仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~ 作:龍騎鯖威武
朝、水瀬家では祐一がテレビのニュースを見ていた。
因みに今日は学校があるのだが、腕の怪我により少しの間、休みを取ることにした。
しっかり休養を取ることも、仮面ライダーとして人を守ることには大切である。
調子が悪ければ、本来の力は出せないのだから。
ニュースキャスターは一つの報道を伝えていた。
「昨日、殺人罪により無期懲役を言い渡された、浅倉タカシが脱走しました。浅倉がいた刑務所には、檻が凄まじい力で破壊されていた痕跡がありました。人間の為せる業とは思えませんが…」
「脱走だってよ、名雪。この場所の近くじゃないか…。気をつけろよ?」
「うん…」
隣にいた名雪はうなずくが、心此処に非ずといった様子であった。
いままで、名雪とサトルとの事に関わるのは敢えて避けていたが、名雪の様子を見て、祐一は思い切って聞くことにした。
「なあ、名雪。虎水サトルのことで悩んでるんだろ?」
「どうして知ってるの…?」
「本人から聞いたんだよ。おまえ、あいつと友達だったんだろ?おれに話せることがあったら話してみろよ。少しは力になれるかもしれないからな」
名雪は祐一の言葉で、過去のことを話すことにした。
祐一がこの家に来る前に、同じ街に住んでいた男の子に逢ったんだよ。その子が虎水サトル君…サトちゃんだった。
「サトちゃん、もうおうちにかえる時間だよ?」
「やだ、かえりたくない!かえったら、また叩かれる…」
サトちゃんは、家に帰るのが嫌だって言ってた。
「じゃあ、わたしのおうちにおいでよ!」
「でも…」
「ほら、いこ!」
今になって思えば、お母さんも多分、事情を知ってたから、サトちゃんが来ることを受け入れてたと思うよ。
「おかあさん、サトちゃんを家にいさせてもいいでしょ?おねがい!」
「了承」
しばらくの間、サトちゃんはわたしの家で暮らしてた。最初はまだ暗かったし、遠慮がちだったけど、少しずつわたしとお母さんに笑いかけるようになっていった。
「なゆちゃん、これからもずっと一緒に居てもいい?」
「うん、ずっと一緒だよ!」
そんな約束もしてた。
でも、いつからか様子がおかしくなった。
「サトちゃん。もうすぐね、わたしのいとこの祐一が来るって!」
「祐一…君?」
「うん、昔からよく遊んでいたけど、これからはずっとわたしの家に住むんだって!」
「そう…なんだ…」
それからしばらくして、サトちゃんは最初みたいに暗くなっていった。
そして…
「おかあさん、サトちゃんが居ない!」
「大変…探さないと!」
でも、サトちゃんの家に行っても、どれだけ探してもサトちゃんは見つからなかった。
それからずっと、サトちゃんは最近まで姿を見せてくれなかった。
「これが、わたしが知ってるサトちゃんとの思い出…」
「…おれのせいなのかもな」
祐一は今の話を聞いてそう感じた。自分が家に来なければ、サトルは今のような状態になることもなかったのかもしれない。
「そんなことない!祐一のせいじゃないよ!」
名雪は頭を振って否定する。
「…すまないな」
「ううん、だから祐一のせいじゃないよ」
名雪は再び頭を振る。
「…名雪、おまえはサトルのことどう思ってるんだ?」
祐一は聞く。
彼女のサトルへの感情を知らねばならない。
自分にも責任があるのだから…。2人の絆を修復することが、自分にとっての償いだと思うから。
「…す…き…だよ」
顔をこれ以上無いほど真っ赤にして答える名雪。
どんなに彼が変わってしまっても、どんなに拒絶されても、この想いがあるからこそ、サトルを救おうと頑張ってきた。
「そっか。なら大丈夫だ。あいつにちゃんと説明してやれば、わかってくれるさ」
「祐一…ありがとう…」
最近、笑わなくなっていた彼女は久しぶりに少しだけ笑顔になった。
「どいつもこいつもマジでウゼェ!」
芝浦は自室で苛立っている。
2日前のことだろう。せっかく上手くいっていたのに、タイガに邪魔をされたのだから。
と、そこに金色の影が現れた。辺りからは金色の羽をまき散らし、後ろにはガルドサンダー、ガルドストーム、ガルドミラージュといった鳳凰型モンスターを従えている。
この3体は契約モンスターなどではなく、操っているといったほうが正確だろう。
「…何?」
「仮面ライダー王蛇の装着者が決まった。彼と共に龍騎達を抹殺しろ」
影の言葉に芝浦は先ほどの苛立ちも忘れ、笑う。
「王蛇が?面白そうじゃん」
「ただ…恐らくオマエ達4人で正面から立ち向かっても、インペラーやタイガが割り込めば、勝利を収めるのは不可能。そこでだ」
影は仮面の奥で笑う。
「オマエがゾルダを倒せ。王蛇、ベルデ、アビスは他のライダーの時間稼ぎをして貰う」
芝浦はあきれたような表情になる。
「その作戦さ、前に須藤サンがやって失敗したんだけど?」
「龍騎達を散らせば良い。以前は全員同じ場所で戦ったが故に、相性の悪いライダーに変えられた。ならば、相性の良いライダーとずっと戦えるようにすれば良い話だ。都合の良いことに、現在、ナイトは戦線を離脱しているうえに、ライアは平然を装っているが、シザースとの戦いの傷がまだ癒えていない。上手くやれ、最高のゲームだぞ?」
「あっそ、分かりましたよ」
次の日
街の人々に騒がれれば厄介なので、浅倉は裏路地を徘徊していた。
背後から、芝浦が声を掛ける。
「浅倉サン」
「何だ、オマエ?」
「わかんない?」
訝しげな目で睨む浅倉の目の前に、芝浦はカードデッキを見せる。
「・・・ライダーか。何の用だ?」
「金ぴかサンから聞いてない?オレ達と組んで、龍騎を抹殺するんだよ」
「そんな話だったな」
合点がいったようになる浅倉だが、その目はまだ芝浦を睨み続けている。
「アンタにはインペラーとタイガの時間稼ぎをしてもらうから。2人は、ものみの丘にいるよ。結構、骨があるから楽しめるんじゃない?」
「楽しめる・・・?」
浅倉は一瞬、不思議そうな顔をするが、次の瞬間には大口を開けて笑う。
「ハハハハハハハ!そうだ、楽しまないとな!さぁ、始まるぜ・・・祭りがな!」
「よろしく、凶悪殺人犯サン」
浅倉がものみの丘に向かったことを見届けると、芝浦はカードデッキを構える。
「変身!」
ガイに姿を変え、アドベントカードをベントインする。
<ADVENT>
すると、メタルゲラスがガイの後ろに現れる。
「来いよ、生徒会長サン」
キィィン・・・キィィン・・・
久瀬の耳にモンスターの反応音が聞こえる。
「モンスターか・・・!」
久瀬は音のする方へ走る。
そこには、メタルゲラスを従えたガイがいた。
「芝浦・・・!」
「あそぼ。みんなもいろんなところでゲームを始めてるよ」
「この世界は・・・ゲームなんかじゃない!変身っ!」
ゾルダはマグナバイザーを構え、ガイに銃口を向ける。
「ゲームだよ。そしてお宅らは今度こそ本当のゲームオーバー」
その頃、竜也たちの目の前にそれぞれの仮面ライダーが現れた。
竜也とあゆの前にアビスが。
「アビス!?」
「君が例え、長い間戦い続けていたとしても、その期間は私のほうが上。それにライダーの相性が悪い君に、私は倒せませんよ」
あゆは心配そうに竜也を見る。
「あの仮面ライダーって、竜也くんが苦手な相手だったよね?どうしよう・・・」
「それでも戦う。誰かが犠牲になる前に!あゆ、下がって。変身っ!」
潤、香里の前にはシアゴーストの群れが。その数は10匹程度だろうか。
「おいおい、大量にいるな・・・」
「グウウウウウゥ・・・!」
「北川君、どうするの!?」
潤は未だ、シザースとの戦いのときに負った左腕の傷が癒えていない。
しかし、敵のライダーは集まりつつある。
今、祐一も戦えないのであれば、自分が休むわけにはいかない。
「決まってんだろ。戦うさ。ちょっと身体に無理言わせないとな。変身っ!」
舞の前にはベルデが現れる。
「ベルデ・・・」
「いくぞ、クソガキ」
「わたしはクソガキじゃない。わたしの名前は川澄舞、仮面ライダーファム・・・!変身っ!」
「ガキには変わりない。まずはオマエからだ!」
そしてものみの丘・・・。
「さぁ、祭りだ!」
ミツルとサトルが住む小屋に現れる浅倉だが、その中はもぬけのから。
どうやら2人は街のほうに行ったようだ。
「イラつかせる・・・この際、誰でもいい!」
浅倉は吠えると、ものみの丘を降りていった。
自分の欲望を満たすことのできる獲物を狩りに行くために。
龍騎対アビス。
「だああああぁっ!」
「デアァ!」
ザアアアアアァ!ゴオオオオオォ!
やはり相性が悪い。腕に装備したドラグクローから放つドラグクローファイヤーも、アビスマッシュの前に無効化されてしまう。
その水圧に押され、龍騎は吹き飛ばされる。
「うあああっ!」
「竜也くん!」
「知ってますか?他の場所で君の御仲間が、大変な目に遭ってるかもしれませんよ?」
「・・・まさか!?」
竜也が今、考えた予想は外れていない。舞、潤、久瀬の3人がそれぞれ、敵と対峙している。
おそらく、以前の戦いで相性を見抜かれ、こちらが不利な相手と戦っているのだろう。
「くそ・・・なにか・・・なにか策は無いのか・・・!?」
と、そのとき
<ADVENT>
「ギギイイイイィ!」「ギイイイイ!」
数体の「ギガゼール」「メガゼール」が現れ、アビスに襲い掛かる。
「グウゥッ!?」
「あれは・・・?」
「ガゼール達、アビスを足止めしておけ!」
「おのれ・・・退け!」
龍騎の背後から現れたのはインペラー。そう、ギガゼールとメガゼール達はインペラーの契約モンスターなのだ。
インペラーは他にも「ネガゼール」「マガゼール」「オメガゼール」と言った、ガゼール系モンスターを引き連れているのだ。
「ミツル・・・」
「もう邪魔者はいない。ケリを着けるぞ!」
言うや否や、インペラーは龍騎に向かってとび蹴りで襲い掛かる。
「はあぁっ!」
ガッ!
「くっ!」
インペラーの蹴りを防ぎきることが出来ずに、膝をついてしまう龍騎。
「貴様等ァ!」
<UNITE VENT>
自分を放っておいたことに激昂したアビスは、アビスハンマーとアビスラッシャーを呼び出し、その2体を融合させる。その姿はより鮫に近い姿となり、頭頂部にはノコギリザメを模した角、両側頭部にはシュモクザメを模したエネルギー弾を放つ武器を装備したホオジロザメ型巨大モンスター「アビソドン」が生まれる。
「ギシャアアアアアア!」
ドガアアアァ!
アビソドンはガゼール軍団を一撃で払い除け、龍騎とインペラー目掛けて、エネルギー弾を発射した
ドドドドドド!
「ぐおおああぁ!」
「うああああぁ!」
その威力は凄まじく、辺り一帯は煙に包まれる。
「・・・みんなが危ない。悔しいけど、あゆ、今のうちに一旦、引くよ・・・!」
「わかった!」
<ADVENT>
煙が晴れないうちに龍騎はドラグレッダーを呼び出し、その背にあゆと共に乗り、この場所から離れる。
煙が晴れたときには、龍騎とあゆはその場にいなかった。
「チッ、逃がしたか・・・!」
「くそぉ・・・!逃げるなあああああぁ!」
毒づいて、早々にその場を離れるアビス。どうやら、インペラーと戦うつもりは無いらしい。
一人取り残されたインペラーは怒りの咆哮を上げた。
ライア対シアゴースト軍団。
本調子ではないライアは案の定、シアゴーストたちに苦戦を強いられていた。
ガスッ!
「ぐあっ!・・・くっそぉ!左腕さえ、まともに動いてくれたら・・・!」
<FINAL VENT>
突如、どこからかバイザーの音声が聞こえる。
次の瞬間
「はあああぁっ!」
ドガアアアアァ!
黒い影が、凄まじい勢いでシアゴーストたちに突撃した。
ピンポイントな攻撃だったが、上手く攻撃できたらしく、シアゴーストは一掃できた。
炎が消えた場所にいたのは・・・。
「相沢君!?」
驚く香里。
無理もない。そこにいたのは怪我をしている筈のナイトだったのだ。彼は家にいるときに、モンスターの反応音を聞きつけ、黙っていられずに助けにきたのだ。
「いってて・・・無事か北川?」
当然、彼の腕は痛む。ファイナルベントという、仮面ライダーにとって一番、強力な技を怪我人が使ったのであれば、その反動は必ず返ってくる。
「おまえ、平気なのかよ!?」
「じっとしてる方が身体に悪い。だが、これ以上は手助けできないな・・・ファイナルベントも使っちまったし・・・」
変身を解く祐一と潤。
確かにこれ以上、腕を酷使すれば、完治はさらに遅くなるだろう。それだけは避けたい。
「香里、相沢を頼む。おれは他のやつらを探してくる」
「どうして?」
「なんとなく嫌な予感がするんだよ」
「その予感、当たってる!」
空から、ドラグレッダーに乗った龍騎とあゆがやってくる。
「ごめん、潤。アビスに足止めされてて・・・一足遅かった」
「やっぱりか・・・」
後ろにいたあゆはあわてて、ライアに伝える。
「舞さんや久瀬さんもたぶん、ほかの仮面ライダーに襲われてる!このままじゃ・・・」
「こうしてられないな・・・」
「潤、今は休んで」
「なに?」
龍騎の突然の言葉に戸惑う潤。
「いまはまだ、潤は戦えるけど、傷が治ってない。これ以上は、戦える状態で無くなるかもしれないから、少し休んで欲しいんだ。傷を治すために」
「くそっ・・・」
竜也の言葉は事実だ。受け入れるしかない。
「ごめん、潤。その傷が治ったら、また手を貸して」
「あぁ!早く言って来い!」
「あゆは潤たちと一緒にいて。ここから先は、あゆを守りきれるかどうか分からない」
あゆは素直に頷き、ドラグレッダーから降りる。
「竜也くんは大丈夫なの?」
疑問を投げかける。竜也は仲間の中で一番、戦っている。疲れや傷もあるのではないか?
「平気。まだ大きな怪我もしてないし、一番長く戦ってるおれが疲れてたら、みんなに示しがつかないしね。じゃあ、行ってくる!」
龍騎はドラグレッダーと共に、上空へと昇っていった。
仲間を救うために。
ファム対ベルデ。
すでにクリアーベントを発動し、姿を消しているベルデ。
「これなら・・・」
ファムはアドベントカードを引く。以前、ガイがいることで失敗した、ブランウイングの突風で、ベルデのクリアーベントを破る方法だ。
<ADVENT>
ブランウイングが飛来し、突風を巻き起こす。
その風で、ベルデは吹き飛ばされる。
「グウゥッ!」
姿を現すベルデ。成功だ。
「やった・・・」
しかし・・・
一人の男が姿を現す。
「やっと見つけたぜ・・・。此処かぁ、祭りの場所は・・・!」
「・・・っ!」
ファムは、その男に見覚えがあった。
以前、生まれたときから唯一の家族であった自分の母親。その母親を殺した男。忘れもしない。
浅倉タカシ・・・。
「浅倉・・・!」
「さぁ、楽しもうぜ」
浅倉は、懐からカードデッキを取り出す。同時に、腰部に白銀のベルトが現れる。
「仮面ライダー・・・!?」
「変身!」
Vバックルにカードデッキを装填すると、その姿は毒々しい紫色の、凶暴な印象のある仮面ライダーへと変わった。
彼こそ最凶のライダー、「仮面ライダー王蛇」。
「アァ・・・」
首を軽く捻り、軽く息を吐く。
「フン、頼もしい。芝浦の聞いたとおりだな。ここは任せよう・・・」
ベルデは、ファムが王蛇に気を取られている隙に、姿をくらます。
「どうして、お母さんを殺したの・・・!?」
ファムは怒りを込めて聞く。
「あぁ?知るか。多分、イラついてたからだろうな」
平然と答える王蛇。彼にとって、人の命を奪うと言うことはその程度のものでしかないのだ。ファムの腕は、次第に怒りで震える。
「許せない・・・!そんな理由で!」
ファムはブランバイザーを王蛇に向ける。
「ハハハ!いいぜェ?」
<SWORD VENT>
王蛇は、杖型の召還機「べノバイザー」にアドベントカードをベントインする。
その左手には、黄金の剣「べノサーベル」が握られる。
「はああああぁっ!」
ファムは王蛇に向かって、ブランバイザーを突き立てる。
・・・筈だった。
ガキィン!
「くっ・・・」
「オォ・・・どうした?」
しかし、それは意図も簡単に防がれた。
「ハッ!」
ガァッ!
「ああっ!」
王蛇は力任せに、ファムを振り払う。
彼女は成す術もなく払い除けられ、壁に激突する。
凄まじい威力だった。自分の知っている感覚で、これほど痛みを感じたことは無い。
魔物の攻撃やモンスターの攻撃、仮面ライダーから受けたダメージの全てを凌駕していた。
「ううぅ・・・けほっ、けほっ・・・」
思わず咳き込むファム。呼吸が苦しい。
「立てよ」
「うっ・・・!」
ファムの頭をつかみ、無理矢理、立たせる王蛇。
「ウオォ!」
ガキィ!
「ああぁっ!」
べノサーベルで思い切り斬りつけられるファム。胸部の鎧は火花を散らすどころか、ヒビが入る。仮面ライダーの武器を持ってしても、仮面ライダーの鎧を破壊することは容易ではない。王蛇の力はそこまで強いのか。
この時点で受けた攻撃は2回。たったそれだけで、ファムは満身創痍に陥るほどだった。
「歯応えが無さ過ぎる・・・」
「舞さぁん!」
空から龍騎がドラグレッダーと共に現れる。
今回はモンスターの反応で駆けつけた訳ではなく、手当たり次第に探していた結果、この場所での戦いを見つけたのだ。
「舞・・・?」
舞と言う言葉で、何か考えているような仕草をする王蛇。
「たつ・・・や・・・けほっ!」
そんな王蛇に構うことなく、ファムのもとに駆け寄る。
「しっかりして!」
「そうか・・・川澄舞・・・。そしてオマエは」
「あれは・・・仮面ライダー!?」
王蛇が漏らした言葉で、ようやくその方向を向く龍騎。
「竜也・・・と言うことは、龍崎竜也・・・。オマエが龍騎か?」
「おまえは・・・」
「竜也・・・。あいつは・・・わたしのお母さんを・・・殺し・・・けほっ!」
息も絶え絶えだが、必死に龍騎に伝えるファム。
「そんな・・・!」
「どうでも良いだろ、そんなこと。早くやるぞ」
「そんなこと・・・?」
龍騎は静かに拳を握り締める。
「自分勝手に他の人の命を奪っておいて、そんなことって・・・!」
「他にどう言えばいい?」
王蛇は逆に問いかける。
「おまえにとって人の命って、そんなに軽いのか・・・!?」
「あぁ?命に重さなんてあるか?」
「だとしたら、おれはおまえを絶対に許さない・・・!」
龍騎は、今にも叫びたくなるほどの怒りを必死に抑えていた。その怒りは、側で倒れていたファムにも伝わる。
竜也がここまで怒りをこめた姿を見るのは初めてだった。
「人の命は、この世界に存在するどんな物よりも重いんだ!!」
龍騎は王蛇に向かって全力で駆ける。拳にこれ以上ないほどの力を込めて。
その龍騎と王蛇の間を一つの影が通り抜ける。
「ぐああああぁっ!」
「久瀬さん!?」
その影はゾルダだった。
「くそっ!」
<SHOOT VENT>
ゾルダはギガランチャーを構える。
「無駄無駄」
<CONFINE VENT>
遠くにいるガイがベントインすると同時に、ギガランチャーは消える。
「やはりダメか・・・!?」
「大丈夫ですか久瀬さん!」
今までの怒りの気持ちを一瞬で捨て去り、大切な仲間の援護に気を掛ける龍騎。
感情のコントロールが出来るのも、城戸真司からの教えゆえなんだろうか。
それとも・・・。
「久瀬さん、ガイはコンファインベントをもう使ってしまいました。今なら何を使ったって無効化されません!」
「・・・そうか、ならば!」
<FINAL VENT>
バイザー音声と共に、マグナギガが姿を現す。
「ファイナルベント!?」
「フフッ」
ガイは鼻で笑い、再びアドベントカードを、メタルバイザーにベントインする。
<CONFINE VENT>
「なに!?」「そんな!?」
マグナギガは姿を消す。
「実はこのカード、一枚だけじゃないんだよね」
ガイが勝ち誇ったように笑ったそのとき
<RETURN VENT>
「?」
どこからか、バイザー音声が聞こえる。少なくとも、この場にいるライダーのものではない。
その音声の後、再びマグナギガが現れる。
「な、なんだよこれ!?」
「よく分からんが、いくぞ!」
「ま、まってください久瀬さん!」
龍騎の制止を聞かず、ゾルダはマグナギガに接続したマグナバイザーの引き金を引く。
ズガガガガガガガガガ!
とりあえず、ファムを安全な場所へと連れて行く龍騎。
王蛇とガイはその銃弾の嵐の中に見えなくなってしまった。
煙が晴れたとき
ガイの姿が見えたが、王蛇は見当たらない。
いや、見当たらないのではない。
「グ・・・アァ・・・」
崩れ落ちるガイ。その後ろには無傷の王蛇。
王蛇はガイの後ろにいたのだ。彼はガイをエンドオブワールドの攻撃を防ぐ盾にしたのだ。
「オマエ・・・オレが、ゲームを・・・面白くしてやったのに・・・」
苦しみながら、一言一言を搾り出すように喋るガイに対して、王蛇は悪びれもせず、こう告げる。
「近くにいた、オマエが悪い」
その言葉で、ガイは完全にキレた。
「ふ・・・ざけんなアアアアアァ!」
<FINAL VENT>
バイザー音声と共に、メタルゲラスが現れ、ガイの腕にはメタルホーンが装備される。
メタルゲラスが走りながら、ガイはその頭に足を掛け、猛スピードで突進する。
怒りのままにガイは、王蛇に最大の技「ヘビープレッシャー」を向けた。
「ウオオオオオオオ!」
「ハッ・・・面白い」
<FINAL VENT>
王蛇もファイナルベントを発動する。
「シャアアアアアアアアァ!」
背後から巨大なコブラ型モンスター「ベノスネーカー」が現れる。
王蛇はそれを確認すると、足を揃え、大きく飛び上がる。
「ハアッ!」
宙を一回転し、ベノスネーカーの口元にまで滞空する。
「デェヤアアアアアアアアアアア!」
ベノスネーカーは大量の溶解液を吐き出し、王蛇はその勢いで、ガイにバタ足キックで突撃する。
ドガガガガガガガ!
「グゥッ!ガァッ!ウアッ!」
何度も何度も蹴られ、ガイのヘビープレッシャーの威力は下がっていく。
そして・・・。
ドガッ!
「ウアアアアアアアアアアァ!」
力に負け、ガイは吹き飛ばされる。
鎧は完全に砕け、体中から火花が散る。
「ガァッ・・・!」
ドガアアアアアアアアアン!
最後には、凄まじい威力の爆発が起きる。
炎が消えたところに、ガイはおらず、代わりに王蛇が、何かを手に持っていた。
ガイのカードデッキだ。ガイの鎧はあちこちに落ちていたが、これは無事なようだ。
「そんな・・・!」
龍騎は両膝をつく。
「ひどい・・・。何でこんなこと!?」
「ハハハハハ!こういうモンなんだろ。違うのか?」
王蛇は心の底から笑っていた。
続く・・・。
次回!
最高だ・・・イライラがすっかり消えた・・・
あのときのリターンベントって、一体・・・
斉藤ミツルさん、はじめまして
サトちゃんの言う、英雄ってなんなの?
よかったらボクに昔のこと、教えてくれない?
第19話 「雪の少女達」
キャスト
龍崎竜也=仮面ライダー龍騎
月宮あゆ
相沢祐一仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム
北川潤=仮面ライダーライア
美坂香里
久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理
水瀬名雪
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斉藤ミツル=仮面ライダーインペラー
水瀬秋子
芝浦シュン=仮面ライダーガイ
高見沢イツキ=仮面ライダーベルデ
鎌田マサト=仮面ライダーアビス
浅倉タカシ=仮面ライダー王蛇
金色の影