我が筋肉に喝采を!   作:壟断

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第01話の少し前です。


第02話 異世界、筋肉、侵蝕

 

 

 全身から沸き立つ蒸気が徐々に収束していくとともにラグナッチの思考にも冷静さが戻ってくる。

 狂騒状態から立ち直ったラグナッチは改めて周囲を確認する。

 この場所は、ギルド“筋肉美神(マッスル・ビューティーズ)”のホーム“絶炎城塞ムスペルエッダ”。

 天上に向かって伸びる城塞の頂上部、ギルド長が座する玉座の間。

 ギルドホームとなってもダンジョン扱いは変わらず、たびたび他のギルドやプレイヤーに責められていた。

 普通ならそんなダンジョンをギルドにしようと思わないだろう。

 しかし、“筋肉美神(マッスルビューティーズ)”は筋肉のことしか考えていなかった。

 イベントボス、“炎の巨人スルト”を筆頭にムスペルエッダのモンスターは、そのほとんどが筋骨隆々の生物で構成されていた。

 それを気に入った当時の“筋肉美神(マッスルビューティーズ)”のギルドマスターが発見されたばかりのワールドアイテムを用いてギルドホームへ変えた。

 当初は、メンバーたちに独断でワールドアイテムを使用したことを責められた当時のギルドマスターの答えは一言だけ。

 

『 これは、あちしの筋肉に対する愛の証なのよん 』

 

 自慢の筋肉をさらけ出してポージングしながらの一言に当時のギルドメンバーは、自分たちの長の決定を万雷の喝采で承認した。

 キャラクター性別・女?の初代ギルドマスターがどれだけぶっとんでいたのかを示すエピソードであるとともに“筋肉美神(マッスル・ビューティーズ)”は始めからぶっとんだ者たちだったという証でもあった。

 そんなふざけた初代ギルドマスターの選択は、予期せぬ得点を彼らに与えていた。

 まずダンジョンをギルドホームにしたことで最初から広大なギルドホームを0ポイントで手にしたこと。

 さらにダンジョンからPOPするモンスターはギルド内で登録された者たちに指揮権が与えられたこと。

 全ギルドメンバーが保有する炎属性最強化。炎属性アイテム精製コスト激減。炎属性NPC作成コスト激減。

 そして、最大の恩恵は、イベントボスのシモベ化とギルドマスターが玉座の間に座す限りにおいてボス属性が付与されるということ。

 初期イベントダンジョンということもあり、攻略適性レベルは70~80とそこまで高くない。

 しかし、それはそのレベル帯でパーティーを組んだ場合の適性であることを考えればボス自身の単独レベルは90を越える。

 ダンジョンの外に出すことはできなくてもギルドポイントの消費なしにレベル90台のシモベを得るメリットは大きい。

 ギルドマスターのボス化も凄まじい効果があり、玉座の間で侵入者を迎え撃つ際、ステータスが限界値を超えて大幅に向上する。

 ゆえにボスとして戦う限り、“筋肉美神(マッスル・ビューティーズ)”のギルドマスターは単独でワールドチャンピオンを凌駕する。

 これに単独で勝利できるのは、ワールドエネミー化した“ワールドチャンピオン・ムスペルヘイム”くらいだと想定されていた。

 もちろん、ギルドマスターが代替わりする度に攻略方法が変わってくるため並のワールドエネミーより攻略が難しいことで不評を買っていた。

 さらにいえば、脳筋集団の癖にワールドアイテムでダンジョンを奪われないよう常に運営依頼系ワールドアイテムをストックしているという周到さ。

 ギルド攻略をするにしても“レベルを上げて物理で殴る”という戦法以外通用しないような対策が狂気の域で施されており、ギルド拠点の攻略はユグドラシル内でも最上級の難易度を誇っていた。

 もっとも“レベルを上げ、スキルを上げ、ジョブを上げ、クラスを上げ、物理で殴ることに特化した”化物集団に挑む者はしだいにいなくなっていた。

 

 そんな筋力バカの頂点となったラグナッチは、自身の暴走で崩壊した玉座の間と半死半生の状態で転がるNPCたちを見る。

 

「……何がどうなったてんだ」

 

 GMコールは行えず、ギルドメンバーや他の知人に伝言(メッセージ)を飛ばしても誰も返事がない。

 ユグドラシルの終了が延長されたというのも考えられない。

 公式でサービス終了が告げられてから複数人が“永劫の蛇の腕輪(ウロボロス)運命の聖石(リア・ファル)などの運営依頼系ワールドアイテムなどを使用してサービス継続やサービス終了期間の延長を願ったがそのすべてが却下されていた。

 ゆえに何らかの理由でユグドラシルが継続しているということはない。

 そもそもシステム関係のコンソールやウインドウを開こうとしても開けず、自分の感覚の延長として周囲の情報がラグナッチには入ってきていた。

 

「ゲームの現実化? いや、それも……明らかに違うな」

 

 崩壊した玉座に座して思考するラグナッチの視線の先には、ユグドラシルのムスペルヘイムの光景はなかった。

 

 昇り始めた太陽が朝の澄んだ青空を染め上げ、鬱蒼とした木々が生い茂る山々に透き通った蒼い湖、ムスペルエッダが今現在存在する山の麓にある小さな村落に遠目に見える都市のような街。

 そこにムスペルヘイムの面影はなく、まして現実世界に存在するはずのない景色が広がっている。

 

「異世界、転移? ゲームのアバターのままで?」

 

 どこの古典小説かと思いながらも自らの身体となった“ラグナッチ”の腕を掲げて拳を握る。

 現実として絶対に得ることができなかった頑強にして健全な超越者の肉体。

 遥か彼方を見渡す眼光に堅固なホームの床や壁を破壊する膂力は現実の“ラグナッチ”が求めてやまないモノだった。

 

「偉大なる我が王ラグナッチ様、御身の怒りも仕方なきこと。消滅(ヴァニシング)の無礼は、私の監督不行き届きゆえに処罰は私と消滅(ヴァニシング)だけにして頂ければ幸い。どうか他の者には何卒、御慈悲を!」

 

 瀕死の状態から徐々に回復し始めてきた死滅の右腕(デッド・オブ・ライト)が、主に忠を誓う騎士のように跪きラグナッチに願う。

 

「いや……」

 

 体長5メートルを超える死滅の右腕(デッド・オブ・ライト)が血みどろで謝罪する姿に冷静な目でほかの四天獣(フォー・ビースト)を見る。

 銀色の大狼である終焉の左腕(エンド・オブ・レフト)も徐々に回復してきているようだが、地面に“伏せ”状態をして沈黙している。

 四天獣(フォー・ビースト)最大の身体を持つ破壊の右足(ブレイク・オブ・ライト)も巨大な身体を窮屈そうに折り畳み、血まみれで正座?している。

 そして、混乱の元凶たる消滅の左足(ヴァニシング・オブ・レフト)はというと。

 

「んんぁ❤ だめよ、デッドちゃん! これはあちしのTSU・MI! さあ、我が偉大なる王さまん❤ このあちしにBA――」

 

 一人だけ完全回復している消滅の左足(ヴァニシング・オブ・レフト)は、無駄に黒光りしている引き締まったガチムチ外骨格でポージングしたところに。

 

 <衝撃剛拳(ショック・バスター)

 

 ラグナッチによる無言の拳が飛び。

 

「あはん❤」

 

 恍惚とした嬌声を発した消滅の左足(ヴァニシング・オブ・レフト)は、その身体の八割が消し飛び二本の足首だけを残していた。

 

「……俺は怒ってないさ」

 

 二本の足首だけになった同僚を横目に冷や汗を流す最強の神獣部隊 四天獣(フォー・ビースト)

 

「んもう❤ 相変わらずラグナ様の拳は最高ねん」

 

 足首だけの状態からものの数秒で完全回復する消滅の左足(ヴァニシング・オブ・レフト)の姿にラグナッチは辟易する。

 

「ヴァニシングは、ヴァニシングだ。恨むならテラマッソーさんの方にしておくさ」

 

  四天獣(フォー・ビースト)を創造したのは、筋肉美神(マッスルビューティーズ)を創設した最初の5人。

 消滅の左足(ヴァニシング・オブ・レフト)を完全無欠のドM変態蜘蛛にしたのは、初代ギルドマスターであるハイエルフのテラマッソー。

 4体の血肉(アバター)をラグナッチが与え、魂魄(キャラクター)をテラマッソー、裸王、ベリードロップ、金ボッ筋の4人が与えた。

 ゆえにそれぞれのキャラクターの性格は、最古参の4人の趣味を反映している。

 

「他の人は筋肉以外の趣味思考があって良かったとは思うがな」

 

 死滅の右腕(デッド・オブ・ライト)を設定した裸王は、古典時代劇愛好家。

 終焉の左腕(エンド・オブ・レフト)を設定したベリードロップは、中二病罹患者。

 破壊の右足(ブレイク・オブ・ライト)を設定した金ボッ筋は、角フェチ。

 わりと筋肉以外の趣味も変態性があったりする。

 

 自らの血肉を与え、その魂を他の四人が与えたことで誕生した彼らのことを我が子のように認識するラグナッチだが、ヴァニシングの性癖だけは受け入れられなかった。

 

「……はぁ。とりあえず、ここはユグドラシルじゃないってのだけは確かだな」

 

 外界の景色だけでなく、 四天獣(フォー・ビースト)の言動やその性質を読み取る視界からラグナッチはそう結論付けた。

 そもユグドラシルであれば治癒術と自己再生に特化したヴァニシングであろうとラグナッチの攻撃から自力で再生することなど不可能なはずだった。

 それでも当然のように再生するヴァニシングの姿からラグナッチは、種族や職業スキルではなく、キャラクター設定に関係していると予測した。

 

「(そう考えれば“アレ”のことも確認しないといけないか……)」

 

 自作のアイテムやNPCなどを作成できるゲームは設定厨の大好物であり、まったく意味のない設定テキストだけでデータ量の大半を消費する者もいる。

 自分自身のロールのために死にデータを作成するところまで行く者は少ないが、その分をNPCやアイテムに込める。

 その産物がヴァニシングであり、ラグナッチが完全にすべてを形作った趣味嗜好のごった煮である。

 

「……ん? どうした、エンド?」

 

 ラグナッチが自身の生み出した黒歴史とでも呼ぶべきアイテムを思い出していると終焉の左腕(エンド・オブ・レフト)が鼻を鳴らしながら外界を警戒しているのに気づく。

 

「コチラニ近ヅイテクル敵性獣人種ガイマス」

 

「数は?」

 

 物理ステータスMAXが基本となっている筋肉美神(マッスル・ビュ-ティーズ)のNPCの中でエンドの知覚能力は、ギルド内最高値。

 ゲーム内では設定のみだった嗅覚による索敵能力と野生の勘も加わったエンドの言葉に疑う余地はないと判断したラグナッチは崩れた玉座から立ち上がり、脱ぎ捨てた鎧と武器を装備する。

 

「コチラニ17体、コノ山ノ麓ニアル小サナ集落ニ53体ガ向カッテイルヨウデス」

 

「なんと! 我らが居城を攻めるのにたったの17人とは、なんたる侮辱! ラグナッチ様! 御命令頂ければ、私が無礼な賊共をまとめて――」

 

「ちょ、待て待て! 先走るな!」

 

「あらん、デッドちゃんに先を越される前にあちしも美味しそうな筋肉の雄を「お前は、少し黙ってろ!」――あッ、はぁぁん❤」

 

「てき、たおす! いっぱい、おらがふみつぶす!」

 

「だから、待てと言っているだろうが! エンドも飛び出そうとするな!」

 

「ワ、私ハ別ニ……」

 

 我先に飛び出そうとする脳筋集団を制止しながらラグナッチは、スキルを発動する。

 

 <鷹の眼(イーグル・アイ)> <伏兵察知> <戦況把握> <種族把握>

 

 千里眼のような効果をもたらす<鷹の眼>でムスペルエッダが存在する山に向かっている獣人たちを確認。

 視界内の隠れた敵を見つける<伏兵察知>でエンドが確認した数に間違いがないことを確認。

 視界内で戦闘行動を行っている勢力を把握し、大まかな戦況を分析する<戦況把握>で獣人種が人間種を襲っていることを確認し、人間種が圧倒的に不利であることも確認。

 視界内にいるキャラクターの本当の種族を判別する<種族把握>で獣人種は複数の種が混ざっていることを確認し、人間種はヒューマンのみであることも確認。

 

「この世界の獣人種は喰人をするのかよ」

 

 麓の村を襲撃している獣人が53体、そこに住まう村人を喰い殺し始めていた。

 視界に入る状況では明らかに人間種の方が弱い。

 数名は抵抗しているようだったが、それも容易く制圧されているようだった。

 このままでは半時もせずに村人たちは喰い殺されてしまうだろう。

 

「……助けに行くべき、か?」

 

 人間であるラグナッチは、村人たちが喰い殺されていくことに動揺を感じていない。

 それどころか冷静に村人を助けた場合と見捨てた場合とでどちらが利になるかを考え始めている。

 

「カカッ! 精神は肉体の影響を受けるというが、これがそうだってのか?」

 

 こういう時、相談することができる仲間が欲しいと思い、それが皆無であると諦める。

 ムスペルヘイムの魔王を演じていたラグナッチはもとより、筋肉美神(マッスル・ビューティーズ)に頭脳派という設定のキャラクターは存在しなかった。

 ゆえに利害関係の計算をしようとしても今すぐに襲撃したいという衝動がラグナッチにも湧き上がっていた。

 

「こんなことなら頭脳(筋肉)派(笑)なんて馬鹿設定にするんじゃなかったぜ」

 

「ラグナッチ様?」

 

 ひとりごとをぶつぶつと呟く王に対し、デッドが声をかけるが笑いを押し殺すように俯くラグナッチは次第に肩を震わせていく。

 

「どうなっちまったってんだ、俺は? もともと大したことのない奴だったが、こうも容易く自分を見失うってのか?」

 

 本当ならば考えることなく、すぐさま助けに行きたいと思っているはずだった。

 たとえ、獣人たちが人間を食べなければ生きられない種族だったとしてもラグナッチは、自分が人間であるからという理由だけで獣人たちを殴殺しているはずだった。

 それなのに今のラグナッチは、最高峰の戦士として獣人種も人間種も脆弱な価値のない存在だと思ってしまっている。

 

「カカカッ! 俺は、力もないくせに正義感を振りかざす馬鹿なモヤシ野郎じゃなかったのか? 俺は、心まで無慈悲な魔王になっちまったのか?」

 

 自分が変化したことを理解しながらそれを忌避できていない。

 ラグナッチは人間である以上、獣人種の行いを見過ごせないと思っている。

 ラグナッチは魔王である以上、無慈悲に等しく獣人種も人間種も蹂躙しなくてはならないと感じている。

 

「おいおい、どっちなんだよ? 俺は人間を助けたいのか? それとも人間も獣人も世界まとめて蹂躙し尽くしたいのか?」

 

 ユグドラシルからの転移に伴う混乱が落ち着いたと思ったら今度は自身の精神の均衡が崩れ始めていた。

 力のない一般人としてのラグナッチと最強の魔王としてのラグナッチの思考が互いの矛盾を指摘し合う。

 考えれば考えるほど自我の境界は揺らいでいく。

 

「俺は……我は……、我が覇道は世界を焼き尽く「ラグナ様、先に謝罪しておきますわん」――何だと?」

 

 自身の矛盾を整理し始めたラグナッチの思考に不愉快なノイズが割り込む。

 

「ヴァニシング、我が思考を邪魔す「歯ぁ喰いしばれやぁぁ、餓鬼ガァァア!」――ぐおあ、ってぇ、顔じゃなくて腹じゃねぇえか!」

 

 ラグナッチの無防備な腹部に防御無効化攻撃を打ち込んだのは、ドM蜘蛛のヴァニシングだった。

 

「ヴァニシング! 貴様、ラグナッチ様になんということを!」

 

 仲間の凶行に自身の名を冠する右の剛腕を構えるデッドに対し、ヴァニシングは飄々とした調子で応える。

 

「あらん❤ あちしが狙ったのはラグナ様のハートよ❤」

 

「そんな言い訳が通用するとで――」

 

「やめろ、デッド」

 

 ヴァニシングの爪に貫かれたとうのラグナッチは、痛む様子もなく今にもヴァニシングに殴りかかろうとしていたデッドを止める。

 

「ドMの癖にいきなり主人をぶち抜くとか、本当に正気じゃねえな?」

 

 フレンドリィファイアが解禁されていることは、ラグナッチも把握していたが、まさか自分の血肉を分け与えた部下に攻撃されるというのは想定外だった。

 

「うふん❤ あちしの爪はLOVEの証❤ 間違っても相手を傷つけたりしないわん❤」

 

「普通に貫通してんぞ、おい……」

 

 深々と突き刺さったヴァニシングの爪を半ばで圧し折り、残った爪を引き抜きながらラグナッチは自身の治癒力を高めて傷をふさぐ。

 ヴァニシングほどではないがラグナッチも上位自動回復スキルを保有しているため単純な物理攻撃は、特殊効果が付与されていてもほとんどのダメージを無力化する。

 

「――で、お前は何がしたいんだ? 俺に本気で殺されたいのか?」

 

 信用して……背後は任せたくないような部下にいきなり正面から刺した理由を問う。

 そんな主人からの問いにヴァニシングは静かな微笑を形作り、ガチムキ外骨格を力の限り広げてポージング。

 

「“筋肉(キミ)は悩まない、筋肉(キミ)は迷わない、筋肉(キミ)筋肉(キミ)らしく在れ! それが筋肉美神(われら)筋肉(アガペー)!」

 

 黒光りするド変態蜘蛛がいい笑顔でポージングする様にラグナッチだけでなく、デッドやエンドもある人物の言葉を思い出す。

 

「最後は“筋肉美神(われら)筋肉(ジャスティス)”……だ、間違えるな。このドMが」

 

「むふん❤ 忘れていなくて良かったわん❤」

 

 およそ筋力ビルドにそぐわないハイエルフという種族でありながらユグドラシル中の筋肉馬鹿を統率した初代ギルドマスター、テラマッソー。

 かの漢は、変態は変態でも常識を超越した変態的馬鹿だった。

 サービス開始初期の自由度が高過ぎるユグドラシルのシステム内で横行していた既存MMOから続くモラルの低下を最悪な方法で吹き飛ばした英雄。

 テラマッソーという漢が行動で示したことはすべてのゲームプレイヤーに平等に与えられている当然のモノだった。

 自分の楽しみを全力全開で追求するというスタンス。

 テラマッソーという変態は誰の目に見ても変態だったが、筋肉美神(マッスル・ビューティーズ)に集った筋肉(へんたい)たちは彼こそ真の英雄だと信じていた。

 

「カカッ! 確かにそうだよ、テラマッソーさん! アンタの言う通りだ!」

 

 悩むなんてことは、筋肉美神(マッスル・ビューティーズ)筋肉(メンバー)に必要なかった。

 筋肉美神(マッスル・ビューティーズ)は、どんな時でも誰の目があろうとも自分の趣味嗜好を追求する集団なのだ。

 

「デッドとブレイクは、山に登ってきている獣人共を蹴散らせ!」

 

「承知!」

 

「おら、がんばる!」

 

 王の迷いが消えた声に死滅の右腕(デッド・オブ・レフト)破壊の右足(ブレイク・オブ・レフト)は逡巡の欠片も見せずに玉座の間から遥か眼下の森へ飛び出す。

 

「エンドとヴァニシングは、俺と麓の村の獣人を狩りにいくぞ」

 

「了解ダ、我ガ王ヨ」

 

「うふん❤ 美味しい筋肉(ツバメ)が待ってるわん❤」

 

 エンドとヴァニシングもまたラグナッチの命令に歓喜の色を見せる。

 

「とりあえず、あの村の人間を全員死んでいても助けることが異世界初のクエストだからな!」

 

「死ンダ者ハ、私デハ助ケラレナイガ善処イマス」

 

「蘇生ならあちしに、オ☆マ☆カ☆セ、よ❤ 可愛い筋肉(ベイビィ)ちゃんたちはあちしが蘇生(あい)してあげちゃうわん❤」

 

 ユグドラシル史上最変態のギルドが異世界にて動き出す。

 

 

 

 その魔の手は、幼い異世界に急速な成長を齎すことになる。

 

 果たしてそれが健全な成長であるかどうかは、後の世――を別世界の視点から観測した者たちが判断することだろう。




自分でも理解不能な筋肉の暴走が…(-_-;)
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