☆月〇日
ここに来てから三度目のガウナとの戦闘。いつもの迎撃戦とは違い今回は自分達から攻勢をかけた。三体いたガウナのうち二体を撃破することができたが一体を逃してしまい負傷者も一名出してしまったが未帰還機は一機も出なかったのでよしとしよう。
今回の戦闘で“アイツ”は現れなかった。ガウナが潜んでいた浮遊惑星に対惑星ミサイルを発射して惑星を破壊。内部に潜伏していたガウナを炙り出す際にレーダーが惑星から急速離脱する機影を探知したようだがそれが“アイツ”だったのかまでは分からなかったらしい。だが“アイツ”と見て間違いないだろう。
討伐隊の人選はホシジロちゃんの補充として新たにホノカ・ホウを加えた新生クナト班とサマリ班。そしてアカイ班とそれに随伴する俺の計13機だ。アイツにやられた右翼はまだ修復していなかったが戦闘には支障がなかったので討伐隊に選ばれることになった。
俺達はガウナの目視距離まで接近しそれを見た。目の前に現れた三体のガウナ。何と今回のガウナは衛人型だったのだ。しかもふざけたことにホシジロちゃんの機体を模写してな。討伐隊が三体のガウナに接近するとガウナは衛人では不可能な加速で分散し、俺たちは三組に別れてそれぞれガウナの撃破に向かった。
アカイ班と俺が対峙したガ490は、他の二体のガウナとは明らかに動きが違っていたと断言できる。ガ490は五対一という圧倒的不利な状況にも関わらずその凄まじい機動性と猛烈な攻撃で逆に俺達を翻弄してきた。
対する此方も全二回のガウナとの戦いに全て参加し生き残ったベテランと10年間バイドと戦い続けてきた俺だ。最初こそ翻弄されたが徐々に形勢を逆転させていった。しかし、そんな俺達の攻撃も掠めるだけで命中せず、ただ闇雲に時間と武装を消費していくだけであった。途中、痺れを切らした俺が波動砲の使用許可を求めたがコバヤシに却下されてしまい断念せざるを得なかった。
俺たちが、ガ490に苦戦している間。クナト班とサマリ班は順調にガウナを追い詰めていった。その際、クナト機が放ったヘイグス粒子砲がガ491に命中。エナが崩れ、中から操縦士を模したエナが飛び出してきたのだ。しかも胸糞悪いことにホシジロちゃんの声で痛い痛いと通信で言うもんだからこれの胸糞悪さと言ったらたまったもんじゃない。
当時の俺は、ガ490との戦闘で手が離せず通信を聞く余裕なんてなかったが、どうやら外生研とかいう組織からホシジロ型エナの回収依頼が入ってきたらしい。どこの世界でも科学者というのは空気の読めない存在である。
普通ならそんな依頼引き受ける筈がないのだが、何を思ったのかナガテ君がホシジロ型エナを切り離し回収(本体が死ぬ前に切り離されたエナは本体が死んでも生き残るという。本に書いてあった)することに成功した。エナを切り離されたガウナはそのままクナト機の装備するカビザシに貫かれて撃破された。
ちょうど同じ時間にサマリ班もガウナを撃破することに成功。目標を撃破したクナト班、サマリ班は俺たちの援護に向かってきたのだが、その時、俺たちと対峙していたガ490は、突然機体を反転させるとクナト班に向かって急加速。先頭で飛んでいたクナト機に向かって腕部による攻撃を仕掛けてきた。いきなりの事態に対応出来なかったクナト機は、ガウナの攻撃をもろに喰らってしまい大破。そのまま行動不能になってしまった。
クナト機を大破させたガ490は続けてホノカ機にも攻撃を仕掛けようとしたが寸でのところでナガテ君がこれを阻止することに成功。ホノカちゃんは九死に一生を得ることになった。その後、ガ490を追ってきた俺たちとサマリ班が合流し十二対一の状況にガウナは勝てないことを悟ったのか、それとも別の意思があるのか背を向けると急速離脱していった。
今までの戦闘でヘイグス粒子の残量が僅かになっていた討伐隊は、追撃を断念して大破したクナト機を回収して帰還命令を受けた。その際、俺はガ490の追撃を申し出たのだが彼らの護衛も兼ねて帰還することになる。
これが今回の戦闘の詳細だ。大破したクナト君も爆発反応装甲のお蔭で死にはしなかったがそれでも当分の間は衛人に乗ることはできないだろうとのことである。クナト君には恥を掻かせたりプロレス技を掛けたりしてしまっているが一応共に戦った仲間なので明日あたりにでもナガテ君を誘ってお見舞いに行くのもいいかもしれない。
何にせよ今日は、もうクタクタだ。こうも連戦が続くと疲れるというものだ。明日あたりに銭湯でも行ってみよう。
☆月Ξ日
昨日戦った衛人型ガウナ。軍によって“ベニスズメ”という名前が与えられたらしい。今回の戦闘では犠牲者が出なかったがそれは運が良かっただけだ。次は、そう上手くいくまい。きっとどこかで戦うことになるだろう。まだ“アイツ”のことも片付いていないというのに面倒なことである。
前々回の戦闘で損傷したままだったR-100の右翼は現在修復用ナノマシンを起動させ修復に当たらせている。しかし、翼の一部が欠けるほどの損傷なので修復には時間がかかるとコンピュータから診断が出された。
ササキ達は、このナノマシンにも興味津々といった感じであったがこればかりは補充ができないので我慢してもらうことにする。一応俺はシドニアとは外部からの協力者ということになっているのだ。ぽんぽん渡していたらいずれ機体がなくなってしまう。まあ、ササキはそんなことしないと思うがな。
トウア重工に寄ったあと、俺はクナト君の入院している病院に行くことにした。そこで朝、約束していたナガテ君と合流してクナト君のお見舞いにいったのだが、クナト君は一応、面会してくれたのだが、明らかに俺のことをビビっていた。
口では俺達に礼を言っていたがあの顔は絶対に怯えている様子だったと思う。まあ、確かに口から泡を吹くほど気絶させたのは悪いと思うが元はと言えばナガテ君に暴行を加えようとしたクナト君が悪いのだ。仮象訓練装置で恥を掻かせたことも悪いと思っていたので帰り際に謝罪しておいたので問題ないと思いたい。病室から出た後、ナガテ君に仮象訓練装置での一件を話したら凄い微妙な顔をされた。いやまあね、大人げなかったとは思っているんだけどね。魔が差したというやつさ。
ナガテ君と別れたあと、昨日から行こうと思っていた銭湯に入ってみることにした。銭湯に入るなど生まれて初めてだったので少し緊張したがそこまで難しいものでもなかったので安心した。面白かったのは銭湯に男女の他に中子という区別があったことだ。イザナ君が中性なのは知っていたがまさかここまで社会に受け入れられているとは思わなかった。もう、いいかげんここの常識は熟知していたつもりだったがまだまだだと言うしかない。
銭湯から寮に戻ったら何故かイザナ君がヒヤマさんに窓から落とされそうになっていた。何やらかしたらそんなに怒られるんだ?
解放されたイザナ君にそのことを訊いてみたら何でもナガテ君にヒヤマさんのことを下のララァで呼ばせようとけしかけたらしい。何故かは知らないがヒヤマさんは下の名前で呼ばれると野生を剥き出しにして怒るのだそうだ。それで何も知らないナガテ君に言わせていたずらしようとしたが失敗。ヒヤマさんにばれて野生を剥き出しにして怒られたそうな。
知らなかった。今度から気を付けよう。というかイザナ君、なに悪戯しようとしちゃってるの、君そういう子だったっけ?オジサン心配になっちゃうよ……
☆月℁日
ナガテ君が外宇宙生命体研究所。通称“外生研”に呼ばれた。その際、イザナ君が付き添いを申し出てナガテ君と一緒に行くことになったのだが、ナガテ君はついでに俺まで誘ってしまった。その時のイザナ君の不満そうな顔は当分忘れることが出来ないだろう。いや俺悪くないからね?というかナガテ君もうちょっと空気読もうよ。あれ完全に二人で行くつもりだったよ?
そんなこんなで俺達三人は外生研とやらに行くことにした。外生研はシドニアの外に張り付くように建てられており、通路からは宇宙がよく見えて綺麗だったと言えるだろう。
“タヒロ・ヌミ”彼女が今回ナガテ君を呼び出した人物だった。研究所というくらいなので俺はTeam R-Typeクラスのマッドを想像していたのだが予想に反してかなり普通の人間だったので拍子抜けした。容姿については…まあ、豊かなものをお持ちでしたとだけ書いておこう。
ナガテ君を呼んだのは彼が回収したエナ標本がナガテ君の名前を呼んだから。そう言う彼女に連れられて俺達はお目当てのエナ標本と対面した。
そのエナはホシジロちゃんと瓜二つだった。バイド化した人間は例外なく肉塊と化すのが常識だった俺からするとかなり衝撃的だったと言える。それはタヒロさんも同じ考えの様でガウナがここまで人間を模写するのは初めてのケースだと言っていたっけ。
タヒロさんはナガテ君をホシジロ型エナ……面倒だからネオ・ホシジロと呼ぼう。に会わせることでネオ・ホシジロがどんな反応をするのか知りたかったらしく、ナガテ君を透過型の防壁で隔離されているネオ・ホシジロと対面させた。
ナガテ君を認識したネオ・ホシジロは、その身体に纏っている服状のエナを防壁に突き立てたのでタヒロさんは慌てて防御用のシャッターを降ろしそこで対面は終わりとなった。
ネオ・ホシジロに攻撃されたナガテ君はショック落ち込んでしまったので、タヒロさんの提案でねぎくじらに食べにいくことにした。ねぎくじらに行ったあともナガテ君は落ち込んでいたが仕方のないことなのだろう。きっと彼にはホシジロちゃんが生き返ったように思えたのだ。
俺達がねぎくじらで食べているとサマリ達もやって来て衛人型ガウナの話になった。サマリはガウナに意思などないと思っていたと言っていたが今回の件で認識を変えたらしい。確かにあのガウナには人の意思が感じられた。バイドもそうだが優秀な味方が敵になる状況ほど厄介なことはない。バイド化するのとは違うが厄介なのは同じだ。此方の手の内が丸見えなのだからな。
その際、ツルウチがサマリとの光合成の権利をかけて努力しているとかトナミが言っていたがよく意味がわからなかったので正直に訊いてみたらなんか下品な意味だったらしく怒られた。あとでツルウチが教えてくれたのだが光合成は裸で行う必要があるらしい。よって異性を光合成に誘うのはナニか特別な意味が含まれているとのこと。そんなん分かるか。
俺たちが食事を終え寮に戻る際、タヒロさんに俺だけ呼び止められた。俺が要件を訊くとなんかめっちゃキラキラした目でいつかバイドについて教えてくれと言われた。タヒロさん……あんたもか。
なんで俺の周りの科学者は揃いも揃ってマッドばっかりなんだよ!もういいや寝る。
なんか原作と比べてかなりイージーモードになってますね(笑)
つーかネオ・ホシジロって……我ながらもっといい名前なかったんかいと思う。
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