【完結】シドニアの「R」   作:クリス

12 / 21
やっと原作突入できた。ながい道のりでした。


拾壱騎目

 

 

 

 

 

▽月Υ日

 

 

 ガウナが現れた。幸い犠牲者は一人も出なかったが今、シドニアはその話題で持ちきりになっている。

 

俺も戦闘記録でしか状況を把握していないのだが、今日はナガテ君の初出撃の日だったのだ。彼の搭乗する衛人は一八式ではなくまさかの一七式。それも訓練校で展示されていた骨董品だ。正直大丈夫かと思ったが記録を見る限り何も問題なかったようだ。

 

記録によると任務の内容はシドニアを通過する小惑星の採掘任務でごく簡単な任務だった。ナガテ君とイザナ君を含む八機の衛人が採掘任務にあたっていたのだが採掘中、突如小惑星内部からガウナが出現。

 

現れたガウナは、まずヤマノ・エイコの乗る衛人のコックピット部分を触手で攻撃するも偶然実動データを取るために装備していた爆発反応装甲が作動。触手は弾かれヤマノ機は九死に一生を得た。

 

攻撃を弾かれたガウナは突然の事態に動けないでいるヤマノ機にもう一度攻撃を仕掛けるも我に返ったナガテ君が横から入る形で高速振動ブレードを使いこれを阻止。

 

この時点でシドニアは艦種側面に配備されている重質量砲(大口径レールガン?)を発射。ガウナの排敵を試みる。

 

時を同じくしてナガテ君。彼はそのまま機体をガウナに向けて加速させながら誘導飛翔体と高速連射砲を使用し本体を露出させるもそこで触手に弾かれ小破。弾き飛ばされたところをホシジロ機に拾われ既に離脱準備を整えていた残りの機体と八機掌位でシドニアに向け全速離脱。

 

直後、すれ違う形で重質量砲がガウナに着弾。ガウナは大きく弾き飛ばされシドニアはガウナの一時的な排敵に成功した。

 

これが戦闘記録の詳細だ。記録を見た限りだと死者が出なかったのが奇跡と言えるだろう。たまたま作成した爆発反応装甲がたまたまヤマノ機に装備されていなかったら今頃彼女はこの世にいなかっただろうと思われる。もちろん、ナガテ君の活躍もあってのことだが。

 

イザナ君やナガテ君の安否が気になりすぐに会いに行ったのだが、イザナ君は無傷だったのだが、ナガテ君はガウナに弾き飛ばされた際に首を痛めたようで首にギプスをはめていた。本当に何事もなくて良かったと思う。

 

彼らのお見舞いに行った後、俺はトウア重工に呼び出された。理由は俺の想像通り爆発反応装甲についてだった。ただの実動データを取るはずだったのが言い方は悪いが実戦のデータを取れたのだ。このデータのお蔭で正式に生産が始まることになったそうだ。

 

ガウナが現れた以上これからはきっと死人もでるのだろう。こちらの世界ではどうか機体性能よりもパイロットの安全の方に技術を注いでもらいたい。間違っても試験管シリーズのような愚行はしないでもらいたいものだ。

 

 

 

 

 

▽月Ч日

 

 

 またコバヤシに呼び出された。今度の呼び出しはガウナのことについてだった。なんでも“シュガフ船”とかいうバイド帝星みたいなガウナの親玉っぽい存在がシドニアから3光年の距離にいるらしくこれから戦闘が激化するそうだ。

 

俺は、あの真っ白い部屋で長話するのが嫌だったのでコバヤシに“結局俺に何をさせたいわけ?(意訳)”と話をぶった切って聞いてしまった。コバヤシは少し黙ったあと“ここには実戦経験がある奴がいないからお前が率先して導いてやってほしい(意訳)”とのことであった。意味わからん。

 

コバヤシは続けるように“昨日排敵したガウナと数日したらかちあうからお前も一緒に戦えよっつーこと。ただし波動砲はなるべく使うなよ(超意訳)”と言ってきた。まあ、なるべくシドニア側主導で倒したいんだろうな。俺が波動砲ぶちかましたらガウナ蒸発しちゃうし。俺はコバヤシの頼みを俺が限界だと判断したら使うからなとの約束をすることで承諾することにした。

 

帰り際に波動砲について聞いたが殆どわからんと返ってきた。そりゃそーだ。あれは俺たちの世界の人類がバイドを悉く滅ぼすために膨大な数の屍の上に作られたバイドへの憎悪の塊だ。あれを完璧に理解している奴らなんてあの腐れ開発班くらいしかいないだろう。

 

 

 

 

 寮に帰ったらナガテ君とイザナ君が食堂にいた。なんか妙に仲良いよなあの二人。その時イザナ君が何やら怒っていたので話を聞いてみたら、なんでもナガテ君が編入してからすぐにガウナが現れたため学校で疫病神のような扱いをうけたそうだ。

 

訓練生には戦闘記録の閲覧が許可されていないので事実無根のことを言う輩も現れるのだろう。どこにでもそういうのはいるもんだ。そんなことよりもイザナ君が続いて言ったことに俺は少し驚いた。

 

ナガテ君が馬鹿にされている際にヤマノ・エイコが彼を庇ったのだそうだ。彼らの口から散々敵意を向けられていることを知っていたので俺はその時驚いた。しかもさらに彼女はナガテ君に向かって命を助けられたことに対する感謝と今までの謝罪をしてきたという。

 

そのことを話している彼らも信じられないといった様子なのがよく分かった。どうやら彼女は誰に対してもツンケンしていたらしくその変貌っぷりに彼らも面食らったようである。

 

まあ、それは彼女がちゃんと感謝と謝罪ができる人物だっただけなのだろう。人なんて一面を見ただけじゃ分からないものだ。聞くところによればヤマノは他人にきつく当たるくらい生真面目な人間だという。コネでやって来たと思ったやつが本当に凄腕だったから認めざるを得なかったのだろう。

 

どちらにせ良いことである。彼らも思わぬ理解者が出来たことに喜びの感情を顕わにしていた。しかし一つ気になったのは、なんとなく彼らの間柄が男同士のそれとは違ったような感じだったことである。ただの気のせいだろうか?

 

 

 

 

 

▽月ф日

 

 

 ヒヤマさんに今日は重力祭りがあると言われた。いいかげんここの住人が重力に強い拘りを抱いているのはわかっていたがまさか祭りまであるとは思わなかった。本当に何でもありだな。

 

祭りの日にはたくさんの屋台が出店されるらしいので少し楽しみだ。それで祭りと一緒に重力杯とかいう衛人の模擬戦の大会もあるそうだ。割とどうでもいい。実戦を想定しない模擬戦は娯楽としては楽しいがそれだけだ。

 

まあ、兵士の士気の維持に必要だとか色々あるので一概に否定するわけでもないがな。

 

 

午後になると司令部まで呼び出された。要件は先日コバヤシに言われたガウナとの戦いのことだった。俺は司令部でセイイさんに今回の作戦で共に任務にあたる操縦士達と顔を合わせた。

 

アカイ・モチクニ彼が今回の討伐隊の隊長である。そして彼を筆頭にモモセ・ヒナタ、アオキ・カシワデ、ミドリカワ・イズモの四名で構成されたチームだ。俺は彼らと協力してガウナ“ガ487”をぶっ殺すことになった。

 

彼らと軽い自己紹介を終えたあと、ブリーフィングを行うことになった。まず俺が持ち前の変態機動でガウナを引き付け、アカイ班がヘイグス粒子砲でガウナの外殻を破壊。外殻の破壊後カビザシを装備したアカイ機が本体を攻撃する。要は簡単な囮戦術だ。

 

俺としてはもっと僚機の数を増やした方がいいと言ったのだがどうやら彼らはシドニアで一番腕のいい操縦士達だそうだ。その案は却下されてしまった。作戦は2日後。それまでアカイ班には休暇が与えられるそうだ。まあ俺には関係ないがな。

 

俺はブリーフィングが終わるとすぐに自分の部屋に戻った。アカイ達は俺に話しかけようとしていたが俺は遠慮しておいた。変に情を抱いて死なれた時辛いからな。

 

彼らの返事はとても威勢が良かったが俺としては不安しかない。幾ら彼らが優秀だったとしても彼らは演習しかしたことがないのだ。戦場のあの阿鼻と叫喚の混成合唱を彼らは知らない。味方の通信機越しの悲鳴もコックピットから鳴り響くアラート音の想像を絶する恐怖も何も経験したことがないのだ。

 

ブリーフィングが終わった後の雰囲気を見るに彼らはお互いに友人なのだろう。羨ましいかぎりだ。俺の知り合いの同期はもう一人も残っていない、全員死んだからな。彼らもそうならない保証はない。

 

 その後は重力祭りの出店で自棄食いをした。途中、りんご飴を食べているよく分からないデザインの浴衣を着ているイザナ君に捕まり愚痴を聞かされた。何でもナガテ君がホシジロとばっかり一緒にいてつまんないそうだ。俺が何でつまらないのか聞いてみたら自分でもよくわからないと答えられた。なんじゃそら?

 

一通り彼の愚痴を聞くとイザナ君は満足したのか俺に一緒に祭りを見ようと言ってきた。そんなんで彼と一緒に歩いていると曲がり角でクナト君と鉢合わせになりぶつかったイザナ君がクナト君に張り倒されたのだ。

 

突然の出来事に俺がイザナ君を助け起こしていると偶然、ナガテ君とホジシロちゃんがやってきた。ナガテ君は倒れているイザナ君を見ると謝罪もせずに立ち去ろうとしているクナト君に掴みかかろうとしたのだが、クナト君がそれをいなすと何やら恨みごとのようなことをナガテ君に言いながら彼を地面に押しつけ関節技を掛けようとしたのだ。

 

クナト君のあまりの暴挙に堪忍袋の緒が切れてしまい俺はナガテ君を痛めつけているクナト君に昔覚えたテキサスクローバーホールドを決めてやった。俺のプロレス技にかかったクナト君は泡を吐いて気絶した。ざまぁ

 

クナト君を捨てイザナ君が怪我をしていないことを確認するとホシジロちゃんに全部任せてドン引きする彼らをバックに部屋にもどった。その後のことは知らん。

 

 

 

 

 

▽月я日

 

 

 明日は遂にガ487と直接対決する日だ。それにさしあたってか知らないがアカイが部屋に尋ねてきた。流石に部屋まで出張ってきたやつを追い出すほど薄情ではなかったので、少し話をした。

 

どうやら彼らは俺の正体を教えられているようで俺がバイドと戦ってきたこともしっていた。波動砲については知らなかったようだが。

 

彼は俺に戦うのが怖くないのかと聞いてきた。俺はそんなのとっくの昔に慣れてしまったと正直に伝えた。エリートとか言ってもまだ戦争童貞だ。緊張していたのであろう。

 

ついでに“どうせ失敗したって死ぬだけだ”と言ったら何か理解できないものを見るような目で見られた。彼らには分からない感情だろう。俺のように何度も生き死にを目にしていると自分の生があやふやになってくる。死ぬことは怖いがそれは死ぬ間際の痛みを想像してしまうからだ。実際はそんなことはなく人はさくりと死んでいく。

 

その後、彼の身の上話を聞かされた。アカイはモモセと交際しているようである。すっげぇどうでもいいことである。戦いの前に女だ家族だ言うのは軟弱者の言うことだとか思ったり思わなかったりしたが黙っておいた。ぶっちゃけ映画で死ぬ役がよく言うセリフのままだったので余計不安になった。

 

そんなこんなでアカイとはおさらばすることにした。アカイが帰る際握手を求めてきたが俺は掌位するわけでもないからということで断っておいた。何だかんだ言っていい奴だったのは間違いない。できるならば守ってやりたいと思うのは年上のお節介なのだろうか?

 

寝たら遂にガウナと対決だ。明日は良い死に日和になることを願う。

 

 

 

 

 

 




誤字脱字、その他おかしな点がございましたら報告して下さると嬉しいです。

ぶっちゃけR戦闘機にどれだけ活躍させるかで悩んでしまいます。もういっそ思いきりチート全開にしちゃおうかな
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。