魔法少女リリカルなのは~Amantes Amentes~ 改訂版 作:鏡圭一改め鏡正
第二次世界大戦が終結してから数十年後の1996年。日本の海鳴市の一軒家にメルクリウスは住んでいた。
メルクリウスが海鳴市に住んでいる理由は、この海鳴市に『聖槍十三騎士団』のメンバーと『黄金の獣』であるラインハルトの因子がこの世界に現れ、その因子が宿ったハイドリヒ家の双子の姉弟が海鳴市に生まれたからだ。
その時からメルクリウスはとある計画を進めていた。その計画はこの世界で初めて創る
藤井蓮の調整は殆ど終わっていて、後は蓮の魂をロートスの魂をベースにした新たな魂として形成し、ロートスの魂を蓮の体の中に入れ、最後にメルクリウス自身の血を入れればこの世界での藤井蓮が誕生する。
ただ、メルクリウスにとって一つ気がかりなことがあった。
それはメルクリウスの血を入ることによって藤井蓮の性格がメルクリウスに似てしまうのではないかということだ。
前の世界での
これはメルクリウスの予想だが、あと2年位で藤井蓮としての魂が完成し、赤子からメルクリウスが育てることになる。メルクリウスは赤子を育てることに未知を感じていた。
『メルクリウス』は女神ことマルグリットに夢中で藤井蓮を育てておらず、綾瀬夫妻に任せきりのような状態だった。そのことが原因で藤井蓮は香純の父親に人体実験されていたのだ。
メルクリウスは『メルクリウス』が行っていたのは俗にいう育児放棄と呼ばれる物だと思っていた。これは彼だけではなく獣殿ことラインハルトも息子であるイザークを息子として見ていなかったことから彼も育児放棄をしていたと同然だった。
メルクリウスはかの2人よりも育児についての常識はあると思っている。
メルクリウスはこれからの育児について悩んでいるその時だった。女神である夜天の書の管制人格の魔力を感じたメルクリウスは魔力を感じる所へ転移を開始した。
メルクリウスが転移した場所は戦艦の中だった。どうやら1世紀もしない内に宇宙戦艦が作れる技術を平行世界でも造れるようになったのかとメルクリウスは感心していた。 勿論、その最新技術を搭載した戦艦でもメルクリウスを殺すことは不可能なのだが。
しばらく歩いていると、1人の男が脚部と腹部から血を出して倒れていた。脚の傷は深いが腹部の傷は浅い方だった。
メルクリウスは男を無視して通り過ぎようとしたが、
「早く…闇の書を…破壊しなければ……」
男が夜天の書を破壊すると聞いた瞬間、何時ものメルクリウスならば、そこにいる男を消滅しているが、今のメルクリウスは女性に会えるからなのか、気分が良かった。
「ああ。邪魔だぞ。私の女神を愚弄するとは万死に値する。用済みの役者には退場願おうか」
メルクリウスはそう言ってから魔法陣を展開して怪我をしている男を近くの戦艦に転移させた。恐らくあの男は助かるだろうとメルクリウスは思っていた。
メルクリウスにとって1人の
これは余談だが、数年後にメルクリウスの気紛れによって助かった男とメルクリウスは再び邂逅することになる。
「また私はまた人間を殺してしまうのか」
女性は周りの状況を見ると、今の所人間を殺していないからか、ほっとしていた。
「久しぶりだね我が愛しの女神よ。今日も貴女は誰よりも美しい。至高と信ずる」
目の前に現れたのは、女性が何度も世界を破壊しても唯一死なない存在のメルクリウスことカリオストロだった。
そしてメルクリウスに逢う度に、何時の間にか女性はカリオストロにすぐ逢いたいと思っていた。理由はメルクリウスは破壊の化身である女性のことを唯一女神と呼び、逢いに来る度に美しい・愛しの女神・貴女に恋をした……などと言うからだ。
さらに質の悪いことに、女性が涙を流す度に、メルクリウスは女性の頭を撫でて、『貴女の泣いている姿も美しいが、貴女には笑顔でいて欲しいのだよ。我が愛しの女神よ』と恥ずかしいことを平然と言ってくる。
女性の頬の涙を手で愛おしそうに拭き取りながら愛しい者を見るように頬笑えむ。その事を思い出しただけで女性の顔は赤くなっていた。
「(一体どうしたんというんだ私の体は? カリオストロに撫でられたり、カリオストロが笑顔になると心が温かくなるのは何故なんだ?)」
女性は自分の感情の答えが理解できず悩んでいると、突然女性はメルクリウスに頭を撫でられた。
「な、何をするんだカリオストロ!? 手を私の頭から離してくれ!」
メルクリウスに撫でられたことにより、女性の顔がさっきよりも赤くなっており、メルクリウスは女性が喜んでいる様子が見れたことで女性を抱き締めたくなる衝動に駆られる。
だが、メルクリウスは女性を抱き締めることはしなかった。女性を抱き締めるのは女性の呪いを自らが描いた脚本で救った時まで我慢すると誓っていたからだ。
「おや、これはすまない。久しぶりに女神の美しい顔を見たのでな。抑えることが出来なったようだ。」
カリオストロは女性が恥ずかしいのを理解したからか、女性の頭から手を離した。その時女性は何故かもっとメルクリウスに撫でて貰いたいという気持ちになっていた。
だが、もう一度だけ撫でて欲しいとメルクリウスに頼みたかったが、自らの羞恥心が邪魔をしてお願いをすることができなかった。
「(ああ。女神の顔が赤く染まっているのも素晴らしい。『メルクリウス』もマルグリットに対してこのような未知を求めていたのだろうか?)」
『メルクリウス』はマルグリットに触れたくても、マルグリットの呪いのせいでそれすら出来なかった。
だから『女神に抱き締められて死にたい』という渇望が湧き、それがストーカーにまで発展したのだろうとメルクリウスは推測していた。
だが、メルクリウスは『メルクリウス』レベルの変態ではないので理解できんというより理解したくないという気持ちになっていた。
「ところで女神よ。今回は貴女の主から名前を貰えたのかね?」
「……いや。今回も私の名前は貰えなかった。その前に闇に飲み込まれて消滅してしまった」
女性は悲しそうな表情でそう言った。メルクリウスは女性を慰めようとしたその時だった。
他の戦艦から女神には劣るが、膨大な魔力がここに向かって放たれようとしていた。
「女神よ。今回はこれで貴女と別れるが、次逢うときに私が必ずあなたをこの呪いから解放すると約束しよう。……愛しているよ、我が愛しの女神よ」
私がそう言った瞬間、魔導砲が発射され、女神は
これで舞台は整った。地球にはまだ幼いが、本来の獣殿……ラインハルトの因子を宿した存在が
そして、プレシア・テスタロッサという魔道工学研究者が現在、高魔力の『アリシア』と呼ばれるプレシアの娘のクローンを作っている。その計画名は『プロジェクトF・A・T・E』と呼ばれている。
メルクリウスはアリシアのクローンを今回の歌劇の役者にしようと考えていた。本来は黒円卓の者たちと藤井蓮たちだけで行おうとしていたが、それでは既知感しか味わうことしかできないとメルクリウスは思っていた。
そこで、アリシアのクローンを海鳴市に差し向けさせ、歌劇に加えることで未知を見ることができる。
「これは仮定に過ぎんが、恐らく『プロジェクトF・A・T・E』は失敗に終わるだろう。幾らオリジナルの記憶をクローンに宿しても所詮はクローン。オリジナルにはなれんのだよ」
しかし、メルクリウスはまだ蓮を強化する計画が未完成だと思っていた。ラインハルトがこの世界にいてアリシアの魂を吸収していればレオンハルトこと櫻井螢と同じ方法で誘い出すことができるが、この世界にラインハルトは存在しないからだ。
だが、メルクリウスは無限書庫で見た『ロストロギア』についての資料の中には願望を叶えるロストロギアも存在するとあったからか、何らかの方法でそのロストロギアを見つければいいとメルクリウスは思っていた。
「女神が主演の歌劇の役者になれるのだ。光栄に思うがいいクローンよ。そして、プレシア・テスタロッサよ。君はレオンハルトと似た願望を持っている。だが、この世界の理は輪廻転生。君が望んでいるアリシア・テスタロッサの魂はもうすでに来世に転生しているようだね。私の女神の愛に比べればその程度の愛など
メルクリウスはこれから始まる歌劇のシナリオを決めながら歓喜していた。あと少しで夜天の書の管制人格を開放することができる。メルクリウスはニヤリとウザイ笑みを浮かべて戦艦の残骸から地球へと転移を始めた。