魔法少女リリカルなのは~Amantes Amentes~ 改訂版   作:鏡圭一改め鏡正

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お久し振りです!

久し振りに投稿するので書き方が少し変わってしまったかもしれないですが、完結まで頑張って投稿していくつもりです!


第十九話

 司狼が天音の協力を得てから一週間が経ち、メルクリウスは蓮たちを月村すずかの家に車で送った後、月村邸の様子を眺めていた。

 

 「蓮が女関係で困っている姿を見ていると微笑ましくなるよ。そして、ゲオルギウスの周辺に修羅場が発生する未知が見れるとはな。他人の不幸で飯が旨いとはこのことか。だが、クリストフが何故月村邸にいるのだ?」

 

 メルクリウスが言ったクリストフというラインハルトに似た容姿の30代の男性はヴァレリアン・トリファ。

 ヴァレリアンはテレジアの父親で職業は俳優。メルクリウスが監督した人気恋愛ドラマ『君を見つめて』の主演で、その時にヒロイン役だったリザ・ブレンナーに一目惚れし、ドラマの2年後に結婚したおしどり夫婦として有名だ。現在は、俳優を引退して孤児院の経営とカウンセラーとして活躍している。

 

 「まあいい、今回はベイとレオンハルトが覚醒するやもしれん。更に、我が息子蓮とラインハルトが戦うことは必然だ。さて、蓮は創造位階になれることに期待するよ」

 

 メルクリウスは何時もの笑みで高笑いをした後、今回の黒幕であるプレシア・テスタロッサがいる次元を探し始めた。

 

 

 

 蓮と司狼は今の状況に困惑していた。蓮は両腕をマリィと香純に抱きしめられ、背中にはテレジアが抱き着いていた。その蓮の姿をなのはと杏奈は悔しそうに涙目になっていて、螢は“不潔よ藤井君!”と顔を赤くしていた。

 司狼の方も、両腕をアリサと天音によって抱きしめられていた。エリーは何時もならば笑って司狼をからかっている筈なのだが、どうして不機嫌になっているのかについて理解が出来ず困惑していた。

 

 「すずか。ここには沢山ネコがいるんだね。こんなにネコを見るのは初めてだよ」

 

 「ユーノ君。結構懐かれてるね。この子たちは初対面の人には警戒心が強くて近づかないのに」

 

 ユーノとすずかは蓮と司狼の身に起こっている事に関与しないで恋人の様に穏やかな時間を過ごしていた。

 

 「あぁ、テレジア。なんとはしたないことを! 確かにリザは恋は戦いと言っていましたが、あそこまで修羅場が勃発するものなのでしょうか?」

 

 「蓮君の場合は鈍感じゃないだけまだまともですよ先生。わたしの場合は恭也が鈍感なせいで、今の修羅場が可愛く見える位の醜い争いでしたよ」

 

 困った表情をしているヴァレリアンのことを先生と呼ぶすずかに似ている女性は月村忍。

 忍は恭也と同じ大学に通い機械系の事について学んでおり、時々翠屋にアルバイトに行っている。

 ヴァレリアンとの関係は、忍の両親が交通事故で亡くなった後、親族との遺産相続の件で遺産分配のやり直しを求められて精神的に弱っていた時に両親の知り合いだったリザの紹介で忍をカウンセリングしたのがヴァレリアンだった。

 

 「そうなのか? あの時は父さんとの剣術の訓練と妹たちのことで頭が一杯だったんだ。すまなかった」

 

 恭也は申し訳なさそうに忍に謝ると、忍は気にしないでと言って笑顔を恭也に見せる。

 恭也は士郎から御神流と呼ばれる剣術と教わっており、剣術だけなら形成を発動しているエレオノーレに勝つことが出来る大学生で、忍と付き合っている。

 

 「それに、フィアッセさんとノエルとわたしの3人で恭也を共有することでなんとかなったんですよ」

 

 「……はぁ、私はキリスト教徒ですが、何も聞かなかったことにしましょう。ですが、……恭也君1つだけ言います。責任を持って忍さんたちを愛するのですよ。よろしいですね?」

 

 恭也はヴァレリアンの言葉に頷くと、ヴァレリアンは笑顔になりカップに入っていた紅茶を飲み干す。

 

 「よろしい。それではそろそろ戻らないとリザに迷惑をかけてしまうので帰ります。5時頃にテレジアを迎えに行きますので、テレジアをよろしくお願いします」

 

 「先生。遅くなったんですけど、リザさんの出産おめでとうございます」

 

 「ええ、ありがとうございます。それではこれで」

 

 ヴァレリアンはそう言って椅子から立つと、忍のメイド兼恭也の恋人のノエル・K・エーアリヒカイトに出口まで案内された。

 

 「失礼します。紅茶をお持ちしました。……あ、あわわわっ!」

 

 紅茶を持ってきたノエルと容姿が似ているファリン・K・エーアリヒカイトが部屋に入ると、ファリンは猫たちが目の前を通り過ぎたことでバランスを崩してしまい、ティーカップとティーポットを落としそうになっていた。

 

 「っ! 危ない!!」

 

 忍がそう言った瞬間、全員の視線がファリンの方に向いた。咄嗟に反応出来た恭也は思考回路を切り替えてファリンの元に移動し、落ちそうだったティーカップとティーポットを受け止めてファリンを抱き寄せた。

 その動きは司狼以外には恭也が一瞬でファリンの見えなかったが、司狼は異世界の知識から恭也が脳のリミッターを解除して運動能力を一瞬だけ上昇させたことが分かった。

 

 「ファリン。大丈夫だったか?」

 

 「え、えっと……はい! ありがとうございます恭也様!」

 

 「(やっぱ、転生者の奴らと違って、純粋な鍛錬を積んだ人間って凄ぇな。神に魂を売って強くなった奴より魂の輝きが違う)」

 

 司狼は恭也の事を評価していたが、部屋に入って来たノエルが運んできたクッキーとスコーンといった茶菓子によって意識が茶菓子に向いたことで思考が変わり、楽しく茶菓子を食べることにした。

 

 

 

 ヴァレリアンは昼時の筈なのに人気の無い公園のベンチに1人で座っていた。

 

 「私の勘違いだと思っていましたが、どうやら藤井さんと遊佐君は形成位階に達している。スワスチカはこの世界に無い筈ですが……まさか!」

 

 「どうやら君は前の世界の記憶が戻ったようだねトリファ君。……いや、クリストフ」

 

 ヴァレリアンは声のする方向に視線を向けると、そこには笑みを浮べたメルクリウスがいた。

 

 「っ! これはこれは監督。お久し振りですね。お会いするのは授業参観以来でしたか?」

 

 「社交辞令はもういいぞクリストフ。君は何時から記憶が戻ったのだね?」

 

 「……副首領閣下に誤魔化しは効きませんか。ここ2週間前ですよ。……ですが、失礼を承知で伺います。貴方は本当に副首領閣下なのですか?」

 

 ヴァレリアンはメルクリウスの事を疑っていた。ヴァレリアンの知っている『メルクリウス』ならばすぐに嫌悪感を感じる筈なのだが、目の前にいるメルクリウスからはそれがあまり感じないのだ。

 

 「私は君の知る『カール・クラフト』であると同時に君の知らない『カール・クラフト』でもある。理解出来ないかもしれんが、それが今の私だよ」

 

 疑いの目を向けるヴァレリアンはメルクリウスの表情を見て暫くすると、溜息を吐いて笑みを浮べた。

 

 「そうですか。それで、監督はどうして私の所に来たのですか?」

 

 ヴァレリアンはメルクリウスの呼び方を変えて質問すると、メルクリウスは監督をやっていた頃の顔になった。

 

 「噂で聞いたが、リザ君が第二児を産んだそうだね。後で出産祝いを持って行こうと思っていたのだが、今は退院して自宅かね?」

 

 「ええ、妻は家にいますよ。ですが監督、妻が産んだのは双子の男の子ですよ。名前はイザークとヨハンです」

 

 メルクリウスはイザークとテレジアの関係が祖父と孫の関係から姉弟の関係に変わっていることに未知を覚えたが、それはそれで面白そうだと思った。

 

 「そうか、ではこれをリザ君に渡して貰えるだろうか」

 

 メルクリウスは懐から出産祝いののし袋を出し、ヴァレリアンに差し出した。

 

 「……監督それは?」

 

 「普段から私の息子が君の娘に迷惑をかけているようだからね。それで君の息子たちに何か買ってやるといい」

 

 メルクリウスはそう言った後、ヴァレリアンの前から消えた。『黒円卓』時代にメルクリウスの魔術を見ていたヴァレリアンは驚いた様子を見せず溜息を吐いた。

 

 「私も人のことを言えた義理ではありませんが、藤井さんを舞台装置としてしか価値を見出していなかった副首領閣下があそこまで親バカをしている光景をハイドリヒ卿が見ていたらどんな顔をしていたのでしょうかね? ……さて、そろそろ帰らないとリザに怒られてしまいますね」

 

 ヴァレリアンは『メルクリウス』の変化に疑問を覚えながらも、愛する妻と可愛い子供たちの元に帰る為に車に向かって歩き始めた。

 

 

 

 時間は11時を過ぎた頃だった。

 

 恭也は忍の腰に手を回して忍の部屋に行き、蓮達はネコたちを撫でていると、

 

 『おい蓮。この周辺にジュエルシードの反応があったぞ!』

 

 ロートスからの念話で状況を理解した蓮は司狼とユーノに目配せをした後、トイレに行くと言って客間から出てすぐに外に向かって走り出した。

 

 「悪ぃけど、少しユーノを連れてさっき出て行ったネコ探してくるわ[なのはと杏奈。お前たちは暫くしてから出て来い。今出ると怪しまれるからな]」

 

 司狼はそう言ってユーノと共に家から出た後、アリサたちはP○3版の人生ゲームを始めていて蓮たちが出て行ったことに気づかなかった。

 

 蓮は外に出た瞬間に『罪姫・正義の柱』を形成して司狼たちと合流した後、ジュエルシードの反応があった場所に着くと、そこにいたのは巨大なネコだった。

 

 「なんなんだあのネコは?」

 

 「恐らくジュエルシードが発動したのはあのネコが原因だってことは間違いねぇな」

 

 「ネコの大きくなりたいっていう純粋な願いがあそこまで大きくなった理由なのかもしれないね」

 

 蓮たちは何時戦闘があっても可笑しくないように警戒したが、ネコはそのまま寝転がってしまい拍子抜けしてしまった。

 

 「まぁ、とりあえずなのはたちが来るまで待機するか。……ん?」

 

 蓮は上空に女の子がいることに疑問を感じ、飛行魔法と使おうとした時だった。今までと比べ物にもならない殺気と恐怖を感じ、思わず後ろを振り向くと、そこには槍を持った獣の鬣の様に長い金髪の男ラインハルトと『カズィクル・ベイ』と呼ばれ恐れられていた元不良のヴィルヘルム・エーレンブルグがいた。

 

 「ラインハルトさん? ……どうしてここに?」

 

 「おいおい白髪野郎。また厨二病時代に逆戻りかよ?」

 

 蓮は目の前に普段と雰囲気が違うラインハルトに驚き、司狼は殺気を感じながらもヴィルヘルムに挑発をする。

 

 「ふむ、ツァラトゥストラの目的もジュエルシードか。ならば理由は一つしかあるまい……ヴィルヘルム」

 

 「……Jawohl.」

 

 ヴィルヘルムは次の瞬間、右手・両腕・両足に血液に似た赤黒い杭が生えてきた。

 

 「……マジかよ。とうとう童貞こじらせて吸血鬼にでもなったのかよあの白髪野郎」

 

 ヴィルヘルムの突然の変化に驚いた司狼はニヒルな笑みを浮べながら形成したデザートイーグルをヴィルヘルムに向けて構える。

 

 「オレはよぉ、ハイドリヒさんの為にこの力を使えるのが嬉しくて手加減できねぇんだわ。だからよぉ、拍子抜けさせんじゃねぇぞクソガキ!」

 

 「それはこっちのセリフだ! このシスコン非モテ野郎が!」

 

 ヴィルヘルムと司狼が戦闘を始めたが、蓮は目の前にいるラインハルトに信じられないと言いたげな表情を浮べていた。

 

 「なんで、どうしてラインハルトさんがここにいるんだよ!?」

 

 「すまないが、事情は説明できん。だが、卿らにフェイトの邪魔はさせん。では始めようか」

 

 ラインハルトの一言によって蓮たちの死闘が始まった。

 

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