リリカルでヴィヴッドでハーフな世界で生きる   作:レイアメ

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マッドな博士の日常

「今回はアインハルト君だと思ったかい?残念スカリエッティでした!はっはっはっはっはっはっは!」

「スカさんうるさいです」

 

 目の前でおやおやすまないねえ、と全く謝っている気がしないスカさんを横目で見る。

 

 ジェイル・スカリエッティ。4年前、スカさんがヒャッハー!したせいで起こったJS事件―――という名の暇つぶしによって犯罪者として捕まったんだけど、はやて様......様?うっ頭が。と、とりあえず、司法取引で管理局の技術部に貢献することで一応の自由を手に入れたわけだけど、色々とやりすぎたせいで、聖王教会に引き渡された人だ。

 

 今日は諸事情で訪ねたんだけど、相変らず何を言っているのかが分からない。というか何でスカさんをアインさんと思った、と思うのだろうか。

 

「それは君、ヴィヴィオ君と来れば、普通次はアインハルト君と思うだろう。一応メインキャラだからねえ」

「意味が分からないですが」

 

 メインキャラって何?というか僕、ヴィヴィオ、アインさんの順の意味が分からない。というか、

 

「心読まないでください」

「読んでいないさ、ただビビッ!と来たのさ!」

「何がです?」

「電波が」

 

 スカさんの娘のナンバーズの長女、ウーノさんによるとこう言う人を痛い人と呼ぶらしい。意味は分からないけど、何となく分かった。というか、そんな性格してるから通報されて身元引受人に誰も来ないんですよ。ちなみに小学生に道を聞いただけで通報されたのだ。さすがにそれは憐れに思った。

 

「それで?今日はどうしたんだい?」

「......その前にいいですか?」

「ああ、何でも言いたまえ」

「その手に持っているのは何ですか?」

「コーラだが?」

「......それをどうするんですか?」

「コーラを振るだけだが?」

 

 目の前で変な踊りを踊りながらコーラをシェイクし続けるスカさんを、放っておくが、どうもコーラが気になる。というより踊るスカさんが気持ち悪い。だが無視して話を続ける。

 

「単刀直入に言いますが、この体質はどうにかならないんですか?」

「無・理☆」

「......何でですか。スカさんなら出来るでしょう?ヴィヴィオに聖王の鎧(・・・・)を使えるようにしたじゃないですか」

「確かに私ならどうにか出来るだろう。だがそれだと君の妹と公式ファンクラブの騎士達ににボコられるからね。―――というかその技術を創ったの私だけどね!」

「............」

「はっはっは、痛いからやめてくれ」

 

 無言で蹴りを入れる。別に今更スカさんにどうこう言うことは無いが、たまにイラつきはする。というかヴィヴィオは何をしているんだろう。ため息を付きながら今だにコーラを振っているスカさんを見る。

 

「それ、どうするんですか?」

「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれたヴァン君!これは例えどんなに振ろうと、どんなにメントスを入れようと10秒間だけは噴出さないコーラなのだ!」

「.............それを?」

「こうする」

 

 するとスカさんはキャップを空けて此方にコーラの飲み口を此方に向ける。嫌な予想しか思いつかない。避けようとするも時既に遅し、勢いよく噴出したコーラが全身に掛かる。ちょっと鼻に入った。

 

「な、何するんですか!」

「自分の体を見たまえ」

 

 そう言われて、視線を下に向ける。凹凸のない男の体が見える。ベトベトで甘ったるい感じが妙に気持ち悪い。相変らず、何がしたいのか全く分からない。顔を拭きながらスカさんを睨みつける。

 

「何もないですけど?」

「そう、何も起こっていない。よく考えたまえ、コーラはジュースだが液体、つまり水だ。君は水を頭から被れば女体化するはずなのに、今は男のままだ」

「――――――ッ!」

「そう、今の君はその体質が直っているのだ!」

 

 全身にまるで雷が落ちたような衝撃が走る。

 

「スカさん、やっぱスカさんは最高です!」

 

 今日からはもう水に怯えなくていいんだ!その歓喜の気持ちを胸に僕は走り出した。

 

 

 

 

「ま、元々純粋な水以外は反応しないんだけどね!」

 

「ドーモ、スカリエッティ=サン。ヴィヴィオです。お兄ちゃんを騙した罪、万死に値する。俳句を詠め。解釈してやる」

 

 聖王教会の奥で誰かの悲鳴が聞こえた。同時刻、水に濡れた女の子の悲鳴も聞こえた。

 

 

◇◇◇

 

 

 三日後、スカリエッティの元に1人の女性が尋ねていた。その女性はスカリエッティが創りだした戦闘機人と呼ばれる、半分メカ、半分人間の存在。そして彼女達は作られた順番で名前が付けられている。そして今回尋ねていたのは、四女クアットロであった。

 

 

「ドクター、お久しぶりですわね」

「やあ、クアットロかい。前に会ったのは通報された時以来だね!」

「もしかして、その時のことまだ根に持ってますか?」

「いやいや別に気にしてなんか無いさ。連絡した時、『ジェイル・スカリエッティ?知らない人ですね』と言われたことなんか気にして無いけどね!」

「思いっきり気にしてますね」

 

 ため息を吐きながら、むかつく顔芸を浮かべるスカリエッティを見る。スカリエッティを見るその顔には何処か哀愁が漂い、合コンで失敗続きのアラサーのような負のオーラがあふれ出ている。その眼差しで見つめられたスカリエッティは今すぐ逃げ出したくなるも、娘同然の彼女から逃げ出すことは出来ず、そのまま話を聞くことになった。

 

「ドクター、姉妹達を今すぐ何とかしてください」

「......彼女達がどうかしたのかい?」

 

 急に真剣になったクアットロの言葉に流石にふざけず真剣になる。

 

「まず、お姉さま方ですが......」

「ウーノ、ドゥーエ、トーレに何かあったのかい?」

 

 俯いて首を縦に振るクアットロの様子から、よっぽどのことが起こったのかと身構えてしまう。

 

「最近、街に出て逆ナンをしてるんです。しかも失敗続きで雰囲気が怖くて......」

「......は?え?逆ナン......?」

 

 真面目な雰囲気で急に飛び出した話題にさしものスカリエッティも目を丸くしてしまう。それもそうだ、自分の娘が逆ナンしていて、その姉のがっつき具合に妹が真剣に悩んでいるのだ。

 困惑するスカリエッティをよそにクアットロは更に続ける。

 

「チンクは巨乳をみると急に凶暴になるし、セインは仕事さぼってニートしてるし、セッテは何考えてるか分からない上に急に変なこと言うし、オットーとディードは急に重なって『ゆうたいりだつ~』とか言い出すし、ノーヴェは男らしくなりすぎて周りの不良に姉御って呼ばれてるし、ディエチは私が何言っても全肯定だし、ウエンディはバカだし、......もう、私どうすればいいのよおおおぉぉ!」

 

 目の前で号泣するクアットロにわりと本気で同情したスカリエッティは、普段からもっとねぎらってやろうと思うと同時に、爆笑していた。

 まあ、つまり戦闘機人はやはりスカリエッティの娘なのだ。

 

「中々愉快な日々を過ごしているようで何よりだよ。そんな君に!てれれってってってー、何処でも扉ー」

「いや、それ貰ってどうしろと言うんですか。それよりメンテナンスしてください。頭のねじはめ直してください。お願いします」

「はっはっは、個性は大事にしないとね!」

 

 静かに涙を流すクアットロと目を逸らすスカリエッティの気まずい空気の中で、さらに厄介な種が入り込む。

 

「スカさん!話があります!」

 

 ついこの間騙した少年がそこに居た。少年―――ヴァンは涙を流すクアットロを見て同情するような眼差し、スカリエッティをゴミを見るような目で見つめる。

 

「クアットロさん、貴女もですか」

「ええ、そうなの」

「ほんと、つらいですよね」

「ええ、貴方くらいよ。分かってくれるの」

 

 負のオーラを放つ存在が2人に増え、冷や汗を流し目を逸らすスカリエッティ。

 

「ドクター」

「スカさん」

 

「「何とかしてください」」

 

「あ、あははは、。あーじゃあ、その、こういうのはどうだい?何処でも扉ー。これで何処でも好きなところに......その何でもありません」

「そんなので逃げられたら苦労しませんよ」

 

 毎日色々な人に追いかけられているヴァンの言葉は妙に説得力があった。

 

 

 

「そうだよ~、私は簡単にお兄ちゃんを逃がしたりしないもん!だ・か・ら、安心してね?」

 

 

 

「」(白目)

 

 

◇◇◇

 

 

 気絶したヴァンを抱きかかえ何処かに消えたヴィヴィオを遠い目で見送ったクアットロは純粋な疑問を口にした。

 

「所でドクター」

「何かね、クアットロ」

 

 

 

「どうして独房でそう自由に居られるんですか。というかさっきの扉も何処から出したんですか」

 

 スカリエッティが居るのは研究所でも私室でも何でもなく、色々あった結果独房に居た。その独房はどう考えても完全密室、何も持ち込めないはずがパソコンでネトゲーしたり、誰からも入ってこない携帯をいじったりと、好き勝手やっていた。無論コーラも無い。

 

「それは私がジェイル・スカリエッティだからだよ」

 

 高笑いをするスカリエッティを見て。姉妹の中で唯一常識人の彼女はため息をついた。




 というわけでスカリエッティ回ですた。

 まあ、次は本当にアインハルト回......かもしれない!
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