東方空闘犬 〜 黒歴史版   作:メビウスノカケラ

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第2話です。大勢の人形に連行されたドーラ(主人公)の命運やいかに・・・


第2話「確信」

(ガチャリ)

 ドアノブをひねり、私は扉を開ける。

アリス「・・・あら、似合ってるじゃない」

ドーラ「・・・・・・」

 少女趣味な服を着せられた私はこの人形屋敷の主、アリス・マーガトロイドにもてなされていた。

 

第2話「確信」

 

アリス「はじめまして、私はアリス・マーガトロイド・・・あら?どうしたのかしら?」

 この声、聞き覚えがある。というよりもさっきまできていた声だ。

ドーラ「・・・あなたは人形の声の主のようね」

アリス「ええ、そうよ。この機械で・・・」

 アリスは無線機のような機械のマイクを使い話す。

上海人形《こんにちは、私は上海人形!こっちは私の主のアリス・マーガトロイドです!》

アリス「なんてね」

ドーラ「・・・・・・」

 少しでも本当にしゃべっていると思っていた私は、悔しさと恥ずかしさが混じった複雑な感情を味わっている。くそ、騙された。

アリス「不満そうな顔ね。あ、この娘がしゃべっていたのは私によってだから残念だった?」

ドーラ「いや・・・それより、なんというか・・・合うサイズが有るのがなんか妙というか・・・」

 そう、服サイズがぴったりなのだ。私の身長は172cm。彼女はおそらく160cm前後。彼女は一人で暮らしてるようだし、一体どうして・・・

アリス「ああ、それは簡単な話。さっき仕立てたのよ」

ドーラ「なんだって?そんなすぐに仕立てられるの?」

アリス「さっき、あなたの抵抗を止めるためにくすぐったでしょ?その時ついでにサイズを測って、人形と私で仕立てたわ。まあ急ぎだったから、私の服と同じものだけどね。でも存外に似合っててよかったわ」

ドーラ「そ、そうなのか。ありがとう」

アリス「さて、話を聞かせてもらおうかしら。そこに座って」

 言われたように来客用であろう大きなソファに座る。

ドーラ「んよいしょっと」

アリス「よいしょって、あなたなんかオヤジ臭いわね」

ドーラ「え?」

 なんでそうなるんだ?

アリス「綺麗なんだから女の子らしく・・・いや、今はそれよりもあなたのことを聞かないとね」

ドーラ「よくわからないけど、よろしく頼む」

アリス「その前に、あなたはコーヒーと紅茶、どちらがお好き?」

ドーラ「え?コ、コーヒーよ」

 なんだ、どういう質問なの?まあ、コーヒーのが頭をはっきりさせてくれるから好きだけど。

アリス「あら、私もコーヒーが好きよ。まあ、ここじゃ高くてなかなか飲めないけど」

 ・・・そんな質問しておいて、おごってくれるんじゃないのか?

アリス「そんな顔しなくても出してあげるわよ。お菓子もね」

ドーラ「え?いや、別にそんな顔してな・・・」

アリス「そんなに口角を上げているのに説得力無いわよ。あなたクールに見えるけど、結構顔に出る人なのね」

ドーラ「・・・」

 アリスが部屋を出て行く。・・・そんなに顔に出てるのだろうか?

 しかし・・・綺麗な家だ。それにこの着慣れない服・・・これを「女の子らしい」と言うのだろうか。小さい頃は孤児、軍に拾われてからは軍学校の寮や軍の宿舎でしか過ごさなかった私は、こういうのを作り話の世界だけだと思っていた。

 ・・・似合っている、か。今までこんな服を着たこともないからわからないが。やっぱりこの世界は幻覚か何かなの?

 少し考えているうちにアリスが帰ってきた。

アリス「さ、コーヒーとクッキーを用意したわ。これがないと話は始まらないわ」

ドーラ「わざわざ用意してくれて感謝します。では、いただきます」

 私とアリスは一口ずつコーヒーをすする。

ドーラ「ズ・・・(すする音)」

アリス「・・・(無音)」

 そして、お互いカップを置く。そういや、コーヒーも久しぶりに飲んだな。美味しい。すごく美味しい。

アリス「・・・やっぱり訳ありなのね」

 そういうと、アリスは懐からハンカチを差し出す。

ドーラ「え?」

 何を分けのわからないことを、と思っていたが、私は自分の頬が濡れていることに気づいた。

ドーラ「・・・涙」

アリス「よっぽど辛いことがあったのね」

 コーヒーの味。それが原因だった。3年ぶりに感じる美味しいという感覚。それが私に涙を流させていたようだ。

ドーラ「・・・!」

 ポロポロ。涙がどんどん溢れてくる。この感覚は知っている。喜びだ。生きてる実感だ!

ドーラ「・・・うっ、く・・・!」

 これで確信した。この世界が夢の世界だろうとおとぎ話の世界だろうと関係ない。この身体は私のものだ!ちゃんとここにある!

 新しい自分だ!!

アリス「・・・・・・」

 アリスは泣いている私をコーヒーを飲みながら、ただ私を見つめていた。

 

ドーラ「・・・すまない」

 ようやく落ち着いた。アリスのコーヒーは空になり、私のコーヒーはぬるくなっていた。変わっていないのはクッキーだけ。

アリス「いいのよ。私も元は人間だったから、感傷に浸る気持ちはわかるわ」

ドーラ「・・・ん?『元は』?」

 不可解な単語に気がついた。『元は』ですって?

ドーラ「何を言ってるの?あなた人間じゃ・・・」

アリス「ん?まあ見てくれは人間だけれども、私は魔法使いよ?」

ドーラ「え?」

アリス「え?」

 お互いに予想外だという反応が返ってくる。

アリス「だって、ほら。魔法の糸がうっすら見えるでしょ?これで人形たちを操っているの」

ドーラ「そ、それじゃああの子は?あの上海人形って子!アリスの声に合わせてあんなに人間らしい動きをしてたあの子もあなたが動かしてたっていうの?」

アリス「ええ、そうよ?ほら」

上海《シャンハーイ》

 上海人形がアリスの手に合わせて動く。ものの見事に人間らしい動きに操られている。

ドーラ「・・・人形だけじゃなく、あなたまでが人間じゃないなんてね」

アリス「『元』人間ではあるけどね。あ、もしかしてあなた・・・」

 もうひとつ確信した。ここは私が今まで知っていた『現実』ではなく『夢』だとか『空想』の世界で、私はここに迷い込んだということを。

 そして、アリスはどうやら、私がどういう状況にあるかを察してくれたようだ。

ドーラ「・・・ねぇ、アリス」

アリス「何かしら、ドーラ?」

 そんなアリスに私は聞く。

ドーラ「ここはどこなの?」

アリス「ここは・・・」

 

「幻想郷よ」

 

 

第2話・完




幻想入りでは主人公が最初に誰に合うかが一番重要だと思います。
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