仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第22話 「戦いの意義」

竜也は直ちに、仮面ライダーではない者を、避難させる。

「あゆ、みんな、安全な所に隠れて!あれが真司さんの言っていた、金色のライダーだとしたら…」

「わかったよ。みんな、早く逃げよう!」

あゆは残りの者たちを避難させる。

「変身!」

竜也、祐一、舞、潤、久瀬、サトル、ミツルの7人は仮面ライダーに変身する。

7対1の状況であるにもかかわらず、オーディンは全く動揺を見せない。

「おまえが諸悪の根源だな!」

ライアはオーディンに向かって叫ぶ。

「心外だな。私は悪業を行った覚えは無い」

「ごちゃごちゃ言うな!」

「待って、潤!」

龍騎の制止を無視して、エビルウィップを振りかざしたライアは、オーディンに攻撃を仕掛ける。

 

それと同時に、何処かの時計塔の鐘が鳴り響く。

 

「愚かな」

「うおりゃあ!」

バチィン!

電撃を纏ったエビルウィップは、ポツリと呟いたオーディンにぶつかる…筈だった。

「な…!?」

だが、オーディンは目の前から姿を消す。残っていたのは、金色の羽のみ。

そして直後に、ライアの後ろに姿を現した。

「北川、後ろだ!」

「えっ…」

ズガアアアアァ!

「ぐああああああぁ!」

インペラーは、ライアに指示を送るが、それよりも先に、オーディンはゆっくりとした動作で、ライアに向かって腕をぶつける。

たったそれだけで、ライアは数十メートル吹き飛ばされ、その先の壁に激突する。鎧も、あちこち砕けていた。

「くっ!」

その光景に恐怖を感じたゾルダは、オーディンに向かってマグナバイザーを連射する。

しかし、同じようにオーディンは姿を消し、ゾルダの背後に現れる。

「久瀬先輩!」

ナイトとファムは、ゾルダを救うべく、背後のオーディンに向かう。

ズガアアアアァ!

「うわあああああぁ!」

しかし間に合わず、先ほどと変わらぬ動作で腕をぶつけ、ゾルダは吹き飛ぶ。

「寄るな」

ドガアアアアアァ!

「うあああああ!」「あああああぁ!」

そして、走ってきたファムとナイトを、同様にあしらう。

「くそ…いくぞ、サトル!」「うん!」

タイガとインペラーは、同時にオーディンに向かって地面を蹴る。

だが、今度は姿を消すことはせず、右手をゆっくりと翳す。

ゴオオオオオ!

「ぐおおおおああぁ!」「わああああああぁ!」

すると2人は、凄まじい衝撃を感じ、やはり吹き飛ばされた。

この時間は1分にも満たない。それだけで一気に追いつめられた。

「みんなしっかりして!」

龍騎は、倒れ伏した仲間たちに走り寄る。

「命が大事だろう?ならば、私と戦おうなどと考えるな」

「なら、どうして現れた!どうしてみんなを傷付ける!?」

龍騎は質問と同時に、オーディンに攻撃を仕掛ける。

しかし、その拳はオーディンに当たることはない。彼が居た空間を通り抜けるのみ。

近くの壁に背を付け、死角を取られないようにするが、今度は目の前にオーディンが現れる。

「っ…!?」

咄嗟に避けようとするが、オーディンは、龍騎を逃すことはなかった。

「私に刃向うからだ」

ズザザザザザァ!

「うぐああああああぁ!」

辺りの金色の羽が龍騎に触れる度、鎧が切り裂かれ、小規模の爆発が何度も起こる

「ぐぅっ…がはぁっ!ぐあぁ…」

龍騎の仮面の下から真っ赤な血が滴り落ちる。恐らく、吐血してしまったようだ。

「竜也くんっ!竜也くんっ!」

「ぐぅっ…!あぁ…」

あゆは見ていられず、龍騎のもとに駆け寄り、彼の名を呼びながら揺するが、彼は苦しそうにもがくのみ。今まで、あゆが戦地に近づけば、どんなに傷ついていても、彼女の身を案じていた竜也。しかし、今回は彼女に身を案じることはない。苦痛が彼の感覚を支配していたからだ。自分が無力であることを、あゆは改めて強く感じた。

圧倒的過ぎる…。まるで歯が立たない。これが、金色のライダーとの差なのか?このままでは…

 

負ける。

 

「提案だ。私と共に戦え…!」

オーディンの言葉に一同は唖然とした。

「…説明が必要だな。私はモンスターの殆どを操作できるが、全てでは無い。シアゴーストやゲルニュート、ガルドサンダー等だけだ。オマエ達が戦ってきた、ソロスパイダーといったモンスターは、秩序なく暴れているのみ。オマエ達には、それを倒し続けて貰いたい」

倒れ伏していたナイトはオーディンに怒鳴る。

「おれたちは、言われなくても戦っている!」

「もう一つ。この世界で悪と言われる人間の始末だ」

「え…」

「問題無いだろう?なにも、罪も無い人間を殺せなどとは言っていない。…とは言え、オマエ達は心の有る者。人を殺すことに躊躇することは分かる。猶予を与えよう。明日の、この時間まで待つ。良き返事を待っているぞ」

そう言って、オーディンは銀色のオーロラと共に、姿を消した。

 

次の日。

まだ、オーディンとの約束の時間まで余裕はある。竜也の家に昨日の一同が集まった。

あちこちに血が滲んだ絆創膏や湿布を張り付けている祐一たち。

竜也は、オーディンによる攻撃の傷が深く、自分の部屋で、あゆに介抱されているため、この場にはいない。

「どうする…?」

久瀬が言っていることはもちろん、オーディンの提案を受け入れるかどうかだ。

「モンスターを倒せっていうのは構わない。だが、人間を殺すことは納得できないな」

尤もな意見のミツル。彼には、真琴が離れないようにしがみついていた。

「でも、断ったらどうなるか位、分かるだろ。今回ばかりは、竜也でも敵わない。おれたちが負けたら、やつの思う壷になるんだぞ」

祐一の言葉で、全員が俯いた。

正直、この場にいる誰もが、竜也が居れば、そして7人全員が力を合わせれば、何とかなるという気持ちが心の何処かにあった。しかし、それは昨日で崩れ去った。オーディンのたった一撃で、全員が倒れたのだから。

「でも、受け入れれば、それこそオーディンの思い通りになっちゃうよ…」

「でも、悪い人間だけって…正しいんじゃ…」

ポツリとつぶやくサトルに、頭を抱えて悩む潤。

悔しそうに、両手の拳を握りしめる舞。

「どうすれば…」

その近くで、香里、栞、佐祐理、名雪が円を描いて座っている。

「何もできないことって、こんなにも、もどかしいものなのね」

「竜也さんたちが、あんなに傷ついてるのに…」

香里と栞も、無力であるが故の悔しさを噛みしめている。

「じゃあ、今のわたしたちに何かできることって…ないのかな?」

「みなさんの怪我の応急処置くらいしか、わたしたちには…」

名雪の言葉に、今、自分の思いつく最高の考えを言う佐祐理。

 

「それだけでも…良いと思う」

「竜也くん!まだ起きちゃダメだよ!」

そこへ、体中に包帯を巻いた竜也と、彼を支えるあゆがやってきた。

「誰にだって…できることに限りがある。戦えるおれたちが異常なだけ。みんなが無力だなんて全然…思わない。みんなが応援してくれたり、助けてくれることが…おれたちにとって何よりも力になるから…」

他の人の言葉なら納得がいかなかったかもしれない。だが、つらい過去を背負い、長い間戦ってきた竜也の言葉だから、肯定できた。

「祐一、舞さん、潤、久瀬さん、サトル、ミツル。確かに…今の状態じゃオーディンに勝てないかも…しれない。でもさ、何のために…特訓してきたの?こういった困難に立ち向かえるように…するからこそだよね?だから、オーディンの要求は受け入れない。…命を奪ってる時点で…それは正しいなんて言えない!」

それだけ言うと、竜也は床に膝を着いた。

一同は、竜也に身を案じ、駆け寄る。

「でも…今回ばかりは、一緒に戦えないや…。これから先の戦いで…みんなに迷惑かけたくないから…。肝心なところで…本当にごめん…」

「気にすんなよ。おれたちも結構休んだりして、迷惑かけたからな」

潤は竜也に肩を貸し、何とか立たせる。

「それも借りを返すうちの一つだ。任せておけ」

「ミツル…」

ミツルが微笑んで言うと、真琴も嬉しそうに笑った。

「わたしも、今回は行く…」

「おれたちの特訓の成果、今こそ見せる時だな」

舞と祐一も決意を新たに立ち上がった。

「僕もだ。これは自分の決断だからな」

「僕も。なゆちゃんや、みんなが好きだから」

久瀬とサトルは意志のこもった瞳で言う。

6人は、一斉に家を飛び出した。

 

昨日の採石場に着くと、そこには既にオーディンが高台で佇んでいた。

「答えは決まったか?」

「あぁ、決まったぜ」

オーディンの問いに、祐一たちはカードデッキを翳すという形で反応した。

「それが答えのようだな…」

オーディンは感情がないように呟く。

「変身っ!」

姿を変えたナイト、ファム、ライア、ゾルダ、タイガ、インペラー。

正直なところ、勝てる気がしなかった。昨日は惨敗だったうえに、今は一人、しかも最も頼りになる竜也が居ない。だが、逃げる訳にはいかない。竜也との約束だからだ。

オーディンは、仮面の奥で少しだけ表情を変える。だが、それがどういった表情かは分からない。

「私は、一人の妹を想う人間によって生みだされてから、長い間、意志を持たずに戦ってきた。だが、その人間が消えたと同時に、私は自由意志を手に入れた。そして、私が生まれた世界が消えてから、この世界に渡った」

オーディンの言葉にナイトは疑問を感じる。

「おまえが生まれた世界って…」

「私は、この世界の住人ではない。別の『龍騎の世界』で生み出された存在」

「別の『龍騎の世界』…?」

「平行世界というものだ。ここは、また別の『龍騎の世界』。この世界に渡ることができた理由は分からん。だが、この世界での私の役割は見つけられた。この世界を、真の平和へと導くことだ」

ライアは、憤りを感じた。

「だから、悪と言われる人間を殺すっていうのか!?」

「それこそが、平和への扉を開く鍵だ」

「言ってくれるな。王蛇のような、どうしようもない悪人を仲間にして、おれたちを殺そうとしておきながら…」

インペラーもオーディンに反論する。

「最初は本当に心のある者は、私に賛同するはずはない。だが、すでに私以外は王蛇のみ…。明らかに戦力不足だ。オマエ達を取り込まない限り」

「でもな…やっぱりアンタには賛同できないな」

「たとえ、どんなに悪い人でも、生きる権利はある…」

ゾルダとファムは、改めてオーディンの言葉を強く否定する。

「それに、なゆちゃんやみんなが悲しむ…」

「そして、命を奪ってる時点で、おまえは正しくない!」

オーディンは、鼻で笑う。

「やはり、ある程度、想像できた答えだったな。龍騎の入れ知恵だろう。まぁいい、これで心置きなく、オマエ達を消せる」

オーディンは組んでいた両腕を広げるが…

「…だが、今はその時ではない。奴らがこの世界に来る。それが済んでからだな」

そう言って、銀色のオーロラと共に姿を消した。

「覚えておくが良い。本当の敵は私ではない。いずれこの世界に悪魔が来る。全てを破壊する存在…ディケイド。それが本当の敵だ」

この言葉を残して。

 

竜也の家に戻ってきた祐一たち。

「大丈夫だった!?」

すぐさま駆け寄るあゆ。香里や佐祐理たちもそれに続く。

「あぁ、平気だった。何もせずにあいつは帰って行った」

ミツルは、説明する。

「ミツルぅ~…!」

真琴がミツルの声を聴いて、彼に飛びついた。彼女は少し泣いていた。よほど心配だったのだろう。ミツルは真琴の頭を撫でる。

「心配かけたな、真琴」

「サトちゃん…」

「大丈夫だよ。なゆちゃんが好きでいてくれるし、僕もなゆちゃんが好きだから。まだ負けられないよ」

名雪に対して優しく答えるサトル。

「久瀬さん、無事で何よりです」

佐祐理は穏やかに微笑んで言う。

「あ、あぁ…ありがとうございます…」

少しだけ、頬を赤くする久瀬。彼にはもう一つ戦う意味ができたようだ。

「北川君、これからもわたしたちを守ってくれる…?」

「あったりまえだ!おまえはおれの大切な彼女だからな!」

いつになく、不安そうに問う香里に自信ありげに答える潤。

いつもは、否定の言葉を言ったり、肘打ちで突っ込むが、今日は嬉しそうに微笑む香里。やはり、彼女も潤が好きなのだろう。

「舞、これからはおまえも…」

「もう少しだけ戦わせて。黙って見てるなんてできない。…それから休むから」

舞は祐一に懇願した。

「…ったく。もう少しだけだぞ」

祐一の言葉に、少しだけ頬を緩ませる舞。

6人は、この日常を守るためにも負けられないことを改めて誓う。

そして、一つだけ気になっている言葉。

ディケイド…。

いったい何者なのか?

 

オーディンは、ある人物と出会っていた。

「よく使ってくれてるようで、何よりだ」

その人物は、オーロラを眺めながら満足そうに言う。

「鳴滝か…。一つだけだが、条件は守った。龍騎達をディケイドと敵対するように誘導した。信じるかどうかは別だがな」

「それだけでも十分だ。ディケイドがここに来たなら、必ず倒してくれ」

「破壊するのならな…」

オーディンは、そう答えて去った。

鳴滝は、拳を握りしめる。

「いまだ旅を続け、破壊の影響を作り出す。おのれディケイド…!だが覚えておけ。ここが貴様の旅の終着点だ…!」

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

 

次回!

 

         龍騎の世界か…。

 

あれ、ここって百花屋じゃ…?

 

         おれたちはいろんな世界を旅しているんだよ。

 

きっと、竜也君たちを助けることが、この世界での、士君の役割です。

 

         さてと、お宝はどこかな?

 

あれが…ディケイド!?

 

 

 

 

第23話 「世界を旅する者」

 

 

 

全てを破壊し、全てを繋げ…!

 

 





キャスト

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

月宮あゆ

相沢祐一=仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム

北川潤=仮面ライダーライア
美坂香里
美坂栞

久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理

水瀬名雪
沢渡真琴
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斎藤ミツル=仮面ライダーインペラー

鳴滝

仮面ライダーオーディン
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