いつまでたっても変わらぬ日々。
天井の白、変わらぬ看護人、見舞い人の元上司・・・
アレク「・・・3年だ。あれからもう3年」
ドーラ「・・・・・・」
私はドーラ。ドーラ・ウェッジショット。空軍のパイロット・・・だった。
3年前、私は戦地にて特殊部隊の部隊長を任された。偵察衛星さえ撃ち落とすことができる超射程高精度の、多くの航空部隊を奈落の底に落としてきた敵国の巨大レールガンの破壊任務だった。見舞いの男性はその任務の指揮していた人物だ。
破壊は不可能だとされていた。強力なジャミング装置、かいくぐることは不可能だと言われているAAガン(対空機銃)の弾幕、前線でも配備されていない最新鋭のSAM(地対空ミサイル)・・・そして、レールガンそのものが発射する散弾ミサイル。事実、私の仲間はレールガンにたどり着く事もできずに全て落とされてしまった。
たどり着いたのは私だけだ。私は何とかレールガンの砲撃と強固な防衛システムをかいくぐった・・・飛んでいるののもおかしい状態だったが。片方の翼はもがれ、機体は穴だらけだった。死ぬ覚悟はできていた。
そして、レールガンを目視した私は機体をレールガンに突っ込ませた。
アレク「私が適切な命令を与えていれば・・・」
ドーラ「・・・・・・」
モーリス中佐は時折こうやって懺悔を始める。中佐は何も悪くない。
中佐は私にこの任務を降りるように言われた。だが私はそれをしなかった。孤児だった私には軍にしか居場所はないのだ。それを拒否することは・・・私にはできなかった。
・・・そして、玉砕覚悟の特攻を仕掛けたが、その直前、機体に弾丸があたった。その時の衝撃でベイルアウトの機能が誤作動した。宙に放り出された私はパラシュートを開くのが遅れ、落下速度が落ちきらないまま地面にたたきつけらた。
次に目が覚めた時は病院だった。身体は動かず声も出せない。意識だけが身体に残っている状態だ。私は、ただ生きながらえさせられているだけの状態になってしまったのだ。
・・・もううんざりだ。そう思って3年、もう慣れてしまった。楽しみはただ、最後の時が来ることのみ。翼をもがれた鳥は、ただ死を待つだけ。
今日こそ・・・今日こそ私は解き放たれるんだ。そう思って私は目を閉じた。
アレク「・・・ウェッジショット?」
ドーラ「!!」
目が覚めると、木漏れ日がきれいな森の中だった。
第一話「解放」
私は病室のベッドで寝ていたはず・・・だが背中が冷たい。私の身体は生まれたままの姿で地面に転がっているようだった。
ドーラ「・・・え?」
身体に感覚が戻っていた。そして、指が動かせることに気づいた。その驚きで声も出た。身体が私の意思で動く・・・!
ドーラ「なんで・・・!?」
身体を起こして、両手のひらを見る。
動く。肩、肘、手首、指の一本一本、全て自由自在に動かせる。
腕だけじゃない。私はそのまま立ち上がる。手足を動かし、頬をつねる。そして、改めて確認する。
ドーラ「・・・動く!夢じゃない!」
私の時間は再び動き出したのだ。
ここがどこか、なぜ体が動くのか、そんなことは今はどうでもいい。身体を動かしたい。
屈伸をし、再度足が動くのを確認してから足を一歩前に出す。もう一歩、更に一歩と歩き出す。
地面の感覚。足が地に付いている感覚だ。小石を踏んづけると痛いが、痛みすら今の私には嬉しかった。麻痺した体が蘇った感覚、ソレをしっかりと噛みしめる。
段々と高ぶっていき、歩くのをやめて走りだす。思いっきり走る。風だ。私はまた風を感じることができる・・・!
思うがままに私は走り続けた。
しばらく獣道を走ると開けた場所に出る。洋風の建物だった。
ドーラ「きれいな建物ね・・・こんな森の中に・・・?」
あれ、やっぱり夢の世界?童話の世界に紛れ込んだのか?と疑問に思ったところで正気に戻る。
ここは一体どこなのだ?私はなんで動けている?病院は?アレク中佐は?というよりもなぜ裸?
ドーラ「んん??」
少々頭のなかが混乱気味になる。不可解なことだらけだ。
とにかく落ち着こう。冷静で早急な判断がなければ空では落とされてしまう。ここは地上だが。
・・・今やるべきなのはこの家を調べることだろう。今どこにいるのか知ることができるかもしれないし、さっき走ったせいで足がボロボロなのを消毒したいし、なにより裸だ。服を借りたい。
まずはノックをする。人の気配はないが・・・いたらどうしよう。・・・まあなんとかなるだろう。後のことよりも今だ。素面に戻って足の痛みが気になってきたし。
(コンコン)
ドーラ「・・・・・・」
返事はない。今度は声を出してみる。
ドーラ「すみませーん!!」
だが返事はない。やはり留守なのだろう。
ドーラ「・・・誰も居ないのなら」
ドアノブに手を伸ばし、扉を開けようとした時だった。
???《待ちなさい》
ドーラ「!!」
後ろから女性の声。私はびっくりして振り向く。
ドーラ「!?」
だが、誰もいなかった。人はいない。『人形』が宙に浮いていたのだ。
人形《裸で人の家に訪ねて来るなんてどうかしてるのかしら》
ドーラ「なな、なんだ?どういう状況、これ??」
人形《??》
人形はまるで意識を持っているかのようだった。表情を変え、身体で仕草をする。まるでおとぎ話のようだった。
ドーラ「や、やっぱり夢を見ているの、私?でも、この身体は夢じゃない感じがするし・・・」
人形《何を言っているのかしら・・・あら?あなた、その足・・・血が出てるわ。それに、身体がかなり汚れてるみたい・・・》
ドーラ「あ、いやこれは・・・」
人形《・・・何か訳有りみたいね。いいわ。特別に中に入れてあげる。待ってなさい》
そう言うと、人形は窓から家に入っていった。
ドーラ「??」
鍵を開けに行ったのか?そう思いながら人形が入っていった窓を見る。そして数秒後。
ドーラ「!?!?!?!?!?!?」
人形が窓から沢山出てきて私の方に寄って来る。20?30?わからないがたくさんだ。
そして、私の身体をとりかこみ、拘束する。
ドーラ「な、何をする!?」
人形《あなたをこれからお風呂場に連れて行きます。抵抗はしないようにね》
ドーラ「は、はなs、あひゃひゃひゃひゃ!?!?」
抵抗をすると人形達がくすぐってきた。や、やめてくれ。
人形《ここは私達のお家。あなたは不審者。普通は入れてあげないのに入れてあげるって言ってるんだから、おとなしくしなさい》
ドーラ「ひゃひゃひゃは、わひゃ、わひゃったかひゃひゃ、やめ、ひゃひゃひゃ!!」
私はおとなしく抵抗をやめ、人形たちのされるがままに家の中へと連れて行かれた・・・
・・・しかし、ここは一体何なんだ?夢?死後の世界?最近話題のVR(仮想現実)?まあ、とにかくこれから大変になるのは確かだろう・・・
だが、この動く身体、この身体はもう手放したくない。もしかしたらまた空を飛べるかもしれない。
大丈夫だ。あの寝たきり生活より怖いものなんて無い。この身体を守るため、何があろうと必ず私は乗り越えていってやる。何があろうとだ・・・!
第1話・完
うーむ、見るに堪えない所も多いw
まあ、いい思い出として残しておきましょう。