仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~ 作:龍騎鯖威武
第21話 「金色の不死鳥」
鎌田はモンスターに頼らず、自分の力で秋子を殺そうとしていたこともあり、その証拠が真琴によって探し当てられ、須藤と同様に、警察へと身柄を引き渡された。高見沢グループは突然、解散を発表し、高見沢についても消息は不明となった。
サトルは名雪の家で暮らすことになり、ミツルと真琴は竜也の家で暮らすことになった。
サトルとミツルに関しては、秋子の協力でWATASHIジャーナルで働かせてもらえることにもなった。
3人は新たな生き方を見つけることができた。
数日後。
竜也は祐一たちに呼び出され、久しぶりに百花屋に訪れた。呼び出したメンバーが仮面ライダーばかりだったので、ミツルとサトルもついてきた。後は、気になってついてきたあゆ、美坂姉妹、佐祐理、真琴、名雪。
…結局、この物語で竜也や仲間の仮面ライダーと関わりが深い者は全員集まってきた。
「一体、どうしたの?」
竜也の言葉に、真っ先に口を開いたのは舞だ。
「竜也、わたしたちを鍛えて」
最近、祐一、舞、潤、久瀬の4人は戦いにおいて、完全に竜也の足を引っ張っていることを感じていた。自分たちが危機に晒されると、竜也が助けに来るというパターンが多くなっている。
「どう考えても、おれたちは竜也に比べて弱い。このままじゃ、いざというときに何もできないかもしれない」
「そうだよ、だから頼む!なんかコツか何か教えてくれよ!」
祐一の言葉に潤も同調する。
「確かにこのままでは、竜也どころか、おれやサトルの足手纏いになりかねないな。特にそこのピンク」
「なんだと!そもそも、おれはライアだ!いい加減に覚えろ!」
ミツルの呟きに食って掛かった潤。潤は歯軋りして、ミツルを睨みつける。相当悔しいらしい。
「あうぅ…ミツル…」
ふと、隣にいた真琴が悲しそうな目をしながら、ミツルの服の袖を掴む。
ミツルはため息をつく。
「…わかったよ、すまない北川。おれたちも手を貸そう。竜也ほどいかなくても、少しは教えられるはずだ。いいかサトル?」
「うん、僕たちのほうが祐一君たちよりも戦った経験は長いしね」
サトルもニッコリと笑って頷く。
サトルとミツルは、竜也が初めて龍騎に変身した時と、少し遅いが、ほぼ同じ時期に仮面ライダーになったので、実力に多少は自信がある。
「というわけだ。龍崎君、僕らを鍛えてくれ」
「ちょ、ちょっと待ってください。みんな、買い被りすぎだよ。おれはそこまで強くないから」
竜也は両手を振りながら、謙遜する。
しかし、あゆが急に竜也に訴えかけた。
「竜也くん、やってみようよ。竜也くんがどこまで強いかなんて、ボク分からないけど、みんなが頼ってるんだよ、竜也くんのこと」
あゆの言葉にかなりの時間、首を傾けて考えていたが、ようやく口を開く竜也。
「…じゃあ、おれが真司さんから学んだことを教えるね。どこまでやれるかわからないけど」
とりあえず、一同は百花屋から離れ、人目につかない広い場所へと向かった。
そのころ、浅倉は金色の影に苛立ちをぶつけていた。
「なぜ止めた?もっと遊べたのによ」
「あの状況を思い出せ。ライダーが4人では、どう考えても分が悪すぎる。王蛇でも敗北していただろう。以前、私が居た世界の王蛇は、他のライダーとは、能力を含めて一線を越えている。その能力を引き出すために、オマエを敗北させるのは勿体無い」
「勝ち負けなんて、どうでもいいんだよ!オレは戦えれば…。そういえば、ベルデは見捨てたんだな。なぜだ?」
浅倉は気になったことを聞いた。自分だけ助けたとしても、そばにいたベルデを助けないことはおかしい。
「ベルデはいずれ、反旗を翻そうとしていた。愚かにも、私を倒して更なる力を渇望していたのだ。例え味方であろうと、私に仇なすものは徹底的に排除する。今は見込みがあるが、貴様も例外ではないぞ」
金色の影は少しだけ凄みを利かせて、浅倉に語りかける。
「まぁ、オレは戦えるのなら、どうでもいい」
全く気にせずに、鼻で笑う浅倉。
「だが・・・今の状況は不味い。2人ものライダーが消えた。沢渡真琴の記憶と言語を消し、インペラーと引き離したにも拘らず、タイガを含めて彼らは敵にまわってしまった。不本意だが、龍騎達の前に姿を現そう。もう一つだけ不安要素も有る」
金色の影は、そう言い残すとオーロラと共に消え去った。
そして竜也は、特訓にちょうどいい場所を探し当てた。どうやらそこは採石場の跡地らしい。
特訓を始める前に祐一たちを集めて座らせる。
「焦らすなよ。早く始めようぜ」
「潤、これから話すことは、特訓する前に、絶対に覚えていて欲しいことだから聞いて」
真剣な表情の竜也に、少し縮こまる潤。
「仮面ライダーにとって、一番、戦いに影響するのは何だと思う?」
「・・・?」
「・・・経験・・・か?」
無言で首をかしげる舞と自分なりに答えを言う祐一。
「それもそうだけど、もっと影響するのは、『意思』だよ」
「意思?」
「そう。憎しみにしろ、愛情にしろ、そういった意志のファクターが直接、仮面ライダーの能力やその能力の引き出しに影響を及ぼすんだ。例えば、大切な人を守るために戦ってきたのに、その人を失ったら、力は著しく低下する。憎しみも、その対象を失えば同じように・・・っていう風に真司さんから学んだよ。潤がシザースと戦っていたとき、あんなにボロボロだったのに、勝利することが出来たのは、香里さんや栞ちゃんを守りたいと思う気持ちが強かったから」
一同は静まり返って、竜也の話を聞いていた。
「竜也、聞きたいことがある。おれは以前、おまえを憎んでいた。それが今は皆無だが、おれの力はそんなに下がっていないと思うが?」
ミツルの疑問にも丁寧に答える。
「それは、ミツルが真琴ちゃんを守りたいって言う気持ちが、同じくらい大きかったからだよ。逆に、大切な人を失っても、憎しみの感情が強くなったら、同じように・・・」
久瀬は、竜也に聞く
「じゃあ僕達は、まだ意志が弱いってことなのか?」
「経験の短さもあるだろうけど・・・。厳しいこと言うかもしれません・・・まだ弱いと思います。でもライダーになったばかりで意志が強い方がおかしいですよ。仕方ないんです」
竜也は申し訳なさそうに言った。
「でも、こればかりはおれが教えることはできない。おれはみんなに戦い方を教えるだけ」
そういって、すくっと立ち上がる竜也。
「さぁ、やってみようか。まずは・・・祐一!」
「お、おぉ!」
竜也が突然手を向け、飛び上がる祐一。
「変身して、おれと戦ってみよう」
数分後。
龍騎とナイトが対峙している。
「ファイナルベントを使ったら大怪我しちゃうから、それ以外のアドベントカードなら、何でも使っていいよ」
「分かった!じゃあ、いくぞ!」
<TRICK VENT>
ナイトはシャドーイリュージョンで3人に分身した。
ダークバイザーで龍騎に斬りかかる
「はあっ!」「せあぁ!」「とあっ!」
龍騎は3人がかりの攻撃を上手く避ける。
「たぁっ!はぁっ!だぁっ!」
ガッ!ドッ!ガスッ!
その後、背中やうなじにチョップを決める。しかし本気というわけではない。
その証拠に、ナイトは全く苦痛を感じないが、シャドーイリュージョンは解ける。
「リーチが長くても、闇雲に振り回したって、絶対にあたらない。相手をよく見て!」
「くそっ!」
今度は龍騎の懐まで駆け寄るが
「距離を縮めても同じ!」
ドンッ!
「うお!?」
ナイトのダークバイザーを持つ右腕を受け止めて、突き飛ばす龍騎。
「ナイトはスピードが速くて、ソードベントを使っているとき意外は小回りも効く。相手に正面から行かないで、相手の死角に向かって。アドベントカードも、トリックベントやナスティーベントみたいに特殊なものが多いから上手く応用して。次は舞さん!」
「おい、もう終わりかよ!?」
ナイトの抗議に龍騎は
「みんな平等に教えなきゃ。今は、おれが言った課題をこなすように努力して」
と返す。口答えできずに変身を解く祐一。
「はぁっ!」
ファムはブランバイザーで龍騎に立ち向かう。ナイトへの助言を聞いて、自分も小回りが利くはずと考え、死角に入ろうとする。
「だめだ!」
ドンッ!
「くっ!」
龍騎はファムの背中を取り、突き飛ばす。
「戦い方は良いけど、ファムとしてはあまり良くない。魔物との戦い方は、仮面ライダーの戦い方とは違う。戦闘スタイルを変えてみて。ファムの場合は手数が長所だから、参考にね。ファムはガードベントが強力だから、上手く使うといい筈だよ。よし、潤!」
「いっくぜ!」
<SWING VENT>
ライアはエビルウイップを振り回す。
「たあぁ!」
カァン!
龍騎はそれをジャンプで避け、ライアの脳天にチョップ。小気味良い音がしたのは気のせいだろう…多分。
「スイングベントは使い勝手が難しい。これに関しては慣れるしかない。ライアの最大の特徴はコピーベント。相手や味方が使う強力な武器をコピーして使えば、戦況は大きく変わる。武器が少ないのが辛いけど、上手くすればライアはものすごく強くなるから。次、久瀬さん!」
<SHOOT VENT>
「ふんっ!」
ドンッ!
ギガキャノンを龍騎に向けて放つが、受身を取って避ける龍騎。
「はあぁ!」
ブンッ!
「っ!?」
そのままゾルダの懐に入り込み、腹部に拳を突き出す。…とは言っても、本気で当てているわけでもなく、いわゆる「寸止め」というやつだ。
「ゾルダは遠距離タイプだけど、攻撃の前後に大きな隙が出来ます。その間に懐に入られないように、マグナバイザーで怯ませたりする事が得策ですね。シュートベントはその後の方が良い筈です」
「おれが教えられることはこれくらいだと思う」
一通り、教え終えた竜也。
祐一たち4人は唖然としていた。まるで手玉に取られている。
「改めて思ったよ。竜也くんって、ものすごく強い…」
「同感です。やっぱりヒーローです…!」
「わたしも、彼の見る目が変わった気がするわ」
「はぇ~、すごいです」
「びっくりだよ~」
ライダーではない女性メンバーも驚きの表情。2人ほど驚いてないような気もするが、まあ、置いておこう。
「最後に一つ。間違っても、憎しみや怒りで力を増すことはやめて」
竜也の脳裏に城戸真司から学んだ記憶がリフレインする。
「真司さぁん。もうそろそろ、仮面ライダーをやらせてくれてもいいじゃないですかぁ…。龍騎が良いですけど、他でも我慢しますから…」
その頃の竜也は15歳半ば。戦いのことを十分に理解できていなかった頃。
「まだ駄目だ。今のお前じゃ、戦うときの感情をコントロールできない」
「戦うときの感情?」
首をかしげる竜也。城戸真司は竜也の肩に手を置く。
「いいか。今のお前は戦いに対して、どういう感情を持っている?」
「えっと…人の命を奪うモンスターたちを絶対に許せないから、戦うんじゃないかと思います…」
竜也の答えに、ゆっくりと左右に首を振る城戸真司。
「それでは、まだ戦わせることは出来ない」
「じゃあ、どうすれば…」
「その答えは、自分で見つけろ」
城戸真司はそういって、後ろを向く。
「さぁ、帰るぞ。今日は餃子だ」
「ほんとですか!?真司さんの餃子、最高です!」
(今ならわかりますよ、真司さん。人を守るために戦えってことですよね?)
「竜也?」
舞が呼びかけ、現実に戻る竜也。
「あ、ごめん。真司さんのこと、思い出してた。とにかく、力を増すなら、別の感情でね」
「別の感情って、たとえば?」
訓練をしていないが、質問するサトル。
「…その答えは、自分で見つけないと」
その日から数日、戦闘技術を磨くために組手などを行った。
主に、龍騎はナイトとファムを(1人ずつ)、タイガがゾルダを、インペラーがライアを、それぞれ訓練の相手をした。
ナイトはウイングランサーを呼び出して、龍騎に攻撃を仕掛けるが、意図も容易く避けられる。
「祐一、ナイトの特徴を思い出して。ここではソードベントを使わないで!」
「あぁ、ダークバイザーだけってか!」
「祐一、人の話を聞いてない」
「うるさいな!」
ゾルダはタイガをマグナバイザーで一発でも当てようとする。
しかし、タイガは俊敏さに長けたライダー。そう簡単に命中することはない。
ダダダダダダダダ!
「射撃の練習には十分な俊敏さだ!」
「あまり余裕ないんじゃない?」
ザッ!
「くっ!」
「もっと、がんばろ?」
ライアは既にスイングベントを発動してしまった。コピーベントはインペラーがアドベントカードを使わないため、使用できない。
「どうしたピンク。おれは、まだアドベントカードを使ってないぞ」
「ったく、偉そうにしやがって!おりゃあぁ!」
「まだ無駄な動きが多いぞ。せあぁ!」
ひとときの休憩。
「あぁ…疲れたぁ…」
「お疲れ、北川君」
潤は地面に大の字で倒れている。そして、その潤に、予め冷やしておいたタオルを渡す香里。
「サンキュ、香里」
「お姉ちゃん。最近、北川さんと仲良くできる機会が少なかったから、いい機会だよ。もっと、お話したら?」
「う、うるさいわよ!」
栞の呟きに、真っ赤になって否定する香里だが、説得力がない。
サトルとミツルは、真琴と名雪と穏やかにお話をしている。
「ミツル…」
「よしよし、いい子で待ってたな」
「あうぅ…」
「サトちゃん、大変だったね」
「ううん。ぜんぜん平気。ありがと、なゆちゃん」
久瀬は柄にも無く、汗だく。しかし、それを拭ってくれるものは誰もいない…筈だったが。
「久瀬さん、どうぞ」
佐祐理が久瀬の額の汗を、冷やしたタオルで拭い、水を入れたコップを渡す。
「ど、どうも…」
「何かあったら、いつでも言ってくださいね」
「え、えぇ…」
佐祐理の満面の笑みに、顔を伏せる久瀬。少し良い雰囲気である。
竜也も意外と疲れていた。やはり変身前の体力は他の者と変わりないらしい。
「教えることも…結構…キツイなぁ…」
「竜也くん、大丈夫?」
あゆは心配そうに、竜也の身の回りの世話をする。
「ありがとう。あゆのおかげだよ」
「え?」
「最近、戦いで怒ったりすることがあってね。みんなに教えたとき、真司さんの言葉を思い出せたよ」
竜也は、無意識にあゆの頭を撫でる。あゆは顔を真っ赤にする。
「た、竜也くん…。ボク、子どもじゃないよ…?」
「あ、ごめん。…そういえば」
祐一と舞も同様に疲れ切っていた。
「くそぉ…全然ダメだな…」
「わたしも…」
「舞さん。聞きたいことがある」
竜也は舞の前に来て喋りかける。
「足、引きずってるよね?」
「…!そんなことない…」
竜也は、強引に舞のズボンを捲り上げる。
「おい、たつ…え?」
祐一は慌てて止めようとしたが、舞の素足を見て絶句した。
舞の足は膝下から焼け爛れたような跡があった。
「いつから…?」
「…ミツルとサトルと出会う少し前から。でも、怪我をしたような覚えはない。原因もなにか分からない…」
観念した舞は、竜也にすべて話した。竜也もそれが嘘だとは思わなかった。
「…取り敢えず、しばらくの間、戦うことはやめて。魔物は、おれたちで何とかしてみせるから」
「それは不可能だ」
突如、頭の中に響くような声が、この場にいる全員に聞こえる。
そして、銀色のオーロラが現れた。
「王蛇か!?」
とっさに身構える7人。
しかし、そのオーロラからは、眩い金色の光が溢れ出し、その中から人影が現れる。
それは…
「あいつは…金色の…仮面ライダー!?」
黄金の鎧を身に纏った、荘厳な印象のある仮面ライダーが現れた。辺りからは、金色の鳥の羽のようなものを、周囲にまき散らしている。
金色の仮面ライダー…。
竜也の言っていた最後の仮面ライダーと完全に一致している。
「謹聴するが良い。我が名はオーディン。13番目の仮面ライダー…!」
続く…
次回!
おまえが諸悪の根源か!?
私と共に戦え…!
あいつが言っていることって…正しいんじゃ…
命を奪ってる時点で、それは正しいなんて言えない!
おのれ、ディケイド…!
第22話「戦いの意義」
キャスト
龍崎竜也=仮面ライダー龍騎
月宮あゆ
相沢祐一=仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム
北川潤=仮面ライダーライア
美坂香里
美坂栞
久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理
水瀬名雪
沢渡真琴
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斎藤ミツル=仮面ライダーインペラー
浅倉タカシ=仮面ライダー王蛇
仮面ライダーオーディン(金色の影)
城戸真司=仮面ライダー龍騎(初代)