機動六課とは時空管理局内の一部署である、古代遺物管理部において八神はやてが新設したロストロギア関連の危険な任務を扱う第六の部隊である。
隊舎はミッドチルダ中央区画湾岸地区に設けられ、日々隊員たちがレリックに関する事件の対応に追われている。
この物語は、機動六課に配属された管理局の新人、スバル・ナカジマの日常の一ページを切り取ったものである。
「スバル、ティアナ。 今日の午後はデスクワークやんな。 そこでちょっとお願いがあるんやけど」
昼食をとり終わったスバルとティアナが食堂で談笑していると、はやてからそんな風に声を掛けられた。
「お願い、ですか?」
ティアナとスバルは機動六課内のスターズ分隊に所属している。
直属の上司は高町なのは隊長、あるいはヴィータ副隊長となる。
このため、六課全体を取り仕切る部隊長からの直接の業務指示は珍しく、ティアナは不思議そうな顔をしてそう返答した。
「そう、お願い。 というかお使いやねんけど。 ちょっと本局まで届け物をたのまれてくれんかな? 午後の仕事の件は私の方から高町隊長とヴィータには言うとくから」
「届け物ですか? 私は大丈夫なんですけど……。 ティアは」
スバルは肯定の返事をしたが、困ったような顔をしてティアナの方を見た。
「ティアナなんか用事あった?」
「はい。 午後からなのはさんに特訓してもらえないかと頼んでいて……」
「そうなん? せっかく久々に訓練が休みになったのに熱心やね」
そう、今日は久しぶりに午後は訓練がない日だった。
機動六課に配属になってから毎日、午前・午後とみっちり訓練を行っている。
隊長達の戦力に対して、スバルたち新人4人の戦力はまだまだ微力だ。
以前新人4人でガジェットに対応したことはあるが、そのときにも隊長たちはすぐ傍にいた。
バックに隊長達がいるという安心感が、あるのとないのとでは精神的負担の差が大きい。
今後ガジェットの出現に対して新人だけで対応する必要が出てくる可能性は高く、隊長達の助けが期待できない状況で戦う必要も出てくる。
そのときに冷静に対応できるようになるため、新人4人には早急な戦力向上が求められている。
そのための訓練が続く中、今日の午後は久しぶりのデスクワークが待っていたのだが、その予定も変更になりそうだ。
「早く、足手まといにはならないようにしないといけませんから」
「そうか、まぁ無理しすぎて前みたいにならんようにね」
「え? あ、はい。 今回はなのはさんに相談して一緒にメニューも考えてもらっていますので……」
部隊長から、以前なのはに戒められたことを指摘され、今回はなのはにも相談済みであることをティアナは告げた。
「なら安心やね。 ほんならティアナは高町隊長との特訓優先で、お使いはスバルだけで行ってもらうとして、肝心の内容なんやけど」
「は、はい」
突然話が自分の方へ向きスバルは焦って返事をする。
「この書類を本局のユーノ君に届けてきて欲しいんよ。 お使い終わったら今日はそのまま業務終了でええから」
「お使いだけなのに業務終了でいいんですか?」
「うん、ええよ。 スバルとティアナは訓練校も地上本部に属するところやったし、前の所属も地上本部やんな。 お使いついでにあんまり行った事ない本局を適当に見学でもしてきたらええんちゃうかなと思ったんやけど。 ティアナはちょっと残念やったな」
「すみません」
「謝ることあらへんよ。 こっちが勝手に画策してたんやから。 じゃあスバルこれが渡す書類な」
そういいながら厚めの書類封筒をはやてはスバルに渡した。
「書類届けるんは本局見学の後でも前でもかまへんよ。 そんなに急ぎってわけでもないから。 あ、それから一応機密書類やから、誰かに頼むんじゃなくて直接ユーノ君に手渡すようにしてな」
「はい、わかりました」
紙の資料では記録媒体に記された資料のように、ロックを掛けることができない。
はやては注意事項としてユーノに直接手渡すようにと命令を付け加えた。
「本局への行き方はわかるか?」
「はい、地上本部からの転送ポートですよね」
「うんあっとるよ……っといかんな。 地上本部方面のレールウェイがもう出てまう」
「えっ!? あっホントだ!! では、スバル・ナカジマ。 この書類を本局のユーノさんに届けて参ります」
スバルはそういって形式的に敬礼すると、午後一のレールウェイに乗り遅れないようにするためダッシュで食堂を後にした。
「あ、ちょっとスバル!!」
引きとめようとしたティアナ声は、スバルには届かなかった……。