仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第四章 13人目
第21話 「金色の不死鳥」


鎌田はモンスターに頼らず、自分の力で秋子を殺そうとしていたこともあり、その証拠が真琴によって探し当てられ、須藤と同様に、警察へと身柄を引き渡された。高見沢グループは突然、解散を発表し、高見沢についても消息は不明となった。

サトルは名雪の家で暮らすことになり、ミツルと真琴は竜也の家で暮らすことになった。

サトルとミツルに関しては、秋子の協力でWATASHIジャーナルで働かせてもらえることにもなった。

3人は新たな生き方を見つけることができた。

 

数日後。

竜也は祐一たちに呼び出され、久しぶりに百花屋に訪れた。呼び出したメンバーが仮面ライダーばかりだったので、ミツルとサトルもついてきた。後は、気になってついてきたあゆ、美坂姉妹、佐祐理、真琴、名雪。

…結局、この物語で竜也や仲間の仮面ライダーと関わりが深い者は全員集まってきた。

「一体、どうしたの?」

竜也の言葉に、真っ先に口を開いたのは舞だ。

「竜也、わたしたちを鍛えて」

最近、祐一、舞、潤、久瀬の4人は戦いにおいて、完全に竜也の足を引っ張っていることを感じていた。自分たちが危機に晒されると、竜也が助けに来るというパターンが多くなっている。

「どう考えても、おれたちは竜也に比べて弱い。このままじゃ、いざというときに何もできないかもしれない」

「そうだよ、だから頼む!なんかコツか何か教えてくれよ!」

祐一の言葉に潤も同調する。

「確かにこのままでは、竜也どころか、おれやサトルの足手纏いになりかねないな。特にそこのピンク」

「なんだと!そもそも、おれはライアだ!いい加減に覚えろ!」

ミツルの呟きに食って掛かった潤。潤は歯軋りして、ミツルを睨みつける。相当悔しいらしい。

「あうぅ…ミツル…」

ふと、隣にいた真琴が悲しそうな目をしながら、ミツルの服の袖を掴む。

ミツルはため息をつく。

「…わかったよ、すまない北川。おれたちも手を貸そう。竜也ほどいかなくても、少しは教えられるはずだ。いいかサトル?」

「うん、僕たちのほうが祐一君たちよりも戦った経験は長いしね」

サトルもニッコリと笑って頷く。

サトルとミツルは、竜也が初めて龍騎に変身した時と、少し遅いが、ほぼ同じ時期に仮面ライダーになったので、実力に多少は自信がある。

「というわけだ。龍崎君、僕らを鍛えてくれ」

「ちょ、ちょっと待ってください。みんな、買い被りすぎだよ。おれはそこまで強くないから」

竜也は両手を振りながら、謙遜する。

しかし、あゆが急に竜也に訴えかけた。

「竜也くん、やってみようよ。竜也くんがどこまで強いかなんて、ボク分からないけど、みんなが頼ってるんだよ、竜也くんのこと」

あゆの言葉にかなりの時間、首を傾けて考えていたが、ようやく口を開く竜也。

「…じゃあ、おれが真司さんから学んだことを教えるね。どこまでやれるかわからないけど」

とりあえず、一同は百花屋から離れ、人目につかない広い場所へと向かった。

 

そのころ、浅倉は金色の影に苛立ちをぶつけていた。

「なぜ止めた?もっと遊べたのによ」

「あの状況を思い出せ。ライダーが4人では、どう考えても分が悪すぎる。王蛇でも敗北していただろう。以前、私が居た世界の王蛇は、他のライダーとは、能力を含めて一線を越えている。その能力を引き出すために、オマエを敗北させるのは勿体無い」

「勝ち負けなんて、どうでもいいんだよ!オレは戦えれば…。そういえば、ベルデは見捨てたんだな。なぜだ?」

浅倉は気になったことを聞いた。自分だけ助けたとしても、そばにいたベルデを助けないことはおかしい。

「ベルデはいずれ、反旗を翻そうとしていた。愚かにも、私を倒して更なる力を渇望していたのだ。例え味方であろうと、私に仇なすものは徹底的に排除する。今は見込みがあるが、貴様も例外ではないぞ」

金色の影は少しだけ凄みを利かせて、浅倉に語りかける。

「まぁ、オレは戦えるのなら、どうでもいい」

全く気にせずに、鼻で笑う浅倉。

「だが・・・今の状況は不味い。2人ものライダーが消えた。沢渡真琴の記憶と言語を消し、インペラーと引き離したにも拘らず、タイガを含めて彼らは敵にまわってしまった。不本意だが、龍騎達の前に姿を現そう。もう一つだけ不安要素も有る」

金色の影は、そう言い残すとオーロラと共に消え去った。

 

そして竜也は、特訓にちょうどいい場所を探し当てた。どうやらそこは採石場の跡地らしい。

特訓を始める前に祐一たちを集めて座らせる。

「焦らすなよ。早く始めようぜ」

「潤、これから話すことは、特訓する前に、絶対に覚えていて欲しいことだから聞いて」

真剣な表情の竜也に、少し縮こまる潤。

「仮面ライダーにとって、一番、戦いに影響するのは何だと思う?」

「・・・?」

「・・・経験・・・か?」

無言で首をかしげる舞と自分なりに答えを言う祐一。

「それもそうだけど、もっと影響するのは、『意思』だよ」

「意思?」

「そう。憎しみにしろ、愛情にしろ、そういった意志のファクターが直接、仮面ライダーの能力やその能力の引き出しに影響を及ぼすんだ。例えば、大切な人を守るために戦ってきたのに、その人を失ったら、力は著しく低下する。憎しみも、その対象を失えば同じように・・・っていう風に真司さんから学んだよ。潤がシザースと戦っていたとき、あんなにボロボロだったのに、勝利することが出来たのは、香里さんや栞ちゃんを守りたいと思う気持ちが強かったから」

一同は静まり返って、竜也の話を聞いていた。

「竜也、聞きたいことがある。おれは以前、おまえを憎んでいた。それが今は皆無だが、おれの力はそんなに下がっていないと思うが?」

ミツルの疑問にも丁寧に答える。

「それは、ミツルが真琴ちゃんを守りたいって言う気持ちが、同じくらい大きかったからだよ。逆に、大切な人を失っても、憎しみの感情が強くなったら、同じように・・・」

久瀬は、竜也に聞く

「じゃあ僕達は、まだ意志が弱いってことなのか?」

「経験の短さもあるだろうけど・・・。厳しいこと言うかもしれません・・・まだ弱いと思います。でもライダーになったばかりで意志が強い方がおかしいですよ。仕方ないんです」

竜也は申し訳なさそうに言った。

「でも、こればかりはおれが教えることはできない。おれはみんなに戦い方を教えるだけ」

そういって、すくっと立ち上がる竜也。

「さぁ、やってみようか。まずは・・・祐一!」

「お、おぉ!」

竜也が突然手を向け、飛び上がる祐一。

「変身して、おれと戦ってみよう」

 

数分後。

龍騎とナイトが対峙している。

「ファイナルベントを使ったら大怪我しちゃうから、それ以外のアドベントカードなら、何でも使っていいよ」

「分かった!じゃあ、いくぞ!」

<TRICK VENT>

ナイトはシャドーイリュージョンで3人に分身した。

ダークバイザーで龍騎に斬りかかる

「はあっ!」「せあぁ!」「とあっ!」

龍騎は3人がかりの攻撃を上手く避ける。

「たぁっ!はぁっ!だぁっ!」

ガッ!ドッ!ガスッ!

その後、背中やうなじにチョップを決める。しかし本気というわけではない。

その証拠に、ナイトは全く苦痛を感じないが、シャドーイリュージョンは解ける。

「リーチが長くても、闇雲に振り回したって、絶対にあたらない。相手をよく見て!」

「くそっ!」

今度は龍騎の懐まで駆け寄るが

「距離を縮めても同じ!」

ドンッ!

「うお!?」

ナイトのダークバイザーを持つ右腕を受け止めて、突き飛ばす龍騎。

「ナイトはスピードが速くて、ソードベントを使っているとき意外は小回りも効く。相手に正面から行かないで、相手の死角に向かって。アドベントカードも、トリックベントやナスティーベントみたいに特殊なものが多いから上手く応用して。次は舞さん!」

「おい、もう終わりかよ!?」

ナイトの抗議に龍騎は

「みんな平等に教えなきゃ。今は、おれが言った課題をこなすように努力して」

と返す。口答えできずに変身を解く祐一。

 

「はぁっ!」

ファムはブランバイザーで龍騎に立ち向かう。ナイトへの助言を聞いて、自分も小回りが利くはずと考え、死角に入ろうとする。

「だめだ!」

ドンッ!

「くっ!」

龍騎はファムの背中を取り、突き飛ばす。

「戦い方は良いけど、ファムとしてはあまり良くない。魔物との戦い方は、仮面ライダーの戦い方とは違う。戦闘スタイルを変えてみて。ファムの場合は手数が長所だから、参考にね。ファムはガードベントが強力だから、上手く使うといい筈だよ。よし、潤!」

 

「いっくぜ!」

<SWING VENT>

ライアはエビルウイップを振り回す。

「たあぁ!」

カァン!

龍騎はそれをジャンプで避け、ライアの脳天にチョップ。小気味良い音がしたのは気のせいだろう…多分。

「スイングベントは使い勝手が難しい。これに関しては慣れるしかない。ライアの最大の特徴はコピーベント。相手や味方が使う強力な武器をコピーして使えば、戦況は大きく変わる。武器が少ないのが辛いけど、上手くすればライアはものすごく強くなるから。次、久瀬さん!」

 

<SHOOT VENT>

「ふんっ!」

ドンッ!

ギガキャノンを龍騎に向けて放つが、受身を取って避ける龍騎。

「はあぁ!」

ブンッ!

「っ!?」

そのままゾルダの懐に入り込み、腹部に拳を突き出す。…とは言っても、本気で当てているわけでもなく、いわゆる「寸止め」というやつだ。

「ゾルダは遠距離タイプだけど、攻撃の前後に大きな隙が出来ます。その間に懐に入られないように、マグナバイザーで怯ませたりする事が得策ですね。シュートベントはその後の方が良い筈です」

 

「おれが教えられることはこれくらいだと思う」

一通り、教え終えた竜也。

祐一たち4人は唖然としていた。まるで手玉に取られている。

「改めて思ったよ。竜也くんって、ものすごく強い…」

「同感です。やっぱりヒーローです…!」

「わたしも、彼の見る目が変わった気がするわ」

「はぇ~、すごいです」

「びっくりだよ~」

ライダーではない女性メンバーも驚きの表情。2人ほど驚いてないような気もするが、まあ、置いておこう。

「最後に一つ。間違っても、憎しみや怒りで力を増すことはやめて」

竜也の脳裏に城戸真司から学んだ記憶がリフレインする。

 

「真司さぁん。もうそろそろ、仮面ライダーをやらせてくれてもいいじゃないですかぁ…。龍騎が良いですけど、他でも我慢しますから…」

その頃の竜也は15歳半ば。戦いのことを十分に理解できていなかった頃。

「まだ駄目だ。今のお前じゃ、戦うときの感情をコントロールできない」

「戦うときの感情?」

首をかしげる竜也。城戸真司は竜也の肩に手を置く。

「いいか。今のお前は戦いに対して、どういう感情を持っている?」

「えっと…人の命を奪うモンスターたちを絶対に許せないから、戦うんじゃないかと思います…」

竜也の答えに、ゆっくりと左右に首を振る城戸真司。

「それでは、まだ戦わせることは出来ない」

「じゃあ、どうすれば…」

「その答えは、自分で見つけろ」

城戸真司はそういって、後ろを向く。

「さぁ、帰るぞ。今日は餃子だ」

「ほんとですか!?真司さんの餃子、最高です!」

 

(今ならわかりますよ、真司さん。人を守るために戦えってことですよね?)

「竜也?」

舞が呼びかけ、現実に戻る竜也。

「あ、ごめん。真司さんのこと、思い出してた。とにかく、力を増すなら、別の感情でね」

「別の感情って、たとえば?」

訓練をしていないが、質問するサトル。

「…その答えは、自分で見つけないと」

 

その日から数日、戦闘技術を磨くために組手などを行った。

主に、龍騎はナイトとファムを(1人ずつ)、タイガがゾルダを、インペラーがライアを、それぞれ訓練の相手をした。

ナイトはウイングランサーを呼び出して、龍騎に攻撃を仕掛けるが、意図も容易く避けられる。

「祐一、ナイトの特徴を思い出して。ここではソードベントを使わないで!」

「あぁ、ダークバイザーだけってか!」

「祐一、人の話を聞いてない」

「うるさいな!」

 

ゾルダはタイガをマグナバイザーで一発でも当てようとする。

しかし、タイガは俊敏さに長けたライダー。そう簡単に命中することはない。

ダダダダダダダダ!

「射撃の練習には十分な俊敏さだ!」

「あまり余裕ないんじゃない?」

ザッ!

「くっ!」

「もっと、がんばろ?」

 

ライアは既にスイングベントを発動してしまった。コピーベントはインペラーがアドベントカードを使わないため、使用できない。

「どうしたピンク。おれは、まだアドベントカードを使ってないぞ」

「ったく、偉そうにしやがって!おりゃあぁ!」

「まだ無駄な動きが多いぞ。せあぁ!」

 

ひとときの休憩。

「あぁ…疲れたぁ…」

「お疲れ、北川君」

潤は地面に大の字で倒れている。そして、その潤に、予め冷やしておいたタオルを渡す香里。

「サンキュ、香里」

「お姉ちゃん。最近、北川さんと仲良くできる機会が少なかったから、いい機会だよ。もっと、お話したら?」

「う、うるさいわよ!」

栞の呟きに、真っ赤になって否定する香里だが、説得力がない。

サトルとミツルは、真琴と名雪と穏やかにお話をしている。

「ミツル…」

「よしよし、いい子で待ってたな」

「あうぅ…」

「サトちゃん、大変だったね」

「ううん。ぜんぜん平気。ありがと、なゆちゃん」

久瀬は柄にも無く、汗だく。しかし、それを拭ってくれるものは誰もいない…筈だったが。

「久瀬さん、どうぞ」

佐祐理が久瀬の額の汗を、冷やしたタオルで拭い、水を入れたコップを渡す。

「ど、どうも…」

「何かあったら、いつでも言ってくださいね」

「え、えぇ…」

佐祐理の満面の笑みに、顔を伏せる久瀬。少し良い雰囲気である。

竜也も意外と疲れていた。やはり変身前の体力は他の者と変わりないらしい。

「教えることも…結構…キツイなぁ…」

「竜也くん、大丈夫?」

あゆは心配そうに、竜也の身の回りの世話をする。

「ありがとう。あゆのおかげだよ」

「え?」

「最近、戦いで怒ったりすることがあってね。みんなに教えたとき、真司さんの言葉を思い出せたよ」

竜也は、無意識にあゆの頭を撫でる。あゆは顔を真っ赤にする。

「た、竜也くん…。ボク、子どもじゃないよ…?」

「あ、ごめん。…そういえば」

祐一と舞も同様に疲れ切っていた。

「くそぉ…全然ダメだな…」

「わたしも…」

「舞さん。聞きたいことがある」

竜也は舞の前に来て喋りかける。

「足、引きずってるよね?」

「…!そんなことない…」

竜也は、強引に舞のズボンを捲り上げる。

「おい、たつ…え?」

祐一は慌てて止めようとしたが、舞の素足を見て絶句した。

舞の足は膝下から焼け爛れたような跡があった。

「いつから…?」

「…ミツルとサトルと出会う少し前から。でも、怪我をしたような覚えはない。原因もなにか分からない…」

観念した舞は、竜也にすべて話した。竜也もそれが嘘だとは思わなかった。

「…取り敢えず、しばらくの間、戦うことはやめて。魔物は、おれたちで何とかしてみせるから」

 

「それは不可能だ」

 

突如、頭の中に響くような声が、この場にいる全員に聞こえる。

そして、銀色のオーロラが現れた。

「王蛇か!?」

とっさに身構える7人。

しかし、そのオーロラからは、眩い金色の光が溢れ出し、その中から人影が現れる。

それは…

「あいつは…金色の…仮面ライダー!?」

黄金の鎧を身に纏った、荘厳な印象のある仮面ライダーが現れた。辺りからは、金色の鳥の羽のようなものを、周囲にまき散らしている。

金色の仮面ライダー…。

竜也の言っていた最後の仮面ライダーと完全に一致している。

「謹聴するが良い。我が名はオーディン。13番目の仮面ライダー…!」

 

 

 

続く…

 

 

 

 

 

次回!

 

おまえが諸悪の根源か!?

 

私と共に戦え…!

 

              あいつが言っていることって…正しいんじゃ…

 

命を奪ってる時点で、それは正しいなんて言えない!

 

おのれ、ディケイド…!

 

 

第22話「戦いの意義」

 

 







キャスト

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

月宮あゆ

相沢祐一=仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム

北川潤=仮面ライダーライア
美坂香里
美坂栞

久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理

水瀬名雪
沢渡真琴
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斎藤ミツル=仮面ライダーインペラー

浅倉タカシ=仮面ライダー王蛇

仮面ライダーオーディン(金色の影)

城戸真司=仮面ライダー龍騎(初代)
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