魔法少女リリカルなのは~Amantes Amentes~ 改訂版   作:鏡圭一改め鏡正

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皆様お待たせしました!

ついに17話という未知の内容を投稿することができてとても嬉しいです。

ここがダメだ、ここが間違っているよなどと言った意見がありましたら、気軽に感想に投稿してください!


第十七話

 「おいフェイト・テスタロッサと言ったな小娘。どうやってこの劣等種を封印するつもりだ?」

 

 「ある程度弱らせてくれたら後は私が封印します」

 

 エレオノーレはフェイトの態度に怒りを覚えたが、ベアトリスに比べれて幾らか静かで扱いやすいと思うことで、なんとか冷静になることに成功する。

 現時点でのエレオノーレの目的は目の前にいるネメアーの獅子を消滅……もしくは封印することだ。

 

 「分かった。おいそこにいる犬。一つ聞きたい事がある」

 

 「アタシは狼だ!!」

 

 「犬も狼も私からしたら大差などない。それよりも、結界は硬く張っているのだろうな?」

 

 「え? あ、ああ。アタシ1人だと結界の強度が少し弱いかも」

 

 「(なるほど、ならあの小娘が手伝えば問題ないな)ならば小娘。貴様はあの犬と結界とやらの強度を上げていろ。後、少々本気を出すから後ろに下がっていろ」

 

 エレオノーレはそう言った後、ネメアーの獅子に向けて砲撃を放つ魔法陣を展開すると、後ろから『だからアタシは狼だ!!!』という声が聞こえたが、エレオノーレは無視した。

 エレオノーレのデバイスは魔力の弾丸を放つことができる武器を呼び出す事が出来る能力がある。

 そのことを思い出したエレオノーレはネメアーの獅子でその実験をしようと考えていた。

 

 「シュマイザー」

 

 エレオノーレがそう言った瞬間、ネメアーの獅子の周囲に魔法陣が構築され、魔法陣の中からシュマイザーが現れ、魔力で出来た弾丸をネメアーの獅子に向けて放った。

 最初はネメアーの獅子に魔弾を当てることが出来ていたが、数秒でシュマイザーの弾丸を避け始めていた。

 だが、エレオノーレはネメアーの獅子の行動を見て計画通りに進んでいるのか、笑みを浮かべていた。

 元々、エレオノーレはシュマイザーの魔弾でネメアーの獅子を倒すことが目的ではなく、本命は、シュマイザーで牽制している間に現段階で最大の魔砲を形成することだった。

 

 「Yetzirah(形成)

 

 「極大炎砲・狩猟の魔王(デア・フライシュッツェ・ザミエル)

 

 次の瞬間、エレオノーレの後方から巨大な魔法陣が現れ、その中から第二次世界大戦のマジノ要塞攻略戦の時に使われたとされる80cm列車砲の二号機、通称『ドーラ』だ。

 エレオノーレは何故かこのドーラを見た瞬間、今のドイツがまだ第三帝国と呼ばれていた時代にドーラの部隊を指揮しているという既知間(デジャブ)を見た。

 だが、エレオノーレは今見た光景よりも大切なことを思い出し、今の光景を頭の隅に置き、ネメアーの獅子にドーラの砲台を向けた。

 

 「さて、ラインハルトに傷つけた罪を清算して貰おうか。Auf Wiederséh´n.」

 

 エレオノーレの合図で放たれた魔砲はさっきまでの威力とは桁違いの砲撃魔法を放った。

 シュマイザーに気を取られていたネメアーの獅子は反応することが出来ずに砲撃魔法に直撃した。

 直撃を喰らったネメアーの獅子の傷は生々しく、分厚い皮は削げ落ちていて、顔も皮膚が溶けるようにドロドロになっており、ある意味グロテスクな光景だった。

 

 「小娘何をしている? 早くそこにいる劣等を封印しろ」

 

 「っ! 分かりました。(すごい。あの人の砲撃魔法はリニス以上かもしれない)……ジュエルシード封印」

 

 次の瞬間、フェイトの斧の様なデバイスから光の帯が現れて劣等種を包みこむと、ネメアーの獅子は消滅し、代わりに青色の宝石の様な石が表れた。

 フェイトはジュエルシードを回収すると、エレオノーレを無視してここから立ち去ろうとしていた。

 

 「おい、小娘」

 

 エレオノーレはフェイトを止める為に威力を最小にしたシュマイザーで威嚇射撃を放った。

 フェイトは威嚇射撃に気付き、エレオノーレの方に振り向いて警戒するようにバルディッシュを構えていた。

 

 「貴様。何処に行こうとしていた? 私は貴様に聞きたいことがあると言った筈だ。忘れていたと戯言をぬかすつもりか?」

 

 「いいえ。ですが、私は探さないといけない人がいるんです!」

 

 「貴様に拒否権などない。もし貴様がそれでもどこかに行くと言うのならば」

 

 エレオノーレは一旦言葉を切り、ドーラの照準をフェイトに合わせた。

 

 「塵一つ残さず燃やし尽くすだけだ」

 

 エレオノーレはフェイトを気絶させ、ジュエルシードのことについて聞く為に砲撃魔法を放とうとしたその時だった。

 

 「双方、引け」

 

 エレオノーレとフェイトの間に1人の青年が立っていた。

 その男は獣の様な黄金の鬣、黄金の瞳、エレオノーレと似た様なドイツ軍の制服で、どこかラインハルトに似ていたが、エレオノーレは瞬時に目の前にいる青年がラインハルトだと気づいた。

 エレオノーレは目の前にいるラインハルトの姿に困惑と彼が無事であることの喜びでどうにかなりそうだった。

 

 「……ラ、ラインハルトなのか?」

 

 「そうだ。……ふむ、やはり私がこの状態だと外見と口調が変わってしまうようだな」

 

 ラインハルトは自分の意思自体が変わっているわけではないことにほっとしていたが、フェイトを見つけたことで笑みを浮かべた。

 

 「数日振りだなフェイト。卿はあの後まともな食事はできているのかね?」

 

 ラインハルトの問いにフェイトは顔を赤くし、顔を逸らした。……フェイトはラインハルトの顔を見るのが恥ずかしくて顔を逸らしたのだが、彼はフェイトの母親が育児放棄をしていると勘違いした。

 

 「ふむ、ならばフェイトとエレオノーレよ。私の家に来るがいい。私自らが卿らに夕食を振舞おう」

 

 「え? 本当にいいの?(なんかラインハルトに申し訳ないかも)」

 

 「いいのかラインハルト? (よし! レストランに行けなくなったのは残念だが、ラインハルトの料理が食べるほうが美味しいからな)」

 

 フェイトとエレオノーレはラインハルトの家に行くことに決まった次の瞬間、アルフがラインハルトに攻撃を仕掛けて、フェイトを彼から離した。

 

「ア、 アルフ? どうしたの一体?」

 

「フェイト。アイツは危険だよ! なんかとんでもない魔力を感じる!!」

 

 ラインハルトは目の前に出てきたアルフに対し、童話に現れる狼人間と呼ばれる種族なのだろうと推測していた。

 

 「貴様。一体どういうつもりだ? 返答次第では後ろにいる小娘ごと焼き尽くすぞ」

 

 「待てエレオノーレ。私はこの余興を楽しみたい」

 

 「……Jawohl」

 

 エレオノーレはアルフに放とうとしたドーラ砲の砲撃を止め、ラインハルトの後ろに下がった。

 ラインハルトは聖約・運命の神槍を地面に刺し、笑みを浮かべた。

 

 「さあ全力で来るがいい狼女よ。私が全力を持って卿の総てを愛そう」

 

 「デバイスを使わないでアタシに勝とうだなんて……10年早いよ!!」

 

 アルフはラインハルトに殴りかかってきた。

 ラインハルトはアルフから繰り出されるパンチと蹴りのスピード・重さ・正確さ・威力を冷静に分析した結果、アルフの攻撃はプロのボクサーに勝っていた。だが、今のラインハルトにとって彼女の一撃は対して脅威ではなかった。

 そしてラインハルトはアルフの一撃をわざと喰らった。ラインハルトに一撃をいれたことに笑みを浮かべてアルフだったが、すぐに笑顔が消えることになった。

 

「どうした? 卿の実力はこの程度なのかね?」

 

 「う、ウソだろ? アタシが魔力を籠めた全力の一撃なのに、全然効いていない!?」

 

 アルフはラインハルトに魔力を籠めたパンチでダメージが与えられないことが信じられないのか、冷静さを失いラインハルトにラッシュを仕掛けた。

 ラインハルトは全力を出していいのか一時迷ったが、目の前の者に対し全力を出さなければ全力を出している相手に失礼だということを理解しているためか、今の自分の全力を出すことを決意した。

 

 「ここまで私に勇敢に戦った者にしては、私を楽しませてくれたな。……私は卿を全力で愛そう。……ゆえに簡単に壊れてくれるなよ?」

 

 ラインハルトが地面に刺してあった聖約・運命の神槍を抜くと同時に、アルフはラインハルトに警戒する。すると、ラインハルトは突然詠唱を始めた。

 

 『|Dieser Mann wohnte in den Gruften, und niemand konnte ihm keine mehr, nicht sogar mit einer Kette, binden.《その男は墓に住みあらゆる者もあらゆる鎖もあらゆる総てをもってしても繋ぎ止めることが出来ない》』

 

 アルフは本能的にラインハルトの詠唱を止めなければいけないと感じ、詠唱によって隙だらけなラインハルトに攻撃するが、目に見えないバリアのような物に防がれて攻撃が全く通用しなかった。

 

 『|Er ris die Ketten auseinander und brach die Eisen auf seinen Fusen.《彼は縛鎖を千切り枷を壊し狂い泣き叫ぶ墓の主》』

 

 『|Niemand war stark genug, um ihn zu unterwerfen. 《この世のありとあらゆるモノ総て 彼を抑える力を持たない》』

 

 ラインハルトが詠唱をする度にラインハルトの魔力が溢れ出し、周囲に魔力が拡散されてアルフはその魔力によって吹き飛ばされた。

 アルフはなんとか立ち上がって攻撃しようとしたが、ラインハルトの膨大な魔力を前に動けなくなってしまった。

 

 『|Dann fragte ihn Jesus. Was ist Ihr Name? Es ist eine dumme Frage. Ich antworte.《ゆえ 神は問われた 貴様は何者か? 愚問なり 無知蒙昧 知らぬならば答えよう》』

 

 『Mein Name ist Legion―(我が名はレギオン)

 

 ラインハルトの体を黄金の魔力が包み込み始めていた。

 その光景を見ていたアルフはラインハルトという存在に恐ろしさを感じていたのに対し、エレオノーレとフェイトはラインハルトに目が釘付けだった。

 

 『Briah(創造)― Gladsheimr―Gullinkambi fünfte Weltall《至高天・黄金冠す第五宇宙》』

 

 ラインハルトの詠唱が終わった瞬間、辺り一面の風景が一変し、王宮の様な場所になった。……否。正確にはラインハルトの創りあげた世界そのものになった。

 ラインハルトが創りあげた世界はグラズヘイムと呼ばれる神殿で、北欧神話の神オーディンが英霊(エインフェリア)戦乙女(ヴァルキューレ)と共にもてなしたとされている。

 『ラインハルト』との違いは城の外見が墓の王を象徴する髑髏ではなく、神話の主神が住んでいる様な神々しい神殿になっていることだ。

 

 「私があのまま全力を出すと海鳴市に被害が出るのでな。ゆえに私の世界を魔法で創ってみたのだが、如何かね?」

 

 ラインハルトの力の前にアルフは悟った。目の前にいる男に敵うはずがない。奴は化け物だと。

 

 「さあ来るがいい! 卿の覚悟と魂の輝きを私に魅せてくれ!!」

 

 だが、アルフは諦める訳にはいかなかった。なぜなら、アルフの後ろには自分の主であるフェイトがいるからだ。

 フェイトには死にかけている狼であったアルフを拾って使い魔にしてくれた恩があり、アルフはフェイトの為にならば、命を懸けてもかまわないと思っていた。

 「(こんな所で諦めてたまるか! アタシはあの鬼ババアからフェイトを解放しなきゃいけないんだ。目の前にいる化け物でも止まるわけにはいかない!!)」

 

 「この女、ラインハルトに対する恐怖を克服したか」

 

 アルフはラインハルトに対する恐怖を気合で克服した。その瞳は真っ直ぐにラインハルトへと向けられている。

 エレオノーレはアルフの元に向かい、ラインハルトとの戦いを止めようとしていたフェイトをドーラで牽制して動けないようにしていたが、アルフの表情を見て、普段ならば他人を認めようとはしない彼女が言葉には出さないものの他人を認めていた。

 一方、アルフの姿を見たラインハルトは嬉しそうに笑っていた。

 何故なら、『ラインハルト』の因子によって見せられた既知感が原因で、破壊することが愛であると考えている『黄金の獣』に覚醒しつつある中、『聖遺物』を所有していない人間――それも駄菓子の様に脆い女である筈のアルフが全力を出しているラインハルトに抵抗していることに未知を感じたからだ。

 

 「ほう、恐怖を克服したか。さて、卿の魂の輝きに敬意を払い我が名を名乗ろう。私はラインハルト・ハイドリヒ。かつての友には破壊の君(ハガル)と呼ばれていたらしい。さあ、卿の名を聞かせてくれ?」

 

 「アタシはアルフ。フェイトを守る使い魔さ!」

 

 お互い名を名乗った後、ラインハルトはアルフに宣言した通りに聖約・運命の神槍に全力で魔力を纏わせる。対するアルフは魔力を全身に纏わせ、野生の勘でラインハルトの攻撃を避け、カウンターで倒そうとしていた。

 

 「どうして? どうして2人が争わないといけないの? 2人共私の大事な人なのに……」

 

 「今の2人には何を言っても無駄だと分からないのか小娘?」

 

 エレオノーレは少しだけ厳しい声でフェイトに問いかける。

 フェイトがラインハルトに惹かれていることに気づいているエレオノーレは対抗意識をフェイトに出そうとしているのと同時に、バカ娘2号である櫻井螢と同じくらいの歳の小娘に大人気ない態度を出すのに抵抗感を持っている思いが交差している状態での出た声に、フェイトは質問の意味が分からないのか、首を傾げていた。

 

 「分からないです。でも、どうしてあなたは平気な顔をしてあの光景を見ているんですか?」

 

 「質問を質問で返すな小娘。あの犬みたいな女が何故ラインハルトに勝負を挑んだかいついては分からんし理解するつもりもない。だが、ラインハルトが何も意味がなくあのようなことをする奴ではない。だから、貴様はそこで大人しく結末を見守っていろ」

 

 エレオノーレの話が終わった瞬間、ラインハルトとアルフが動き出した。

 ラインハルトはアルフに向かって目では捉えきることができない速さで槍の突いた。しかし、アルフは奇跡的に槍の突きを回避して、笑みを浮かべて右の拳で殴ろうとしたが、腹に痛みを感じ、殴ることができずに気絶してしまった。

 ラインハルトは、アルフの腹部を殴った左腕を抜いて体を横たえると、フェイトの前に歩いて行った。

 

 「さて、フェイト。卿が集めていたジュエルシードの件だが、私も協力しよう。」

 

 ラインハルトの突然の言葉フェイトとエレオノーレの2人は驚いていた。

 

 「え? 本当にいいの?」

 

 「ラインハルト! お前何を【聞こえているかエレオノーレ?】 っ!?」

 

 フェイトはラインハルトがジュエルシード探しに協力してくれることに嬉しそうな表情になり、エレオノーレはラインハルトにどういうことか理由を聞こうとした所に頭の中からラインハルトの声が聞こえてきた。

 

 「【卿の表情を察するに、どうやら念話は成功のようだな。私がフェイトに協力しようとした理由は、この事件の真相を探る為だ】」

 

 「【詳しくはまた後で話す。これ以上このままだとフェイトに怪しまれるのでな】」

 

 エレオノーレはラインハルトの理由に理解はしたものの、納得していなかった。だが、このまま話さない状態が続いたらフェイトに怪しまれることになる為、気持ちを切り替えた。

 

 「さて、エレオノーレ。悪いがアルフを背負ってくれ。私が背負うと犯罪になってしまうのでな」

 

 「……分かった」

 

 エレオノーレの返事を聞いてからラインハルトは『至高天・黄金冠す第五宇宙』を解除して元の姿に戻ると、元の街並みに戻っており、さっきまで誰1人としていなかったブランド品の店には人がかなりいた。

 

 「さて、それじゃあ僕の家に行こうか。今日は少し豪華な料理にするから期待してよ」

 

 ラインハルトは笑顔でそう言うと、笑顔で家に向かって歩き出した。それを見たエレオノーレとフェイトはラインハルトの料理を楽しみにしながら歩いていた。

 

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