後から来た組は悔しながらも、あきらめなければならない鉄則だった。

 

「そうはいかないわ」

 

「?」

 

「私の管理する地で貴方の様な優秀な人材を放っておいて、みすみす黙って帰るなんてわけには行かないわ。どうかしら、私の眷属にならない?」

 

 そう言うと、ポケットからチェスの駒《騎士(ナイト)》を出して、颯を勧誘した。

 

「これは、『悪魔の駒(イービル・ピース)』と呼ばれるもので、他種族から悪魔に転生することが出来るものなの。どう、転生してみない?」

 

「お断りします。私の人生は私のもの。他人がどうこうできるようなものではありませんので」

 

「あら、悪魔になればいろいろ良い事ずくめよ?」

 

「例えば?」

 

「まず、寿命が延びるわ」

 

「ただ生きているだけの人生に意味はありません」

 

「う・・か、階級が上がり上級になれば自分の好きなことが出来るわ!」

 

「今のこの生活以上に満足なんてものはありません」

 

「・・・・ここにいる新しく眷属になった子はハーレムを作ることを願っているわ!だから貴方も・・・」

 

「そんな不順な理由で悪魔になんかなりたくありません」

 

「ぐはぁぁぁぁぁ!!」

 

 フードを被った仮面の人物(颯)とリアス・グレモリーとのやり取りで、予想だにしてなかった自分を例に挙げられるが、自分の目標を一蹴されるとは思っていなかった兵藤は、心に深いダメージを負った。

 

「え――っと、え――っと・・・」

 

「これ以上ないようでしたら、私は帰りますので失礼します」

 

「ま、待ちなさい!!」

 

 帰ろうとする颯に、リアス・グレモリーは待ったをかける。

 

「こうなったら仕方ないわ、力ずくでも貴方を眷属にするわ!祐斗!」

 

「はい、部長」

 

 木場祐斗は返事をすると、前へ出る。そしてさっきまで手ぶらだった彼は、腰に鞘に入った西洋剣を携えていた。

 

「すいません、主(あるじ)の命令なので」

 

「いや、さすが悪魔らしい強欲な考え方だなぁと思いまして」

 

「あはは・・・ところで、その持っている刀、それは聖剣ですか?」

 

 何気ない質問をしているが、その言葉には若干の怒気、殺気が込められていた。

 

「以前にも別の地で同じようなことを聞かれました。これは聖剣でも魔剣でもありません」

 

 斬魄刀を抜き、刀身を見せるように腕を伸ばす。木場は少し目線を鋭くして見ていたが、やがて、目を温和にさせた。

 

「すいません。ちょっと事情がありまして、確認しました」

 

 木場は頭を下げて、その後抜刀の構えと飛び出すために腰を低くする。

 

 

 兵藤Side

 

「ちょうどいいわ。イッセー、これから貴方に駒の特性について説明するわ」

 

「駒の・・特性?」

 

「悪魔に転生した際、駒の能力がその者に与えられるの。例えば、祐斗に与えた駒は《騎士(ナイト)》。その特性はスピード、そして最大の武器は剣!」

 

 その直後に木場は消える。

 

「消えた!?」

 

「速すぎて見えないの。そのおかげで彼は眷属一の最速の剣士よ!」

 

 

 颯Side

 

 木場が消える。いや消えたように見えるほど速い。普通なら慌てている間に斬られて即終了。だけど・・・

 

「(あのときの人物と同じ動き、だけど)遅い・・」

 

 ギャリィィィィィィン

 

 自身の右側から居合い切りをしてくる木場に、右手に持った斬魄刀を逆手に持ち、振りぬくと同時に刃同士をぶつける。

 

「「なっ!!??」」

 

 正面にいるリアス・グレモリーと兵藤は間の抜けた声を出し、自分の近くにいる木場と奥にいる姫島と塔城は目を見開き驚愕し、動きを止めた。

 

「戦場では、動きや思考を止めることは厳禁ですよ」

 

 颯はそういうと、左手の人差し指を木場に向ける。

 

「(サーゼクスさん、あの時の条件を執行させてもらいます)」

 

 

 

 

 

 

 ~二年前・ホテル内最上階一室~

 

「承知しました。その前にいくつか条件があるのですが」

 

「条件?」

 

「はい、それは、私にある程度の行為を認めてほしいのです」

 

 そう言うと、颯は懐からペンと羊皮紙を取り出し、時間を掛けて何かを書くと、依頼人の座っているテーブルに近づき羊皮紙を置く、そして元いた位置に戻る。

 

「それは?」

 

「この紙には護衛の依頼の際、いくつかのお願いが書いてあります。これを認めてもらいたいのです」

 

 サーゼクスは羊皮紙を手にとり、内容を確認する。

 

 一、護衛と共に、他の依頼の受付の許可。

 

 一、他の依頼を受けた際、別の地に行く場合、護衛の任務を一時放棄する。

 

 一、 同じ場所で護衛対象者と一般市民が危険な状態に陥った場合、一般市民を優先的に守らせることを認める。

 

 一、 護衛対象者が自分に対して、敵対行動、もしくは力ずくで自分を配下にしようとした場合、武力による反抗を認める。(ただし、依頼を破棄するつもりはない)

 

 一、自分たちの勢力に組み込むような行いは決してしない。

 

 一、 自分は、中立の立場。もし、護衛対象者を亡き者にしたい相手がいた場合、基本的には受け付けない。しかし、護衛対象者側に過失があった場合、独自の判断で決めさせてもらう。

 

「・・・以上です」

 

 読み終えたサーゼクスは、書かれていた内容に苦悶の表情を浮かべる。これはつまり、『護衛はするけど、一般人優先、相手が悪人なら場合によっては殺します』と言っているようなものだったからだ。だが、自分の妹とセラフォルーの妹に対して、なんら過失も問題もないと判断し、書かれていた内容に許可を出した。

 

「よかろう。そちらの条件を飲もう」

 

 

 

 

 

 ~現在・廃墟ビル~

 

 契約時に交わした約定の時を思い出し、そのときに書かれていた『力ずくの場合、武力による応戦』を執行する。木場に向けた人差し指に魔力を集中。からの、

 

「破道の一・衝(しょう)」パァン

 

 指先から衝撃を放つ。威力は弱いが、呆然としていたことと相まって、軽々と弾き飛ばされる。このとき、通常であれば悪魔の体なのだからすぐに体制を整えようと思えば出来たのだが、衝撃は顔より下、顎辺りに当てたため、軽い脳震盪になり動くことも出来ず、そのままフロアの壁際に積まれていた廃材まで飛される。

 

 ガシャァァァン

 

「木場ぁぁぁ!!」

 

「小猫!!」

 

 兵藤は吹き飛ばされた木場に叫ぶが、リアス・グレモリーは間髪いれず、塔城に指示を出す。

 

「(ふむ、状況をとっさに判断し、瞬時に対応しますか・・主人としては及第点ですね)」

 

 塔城は指示されると同時に飛び出す。ただし、木場のようなスピードはなく、真っ直ぐこちらに突っ込んでくる。颯は、指をそのまま向け、

 

「破道の一・衝(しょう)」パァン

 

 先程と同じ攻撃を繰り出す。塔城は腕をクロスして衝撃に備えた。だが、体が小さい為か、その姿勢のまま飛ばされる。

 

「あぁ、小猫ちゃん!!」

 

「大丈夫よ」

 

「え?」

 

 兵藤は叫ぶが、リアス・グレモリーは落ち着いていた。よく見ると、塔城の制服は少し破れてはいるものの、二、三メートルしか飛ばされておらず、着地と同時に再び駆け出す。

 

「おぉ!小猫ちゃん、すげー!!」

 

「小猫に与えた駒は《戦車(ルーク)》。祐斗みたいなスピードはないけど、その特性は高い防御力、そして・・」

 

 塔城は颯に迫ると、拳や蹴りを放つ。颯はバックステップでそれらを回避するが、フロアの中心で、支柱に追い込まれる。その隙を見逃さず、塔城は跳び上がり、

 

「やぁ・・」

 

 颯の顔面に正拳突きを放つ。颯は体を横にスライドさせ、距離をとる。そして目標を失った拳は、そのまま柱に直撃し、

 

 ドゴォォォォォン

 

 柱を粉砕する。

 

「圧倒的な攻撃力よ」

 

「ええぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 あまりの出来事に兵藤は絶叫する。

 

 その間も、塔城の攻撃はやむことがなく、さらに攻撃の手数を増やしながら、相手を追い込む。そして再び柱に追い込み跳び上がる。今度は横に逃げられないように、右のハイキックを繰り出す。

 

「えい・・」

 

 それに対し颯は、左腕を出しガードの姿勢をとる。

 

「そんな腕で小猫の攻撃は防げないわ!」

 

 確かに柱をも砕くのなら、人間の腕の一本や二本でガードしても無意味であろうが、

 

「縛道の八・斥(せき)」

 

 左手の甲に魔力で六角形に出来た楯を出現させ、敵の攻撃を防御する。その直後、盾は弾け、その衝撃で塔城は飛ばされ、そのまま木場とは反対方向の廃材置き場に飛ばされる。

 

 ゴガァァァァン

 

「小猫!!」

 

「テメェ、よくも二人を!!」

 

 これにはリアス・グレモリーも驚いた。自分の眷属の中でも、もっとも戦闘経験を持つ二人を難なく退けたのだから、叫ばずにはいられなかった。兵藤は仲間が二人やられたのに対し怒りをあらわにし、仮面の男(颯)をにらみつける。

 

「・・・・・・・・・」

 

 颯は兵藤に対し仮面越しから目を向ける。

 

「な、なんだよ」

 

 じ~っとみられていた兵藤は、不快感をあらわにする。

 

「・・・君は馬鹿なのですか?」

 

「な!?いきなりなんだよ!」

 

 突然の罵倒に声を荒げる兵藤。

 

「ふむ、では少年、君に聞きますが・・・」

 

 颯は名前ではなく、少年呼びで問いかけた。

 

「君は、人から斬りつけられたり、殴られようとされたら、ぼ~っと突っ立っているだけなんですか?」

 

「え・・・イヤ・・それはないけど」

 

「そうですよね、イヤですよね?何も好き好んで血を出したり傷を作るのはイヤですよね?ですが私はそういう目に遭わされました。自分は相手の暴行により怪我を負うところでした。怪我をしたくない為、やむなく防戦しました。これは一種の正当防衛ですよ?それに、力押しをするということは、自分達もやられる覚悟があってのこと。それなのに少年、君は自分の仲間がやられたのは全面的に私が悪いように言いますが、悪いのは私ですか?私を傷つけるのはいいけど、自分の仲間を傷つけられるのは許さないと、そう言うのですか?」

 

「う・・・それは・・・」

 

 淡々と説明する相手に兵藤は相手の言い分が間違っていないために、うまく返しが出来なかった。だが、その隣にいる人物にその言い分は通らなかった。

 

「例えそうであっても、私の下僕を傷つけたことに変わりはないわ!朱乃!」

 

「え?でも・・」

 

 姫島も相手の言い分が正しいので戸惑っているようだが、

 

「いいから!!」

 

「は、はい、部長!」

 

 怒りのため、物事の判断がつかず、ただ相手を倒すという事だけを頭に姫島に声を荒げて命令する。

 

「イッセー!朱乃に使った駒は《女王(クイーン)》その特性は、他の駒《騎士(ナイト)》《戦車(ルーク)》《僧侶(ビショップ)》《

 兵士(ポーン)》の全ての力を兼ね備えた無敵の副部長よ!それと私には駒は使われてないけど、私の魔法は消滅の力!その名の通りあらゆるものを消し飛ばす力よ!」

 

 リアス・グレモリーは声を荒げながらも駒の説明と自分の力についての説明を欠かさず行う。その間、自身の魔力を練り上げ、正面に魔方陣を形成する。姫島は両手を突き出し、そこからバリバリと雷を作り出す。

 

 これを見た颯は、内心ため息を吐くと共に、左手を突き出し掌を向ける。

 

「君臨者よ 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ。真理と節制 罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ」

 

 相手が強力な攻撃をしてくると察知した颯も迎撃するために詠唱を始める。

 

「消し飛びなさい!!」

「雷(いかずち)よ!」

 

 二人の放った攻撃はお互いを打ち消すことなく、真っ直ぐ颯に向かう。

 

「破道の三十三・蒼火墜(そうかつい)」

 

 それに対し、颯は蒼い爆炎を放つ。お互いの攻撃はぶつかり合うと、衝撃と爆風によってフロアの埃などが舞い上がり、さらには強い光が相まって視界を完全になくしてしまう。

 

 グレモリー・姫島・兵藤はそれらにより顔を背けたり、目を閉じたりして相対している人物を見失う。だがそれは相手も同じこと。次に視界が晴れたときに先制攻撃を行い、相手に隙を与えずに攻め続けていれば良いと考えていた。

 

 やがて風も止み、光も治まりつつあった。リアス・グレモリーはゆっくりと目を開け、周囲を確認しようとするが、目の前には銀色のものが見えるだけであった。

 

「っっ!!」

 

 そしてようやく認識したときは、それが刃の切っ先であることに気づいた。

 

「あっ!!部長!!」

 

「動くな!!」

 

 ようやく兵藤たちもリアス・グレモリーの目の前に刃が突きつけられていたことに気づき、駆け寄ろうとするが、颯の一括で動きを止める。

 

「貴方・・・本当に何者?」

 

「言った筈です。私はフリーのはぐれ狩りだと」

 

 その時、電子音が辺りに響き渡る。自分の携帯がなっていることに気づいた颯は刃を向けながら、懐から携帯を取り出し画面を確認する。そこには依頼完了の文字が映し出されていた。それを確認した颯は刀を納める。

 

「相手からの確認の連絡が来たので、今度こそ失礼します」

 

「ま・・・待ちな・・・」

 

 返事を聞かず、颯は高速移動術『瞬歩』で消えるように逃げ去った。

 

 

 

 兵藤Side

 

 はじめてのはぐれ悪魔討伐という危険な所の見学に行った俺は、なんとも言えない気持ちになった。目的のはぐれ悪魔はすでに殺されていて、その横には刀を携えた男が一人。背格好からして俺と同い年くらいに見えたが、猿の仮面に体を隠すようなフード付のローブを着ていたから詳しいことはわからない。その男ははぐれ狩りだと言った。後で部長に聞いたところ、力のある人間が懸賞金のついた危険生物などを目的にハンティングする人達のことを言うらしい。まぁそれはともかく、どうやら悪魔側と人間側とで依頼がブッキングしてしまったらしい。悪魔の仕事がどんなものなのか見れなくて残念だが、あの死体を見た限りじゃあ遠目で見たって怖いものは怖い。このまま帰れるかと思いきや、部長がその人物を悪魔に勧誘し始めた。確かにあんなでかい悪魔を狩るくらいだから強いとは思うけど、勧誘に俺の目標を言うのは止めてください!しかもそれを一蹴されて俺の心は死にそうです!・・・っと説得したところで、相手は食いつきもせず帰ろうとする。すると部長は無理矢理捕まえようとした。しかもそれを利用して俺にみんなの役割を説明してくれた。だけど木場や小猫ちゃんが普通の人とはまったく歯が立たないような動きや力を使ったにも拘らず、二人を部屋の隅へと弾き飛ばしてしまった。それに激怒した俺は相手をにらみつけるが、逆に言い負かされてしまう。だけど部長は、仲間を傷つけられたのを許すことなく、朱乃さんと一緒に相手に強力な魔法の一撃を食らわせようとする。でも相手もそれに負けじと強力な攻撃をしてきて、ぶつかり合うとまったく周りが見えなくなった。そして次に目に入ったのは、刀を突きつけられている部長の姿だった。俺と朱乃さんは動こうとしたが相手に止められ、何も出来なかった。その時、相手から電子音が聞こえると、相手は携帯を取り出し、何かを確認すると、部長が声を掛けることなく消えてしまった。

 

「リアス、大丈夫ですか?」

 

「えぇ、大丈夫よ朱乃」

 

「部長、あいつは一体・・」

 

「わからないわ、でも彼は危険よ」

 

「危険?」

 

「えぇ。はぐれ悪魔バイザーを倒したのは相手が弱かったか、彼の持っていた武器が神器で、それが強力だったのかと思ったけど、祐斗の動きを見切ったり、小猫の攻撃にも耐えるような魔法の盾、そして私と朱乃の攻撃を打ち消したあの攻撃力、フリーのはぐれ狩りの力じゃ説明できないわ!それに“名無し”なんて名前、聞いたこともない。有名どころで言ったら“死神”ぐらいよ」

 

「“死神”?」

 

「イッセー君、“死神”とはあるはぐれ狩りの代名詞なんですよ。ほんとの名前はわかりませんが、そのはぐれ狩りは、依頼を受けたら必ず成功させ、生き残った悪魔はいないと言わしめたことから、はぐれ狩りの間ではその人物のことを“死神”と呼ぶようになり、はぐれ悪魔の間で恐れられ、“死神が来るぞ”と名前を出しただけで自ら捕まりに来るはぐれ悪魔までいるんですの」

 

「そ、そんな人間がいるんですか!?」

 

「そんな噂があったのよイッセー。それにそんな人物を悪魔側は自らの眷属にしようと探し回った時期もあったわ。でも結局その人物は見つけることが出来なかったそうだけど」

 

「見つからなかった?」

 

「うまく姿を隠したか、もしくは初めからいなかったか、色々な憶測が流れたけど、真偽のほどはわからないわ。それより、祐斗と小猫を治療するために今日は帰りましょう」

 

「あ、あの部長、俺の駒ってのは何ですか?」

 

 帰ろうとした部長に自分の駒についての説明がなかったのでそれだけは聞いておこうと思った。

 

「ああ、そうね、言ってなかったわ。貴方に使用した駒は《兵士(ポーン)》よ」

 

「え・・・・」

 

 《兵士(ポーン)》つまりは駒の中で一番弱く、一番下っ端。俺のハーレムの夢は途方もなく長い道のりになっていた。

 

 

 

 

 

「やれやれ、依頼人からの急な要請かと思って出向いてみれば、こういうことでしたか。おそらくサーゼクスさんはワザと接触を図るようにしたんですね。しかも彼女の性格をわかった上でのこの行い。悪魔側へと引き込むためにこんな手の込んだことを・・・」

 

 仮面を着けたまま、颯は廃墟のビルがようやく見える位置まで遠ざかると、ため息と共に手の込んだやり方での方法にあきれていた。

 

「契約違反ですけど、初回という事もあり今回は何も言いませんが、同じことがあれば私は今度こそ相手を殲滅させます。例えそれが護衛対象であっても、契約に違反したのですからそちらも約束事は守って欲しいと伝えてください」

 

 誰もいないところで一人喋ってはいるが、颯の背後から音もなく近づく人物、依頼人のメイドであるグレイフィアが現れた。

 

「こちらの身勝手で貴方様との約束を反故にしたこと、誠にもって申し訳ありません。つきましては、どうかこれからも依頼の件をお願いします」

 

 深々と頭を下げ、謝罪するグレイフィア。

 

「大丈夫です。先程も言いましたが、今回は何も言いません。ですが一度だけです。今後はこのようなことがないようにお願いします」

 

 そう言い残し、颯は夜の街中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~後日談~

 

「ただいま戻りました」

 

「おかえりグレイフィア。それでどうだった?」

 

「すべて気づかれていました。貴方の思惑に。いずれにしても、まだ依頼の継続はしてもらえましたが」

 

「そうか、彼には悪いことをしてしまったね」

 

「まったくです。依頼を出したほうから一方的に約束を反故するなど、悪魔として最低なことですね」

 

「・・・えっと、グレイフィア?もしかして怒っているかい?」

 

「当たり前です。仮にも悪魔の王である御方が、こんな悪魔の風上にも置けないことをしたんですから」

 

「う・・・申し訳ない」

 

「謝るなら私ではなく、あの方に会って直に謝ってください」

 

「・・・はい」

 

 

 

 




一気に思いついたことを書いちゃいました。悔いはありません。
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