仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第17話 「牢獄の中の狂気」

「おい、なんだよあれ!?」「あ、あの時の…?」

生徒たちが見たものは、片膝をついている仮面ライダー龍騎と、舞が祐一の腕に剣を突き立てている姿。

舞は、はっとして祐一から離れる。同時に持っていた剣も祐一の腕から抜ける。

抜けた拍子に鋭い痛みが、祐一を襲う。

「くっ…」

「祐一!」

腕をかばう祐一に駆け寄る舞。

生徒たちは舞に対して嫌悪の表情を浮かべる。

言葉に出さなかったのは、そうしてしまえば、彼女に襲われると思い込んでいたためだろう。

 

ガッ!

「がはっ!」

突然、龍騎が後ろから衝撃を受けてよろめく。

魔物はまだ居るのだ。

彼らは仮面ライダーの力では対抗することが不可能。対抗するには舞の力が必要だ。

しかし、舞は全く動こうとしない。ショックが大きいのだろう。

(仕方ないか…)

彼女の状態からして、魔物と戦うことは不可能。それに今戦えば、さらなる誤解が舞に降りかかるだろう。

事情をあらかじめ祐一から聞かされていた龍騎は、集まり始めた生徒に叫びかける。

「透明な怪物です!今まで、窓ガラスが割れたりしたのは、やつらのせいなんです!舞さんは無実です!やつ等は、まだこの近くにいます。取り返しのつかなくなる前に、早く逃げてください!」

龍騎の言葉に生徒はどよめく。

「本当…?」「ハッタリじゃねぇの?」「でも、この前もあの人は助けてくれたよね…」

龍騎を信用するか否か。生徒たちは論議している。

「信じてください!少なくとも、おれたち仮面ライダーは、みなさんの味方です!」

「やっぱ、マジだろ…」「逃げよう…」

この言葉を信じた生徒たちの数人が、この場から避難を始めた。

それに乗じて、ほかの生徒たちも逃げ始める。

「何とかうまくいった…」

すぐに気持ちを切り替え、祐一と舞のもとに駆け寄る。

「いまなら、ほかの生徒たちはいない。辛いけど舞さん、この間に魔物を!」

「できない…わたしのせいで、佐祐理や祐一が…」

舞は剣を離す。

「いけ、舞!おまえにしか出来ないことだ!」

「祐一…」

「舞、今は辛いかもしれないし、戦うことに嫌悪するのもわかる。でも、今戦わないと、佐祐理さんみたいになる人が増えるんだ。おれ達には出来ないことだから頼む、魔物と戦ってくれ。佐祐理さんみたいになる人がこれ以上増えない為に!」

「おれたちも全力でサポートするから!」

祐一と龍騎の言葉で意思を取り戻した舞は、再び剣を握り、魔物がいるであろう方向を見る。そして、カードデッキを構える。

「変身っ!」

ファムに姿を変えて、剣を構える。その横に龍騎が並ぶ。

「竜也、魔物はすぐ近くにいる。合図を出すから捕まえて。その間にわたしが…」

「任せて!」

ファムの指示を待ち、龍騎は様子を伺う。

「来た!」

「だりゃあっ!」

龍騎は目の前の魔物にしがみつく。魔物に舞の剣以外の攻撃は通じないが、触れたりすることは出来る。

人間の数十倍の力でしがみつかれたら、さすがの魔物でも逃げ出すことは困難だ。

「はあああああぁっ!」

ズバアアァ!

その隙に、ファムは剣を振りかざし、思い切り振りぬく。

ファムは、魔物が完全に消滅したのを感じた。

「勝った…」

「しゃあっ!」

 

舞踏会の次の日

名雪は再びサトルを探していた。昨日のことを問い詰めるためだ。

彼は一人の人間を傷つけようとしたが、何の理由もなくサトルはそんなことをする人ではないことを名雪は確信している。

昨日と同じ場所にサトルは居た。やはり昨日のように、雪を手ですくって何やらぶつぶつ呟いている。

「サトちゃん…」

名雪の言葉にサトルは振り向く。

「やあ、なゆちゃん。昨日はどうだった?」

あれほど名雪を拒絶していたことが嘘のように、サトルは名雪に対して笑顔だった。

「どうして…どうしてあんな酷いことしたの!?」

「…知りたい?」

サトルは表情を全く変えずに語る。

「僕はね、英雄になりたいんだよ。英雄になれば、誰からも好きになってもらえる。でも、英雄になるためには強くならなきゃならない。そのためには、君への未練をなくさなきゃ。だからね、君に嫌われるようなことをしたんだよ。ミツル君の言うように、昨日の行動は英雄には程遠い行動だけどね」

名雪はそれを無言で聞いていた。

そしてサトルは一言、残酷な言葉を付け加えた。

「でも結構、楽しかったよ。なゆちゃんの友達が苦しんでる姿を見るの」

バチィン!

サトルは一瞬、何が起こったか理解できなかった。名雪が彼の頬を力一杯、叩いたのだ。

彼女の瞳からは大粒の涙が流れ落ちていた。

「サトちゃん…最低だよ…極悪人だよ!」

ドンッ!

「きゃっ!」

突如、背後から名雪は何者かに突き飛ばされた。名雪は体勢を崩し、地面に尻餅をつく。

「本当の悪人はどっちだ?おまえがサトルを見捨てなければ、こいつはそんな行動に走らなかった。サトルをこうしたのは他でもない。きさまだ!」

名雪を突き飛ばしたのはミツルだった。

「わたしはサトちゃんを見捨ててなんかいない!どうしてわかってくれないの!?」

必死に弁解する名雪。

「わかんないよ」

サトルが口を開く。先ほどの表情が嘘のようだった。今にも泣きだしそうな顔だった。

「あのとき、僕と一緒に遊んでくれたのに、相沢祐一君と仲良くして、僕を放っておいたくせに。なのに何で今更、僕にいちいち突っかかってくるのさ!?僕のことなんてどうでもいいくせに!」

これがサトルの本音だった。彼は名雪に見捨てられた。少なくともサトル自身はそう思っている。それが辛すぎて、歪んでしまった。しかし、心の中には今でも7年前の気持ちが残っている。今、悲痛に叫んだこの言葉がその証拠だろう。

「ちがうよ…ちがうのに…」

名雪はうつむいてかぶりを振る。

「いくぞサトル。いくら話しても無駄だ」

踵を返して、ミツルは姿を消す。

サトルもそれに少し遅れてから続いた。

名雪の姿が見えなくなると、サトルは誰にも聞こえないような声で呟く。

「…ごめんね、なゆちゃん」

 

同じ頃。

潤、香里、栞は水瀬家に来ていた。

祐一の見舞いだ。

昨日の件はすぐに教師たちの耳に伝わり、学校は当分の間、休校になった。

学校内でこのような問題が起きたならば、さすがに久瀬でも口出しができなかった。

しかし、龍騎である竜也の言葉を信じた生徒たちの証言によって、舞が濡れ衣を着せられず、今までの疑いが晴れたのは不幸中の幸いだった。

 

「みんな悪いな、心配かけて。だが、2日もすれば治るさ」

祐一の傷は浅かったので生活には支障ないが、ナイトとして戦うのは、今の時点では少し難があるだろう。竜也の判断が決め手となり、少しの間、戦うことはしないことになった。

「その様子じゃ、元気らしいな。あぁ~あ、見舞いに来る必要なんてなかった!」

ドッ!

「ごはっ!?」

潤に鋭い肘打ちを入れる香里。

「まったく…。相沢君、わたしたちに出来ることがあったらいつでも言って」

「わたしたち、いつでも力になりますから!」

隣で沈み込む潤をよそに、笑顔で祐一に話す2人。

「ありがとな、2人とも」

「お、おい!おれは!?」

 

潤たちが祐一の見舞いに行っている間に、竜也、あゆ、舞、久瀬の4人は、佐祐理の家に見舞いに行っていた。

彼女も大事には至らず、少し安静にしていれば、すぐに治るであろうと医師から診断された。

佐祐理の姿を見るなり、久瀬と竜也は頭を下げる。

「ごめんなさい。おれの力不足で…」

「本当に申し訳ありません。僕達がいながら、あなたを守ることができなかった」

「大丈夫ですよ~。佐祐理は平気です」

「元気そうだね。よかったぁ…」

数日前の仮面ライダーを拒絶していた彼女からは想像もできない。ここまで変われたのは、祐一や舞の佐祐理を大事に思う気持ちだろう。

「佐祐理。これからはしばらく仮面ライダーの戦いや魔物の戦いに関わるのは…」

「わかってるよ、舞。みなさんにも心配をかけないようにします。それが、今の私に出来る精一杯のことです」

舞の言葉を素直に聞く、佐祐理。

戦いのことにおいて冷静な対応ができるようになったのも、彼女の大きな変化だ。

 

そして…

ここは竜也たちのいる街と、そう遠くない場所にある拘置所。

その中にいる一人の囚人。

ガンッ!ガンッ!

檻に自身の頭をぶつけている。何度も何度も。

「おい、落ち着け浅倉!」

看守が叫ぶと、ゆっくりとその方向を見る。

その囚人「浅倉タカシ」の額にはおびただしい量の血が流れている。

「イラつくんだよ…こんなとこに居るとな」

ザァッ!

突如、異形の怪物が現れる。

「うわああああああ!」

ガルドサンダーは看守に襲い掛かり、捕食をはじめた。

捕食が終わるころには、非常事態を知らせるサイレンが鳴り響く。

「なんだオマエ?」

「…この場所から解放されたいか?」

もう一体の異形が現れる。その姿は金色に光り輝いており、眩しすぎてよく確認できない。

「私の意思に従い、力を貸すことを約束するなら、オマエにその苛立ちを消すことのできる力を与えよう」

そう言って、金色の影は浅倉にカードデッキを差し出す。そのデッキは毒々しい紫色で、中心にはコブラのレリーフが刻まれていた。

「フン、面白い。やってやるよ」

カードデッキを受け取ると、浅倉の腰部に白銀のベルトが現れる。

「変身!」

浅倉はカードデッキをベルトに装填する。

幾つもの虚像が現れ、浅倉の体を包み込む。

眩い輝きが起こり、それが晴れたところには新たな仮面ライダーがいた。

蛇を模した鎧を身に纏った狂戦士。

「契りは済んだ。さあ、来い!」

金色の影は、そう高々に宣言し、右腕を振り上げる。

すると、檻の中に銀色のオーロラが現れた。

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

 

次回!

 

          脱獄だってよ…

 

アイツらか…?

 

          この世界は…ゲームなんかじゃない!

 

オマエ…オレが、ゲームを…面白くしてやったのに…

 

          近くにいた、オマエが悪い

 

こういうモンなんだろ。ちがうのか?

 

 

 

第18話「狂戦士」

 







キャスト

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

月宮あゆ

相沢祐一仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム

北川潤=仮面ライダーライア
美坂香里
美坂栞

久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理

水瀬名雪
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斉藤ミツル=仮面ライダーインペラー

生徒たち
看守

浅倉タカシ=仮面ライダー王蛇

金色の影
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