ガールズ&パンツァー アライアンス   作:生駒柊

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三話ですが二話なんです!


友人です!

車長用のハッチを開け、五式中戦車に乗り込む。やはり戦車の中は暑い、この感覚は一年ぶりだ。私は先程渡された真新しい無線機のスイッチを入れた。 

 「皆さん、無線の調子はどうですか?」

 無線に問いかけると様々な答えが返ってきた。 

 

 『四号突撃砲、問題ないぞ』

 『クロムウェル、聞こえてるわ』

 『こちら四式軽、きこえてるよ〜』

 『カチ車、問題なし!です!』

 『T-29、上に同じでぇす』

 『こちら三式砲戦車、問題なしであります!』

 『ビショップ、問題なし』

 

 全車、問題が無いようだ。

 「では、これから基本的な移動訓練を兼ねて演習場に向かいます。車内に操縦のマニュアルが有ると思いますので、私たちの後に続いてください。木俣さん、出してください」

 「はい」

 木俣さんが慣れた手つきでイグニッションを入れ、ギアを入れる。

 すると五式中戦車のエンジンが動き出す。

 「では前進します」

 五式中戦車が動きだし、格納庫から出る。車長用ハッチから身を乗り出し、後続を確認すると四式軽戦車、クロムウェル、四突、カチ車、ビショップ、三式砲、T-29の順で続いてくる。 

 「操縦の方にはあまり問題が無いみたいだねー」

 大隅さんが車内から声を掛けてくる。

 「ん、初めてにしては皆さん上手いですね...とくにクロムウェルが」

 まるで熟練の戦車乗りが操縦しているかのように、ピッタリ後を着いてくる。

 格納庫からでてしばらく進むと、グラウンドの端に戦車道演習場入り口という看板が立っていた。だが、その先は山道だ。

 「これから不整地に侵入します」

 グラウンドから演習場に行くまでには山道の様なところを通らないといけない。不整地での操縦は整地に比べるとかなり難しくなる。そうこう言ってる間に五式中戦車が山道に侵入すると、車体が大きく揺れはじめる。

 

 「あ、やばっ…お昼のうなぎゼリー吐きそう…」

 突然、飯沼さんが口元を抑えそんなことを言い出した。

 「京、あんたうなぎゼリーなんか食べたの!?」

 皐が驚いた様に言う。

 「うん…3つ…」

 「はぁ!?3つとか正気?あんな不味いもの」

 うなぎゼリー×3という恐ろしい数字に大隅さんが驚愕の声を上げる。

 「だって、美味しかったんだもん…」

 「あ…あれ美味しいんですか…?」

 木俣さんが若干引いているような気がする......

 「けっこう美味しいですよ、あれ」

 私が飯沼さんに同調すると、車内の飯沼さんを除く全員が驚愕の顔でこちらを見てくる。あぁ!木俣さんは前向いてください前!

 「だよね!美味しいよねうなぎゼr…へぐっ!?」 

 案の定、木俣さんが余所見をして操縦してたため、木に衝突してしまった。そのはずみで飯沼さんが頭をぶつける。うわぁ痛そう...

 「昌子ぉ!ちゃんと前見てよぉ!」

 「す…すみません」

 皐もぶつけたらしく、頭を抱えている。

 

 『おぉ〜い、なんかあったの〜?』

 先頭車がいきなり木に衝突したせいか、驚いたような感じで会長が無線を寄越す。

 「すみません、問題ありません!」

 『そう?ならいいけど〜』

 まさかうなぎゼリーが原因とは言えまい。でもホントに美味しいんだけどなぁ......

 そうこうしているうちに、山道を抜けて演習場に到着した。

 

 

 

 「ふぅ...」

 久しぶりに戦車に乗ったせいか、座っているだけでも疲れる。

 「では皆さん、これから砲撃訓練を開始します。全車五式を基準に一列横隊に。それと車長、砲手、装填手は準備してください」 

 そう指示すると、各車両がゆっくり五式中戦車の横におよそ5m感覚で並ぶ。正面1000m程には小さな盛り土、弓道でいう安土のような小さい丘がある。そこに木工製の戦車型デコイが置いてあり、真ん中辺りに十字マークが赤いペンキで描かれている。

 『いきなり1,000mは難度高いんじゃないの〜?峰山くーん』

 会長が苦情じみたことを言ってくる。

 「何事も経験です」

 『あははー、言うねぇ。りょうか〜い』

 

 「では、全車撃ち方用意!」

 皐が砲弾を自動装填装置の装填用トレイに乗せ、装置を作動させると主砲に75mm砲弾が装填される。

 各車両の砲身が少し動き、照準がデコイに合わさるとその動きを止める。

 「撃てっ!」

 直後に、バラバラではあるが砲撃音が演習場に響く。砲身が後退し、砲口から砲弾を撃ち出した。

 五式中戦車が撃った砲弾は、戦車型デコイに吸い込まれるように飛んでいきデコイに大穴を開ける。

 「凄い、綺麗に当たりますね…」

 「だっから腕は良いほうだって言ったでしょ?」

 砲手である大隅さんが胸を張って自慢気に言う。

 「はい、えぇと他のは…クロムウェルの砲手さんも真ん中に当たってますね」

 クロムウェル前方のデコイにも、真ん中に大穴が空いていた。

 「おー、ホントだ、さっすが射撃部の大塚先輩だねー」

 「そういや、大塚先輩は昔、趣味で戦車道やってたらしいよ?それに操縦士は自動車部のひとだってさ」

 意外と情報通な皐が補足説明をしてくれる。なにその強そうな組み合わせ。

 「な…なるほど…」

 「それに比べると、ビショップの方はあまり芳しく無いみたいだな」

 他の車輌の砲弾は、デコイの端っこか盛り土に当たるか少し手前に落ちるかしていた。たが、ビショップの撃った砲弾は、飯沼さんが指摘したようにデコイのかなり手前に落ちていた。

 『隊長…我々の自走砲は、この中で最大の火力と射程を持つはずなのだが…全然飛ばないぞ…何故だ......』

 氷上さんが絶望したような感じで質問してきた。

 「えぇと…ビショップの主砲は野戦砲ですので、もう少し仰角を付けて撃ってみてください。そうすれば当たるはずです。」

 横目で少し見た程度だが、砲撃時にビショップの砲は少し附角がついていた気がする。

 『わ…わかった、やってみる』

 言われたとおりにビショップが仰角を付ける。

 「よし、ビショップ、撃ってください」

 ビショップの砲が火を吹いた。そして数秒後にデコイが木端微塵になった。

 『隊長!当たった!当たったぞ!!』

 氷上さんと、他のメンバーの喜ぶ声が聴こえる。

 なんか可愛い......

 「はい、綺麗に当たりましたね!」

 『よし、この調子でどんどん当てるぞ!』

 その日私達は、授業が終わるまで砲撃訓練をして過ごした。

 

 

 

 

 訓練が終わる頃には、すっかり周りは夕日で赤く染まっていた。

 「ふぁあ…つっかれたぁああああああ!!」

 放課後の下足箱にて、隣にいた皐が思いっきり伸びをした。

 「だらしないぞ、皐」

 後ろから声がする、振り返るとそこには見覚えのある三人がいた。

 「あ、飯沼さん…に木俣さんと大隅さん」

 三人の名前を呼ぶと、何故か全員微妙な顔をした。

 「あ…あのさ、その…苗字で呼ぶのやめてくれないかな…?」

 いきなり大隅さんにそんな事を言われ、私は戸惑った。

 「え…えと…それってどういう…?」

 なにか嫌われるようなことしたっけ……何故か無性に泣きたくなってきた。

 「私たちのこと、今度から名前で呼んでくださりません?」

 「え…名前…で…ですか?」

 「うん、名前!僕のことは栄って呼んでよ!」

 大隅さんが何故か胸を張って言った。ていうか僕っ子だったんですね。

 「私は昌子と呼んでください」

 木俣さんが穏やかな笑みを浮かべる。

 「私は京って呼んでくれ、志津」 

 飯沼さんに唐突に名前を呼ばれ、何故か頬が紅潮する。

 隣では皐が私の顔をニヤニヤしながら見ていた。ていうか結構イケメンだなぁ…飯沼さん…。

 「わ、わかりました…えっと…栄さん…昌子さん……京さん」

 何故か京さんの名前を呼ぶ時は顔が紅くなる。やはり皐はそれをニヤニヤしながら見てくる。

 「じゃあ名前で呼んでくれたし、今日から友達ってことで!」

 栄さんが手を取ってブンブンと振ってきた。

 「と…友達…ですか?」

 「うん、友達。よろしくね!志津ちゃん!」

 そう言って、栄さんは人懐っこい笑みを浮かべる。

 「はい、よろしくお願いしますね」

 私も自然と笑顔になった。何時以来だろう、こうして新しい友達が出来たのは。なんだかとても嬉しい。

 「あ、それと志津」

 「今日から私達に敬語禁止だからな」

 「え.....えぇ!?」

 たしかに私は家族と幼馴染みである皐にしかため口で話さない。

 「き、急に敬語を止めろと言われても言われても......昌子さんだって敬語じゃないですか」

 今日初めてあってから、ずっと会話を聞いたりしていたが、昌子さんはずっと敬語だった。

 「いや、昌子ちゃん家でもずっと敬語だよ?」

 「うん、昌子ちゃんって地味にお嬢様なんだよね」

 え...そうだったんですか。ていうかお嬢様だから敬語というわけがあるはずがない......!

 「ま、そういうことだ。友達なんだし、な?」

 京さんが私の肩に手を置き、笑顔でそう言ってくる。なんだろう、今日の私には本当に拒否権がないきがする。

 「わ、わかりまし.....わかったよ....」

 私は観念して、これからはため口で話すことにした。

 皆何故か嬉しそうな顔をしていた。

 「よーし、じゃ皆で一緒に帰ろ!」

 皐がそう提案する。勿論私を含め、皆一緒に帰ることに賛成した。

 

 

 五人で世間話やテレビ、戦車の話をしながら歩いていると、あっという間に実家兼ね居酒屋である「えげれす」の前に来ていた。

 「じゃあ、私ここだから」

 私は立ち止まって、四人に「また明日ね」と言うと、

 「へぇ、志津さんの家って此処だったんですね」

 と昌子さんが、この居酒屋をずっと前から知っていたような言い方をした。京さんと栄さんも同じようなことを言う。

 「私の家、直ぐ近くなんですよ」

 「私も彼処のアパートにすんでる、栄もな」

 そう言って、京さんが向かいのアパートを指差す。

 「へぇ、意外と皆近くに住んでたんだ」

 「こういうのって、意外と気が付かないものだよねー」

 栄さんが「よくあることだよー」と言った。

 「んじゃあ、明日の朝も一緒に登校しよっか?」

 京さんの提案に、

 「そーしよそーしよー!」

 と皐が一番に食い付く。

 「では、明日の朝に志津さんの家の前に集合で」

 そう約束して皆と別れる。

 友達とこんな約束をしたのは久しぶりだし、明日が楽しみだ。 




今回も戦車成分少なめです(´・ω・`)
次回からはガンガン試合をします!(予定)
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