東方空闘犬 〜 黒歴史版   作:メビウスノカケラ

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第3話です。



第3話「再会」

ドーラ「はっ!」

 私は目が覚める。

ドーラ「・・・!」

 いつも見ていた病院の天井は姿を消していた。そして、身体に掛け布団の重みがかかっているのがわかる。

ドーラ「夢じゃなかった・・・!」

 私は体を起こし、両手を開いたり閉じたりする。それから、今の状況を確認。ベッド、窓からさす日差し、借りた寝間着、美味しそうな匂い・・・

(ぐぎゅるるるぅ~)

ドーラ「・・・・・・」

 お腹が減っていることも確認した。そういえば、昨日はクッキーしか食べていない。

(ガチャリ)

アリス「おはよう。よく眠れたかしら?」

ドーラ「ええ。おかげさまでね、アリス」

 寝床を貸してくれた親切な魔法使い、アリスが朝の挨拶に来る。

アリス「今は朝の6時。今日はやることが一杯あるだろうから早めに起こそうと来たんだけど、あなた、早起きなのね」

ドーラ「いいことばかりじゃないけどね。寝たきりだと早起きは損になる」

アリス「朝から暗いこと言ってないで、ご飯を食べましょ。もう出来るわ」

ドーラ「・・・そうね。お腹が空いてると、暗い気分になってしまうわね」

 それに、この匂い・・・じゅるり。更にお腹が減ってくる匂いで心に毒だ。

 私はこの匂いのもとをなくすために、リビングへと足を運んだ。

 

第3話「再会」

 

ドーラ「ごちそうさま!」

アリス「・・・あなたねぇ。まあ、今日はいいでしょう」

ドーラ「?」

 なんでかしらないがアリスが怒っているようにみえる。そういえば、もっとおとなしく食べなさいだとかフォークの持ち方が違うだとか聞こえたような・・・まあ、美味しかったからいいか。

アリス「さ!お腹もいっぱいになったところで、あなたの服ができてるわ。あっちの部屋においてあるから、着てみてちょうだい」

ドーラ「わかった。本当に恩に着る」

アリス「いいのよ。こっちも人形の服装の参考にさせてもらうしね」

ドーラ「?、まあとにかく、着てみるわ」

 

 部屋を移動し、私は服を着てみた。

ドーラ「サイズはぴったりだが・・・」

 緑を基調としたブレザーに白いカッター。上はほとんど私が昨日話した通りの仕上がりだが・・・

 

 

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ドーラ「な、なんだか落ち着かないな・・・」

 ズボンと言ったのに、スカートになってる・・・しかも結構短い・・・

アリス「あら、似合ってるじゃない」

ドーラ「アリス、私はズボンと言っていたのだけれど・・・」

アリス「何言ってるのよ、女の子はスカートを穿かないと」

 どういう理屈なのよ・・・だけど、私は居候の身。

ドーラ「うーん・・・なんだか違和感があるけど、わかったわ。文句も言えない立場だしね」

アリス「わかればいいのよ」

ドーラ「でも、せめてタイツに・・・」

アリス「ダメ。蒸れるし、その服にタイツはあんまり合わないと思うから」

ドーラ「・・・わかったわ」

 スースーして落ち着かないが・・・仕方がない。

アリス「あ、そうそう。あなたと似たような服を着てるウサギがいるの。そのウサギが着てた服を参考にしたわ」

ドーラ「う、ウサギ?」

 ウサギって、あのウサギ?私は動物のこの服を着たウサギを思い浮かべる。

アリス「ええ。ウサギ。元軍人さんらしいわよ?月の」

ドーラ「つ、月?軍人?・・・現実離れしているか、そうじゃないのか・・・」

アリス「考えたところでわかることじゃないわよ。まあ、もし会ったら話でもしてみたら?とにかく人里に向かいましょ」

ドーラ「・・・ええ、そうね」

 考えるよりも慣れろ、だ。昔からそうだったじゃないか。軍での暮らしも、空の重力も、今までそうしたきたんだ。何よりこんな状況、考えたってしょうがない。

 アリスについて行き、玄関を出る。私はこれから人里に向かうのだ。

 

アリス「さ、着いたわよ」

 森を抜け、怪しげな古道具屋を通り過ぎ、しばらく歩くと人里についた。

ドーラ「ここが人里・・・!」

 思っていたのと違った。流れていく人、店、声・・・想像以上に活気に満ちていた。

アリス「どう?ここが人里よ」

ドーラ「・・・思っていたよりもはるかに人が多いのね。これだけの人を見たのは久しぶり」

 だが・・・なんというか、この服は浮いているんじゃないか?

村男A(ヒソヒソ・・・なんだあの背の高いネーチャン?)

村男B(ああ、あの太ももだけがチラチラ見えるのはなんというか・・・うん、いいな。)

村男A(いや、そこじゃないよ・・・あの肌の色、アヤカシの類かなんかじゃねえのか?日焼けにしちゃ濃すぎるし。)

村男B(おめぇありゃ「有色人種」ってやつだ。知らねえのか?まあ、幻想郷ではめったにお目にかかれねぇが・・・しかし顔に似合わずいろっぺぇ服着るんだなぁ。)

村男A(・・・俺はやっぱ隣のパツキンのお嬢がいいなぁ。儚げな感じがすごくいい。黒い肌のネーチャンはなんというか・・・俺が負けちまいそうだ。)

村男B(おめぇ、亭主関白やりてぇって言ってたもんな。)

ドーラ「・・・・・・」

 妙な視線を感じる。有色人種に対して送られる視線は慣れたものだが、そうじゃない何かも混ざっている気がする・・・服のせい?

アリス「どうしたの?」

ドーラ「あ、いや、視線を感じるというか・・・ん?」

 そういや、今気づいたがアリスからはそのどちらも感じられなかったな。

アリス「まあ、その服じゃ目につくでしょうね~」

 ・・・あんな森で住んでるんだ。どこかずれていてもおかしくないか。

アリス「・・・なんか失礼なこと考えてない?」

ドーラ「いや、何も」

 と、嘘をつく。アリスはまあいいやという感じである場所の事を口に出す。

アリス「あ、そう。とりあえず、寺子屋に行くわよ」

ドーラ「テラコヤ?」

アリス「学校みたいなものよ。子どもたちに勉強を教えるためのね。私は今日、子どもたちに人形劇を見せる予定なの」

ドーラ「なんで私も行くの?」

アリス「そこに上白沢慧音って先生がいて、人形劇を見せに来る関係で親交があるの。義理堅いからあなたのように悩める人間の手助けもやっていたりするわ。まあ、頭も固いけど」

ドーラ「ここにもそんな人がいるのね」

 ・・・思い出す。ここに来るまで見舞いに来ていたモーリス中佐の事だ。私がまだ12年前だったか・・・あの時、まだを若かったモーリス中佐が私を拾ってくれた。小汚い死にかけの孤児の私を。他人のために、私のために、皆のために、自分を顧みず動く人だったな。そのケーネという先生もそんな感じの人なのだろうか。

アリス「ドーラ?」

ドーラ「ん?ああ、ごめんなさい。少し昔のことを思い出して。で、そのテラコヤには後どれくらいでつく?」

アリス「まあ、もう見えてるんだけどね。あそこだけど・・・あら?」

 アリスが指を指した家屋の前に、2人が何やら言い争っている。角ばった帽子を頭に載せた銀髪の女性と、ポケットだらけの帽子にツインテールがくっついたかのような青髪の少女である。

ドーラ「あ、青髪に銀髪!?いよいよフィクションの世界って感じがしてきたわね・・・」

アリス「あの青みがかかった銀髪の人が慧音先生。それから、背の低い方は河城にとり。でも、なんであの子が人里に?」

 アリスは首を傾げる。

慧音「駄目だ、許可できん!子どもたちの教育に悪い!」

にとり「だからこそ刺激が必要なのさ!あんたはもうちょっと子供に刺激を与えるべきだよ!」

 怒号が聞こえる。教育方針の話でもしているのか?

ドーラ「なんでって?あの子はテラコヤの生徒じゃないのか?それで先生に講義してるんじゃ・・・」

アリス「いいえ、あの子は寺子屋の生徒どころか、人間じゃないわ。妖怪『河童』よ」

ドーラ「・・・え、ええ!?」

アリス「何驚いてるのよ」

ドーラ「だって、あれ、人間でしょ!?そりゃ髪の色は青いけど・・・」

アリス「何を今更。私だってそうじゃない」

ドーラ「アリスは魔法使いでしょ!」

アリス「関係ないわ、同じようなものよ。それに、人の形のほうが何かと都合がいいんじゃない?私は元人間だからわからないけど」

ドーラ「・・・うう、なんだかイメージと全然違って面食らうなあ」

 もっとおぞましいイメージをしていたものだから、なんだか気が抜ける。・・・まさか、アリスの家で話していたウサギもそうなのか?

アリス「でも、なんでにとりが・・・まあ、慧音先生と話してるってことは、人里に来るっていう事はちゃんと断りを入れているようね」

ドーラ「で、どうするの?あのケーネ先生と話さないといけないんでしょう?」

アリス「まあとにかく、話だけでも聞きに行きましょうか」

 私たちは二人のもとに向かう。

 

慧音「そんなものを見せて、子どもたちが変なことに手を出したらどうするんだ!!」

にとり「変なこととは失礼だな!これは技術!真っ当なことだよ!!」

 すぐ横にいるのに気づかない。相当熱くなっているようだ。

アリス「ええと、先生、にとり?」

慧音「なんだ!!」にとり「黙ってて!!」

 話しかけるアリスに向かって2人は怒鳴りつける。

アリス「二人共落ち着いて。何があったの?」

 アリスは冷静に2人に何があったのかを聞き出す。

慧音「ん?なんだ、アリスか!この河童が良からぬこと・・・」

にとり「良からぬことじゃない!!」

 怒鳴った反動でにとりのぎゅうぎゅうに詰まったリュックサックから一枚のチラシが落ちる。

ドーラ「ん?何かしら・・・!!!」

 驚いた。とにかく驚いた。『外の世界の技術を解明!』この文字が読めることにも驚いたが、そんなものがどうでも良くなるくらい驚いたことがあった。

ドーラ「私の・・・私の機体じゃないか!?!?」

 そう、チラシには私の部隊のマークである『ツバメ』のエンブレムが機首と垂直尾翼に施された、空色を基調とした迷彩塗装のF-16が印刷されているのだ!!

にとり「・・・ん?あんたは誰だい?」

ドーラ「ねえ、あなた!!これは一体どういうこと!?」

 私はにとりの肩に掴みかかる。

アリス「ど、どうしたの、ドーラ?」

にとり「そ、そうだよ。あんまりきつく握らないでくれるかな?い、痛い」

ドーラ「いいえ、説明してもらうまで離さない。はぐらかされて逃げられたら困るから・・・!!」

 そうだ!この機体、私の機体の写真はどこで撮ったのか!にとりは一体何者なのか!何の目的でこんなチラシを作ったのか!返答によっては・・・

(ポンッ)

 肩に手が乗る感覚。私は後ろに振り返る。

ドーラ「何よ!!」

慧音「ふんっ!!」

(ゴンッ!!)

ドーラ「うぐぅっ!?!?」

 額に衝撃が走る。な、なんだ!?痛い!!

ドーラ「く、うぅ~っ!!」

慧音「痛たた・・・落ち着いたか?」

 ケーネ先生も額を抑えている。頭突きをされたようだ。

アリス「・・・大人にもやるのね、それ」

慧音「大人だろうが子供だろうが、よくないことをしている相手にはこれが一番だ。もちろん、頭に血が上っている相手にもな」

にとり「前時代的だねぇ」

 ・・・ケーネ先生の頭突きには要注意。覚えておこう。

アリス「大丈夫?」

ドーラ「・・・あ、うん」

アリス「何であんなに興奮していたのかはわからないけれど、この幻想郷で普通の人間が妖怪に手出しをするのはあまり賢い行為ではないということは覚えておきなさい」

にとり「普通じゃなさそうに見えるけどねぇ。外来人か何か?」

ドーラ「ご、ごめんなさい」

 ・・・冷静さを欠いていたな。まさか、レールガンを道連れに爆散したはずの私のF-16を幻想郷で見るなんて思いもしなかった。・・・とはいえ、今の状況じゃ考えたってわからないな。何の情報もないんだから。

慧音「・・・さて、皆頭を冷やしたところでだ。何がなんだかわからん。説明してもらうぞ、にとり、アリス、そして名も知らないお前」

ドーラ「・・・ドーラです。さっきはごめんなさい」

慧音「あやまるならこっちだ」

 ケーネ先生はにとりの方に私を向かせる。

にとり「はんっ、結構馬鹿力なんだな、あんた」

ドーラ「・・・ごめんなさい!!」

にとり「!?」

 挑発するにとりに深々と頭を下げる。

ドーラ「その、あなたは知らないかもしれないけど、このチラシに写っていたのは私の大事な生きがいだったの。もう壊れてなくなってしまったと思っていたけれど、なんにも知らないこの土地でその機体を見て、びっくりしてしまったものだから・・・」

にとり「こんなでっかいものを壊したって・・・ん?あんたの機体なのか?」

ドーラ「ええ、そうよ」

 にとりは腕を組んで考え込んでいる。

にとり「ふむ・・・わかった。今回のことは許してあげよう、というか気にしないでおこう」

ドーラ「ほんとうに申し訳・・・」

にとり「だけど、1つ頼みがある」

ドーラ「な、なんだ?」

にとり「あとで、私達のアジトに招待させてくれ」

アリス&慧音「「え?」」

 アリスとケーネ先生はなんだって?という顔になる。

ドーラ「え、ええ。構わないけど・・・」

 同意の言葉を返すと、アリスに肩を掴まれた。あんまり力強くないけど。

アリス「やめときなさい!許したなんて嘘付いてるわよ!」

ドーラ「え?え?」

アリス「尻子玉を抜かれて殺されちゃうかもしれないのよ!」

慧音「にとり・・・お前は白昼堂々と犯行宣言か!!」

ドーラ「そ、そうだったのか!?」

 ケーネ先生がにとりの頭を挟むようにして持ち上げている。なんという馬鹿力。

にとり「ち、ちがうよ・・・この機体を見てもらおうと思って・・・ていうか先生痛いよ!!」

慧音「そんなこと言って、妖怪の言う事を信じる者が・・・」

にとり「じゃあ、アリスと先生がついてくればいいじゃないか!とにかく痛いから離して!!」

慧音「何だって?」

(パッ)

 ケーネ先生がにとりを離し、

(ドスン)

にとり「うわっ!」

 にとりは尻餅をついた。

にとり「急に離すな!」

慧音「お前たち河童が私達部外者を中に入れるだって・・・?ますます怪しいのだが」

アリス「・・・そうね。怪しいわ」

にとり「こっちとしてはかなりのリスクをかけた提案なんだ。ついてこないのなら私はええと・・・ドーラだっけ?こいつをさらってでも連れて行くつもりなんだが」

慧音「やっぱりさらうつもりなんじゃないか!!」

にとり「痛い痛い痛い痛い!!」

 慧音のグリグリ攻撃が決まる。痛そうだ・・・

ドーラ「先生!もういいから!」

 先生のグリグリを私は止めに入る。

慧音「しかしだな!」

ドーラ「私、行きます。確証はなくても、気になるもの。河童のアジトって、聞く話によるとなかなか入れない場所なんでしょう?アリスもケーネ先生も悪いことじゃないと思うのだけれど・・・」

 そうだ。私の愛機があるなら、もしかしたらまた空をとべるのかもしれない。その可能性がこんなに早く見つかったんだ。逃す手はない。

慧音「ドーラ、お前が危険なのには変わりないんだぞ」

ドーラ「ケーネ先生やアリスがいてくれるなら安心です」

アリス「・・・はぁ。しょうがないわね」

慧音「アリス!?」

アリス「先生、大丈夫よ。私達が守ってあげればいいじゃない。それに、河童だって山で騒ぎなんて起こしたくないでしょうし、私達がいるのに暴挙に出ることは考えにくいわ」

にとり「さすが、アリスは話がわかるね!」

アリス「あなたが怪しいことには変わりないけどね」

慧音「・・・そうだな。河童について、新しいことを生徒に教えることができるかもしれない。わかった。私も着いていこう」

ドーラ「申し訳ないです、二人共」

 私は2人に深々と頭を下げた。

慧音「ところでだ。ドーラ、お前は一体何者だ?」

ドーラ「あ・・・」

 頭を上げた私はその一言で自分が何者か話さず、相手が何者かも話してもらっていない状況でここまで話していたことに気がついた。

 私達4人は寺子屋に上がり、お互いに状況の整理をした後、アリスの人形劇を子どもたちと一緒に楽しんだのであった。

 

第3話・完




ドーラの愛機はなぜ幻想郷に存在するのか?それは今後明らかになるのかもしれません。
ちなみに、イメージ図はこちら。


【挿絵表示】


このF-16はアメリカのものだったはず。
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