【完結】シドニアの「R」   作:クリス

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ついに人類の逆襲フラグが立ちました。


拾七騎目

☆月ζ日

 

 

 シドニアの進路上にあるレム恒星系。その恒星系にある惑星セブンへの入植が許可されたとのニュースが入った。これは入植希望者が5万人を超える場合。移住を認めるというシドニアの船内規約に則った結果なのだろう。

 

本で知ってはいたが、まさか本当に移住が認められるとは思わなかった。しかも、驚いたことに入植希望者は既に5万人を超え10万人に達すると予想されている。だがしかし、今現在、シドニアはガウナ頻出宙域に足を踏み入れている。そんな中でシドニアから離れるなんて博打を打つ連中は一つしかいない。そう、非武装主義者だ。

 

前から散々馬鹿だと思っていたがまさかここまで馬鹿だとは思わなかった。流石は泣く子も黙る非武装主義者だ。言うことが違う。どうやら連中は本当に自分たちが襲われないと思っているらしい。

 

“汝平和を欲さば、戦への備えをせよ”ローマ辺りの警句だったか。今、俺が非武装主義者に言いたい言葉だ。これは自論だが夢を持っている者には二種類に分けられる。現実を認識している者としていない者だ。惑星セブンへの入植を希望している者達は明らかに後者に分類されるだろう。

 

そもそも彼らは何を根拠に襲われないと確信しているのだろう?聞くところによると彼らは何の武装も持たずに出ていくらしい。本当に頭の中がお花畑だな。いっそここまでされると清々しいものまで感じる。コバヤシもこんなアッパラパーな連中の相手をしなくちゃいけないなんて大変だな。

 

自分達の要求が受け入れられないのなら自分達から出ていく。その行動力と決断力には関心するがそれだけだ。精々、道中でガウナに襲われないことを心の片隅で願っているよ。

 

とは言え十万人以上もの人間がシドニアを出るというのは大きな痛手と言えるだろう。ただでさえ万年人手不足のシドニアにおいてこれは顕著である。本当にはた迷惑な奴らだ。

 

あと、ナガテ君がまた外生研に呼び出された。それについてイザナ君が愚痴っていた。外生研もネオ・ホシジロの反応を研究するためなのだろうが少し趣味が悪いんじゃないだろうか。尤も趣味の悪さでは俺達の方が何倍も上なので言えた義理ではないのだがな。

 

最期に、これが一番重要なことかもしれない。またガウナが現れたのだ。まあ、今回のガウナは特に脅威という程のものでもなくナガテ君の操る一七式のカビザシで難なく撃破された。なんでナガテ君がカビザシを装備しているんだと思うかもしれないが、彼は前回の戦闘を評価されカビザシを任されたのだ。ついでにセイイさんが操縦士になっていたのが意外だった。前の人事異動で操縦士に転属していたのは知っていたが司令補としての姿しか見ていないので、その操縦技術に驚かされた。

 

今回の戦闘では俺も毎度の如く出撃させられたが特にこれと言ってやったことはなかった。ただ普通にセイイさんや他の操縦士と協力してナガテ君のガウナ撃破のアシストをしただけだ。どうでもいいけど俺、地味に皆勤賞だよな。今までの戦闘に全部参加している。アカイ達は今日出撃しなかったのに。この違いはなんだ?

 

 

 

 

 

Ω月К日

 

 

 なんと驚いたことに今日は、コバヤシに波動砲の実験の視察に呼ばれた。まさかザイオング慣性制御装置よりも早く波動砲が完成するとは思いもしなかった。よっぽど優秀な科学者に設計させたのだろう。

 

実験はシドニア壁面の極秘の試験場で行った。本来なら俺は来ていいような身分ではないのだが、技術を持ち込んだ張本人なので、アドバイスも兼ねて今回だけ特別にお呼ばれすることとなったのである。

 

完成した実験用の波動砲は通常のR戦闘機の様に機首前方に力場を発生させて撃つタイプではなく俺のR-100や長距離射撃用の圧縮波動砲を装備したR-9Dシリーズの様な実体型波動砲ユニットが特徴的であった。まあ、参考にしたのが俺の機体なので似ているのは当たり前だろう。

 

この試作型波動砲は衛人の特徴的な背部推進機関を取り外し、そこに波動砲用の大型のジェネレータを装備した試験機であった。衛人の腕から伸びた波動砲の砲身がR-9Dを連想させるがまだ実験機のためか至る所に冷却装置と思わしき部品がくっ付いていて無骨な印象を与えた。

 

試験は遠隔操作された実験機が射出された標的に向かって発射するという形で行われた。波動砲の試射は特に事故もなく成功し、シドニアはカビザシに次ぐガウナを倒せる武器を手に入れたのだ。

 

まあ、肝心の威力はというと初期型のR-9Aアローヘッドに搭載されているスタンダード波動砲クラスの威力しかないし一発撃つ度に波動砲ユニットとジェネレータを冷却しなければならず連射もできない代物で背部推進機関を波動砲用のジェネレータに置き換えているので高速移動もできないがこれでもガウナを倒すには十分すぎるくらいの威力だ。ので使い方次第によっては化けるだろう。

 

実験の際、コバヤシに解説をしていたツインテールみたいなデザインのヘルメットを被った科学者らしき人によれば、このデータを基に量産型波動砲を設計してそれをトウア重工に生産を依頼するとのこと。ただし、一基生産するのに現在の設備では時間がかかるため数は揃えられないそうだ。

 

ついでにコバヤシに波動砲の量産が始まったら情報を一般に公開するので俺のR-100のギガ波動砲も解禁されるそうだ。正直、これが一番うれしかった。ようやく俺は“アイツ”と同じ土俵に立つことができたのだ。これでフォースとビットさえあれば互角以上に持っていけるのだがそれは望みすぎというものだ。

 

何百年も拮抗状態だったガウナとの戦いに変化が訪れたのだ。それも特大のだ。まだまだ基礎の段階だがこれからもっと発展していくのだろう。ただし、ナノマシン波動砲は作らないでほしい。割と切実にそう思う。

 

 

 

 

 

Ω月Λ日

 

 

 今日もガウナが現れた。今回もナガテ君が颯爽と撃破したが、未帰還機も出してしまった。というか今までが異常だったのだ。俺と言うイレギュラーが現れたことにより生還率が大きく上がっていたが本当はこれが普通なのである。

 

既にトウア重工では波動砲の生産が始まっているが、彼らはザイオング慣性制御式推進機関とよく知らないが何か新兵器を平行で作っているのだ。当然、リソースは限られてくるので波動砲の数が揃うのは当分先のことだろう。

 

それに最近ナガテ君がネオ・ホシジロのところばかりに行っているのも気になる。毎週かならず会いに行っているのだ。まだホシジロちゃんのことが吹っ切れていないのだとしたらこれは良くない傾向だ。死人が蘇ることなどないのだ。仮にそう見えたとしてもそれはただのまやかし。偽りでしかないのだから。

 

 

 

 

 

Ω月Ч日

 

 

 ここに来てから六度目のガウナ襲来。ラストダンス作戦の時よりも頻度は少ないがそれでもこう何度も出撃していると精神的に疲れる。昔は艦内の自販機で売っていた栄養ドリンクをカブのみして紛らわしていたのだが今はそれもできない。懐かしいな。確かバイドリアンBとかいう名前のドリンクだったっけ。仲間は怖がって誰も手を付けなかったようだが。全然普通の味なんだけどな。ウン、ゼンゼンフツウダヨ。

 

話がそれた。ナガテ君は最近、絶好調といった感じで逆に不安になる。そんなにネオ・ホシジロと会うのが楽しいのだろうか。ガウナとの戦闘は全く問題ないので今のうちはいいのだがいつかは何とかしないといけないだろう。

 

波動砲の配備はまだまだといった段階で、俺の波動砲解禁も先のことになりそうだ。今回の戦闘でも未帰還機が出てしまったのだ。俺が波動砲でガウナを倒していれば彼等も助かったのではと思うとどうにもやるせない気持ちになってしまう。

 

 

 

 

 

Ω月с日

 

 

 七度目のガウナの襲撃。もうガウナが襲来することなど当たり前のようになってきているがこうも頻発すると先行きが心配になってしまうものだ。とはいえ憂鬱な出来事ばかりではなく喜ばしいこともあった。ついに波動砲が解禁されたのだ。

 

事の発端は、トウア重工が量産型波動砲を4基生産したことから始まる。試作型から改良も進んだようでジェネレータの小型化と冷却の問題も改善されスタンダード波動砲と同じくらいまでには使い勝手が向上したようだ。それを聞いたコバヤシは波動砲の情報公開を決定。それに伴ってR-100の波動砲も解禁されたのである。

 

当然、情報の公開の際に今までなんで使わなかったという文句も出たが解析が終わっていないものだったからというもっともらしい理由で論破されていた。

 

今回の戦闘はR-100の波動砲の使用が許可されまずは俺がガウナに対し先制攻撃を仕掛けることになった。当時の俺は、今までの制限に鬱憤が溜まっていたこともありガウナが射程に入った途端、ギガ波動砲のフルチャージをガウナに撃ってしまったのだ。極大な波動エネルギーに呑まれたガウナは塵一つ残さず蒸発。戦闘はそこで終了となった。

 

その時俺は時間が止まったことをはっきりと認識した。あのナガテ君ですら固まっていた。俺は一瞬、考えたあと自分のやらかしたことを自覚したのであった。

 

皆、情報は知っていたが眉唾ものだったのだろう。だが、実際にそれを見せられて黙ることしかできなかったようだ。格納庫に戻った俺を皆が物凄い見てくるので少し嫌な気分になったが仕方のないことだと思う。サマリ達とアカイ達は普通の反応だったが当分俺に対する好奇の目は治まらないだろうと思うと少し憂鬱だ。

 

 

寮に帰ったらナガテ君とイザナ君に波動砲について問い詰められた。問い詰められたと言ってもナガテ君にはどちらかというと何か凄いものを見たといった目だったのでこっちが恥ずかしくなってしまった。

 

イザナ君には事情を説明して納得してもらったが、あれは明らかに困惑している様子だったと思う。まあそれも仕方のないことである。なにせシドニアは何百年もカビザシのみでガウナと戦ってきたのだ。そんな常識を俺は波動砲の凄まじい閃光と共にぶち壊してしまった。これの衝撃といったら俺では想像もできないものであろう。

 

だが、困惑していたのは、そこまでで俺が波動砲をぶちかました理由を喋ったらいつもの微妙な人を見る顔に戻っていたので心配ないだろう。というか微妙な顔をされて安心している俺って一体なんなんだろう……

 

 

 

 

 

 




眠気のせいでクオリティーが低くなってしまい本当に申し訳ない。


割とどうでもいいお知らせ。私の技量不足のせいでここからの更新速度が低下してしまうことが予想されます。どうかご了承ください。

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