ガールズ&パンツァー アライアンス   作:生駒柊

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隊長就任
隊長、就任です!


 高校生になって二年目のとある日。喉が渇いたので二階にある自室から出て、階段を降り、台所に向かおうとすると、なにやら母と父が居間で盛り上がっていた。

 何があったのかと思い、居間に入るとテレビから轟音が響いた。それに驚いていると、私に気がついたのか母が

 「今ね、西住流の娘さんとアンタが昔、門下生だった島田流の娘さんが戦ってるわよ」

 そう解説してくれた。どうやら、島田流と西住流が試合をしているらしい。

 「ふぅん…今どんな感じなの?」

 「見たら解るって、ほら」

 私が聞くと、母はそう言って無理矢理隣に座らせてきた。

 見てみると、西住側のⅣ号戦車とティーガー戦車二両と島田側のセンチュリオンが目にも止まらないような速さで戦いを繰り広げていた。ものすごい高度な戦いで頭がついていかない。

 それに見入っていると父が

 「なぁ…お前も戦車道、もう一回やってみたらどうだ?」

 そんなことを言ってきた。

 私は暫く考えてから

 「うーん…考えとく」

 と答えた

 実は私も昔…小中学校では戦車道をずっとやっていて、一時は島田流の門下生だったこともある。腕も悪くなかったし、試合でもなんども勝ったことがあり、嫌で戦車道をやめたわけではない。

 中3のある日、戦車道の試合中に怪我を負ってその治療やらなんやらに一年以上もかかり、そのまま高校2年生になって、やらず仕舞いになっていたのだ。

 うん、今行ってる白山女子学園にも戦車道があったはずだ、今からでも遅くないだろうからまたはじめてみよう。そんな風に考えていた。

 

 その時はまさか学校側から声がかかるとは思っていなかった。

 

 

 

 私の実家は学園艦にある。居酒屋を営んでいて、しかもけっこう人気なのでたまに私も手伝わされる。大体の客は私目当てだったりすることがおおいからだ。

 その日は遅くまで手伝いをしていたため、起きるのが少し遅くなってしまい。走って学校に行く羽目になった。

 始業ギリギリに教室に着き、息を切らしていると、一人の少女が話しかけてきた。

 「おー、しずっちー!」

 茶髪で眼鏡をかけた少女は私の友人である笠間 皐(かさま さつき)。(意外と胸がでかい)たしか彼女は戦車道をやっていたはずだ。

 「ん?どったの?」

 「あんねー、なんか生徒会の人らが話があるから昼休みに生徒会室に来いってさー」

 そんなことを言われた。

 「え?私なんかやったけ…?」

 私は思いっきり狼狽えた。

 「さぁ…あっ、先生来た!じゃあ伝えたからねー」

 そう言ってさっさと席に戻ってしまった。勿論、それから昼休みまで私は授業に集中することは出来なかった。

 

 そして昼休み

 私は生徒会室の扉の前で怖気づいていた。もしかして退学させられるんじゃ...なんて考えが脳内を埋め尽くしている。

 「もぉ...さっさと行きなよ!」

 ここまで着いてきてくれた皐がそう言って、背中を思いっきり押してきた。

 私は考え事をしていてぼーっとしてたせいでバランスを崩し、生徒会室の扉に顔面から突っ込んだ。しかも生徒会の人がそれをノックだと思って扉を開けてきたので、私は廊下に仰向けに倒れる羽目になった。

 「え...あ、すまん!大丈夫か!?」

 生徒会の人は察しがいいらしい。自分のせいで私がこんなことになってしまったと気が付いてくれたのだろう、駆け寄ってきて助け起こしてくれた。そして私の顔を見ると

 「ええと、君が峰山志津さんかな?」

 そう問いかけてきた。

 「あ...はい、そうです」

 「やっぱりそうか、私は三年の大河望(おおかわ のぞみ)。生徒会の副会長だ、今日からよろしく」

 そう自己紹介すると、大河先輩は私の腕を引いて生徒会室に無理矢理連れ込まれた。それと、副会長は今日からよろしくと言ったが、どういう意味なのかは私は理解できなかった。

 「会長、峰山さんが来ましたよ」

 「ん、ご苦労様だね」

 会長と呼ばれた人物がそう受け答えする。

 「じゃ、早速だけどさ」

 「は、はい!」

 あぁ...とうとう私の学園生活も終わるのか...最後にもう一度戦車に乗りたかったな...

  会長の口がゆっくり開く。

 明日から学校来なくていいよ。

 

 

 なんて言葉は出てこず、予想外の言葉が出てきた

 

 「今日からうちの戦車道チームの隊長よろしくね!」

 

 ...................................

 「...え?」

 今何て言った? 

 「いやー、うちの戦車道チームは装備はいいのに隊長が駄目で練度も低いから弱小弱小いわれまくっててさ!そこで、経験者で元島田流門下生だった峰山さんに隊長になって立て直してほしいわけなんだよ」

 うん、なんか戦車道チームの隊長とか言ってる。あと隊長が云々のとこで大河先輩の顔が赤くなった気がするが気のせいだろう。

 「あの...隊長...ですか...?」

 「うん、そう!」

 「で...でも一年はやってないですし...」

 「知ってるよ、君の経歴は調べさせてもらったから!小中では結構優秀な選手だったみたいだからさ、やってくれるかな?」

 なんだろう、拒否権はないきがする。

 ともあれ退学ではなかったし、再開しようと思っていた戦車道ができるわけだ。

 「はい、ちょうどまた始めようかと思っていたので。やらせていただきます」

 「そっか、ありがと!んじゃあ今日の戦車道の授業から早速するからね、格納庫の前に来てよ」

 今日って...とういうことは午後の授業全部戦車か...

 「書類やらはこっちでやっとくから、よろしくねー」

 そうして、私は退学にはならず、それどころか戦車道チームの隊長になってしまった。

 

 

 「しずっちって島田流門下生だったの!?島田流ってあの島田流よね!!」

 生徒会室から出ると、皐が食いついてきた。

 「元、ね。小学生の時の話だよ」

 私と皐は昔一緒に中学生の頃戦車道をやっていた。

 私は自分の昔のことは余り話さないタイプだったので、皐は私が島田流だったことは知らない。

 「それでもスゴいよ!あ、今日からまたよろしくね、隊長さん!」

 そう皐は敬礼しながら言ってきた。

 隊長...か。悪くない。

 「うん、よろしく。そういえば戦車は何があるの?」

 「え...えっとね、あんま覚えてないんだけど...たしか十一両あったはずだよ」

 十一両...決して多くはないが、少ないわけでもない。問題は数ではなく戦車の質だ。

 「まさか、豆戦車が十一両とかないよね?」

 「大丈夫だって!多分...あ、そろそろ授業始まるよ!」

 時計を見ると、もう次の授業まで五分しかない。

 「ほんとだ、急ごっか」

 私達はグラウンドに面している格納庫に急いだ。

 

 私たちが格納庫に着くと、既に全員集まっていたようだ。

 「おー、峰山くん!逃げずにちゃんと来たねー」

 会長が私の名を呼ぶと、自然と私に視線が集まる。

 「みんなー、この人が新しい隊長だからねー。適当に挨拶しといてよー」

 「では、時間も無いことだし…まずは戦車の振り分けをしないとですね」

 大河先輩がそう言った。

 「え、振り分けって?」

 「ん?あぁ、ここにいる8割がたはみんな初心者なんだよ。こないだの西住流と島田流の試合を見て、影響されたのが多いみたいだね」

 大河先輩が大雑把に説明してくれた。じゃあ経験者は?ざっと見ても三十人はいるように見えるが、八割が初心者ということは経験者は五、六人しかいないということになる。

 「あの…本気ですか…?」

 「うん、マジ、大マジだよ」

 大河先輩があっけらかんとした様子で返してくる。大丈夫だろうか、このチーム…。

 「そうだ、戦車新しく何両か買ったからさ!新入りたちのチーム、振り分けないとね!」

 「わ…わかりました」

 そうだ、まだ練度は低いと言っていたが、戦車はいいものを揃えていると言っていたはずだ。それならばまだ、なんとかなるだろう......

 「ほい、この子たちだよ」

 格納庫の扉が開くとそこには十一両ほどの戦車が並んでいた。

 「おぉ…ほんとにいいものば…っか…り?」

 そこにあったのは五式中戦車、三式砲戦車、巡航戦車クロムウェルMk.IV、四号突撃砲、特三式内火艇、四式軽戦車、ビショップ自走砲、アーチャー対戦車自走砲、巡航戦車カヴェナンター、T-29中戦車、シャール2C重戦車だった。

 いい戦車があると聞いたがそんなのは二両ほどしかない。後半に行くにつれて最悪なものになっていってる気がする。

 「どう?いいやつばっかでしょ?」

 はい、敵にとって都合のイイやつばっかです。流石に皐も気がついたのか微妙な顔をしている。

 「えっとですね、会長」

 「ん?なに?」

 「これダメかもしれません」

 「…………だよねー…これさぁ…学園長が適当に買ったもんだからさ…」

 会長が項垂れる。

 「ま…まぁ…使いようによってはなんとかなるかもしれませんよ。ほら!大洗という例がありますし!」

 大河先輩がそんなフォローをする。すみません、私にはあんな戦略思いつきません。

 「えっと、新しく買ったのはどれなんですか?」

 「えっとね…三式砲戦車とクロムウェル…それと特三式内火艇にビショップ、アーチャー、カヴェナンター、T-29、シャール2Cだよ…買ったの三式とクロムウェルしかいいのないよねー…」

 また会長が項垂れた。つまり元々五式と四式、四突があってそこにあのポンコツズが入ってきたわけだ。

 「え…でもあの戦車とか大砲いっぱいあって強そうですよ?」

 戦車を眺めていた一年生がT-29を指差してそういう。

 「いやー、あれは砲塔が多くて指揮が執りづらい、装甲が薄いわで駄目だよ…でも履帯なしでも走行できるのが唯一の長所だね...」

 「じゃあこっちはどうなんだ?」

 シャール2Cの前にいた同学年らしい生徒が装甲を叩きながら聞いてきた。

 「それはデカイ、遅い、薄いの三拍子そろったただの的。ロレーヌ仕様だったらまだ使えたと思うんですけど…まぁ…人数的にコイツは無しですね」

 「先輩、それってどういう…?」

 一年生の集団が聞いてくる。

 「んっとね…ここにいるのは三十人、この人数じゃここにある戦車全部は運用できないんだよ」

 「じゃあ、どれを使うんだ?隊長」

 そうさっきの同学年の娘に聞かれて暫く考えていると

 「せいぜい八両しか運用できないから...火力支援は三式とビショップか四号突撃砲、偵察に四式は外せない...」

 「主力は五式とクロムウェル、特三式、T-29が性能を考えると妥当だね」

 「特三式と四号突撃砲は奇襲に使えるぞ」

 という提案が出た。誰かと思って見てみると皐が三人の見知らぬ同級生を連れてきていた。

 「皐、その人達は?」

 「私と五式に乗ってる娘達だよ。えっと、この人が新しい隊長さんで私の友達の峰山志津、しずっちってよんであげてね!」

 そう皐が私を紹介した。

 「えっと、しずっち、こっちがね...」

 「私は木俣昌子、操縦士をやっています。よろしくお願いしますね」

 最初に長身で黒髪和風美人な木俣さんが自己紹介してくれた。私がしゃっべてるのにぃ...とむくれている皐をおいて残りの二人が自己紹介する。

 「大隅栄、砲手やってるよ。腕はいいほうだから宜しくね!」

 大隅さんはボーイッシュな感じで身長は私と同じくらい。それと胸がおっきい。

 ちなみに五式中戦車は自動装填装置があるので主砲の装填手が必要ない。

 「副砲手兼ね副砲装填手兼ね通信手の飯沼京、よろしくたのむぞ隊長!」

 飯沼さんは少し威厳がある感じの喋り方で大隅さんと同じく私と同じくらいの身長。

 「んで、私が車長兼ね装填手の笠間皐!」

 はい、知ってます。

 「で、私達四人で動かしてんだけど、本来五人乗りじゃんか?」

 「そこで、峰山隊長に車長を頼みたいんだよ」

 「皐ちゃんじゃ頼りないですものね」

 「あぁ、いつもパニックになるからな」

 「皆酷くない!?」

 そういうことらしい。

 「じゃあ皐はなにするの?」

 「私は装填手と栄ちゃんが掛け持ちしてる通信手とやるから!まぁそんなこんなでよろしくね!」

 また拒否権は無いらしい。

 「わかったよ...そうだ、他の戦車の乗員は決まったんですか?」

 振り向いて、全員に問いかける。

 「もう済ませたよ、隊長さん」

 そう近くにいた同級生が伝えてくれた。

 「私は四号突撃砲の車長、二年の伊吹志野だ。乗員は四名」

 四号突撃砲チーム車長が各戦車長が自己紹介をする流れを作った

 「四式軽戦車車長、生徒会会長の市川八重だよー。乗員は私と大河~」

 「クロムウェル車長、三年の渋谷紅葉。乗員は四人よ」

 「特三式内火艇車長、一年の内田纏です!人数は四名です!」

 「T-29車長、一年の菊地蛍でーす。人数は内田ちゃんとことおなじでーす」

 「三式砲車長の二年の前田七瀬であります!乗員は五名、誠心誠意頑張る覚悟であります!」

 「ビショップリーダー、二年の氷上巴...乗員は三人だが全員選ばれし者だ、安心するといい」

 次々に車長の人達が自己紹介をしていった。

 「ほら、しずっちも」

 「うん、えっと...五式車長で隊長の峰山志津です。一年ほどのブランクがありますが、頑張りますので、よろしくお願いします!」

 そう自己紹介を終え、頭を下げると周りから拍手が鳴り響いた。

 

 ここに、峰山志津率いる新生白山学園戦車道チームが誕生した。




ここまでお読みくださって有り難うございます。
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