仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~ 作:龍騎鯖威武
「うおおぉ!」
ドガッ!
インペラーは龍騎に強力なキックをお見舞いする。
「ぐあっ!」
とっさに両腕で防いだが、その威力は腕にしっかりと残った。
「竜也!」
ナイトは龍騎を助けるべく、インペラーを止めようとする。
しかし
「えあぁ!」
ズガァッ!
「ぐあぁ!」
目の前に立ちふさがったタイガがデストバイザーを振り下ろし、ナイトの胸を斬りつけた。
ナイトの鎧から火花が散る。まだ動けるものの、一発の攻撃でナイトは充分すぎるほどのダメージを受けた。
「ミツル君の戦いは邪魔させないよ、相沢祐一君。君の相手は僕だよ?」
「おれの名前を何で知ってる・・・!?」
ナイトは自分の名前を彼らに名乗った記憶はない。
その様子に、タイガは応える。
「僕はなゆちゃんの友達だよ。昔のね」
「名雪・・・?」
「なゆちゃんは、君のことをとっても楽しそうに話してた。うらやましいよ・・・」
突然、うつむいて悲しそうに言うタイガ。だがすぐに顔をあげ、狂気染みた声で
「だからね、もう誰にも嫌われないために英雄になるんだぁ!」
デストバイザーを振り回し、ナイトに攻撃を仕掛ける。
一方、龍騎はインペラーの攻撃に翻弄されながらも、戦うことを拒絶している。
彼にとって、友との争いは絶対に避けたい戦いである。しかし、それをインペラーは良しとしない。
「まって、おれはミツルと戦いたくない!おれがミツルに一体、何をしたんだよ!?」
「やはりおまえも忘れたみたいだな。おれを見捨てたことを!」
インペラーの言葉に戸惑う龍騎。
「おまえは、孤児院でおれを友といっておきながら、ある日突然消えた!そのことで、おれは周りから疫病神扱いされたんだよ!」
「そんな・・・」
龍騎こと竜也が消えた理由は、モンスターに襲われたからだ。そのとき城戸真司と出会い、彼に憧れ彼の家に転がり込み、孤児院を後にした。
その行動は、大切なかけがえのない友達を知らずに傷つけていたのだ。
「だから、おれはおまえに復讐する!この力はそのために在るんだぁ!」
インペラーが叫び、龍騎に鋭い蹴りを決めるその直前に
「まって!」
あゆが止めに入った。
彼女は窓の中から、外の様子を見ていた。そしてこの事態を目の当たりにし、彼らの戦いを止めるべく、龍騎を庇うように両手を広げて立ち塞がる。
インペラーは一般人を襲うつもりは無いらしく、間一髪のところで蹴りを中断した。爪先はあゆの頬にふれるか、ふれないか程の距離だった。しかしあゆは勇気を振り絞り、その場から微動だにしなかった。
「あゆ・・・」
「竜也くんは・・・キミを見捨ててない!だって、竜也くんはそんなこと絶対にしないもん!」
「だが事実として、おれは厄介者扱いを受けた。発端はそこにいる奴だ!」
「うぐぅ・・・それでも、ボクは竜也くんがそんなことしないって信じ・・・」
「あゆ、いいんだ」
突如として、龍騎はあゆの肩に手を置き、インペラーの前に出た。
「ミツルが言ってることは本当だ。見捨てるつもりは無かったけど、結果として見捨てた」
「え・・・」
「なに・・・?」
「だからおれを攻撃しても良いよ、ミツル。それで気が済むなんて思ってないけど、それがおれのせめてもの償いだ」
そういって龍騎は変身を解き、竜也の姿へと戻った。
「やめろ竜也、死ぬ気か!?」
「よそ見しないでよ!」
タイガの攻撃に翻弄されているナイトの忠告も聞かず、デッキを放り投げて両手を広げる竜也。
だがインペラーは攻撃しようとはしない。それどころか、龍騎と同様に変身をとき、ミツルへと戻る。
「同情など要らん!おれを・・・舐めるなぁ!」
ガッ!
「ぐっ!」
ミツルは竜也を力任せに蹴り飛ばし、ボロボロのコートを翻して踵を返した。
「いくぞ、サトル!」
「えっ・・・わかった。でああぁ!」
ナイトを突き飛ばし、変身を解いたサトルはミツルの後に続いて、街の中へと消えていった。
「竜也くん、祐一くん、大丈夫!?」
あゆは竜也たちに駆け寄る。ナイトも変身を解く。
竜也はあゆに起こされるが、その表情は痛々しいものだった。
「おれ・・・やっぱ真司さんみたいになれないよ・・・」
急に弱気な言葉を呟く竜也。
「真司さんみたいに、人を守りたくて仮面ライダーになったのに・・・友達を守れてなかった・・・」
「竜也くん・・・」
「何が真司さんの願いを継ぐだよ・・・」
祐一は竜也の背中をポンと叩く。
竜也が振り向くと、祐一はこう言った。
「しっかりしろ。おまえ、仮面ライダー龍騎だろ。今までおまえは、何一つ守れてなかったのか?」
祐一の言葉にうつむく竜也。たしかに守れたものもある。しかし、全てを守れているわけではない。
「全てを守ることは不可能だが、だからこそ精一杯、守れるものを守るのだ」
以前、城戸真司から教えられた言葉。しかし、そう思っていても、今までの戦いの中で守れなかったものの事を想い返すと・・・
「少なくとも、おれ達はおまえに守られた経験がある。それが今生きるという形で繋がってきている。おまえのやってきたことは確実に真司さんの願いを継いでいるはずだ」
祐一はそのことを知らない。だが、竜也の行動は全てが無駄ではない。もちろん、上手くいかなかったことがあったとしても、それにさえ、きっと意味があると祐一は確信している。
「・・・ありがと、祐一」
ものみの丘
そこにある小さな小屋。その辺にあるもので作っており、強度はおそらく弱いだろう。
そのなかでは、ミツルとサトルが座っている。
「くそ・・・」
「ミツル君、何であのとき、やめたの?」
「無抵抗の竜也をいたぶっても意味が無い。もしいたぶっても結局、それはあいつの思い通りになっていることに変わりない。どうせ復讐するなら、あいつが最も苦しむ方法を・・・」
ミツルはインペラーのデッキを握り締め、再度復讐を誓う。
その後、竜也とあゆと別れて自宅に帰る祐一。正確には居候なので自宅ではないのだが、今は彼にとっての家だ。
「ただいま・・・」
「お帰りなさい、祐一さん」
「お帰り、祐一」
この家の家主、秋子とその娘の名雪が迎える。日曜日ということもあってか、秋子は一足早く家に帰ってきたようだ。名雪はいつになく落ち込んでいる。
「どうした名雪、思いつめた顔して。いつもはボケっとしてるのに」
「・・・うん」
様子がおかしい。いつもは文句を言ってくるのだが、今日はうわの空といった感じだ。
理由はなんとなく分かる。おそらく、虎水サトルのことだろう。
しかし、祐一はあえてそのことは聞かなかった。彼にはそれくらいしか優しくする方法が分からないのだ。
「さ、玄関で立ち話もなんですから、早くあがりましょう。ごはん出来てますよ」
秋子の言葉で祐一は家に上がり、自室で着替え、昼食を食べる。
昼食後、祐一は部屋に戻り、後片付けをしている秋子と名雪だけが残った。
「お母さん、サトちゃん覚えてる?」
「サトちゃんって、虎水サトル君のこと?」
秋子もサトルのことは名雪と家でよく遊んでいた姿を見ていたので、よく覚えている。
「うん。今日の朝、7年ぶりにサトちゃんに会ったの」
「あらあら、よかったわね」
頬に手を当て、微笑む秋子だが、名雪は懐かしい友人にあったような表情ではなかった
「でもサトちゃん、わたしのこと嫌いになっちゃってた・・・わたし、どうすれば良かったのかな・・・?」
自然と顔を伏せ涙を流す名雪の肩を、ゆっくりと抱き寄せる秋子。
「大丈夫よ。サトル君はきっと、名雪のことが今も大好きなはずよ。だって、そうじゃないとあなたに会いに来たりしないわ」
「うぅ・・・ぐすっ・・・」
秋子がいなくなった編集社では、鎌田が須藤たちを集めていた。
そう、鎌田こそ仮面ライダーアビスの正体なのだ。
先程、インペラーにかなり痛めつけられたため、物静かな雰囲気ではあったものの、鎌田はかなり苛立っているようだ。
「どうなっているのですか?タイガとインペラーのことなど、報告に無かった筈ですが・・・」
「どうやら、あの方が装着者を見つけていたみたいですね。私達もこれが初耳です」
須藤たちも、タイガとインペラーのことは把握していなかったようだ。
芝浦が、鎌田に気になることを質問する。
「結局さ、タイガにインペラーって味方なの?敵なの?」
「敵でしょう。しかし龍騎側についているとも言えませんね」
「何故だ?オマエを攻撃してきたのは、龍騎を守ったんじゃないのか?」
高見沢の言葉に鎌田は、
「私に向かって「そいつはおれの獲物だ」と言っていました。おそらく龍騎のことでしょうから、どちらにもつかない第3勢力と考えるのが順当かと」
「全く、とんだ期待外れだったな」
「・・・」
高見沢の言葉に無言になりつつも、額に青筋が浮かぶ鎌田。
突然、座っていた席を立ち上がった須藤。
「・・・この状態では、一気にケリを付けることは不可能。わたしが一人ずつ、確実に潰します。まずは・・・ライアですね」
「どうしてライアなワケ?」
「彼の身辺を洗いました。彼が大切に想っている、同じ高校の女子生徒がいたので・・・彼女を人質にします。そうすれば・・・」
高見沢は鼻で笑い
「相変わらず、澄ました顔して卑怯な手を使いやがるな」
「忘れましたか?・・・わたしは卑怯もラッキョウも大好物なんですよ」
次の日。
潤は、香里と栞を迎えに行っていた。登校前には必ず迎えに行っているが、ときどき先を越される(栞はほとんど無い)。
それでもめげない潤は、かわいそうなのか、バカなのか・・・。
「かーおーりー!栞ちゃーん!」
朝から家の前で大声とは、近所迷惑である。
突っ込みどころ満載の潤。
しかし、香里たちの母親のなんと優しいことか、潤に親切に対応する。
「あら、北川君。香里達なら、さっき出たわよ?」
「あ、そうですか」
今日も置いていかれたらしい。しかも、栞も先に行ったようである。
がっくりと肩を落とす潤はとぼとぼと学校へと向かう。
学校。
教室に入ってきた潤は席に座り、頬杖をついて窓の外の景色を見る。
祐一と名雪はまだ来てないらしく、香里も見当たらないので、話し相手がいないのだ。
・・・香里が見当たらない?
先に来ているはずなのに、彼女の席にはカバンもない。
と、そこへ祐一と名雪も来た。
「ったく!いい加減、遅刻ギリギリに起きるのはやめろ!」
「うん、反省するよ・・・」
昨日よりは元気になっているが、まだ少し落ち込み気味の名雪と、遅刻ギリギリになっていることに焦っていたため、原因の名雪に怒鳴る祐一。
潤は2人に香里の行方を聞く。
「なあ、2人とも香里を見なかったか?」
「香里?見なかったが・・・」
不審に思う潤。
と、女子生徒の会話の中から、こんな会話が聞こえた。
「ねぇ、須藤さんってカッコいいね!」
「あ、あたしも思う!でも今日はいないみたい・・・残念だなぁ・・・」
祐一は気づかなかったようだが、潤ははっきりと聞き取った。
まさか・・・。
「相沢!今日、早退するわ!」
「お、おい!まだ授業始まってないぞ!」
祐一の言葉を無視して潤は廊下を走り去った。
続く・・・。
次回!
おまえだけは許せない!
貴方は話が早い・・・
わたし、北川君のこと信じてみるわ
だめだ潤!ファイナルベントだけはダメだ!
何とかして見せるさ
第15話「笑顔の向こう側に」
キャスト
龍崎竜也=仮面ライダー龍騎
月宮あゆ
相沢祐一仮面ライダーナイト
北川潤=仮面ライダーライア
水瀬名雪
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斉藤ミツル=仮面ライダーインペラー
生徒たち
美坂姉妹の母親
水瀬秋子
須藤マサキ=仮面ライダーシザース
芝浦シュン=仮面ライダーガイ
高見沢イツキ=仮面ライダーベルデ
鎌田マサト=仮面ライダーアビス