仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第18話 「狂戦士」

朝、水瀬家では祐一がテレビのニュースを見ていた。

因みに今日は学校があるのだが、腕の怪我により少しの間、休みを取ることにした。

しっかり休養を取ることも、仮面ライダーとして人を守ることには大切である。

調子が悪ければ、本来の力は出せないのだから。

 

ニュースキャスターは一つの報道を伝えていた。

「昨日、殺人罪により無期懲役を言い渡された、浅倉タカシが脱走しました。浅倉がいた刑務所には、檻が凄まじい力で破壊されていた痕跡がありました。人間の為せる業とは思えませんが…」

 

「脱走だってよ、名雪。この場所の近くじゃないか…。気をつけろよ?」

「うん…」

隣にいた名雪はうなずくが、心此処に非ずといった様子であった。

いままで、名雪とサトルとの事に関わるのは敢えて避けていたが、名雪の様子を見て、祐一は思い切って聞くことにした。

「なあ、名雪。虎水サトルのことで悩んでるんだろ?」

「どうして知ってるの…?」

「本人から聞いたんだよ。おまえ、あいつと友達だったんだろ?おれに話せることがあったら話してみろよ。少しは力になれるかもしれないからな」

名雪は祐一の言葉で、過去のことを話すことにした。

 

祐一がこの家に来る前に、同じ街に住んでいた男の子に逢ったんだよ。その子が虎水サトル君…サトちゃんだった。

「サトちゃん、もうおうちにかえる時間だよ?」

「やだ、かえりたくない!かえったら、また叩かれる…」

サトちゃんは、家に帰るのが嫌だって言ってた。

「じゃあ、わたしのおうちにおいでよ!」

「でも…」

「ほら、いこ!」

今になって思えば、お母さんも多分、事情を知ってたから、サトちゃんが来ることを受け入れてたと思うよ。

「おかあさん、サトちゃんを家にいさせてもいいでしょ?おねがい!」

「了承」

しばらくの間、サトちゃんはわたしの家で暮らしてた。最初はまだ暗かったし、遠慮がちだったけど、少しずつわたしとお母さんに笑いかけるようになっていった。

「なゆちゃん、これからもずっと一緒に居てもいい?」

「うん、ずっと一緒だよ!」

そんな約束もしてた。

でも、いつからか様子がおかしくなった。

「サトちゃん。もうすぐね、わたしのいとこの祐一が来るって!」

「祐一…君?」

「うん、昔からよく遊んでいたけど、これからはずっとわたしの家に住むんだって!」

「そう…なんだ…」

それからしばらくして、サトちゃんは最初みたいに暗くなっていった。

そして…

「おかあさん、サトちゃんが居ない!」

「大変…探さないと!」

でも、サトちゃんの家に行っても、どれだけ探してもサトちゃんは見つからなかった。

それからずっと、サトちゃんは最近まで姿を見せてくれなかった。

 

「これが、わたしが知ってるサトちゃんとの思い出…」

「…おれのせいなのかもな」

祐一は今の話を聞いてそう感じた。自分が家に来なければ、サトルは今のような状態になることもなかったのかもしれない。

「そんなことない!祐一のせいじゃないよ!」

名雪は頭を振って否定する。

「…すまないな」

「ううん、だから祐一のせいじゃないよ」

名雪は再び頭を振る。

「…名雪、おまえはサトルのことどう思ってるんだ?」

祐一は聞く。

彼女のサトルへの感情を知らねばならない。

自分にも責任があるのだから…。2人の絆を修復することが、自分にとっての償いだと思うから。

 

「…す…き…だよ」

顔をこれ以上無いほど真っ赤にして答える名雪。

どんなに彼が変わってしまっても、どんなに拒絶されても、この想いがあるからこそ、サトルを救おうと頑張ってきた。

「そっか。なら大丈夫だ。あいつにちゃんと説明してやれば、わかってくれるさ」

「祐一…ありがとう…」

最近、笑わなくなっていた彼女は久しぶりに少しだけ笑顔になった。

 

「どいつもこいつもマジでウゼェ!」

芝浦は自室で苛立っている。

2日前のことだろう。せっかく上手くいっていたのに、タイガに邪魔をされたのだから。

と、そこに金色の影が現れた。辺りからは金色の羽をまき散らし、後ろにはガルドサンダー、ガルドストーム、ガルドミラージュといった鳳凰型モンスターを従えている。

この3体は契約モンスターなどではなく、操っているといったほうが正確だろう。

「…何?」

「仮面ライダー王蛇の装着者が決まった。彼と共に龍騎達を抹殺しろ」

影の言葉に芝浦は先ほどの苛立ちも忘れ、笑う。

「王蛇が?面白そうじゃん」

「ただ…恐らくオマエ達4人で正面から立ち向かっても、インペラーやタイガが割り込めば、勝利を収めるのは不可能。そこでだ」

影は仮面の奥で笑う。

「オマエがゾルダを倒せ。王蛇、ベルデ、アビスは他のライダーの時間稼ぎをして貰う」

芝浦はあきれたような表情になる。

「その作戦さ、前に須藤サンがやって失敗したんだけど?」

「龍騎達を散らせば良い。以前は全員同じ場所で戦ったが故に、相性の悪いライダーに変えられた。ならば、相性の良いライダーとずっと戦えるようにすれば良い話だ。都合の良いことに、現在、ナイトは戦線を離脱しているうえに、ライアは平然を装っているが、シザースとの戦いの傷がまだ癒えていない。上手くやれ、最高のゲームだぞ?」

「あっそ、分かりましたよ」

 

次の日

街の人々に騒がれれば厄介なので、浅倉は裏路地を徘徊していた。

背後から、芝浦が声を掛ける。

「浅倉サン」

「何だ、オマエ?」

「わかんない?」

訝しげな目で睨む浅倉の目の前に、芝浦はカードデッキを見せる。

「・・・ライダーか。何の用だ?」

「金ぴかサンから聞いてない?オレ達と組んで、龍騎を抹殺するんだよ」

「そんな話だったな」

合点がいったようになる浅倉だが、その目はまだ芝浦を睨み続けている。

「アンタにはインペラーとタイガの時間稼ぎをしてもらうから。2人は、ものみの丘にいるよ。結構、骨があるから楽しめるんじゃない?」

「楽しめる・・・?」

浅倉は一瞬、不思議そうな顔をするが、次の瞬間には大口を開けて笑う。

「ハハハハハハハ!そうだ、楽しまないとな!さぁ、始まるぜ・・・祭りがな!」

「よろしく、凶悪殺人犯サン」

浅倉がものみの丘に向かったことを見届けると、芝浦はカードデッキを構える。

「変身!」

ガイに姿を変え、アドベントカードをベントインする。

<ADVENT>

すると、メタルゲラスがガイの後ろに現れる。

「来いよ、生徒会長サン」

 

キィィン・・・キィィン・・・

久瀬の耳にモンスターの反応音が聞こえる。

「モンスターか・・・!」

久瀬は音のする方へ走る。

そこには、メタルゲラスを従えたガイがいた。

「芝浦・・・!」

「あそぼ。みんなもいろんなところでゲームを始めてるよ」

「この世界は・・・ゲームなんかじゃない!変身っ!」

ゾルダはマグナバイザーを構え、ガイに銃口を向ける。

「ゲームだよ。そしてお宅らは今度こそ本当のゲームオーバー」

 

その頃、竜也たちの目の前にそれぞれの仮面ライダーが現れた。

竜也とあゆの前にアビスが。

「アビス!?」

「君が例え、長い間戦い続けていたとしても、その期間は私のほうが上。それにライダーの相性が悪い君に、私は倒せませんよ」

あゆは心配そうに竜也を見る。

「あの仮面ライダーって、竜也くんが苦手な相手だったよね?どうしよう・・・」

「それでも戦う。誰かが犠牲になる前に!あゆ、下がって。変身っ!」

 

潤、香里の前にはシアゴーストの群れが。その数は10匹程度だろうか。

「おいおい、大量にいるな・・・」

「グウウウウウゥ・・・!」

「北川君、どうするの!?」

潤は未だ、シザースとの戦いのときに負った左腕の傷が癒えていない。

しかし、敵のライダーは集まりつつある。

今、祐一も戦えないのであれば、自分が休むわけにはいかない。

「決まってんだろ。戦うさ。ちょっと身体に無理言わせないとな。変身っ!」

 

舞の前にはベルデが現れる。

「ベルデ・・・」

「いくぞ、クソガキ」

「わたしはクソガキじゃない。わたしの名前は川澄舞、仮面ライダーファム・・・!変身っ!」

「ガキには変わりない。まずはオマエからだ!」

 

そしてものみの丘・・・。

「さぁ、祭りだ!」

ミツルとサトルが住む小屋に現れる浅倉だが、その中はもぬけのから。

どうやら2人は街のほうに行ったようだ。

「イラつかせる・・・この際、誰でもいい!」

浅倉は吠えると、ものみの丘を降りていった。

自分の欲望を満たすことのできる獲物を狩りに行くために。

 

龍騎対アビス。

「だああああぁっ!」

「デアァ!」

ザアアアアアァ!ゴオオオオオォ!

やはり相性が悪い。腕に装備したドラグクローから放つドラグクローファイヤーも、アビスマッシュの前に無効化されてしまう。

その水圧に押され、龍騎は吹き飛ばされる。

「うあああっ!」

「竜也くん!」

「知ってますか?他の場所で君の御仲間が、大変な目に遭ってるかもしれませんよ?」

「・・・まさか!?」

竜也が今、考えた予想は外れていない。舞、潤、久瀬の3人がそれぞれ、敵と対峙している。

おそらく、以前の戦いで相性を見抜かれ、こちらが不利な相手と戦っているのだろう。

「くそ・・・なにか・・・なにか策は無いのか・・・!?」

と、そのとき

<ADVENT>

「ギギイイイイィ!」「ギイイイイ!」

数体の「ギガゼール」「メガゼール」が現れ、アビスに襲い掛かる。

「グウゥッ!?」

「あれは・・・?」

「ガゼール達、アビスを足止めしておけ!」

「おのれ・・・退け!」

龍騎の背後から現れたのはインペラー。そう、ギガゼールとメガゼール達はインペラーの契約モンスターなのだ。

インペラーは他にも「ネガゼール」「マガゼール」「オメガゼール」と言った、ガゼール系モンスターを引き連れているのだ。

「ミツル・・・」

「もう邪魔者はいない。ケリを着けるぞ!」

言うや否や、インペラーは龍騎に向かってとび蹴りで襲い掛かる。

「はあぁっ!」

ガッ!

「くっ!」

インペラーの蹴りを防ぎきることが出来ずに、膝をついてしまう龍騎。

「貴様等ァ!」

<UNITE VENT>

自分を放っておいたことに激昂したアビスは、アビスハンマーとアビスラッシャーを呼び出し、その2体を融合させる。その姿はより鮫に近い姿となり、頭頂部にはノコギリザメを模した角、両側頭部にはシュモクザメを模したエネルギー弾を放つ武器を装備したホオジロザメ型巨大モンスター「アビソドン」が生まれる。

「ギシャアアアアアア!」

ドガアアアァ!

アビソドンはガゼール軍団を一撃で払い除け、龍騎とインペラー目掛けて、エネルギー弾を発射した

ドドドドドド!

「ぐおおああぁ!」

「うああああぁ!」

その威力は凄まじく、辺り一帯は煙に包まれる。

「・・・みんなが危ない。悔しいけど、あゆ、今のうちに一旦、引くよ・・・!」

「わかった!」

<ADVENT>

煙が晴れないうちに龍騎はドラグレッダーを呼び出し、その背にあゆと共に乗り、この場所から離れる。

煙が晴れたときには、龍騎とあゆはその場にいなかった。

「チッ、逃がしたか・・・!」

「くそぉ・・・!逃げるなあああああぁ!」

毒づいて、早々にその場を離れるアビス。どうやら、インペラーと戦うつもりは無いらしい。

一人取り残されたインペラーは怒りの咆哮を上げた。

 

ライア対シアゴースト軍団。

本調子ではないライアは案の定、シアゴーストたちに苦戦を強いられていた。

ガスッ!

「ぐあっ!・・・くっそぉ!左腕さえ、まともに動いてくれたら・・・!」

<FINAL VENT>

突如、どこからかバイザーの音声が聞こえる。

次の瞬間

「はあああぁっ!」

ドガアアアアァ!

黒い影が、凄まじい勢いでシアゴーストたちに突撃した。

ピンポイントな攻撃だったが、上手く攻撃できたらしく、シアゴーストは一掃できた。

炎が消えた場所にいたのは・・・。

「相沢君!?」

驚く香里。

無理もない。そこにいたのは怪我をしている筈のナイトだったのだ。彼は家にいるときに、モンスターの反応音を聞きつけ、黙っていられずに助けにきたのだ。

「いってて・・・無事か北川?」

当然、彼の腕は痛む。ファイナルベントという、仮面ライダーにとって一番、強力な技を怪我人が使ったのであれば、その反動は必ず返ってくる。

「おまえ、平気なのかよ!?」

「じっとしてる方が身体に悪い。だが、これ以上は手助けできないな・・・ファイナルベントも使っちまったし・・・」

変身を解く祐一と潤。

確かにこれ以上、腕を酷使すれば、完治はさらに遅くなるだろう。それだけは避けたい。

「香里、相沢を頼む。おれは他のやつらを探してくる」

「どうして?」

「なんとなく嫌な予感がするんだよ」

「その予感、当たってる!」

空から、ドラグレッダーに乗った龍騎とあゆがやってくる。

「ごめん、潤。アビスに足止めされてて・・・一足遅かった」

「やっぱりか・・・」

後ろにいたあゆはあわてて、ライアに伝える。

「舞さんや久瀬さんもたぶん、ほかの仮面ライダーに襲われてる!このままじゃ・・・」

「こうしてられないな・・・」

「潤、今は休んで」

「なに?」

龍騎の突然の言葉に戸惑う潤。

「いまはまだ、潤は戦えるけど、傷が治ってない。これ以上は、戦える状態で無くなるかもしれないから、少し休んで欲しいんだ。傷を治すために」

「くそっ・・・」

竜也の言葉は事実だ。受け入れるしかない。

「ごめん、潤。その傷が治ったら、また手を貸して」

「あぁ!早く言って来い!」

「あゆは潤たちと一緒にいて。ここから先は、あゆを守りきれるかどうか分からない」

あゆは素直に頷き、ドラグレッダーから降りる。

「竜也くんは大丈夫なの?」

疑問を投げかける。竜也は仲間の中で一番、戦っている。疲れや傷もあるのではないか?

「平気。まだ大きな怪我もしてないし、一番長く戦ってるおれが疲れてたら、みんなに示しがつかないしね。じゃあ、行ってくる!」

龍騎はドラグレッダーと共に、上空へと昇っていった。

仲間を救うために。

 

ファム対ベルデ。

すでにクリアーベントを発動し、姿を消しているベルデ。

「これなら・・・」

ファムはアドベントカードを引く。以前、ガイがいることで失敗した、ブランウイングの突風で、ベルデのクリアーベントを破る方法だ。

<ADVENT>

ブランウイングが飛来し、突風を巻き起こす。

その風で、ベルデは吹き飛ばされる。

「グウゥッ!」

姿を現すベルデ。成功だ。

「やった・・・」

しかし・・・

一人の男が姿を現す。

「やっと見つけたぜ・・・。此処かぁ、祭りの場所は・・・!」

「・・・っ!」

ファムは、その男に見覚えがあった。

以前、生まれたときから唯一の家族であった自分の母親。その母親を殺した男。忘れもしない。

浅倉タカシ・・・。

「浅倉・・・!」

「さぁ、楽しもうぜ」

浅倉は、懐からカードデッキを取り出す。同時に、腰部に白銀のベルトが現れる。

「仮面ライダー・・・!?」

「変身!」

Vバックルにカードデッキを装填すると、その姿は毒々しい紫色の、凶暴な印象のある仮面ライダーへと変わった。

彼こそ最凶のライダー、「仮面ライダー王蛇」。

「アァ・・・」

首を軽く捻り、軽く息を吐く。

「フン、頼もしい。芝浦の聞いたとおりだな。ここは任せよう・・・」

ベルデは、ファムが王蛇に気を取られている隙に、姿をくらます。

「どうして、お母さんを殺したの・・・!?」

ファムは怒りを込めて聞く。

「あぁ?知るか。多分、イラついてたからだろうな」

平然と答える王蛇。彼にとって、人の命を奪うと言うことはその程度のものでしかないのだ。ファムの腕は、次第に怒りで震える。

「許せない・・・!そんな理由で!」

ファムはブランバイザーを王蛇に向ける。

「ハハハ!いいぜェ?」

<SWORD VENT>

王蛇は、杖型の召還機「べノバイザー」にアドベントカードをベントインする。

その左手には、黄金の剣「べノサーベル」が握られる。

「はああああぁっ!」

ファムは王蛇に向かって、ブランバイザーを突き立てる。

・・・筈だった。

ガキィン!

「くっ・・・」

「オォ・・・どうした?」

しかし、それは意図も簡単に防がれた。

「ハッ!」

ガァッ!

「ああっ!」

王蛇は力任せに、ファムを振り払う。

彼女は成す術もなく払い除けられ、壁に激突する。

凄まじい威力だった。自分の知っている感覚で、これほど痛みを感じたことは無い。

魔物の攻撃やモンスターの攻撃、仮面ライダーから受けたダメージの全てを凌駕していた。

「ううぅ・・・けほっ、けほっ・・・」

思わず咳き込むファム。呼吸が苦しい。

「立てよ」

「うっ・・・!」

ファムの頭をつかみ、無理矢理、立たせる王蛇。

「ウオォ!」

ガキィ!

「ああぁっ!」

べノサーベルで思い切り斬りつけられるファム。胸部の鎧は火花を散らすどころか、ヒビが入る。仮面ライダーの武器を持ってしても、仮面ライダーの鎧を破壊することは容易ではない。王蛇の力はそこまで強いのか。

この時点で受けた攻撃は2回。たったそれだけで、ファムは満身創痍に陥るほどだった。

「歯応えが無さ過ぎる・・・」

「舞さぁん!」

空から龍騎がドラグレッダーと共に現れる。

今回はモンスターの反応で駆けつけた訳ではなく、手当たり次第に探していた結果、この場所での戦いを見つけたのだ。

「舞・・・?」

舞と言う言葉で、何か考えているような仕草をする王蛇。

「たつ・・・や・・・けほっ!」

そんな王蛇に構うことなく、ファムのもとに駆け寄る。

「しっかりして!」

「そうか・・・川澄舞・・・。そしてオマエは」

「あれは・・・仮面ライダー!?」

王蛇が漏らした言葉で、ようやくその方向を向く龍騎。

「竜也・・・と言うことは、龍崎竜也・・・。オマエが龍騎か?」

「おまえは・・・」

「竜也・・・。あいつは・・・わたしのお母さんを・・・殺し・・・けほっ!」

息も絶え絶えだが、必死に龍騎に伝えるファム。

「そんな・・・!」

「どうでも良いだろ、そんなこと。早くやるぞ」

「そんなこと・・・?」

龍騎は静かに拳を握り締める。

「自分勝手に他の人の命を奪っておいて、そんなことって・・・!」

「他にどう言えばいい?」

王蛇は逆に問いかける。

「おまえにとって人の命って、そんなに軽いのか・・・!?」

「あぁ?命に重さなんてあるか?」

「だとしたら、おれはおまえを絶対に許さない・・・!」

龍騎は、今にも叫びたくなるほどの怒りを必死に抑えていた。その怒りは、側で倒れていたファムにも伝わる。

竜也がここまで怒りをこめた姿を見るのは初めてだった。

「人の命は、この世界に存在するどんな物よりも重いんだ!!」

龍騎は王蛇に向かって全力で駆ける。拳にこれ以上ないほどの力を込めて。

その龍騎と王蛇の間を一つの影が通り抜ける。

「ぐああああぁっ!」

「久瀬さん!?」

その影はゾルダだった。

「くそっ!」

<SHOOT VENT>

ゾルダはギガランチャーを構える。

「無駄無駄」

<CONFINE VENT>

遠くにいるガイがベントインすると同時に、ギガランチャーは消える。

「やはりダメか・・・!?」

「大丈夫ですか久瀬さん!」

今までの怒りの気持ちを一瞬で捨て去り、大切な仲間の援護に気を掛ける龍騎。

感情のコントロールが出来るのも、城戸真司からの教えゆえなんだろうか。

それとも・・・。

「久瀬さん、ガイはコンファインベントをもう使ってしまいました。今なら何を使ったって無効化されません!」

「・・・そうか、ならば!」

<FINAL VENT>

バイザー音声と共に、マグナギガが姿を現す。

「ファイナルベント!?」

「フフッ」

ガイは鼻で笑い、再びアドベントカードを、メタルバイザーにベントインする。

<CONFINE VENT>

「なに!?」「そんな!?」

マグナギガは姿を消す。

「実はこのカード、一枚だけじゃないんだよね」

ガイが勝ち誇ったように笑ったそのとき

<RETURN VENT>

「?」

どこからか、バイザー音声が聞こえる。少なくとも、この場にいるライダーのものではない。

その音声の後、再びマグナギガが現れる。

「な、なんだよこれ!?」

「よく分からんが、いくぞ!」

「ま、まってください久瀬さん!」

龍騎の制止を聞かず、ゾルダはマグナギガに接続したマグナバイザーの引き金を引く。

ズガガガガガガガガガ!

とりあえず、ファムを安全な場所へと連れて行く龍騎。

王蛇とガイはその銃弾の嵐の中に見えなくなってしまった。

 

煙が晴れたとき

ガイの姿が見えたが、王蛇は見当たらない。

いや、見当たらないのではない。

「グ・・・アァ・・・」

崩れ落ちるガイ。その後ろには無傷の王蛇。

王蛇はガイの後ろにいたのだ。彼はガイをエンドオブワールドの攻撃を防ぐ盾にしたのだ。

「オマエ・・・オレが、ゲームを・・・面白くしてやったのに・・・」

苦しみながら、一言一言を搾り出すように喋るガイに対して、王蛇は悪びれもせず、こう告げる。

「近くにいた、オマエが悪い」

その言葉で、ガイは完全にキレた。

「ふ・・・ざけんなアアアアアァ!」

<FINAL VENT>

バイザー音声と共に、メタルゲラスが現れ、ガイの腕にはメタルホーンが装備される。

メタルゲラスが走りながら、ガイはその頭に足を掛け、猛スピードで突進する。

怒りのままにガイは、王蛇に最大の技「ヘビープレッシャー」を向けた。

「ウオオオオオオオ!」

「ハッ・・・面白い」

<FINAL VENT>

王蛇もファイナルベントを発動する。

「シャアアアアアアアアァ!」

背後から巨大なコブラ型モンスター「ベノスネーカー」が現れる。

王蛇はそれを確認すると、足を揃え、大きく飛び上がる。

「ハアッ!」

宙を一回転し、ベノスネーカーの口元にまで滞空する。

「デェヤアアアアアアアアアアア!」

ベノスネーカーは大量の溶解液を吐き出し、王蛇はその勢いで、ガイにバタ足キックで突撃する。

ドガガガガガガガ!

「グゥッ!ガァッ!ウアッ!」

何度も何度も蹴られ、ガイのヘビープレッシャーの威力は下がっていく。

そして・・・。

ドガッ!

「ウアアアアアアアアアアァ!」

力に負け、ガイは吹き飛ばされる。

鎧は完全に砕け、体中から火花が散る。

「ガァッ・・・!」

ドガアアアアアアアアアン!

最後には、凄まじい威力の爆発が起きる。

炎が消えたところに、ガイはおらず、代わりに王蛇が、何かを手に持っていた。

ガイのカードデッキだ。ガイの鎧はあちこちに落ちていたが、これは無事なようだ。

「そんな・・・!」

龍騎は両膝をつく。

「ひどい・・・。何でこんなこと!?」

「ハハハハハ!こういうモンなんだろ。違うのか?」

王蛇は心の底から笑っていた。

 

 

 

続く・・・。

 

 

 

 

 

次回!

 

            最高だ・・・イライラがすっかり消えた・・・

 

あのときのリターンベントって、一体・・・

 

            斉藤ミツルさん、はじめまして

 

サトちゃんの言う、英雄ってなんなの?

 

            よかったらボクに昔のこと、教えてくれない?

 

 

 

第19話 「雪の少女達」

 

 

 






キャスト


龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

月宮あゆ

相沢祐一仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム

北川潤=仮面ライダーライア
美坂香里

久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理

水瀬名雪
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斉藤ミツル=仮面ライダーインペラー

水瀬秋子

芝浦シュン=仮面ライダーガイ
高見沢イツキ=仮面ライダーベルデ
鎌田マサト=仮面ライダーアビス

浅倉タカシ=仮面ライダー王蛇

金色の影
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