仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第六章 NoMen
第28話 「政府組織 NoMen」


士達がこの世界を去って、3日が過ぎた。

12月も下旬に入る直前であり、クリスマスも近くなっている。

そこで、竜也が提案した「クリスマスパーティー」。

最近は戦い詰めであったため、気分転換は必要との事。参加者はもちろん、祐一達をはじめとした、竜也と苦楽を共にした人々だ。

今日は、そのクリスマスパーティーの準備品を、竜也、あゆ、ミツル、真琴の4人で買い出しに行くことになった。

「楽しみだねぇ~。でも準備するお金、あるの?」

出発する直前、竜也に尋ねるあゆ。彼は身寄りが居ないため、収入はかなり厳しいものであった筈。最近はミツルがWATASHIジャーナルでの初収入を生活費にまわしてくれるが、あまり贅沢が出来ないことに変わりはない。

しかし、自身のあるように笑う竜也。

「それが今日は、政府の人からお金が送られることになってるんだ。ここ最近は、モンスターの撃破数も増えてるから、お金も結構増えてるはずだよ。でも、祐一達も凄く頑張ってるから、7人分、ちゃんと分けるけどね」

そう、祐一や舞達の戦果もあり、モンスターは随分と倒してきた。政府との約束は「モンスター1体撃破ごとに、それ相応の生活費を支給」ということになっていたので、今月(月給制らしい)はかなりの金額が送られることになっている筈なのだ。

家のポストを確認しようとする竜也。ちなみに、ここに7年ぶりに訪れたときは、ポストの中に大量の広告があった。

・・・なぜか、手紙や小包の類は全く無かったが。

「金をそんな、ほぼ無防備なところに投函するのか?」

ミツルの疑問にも答える。

「それはないよ。ここに来るのは「今日の何時に何処に行けば渡します」ってことを書いた手紙が来るんだ」

そう言って、改めてポストを確認する。

だが・・・

「あれ・・・ない」

竜也に、毎月送られていた手紙が無い。変わりに、違う雰囲気の封筒が入っていた。

 

「NoMen」

 

差出人の欄には、その単語のみが記されていた。

「のーめん?」

あゆは首を傾げながら、そのまま読む。

「ちがうよ、NoMen(ノーマン)。おれが言ってた政府組織の名前だよ。それにしても、なんだろう…?」

竜也が封を開けると、中には2枚の書類があり、それに目を通す。

「うそぉ…」

「どうしたの?」

あゆ、ミツル、真琴の3人は、書類を覗き込む。

「政府からお金がこない!」

竜也はそう言って、1枚目の書類を渡し、あゆたちがその書類を読む。そこには短く、こう記されていた。

 

「この度、我が組織に新たな戦力が投入されることとなり、貴殿の力は不要と判断いたしました。よって、これまで支給されていた生活費は、その戦力への維持費にまわすことになり、以降の支給額は無しということになりました。何卒、ご理解のほど、よろしくお願いします」

 

「つまり、おまえは収入の無い無職になった訳だな」

「うっ…ひどいなミツル…」

ミツルがキツイ言葉を述べる。

「あう…」

真琴は竜也が持っているもう1枚の書類を指差す。

竜也もそれを読んでいないので、4人で読む。

 

「なお、新たな戦力を御披露したいと考えております。以下に地図を掲載いたしましたので、指定された場所に本日11時よりお越しください。               NoMen」

 

その文の下に記述どおり、地図がある。あらかじめ分かりやすく、作り変えられている。

「どうする竜也?」

「行ってみよう。祐一達も、とりあえず呼ぼう」

 

辿り着いた先は、竜也達の居る雪の街から、少し離れた場所にある荒野だ。

「あの人たち?」

舞が指差す先に居るのは2人の男。そのうちの一人は以前、ディエンドが呼び出したオルタナティブとオルタナティブ・ゼロを目撃した白衣の男である。

「お待ちしておりました、龍崎竜也様。そして、同じく仮面ライダーである、相沢祐一様、川澄舞様、北川潤様、久瀬シュウイチ様、虎水サトル様、斉藤ミツル様。他の方々は、以上の方々と親交の深い、月宮あゆ様、沢渡真琴様ですね?」

もう一人の男は、淡々と仕事をこなすように述べる。

「あんた達は、誰だ?」

祐一は、彼らが名乗らないことに少しだけムッとして、返す。

「申し遅れました。我々は、未知の脅威に対する極秘調査、解決を行う組織「NoMen」。私はそのエージェントである仲村ソウイチ。そしてこの方こそ、我が新たな戦力の開発者である香川ヒロユキ博士でございます。自己紹介を行わなかった無礼をお許しください」

「お、おう・・・」

「仲村ソウイチ」のかなり硬い挨拶に、潤は少しだけ縮こまる。

「新しい力って・・・一体?」

とりあえず、本題に入る竜也。

「これですよ」

今まで黙っていた「香川ヒロユキ」が、突然、懐からあるものを取り出す。

「カードデッキだと!?」

ミツルは目を見開いてそれを凝視する。確かにカードデッキにそっくりだが、どこか違う。アドベントカードを引く部分が逆だったり、いたるところに、人工物と思わせるようなネジが締められている。

「人工ですがね。実のところ、1年ほど前から、仮面ライダーに匹敵する力、そのために必要な人工モンスター「サイコローグ」を開発する事は出来たものの、その力を制御するプロテクトスーツの開発が滞っていたのです。しかし数日前、私が目撃した2体の黒い戦士。その姿は完全に私の理想に近かった。それからほぼ時間を掛けずに、完成に至りました。これはまだ試作品ですが、まもなくさらに安定し、ある程度鍛えた者ならば、誰もが装着可能となる実践用が完成します」

香川の言葉は、相手が分かりやすいように考えられたような感じだった。

「その力を見せるために、僕らをここに呼んだのですか?」

久瀬が聞くと、香川はフッと笑い、

「それもそうなのですが、もう一つ」

「なに?」

サトルが急かすことを、楽しむかのようにゆっくり答える香川。

「危険分子「仮面ライダー」の排除ですよ」

「仮面ライダーって・・・おれたちが危険分子だと!?」

祐一の言葉を無視してデッキを翳すと、腰の部分に龍騎たちとは、全く違うベルトが現れる。

「見るが良い。この世界を救う新たな戦士の力を!変身!」

竜也達と同じように叫び、デッキを装填すると、香川の身体は龍騎たちと似通ったプロセスで、アーマーが装着されていく。

その姿は・・・。

「あの泥棒ライダーの呼び出した・・・」「オルタナティブ・ゼロ!?」

久瀬と潤は見覚えがあった。その姿はまさに、以前ディエンドが召還した「オルタナティブ・ゼロ」だったのだ。竜也たちもそのことを聞いていた。

「お詳しいですね。と言う事は、あの黒い2人の戦士も同じコードネームなのですね。では・・・お手並み拝見ッ!」

オルタナティブ・ゼロは竜也達に向かって襲い掛かった。

「わたし達が危険だって証拠はある・・・?」

舞は走り寄ってくるオルタナティブ・ゼロに向かって聞く。

「充分と言えるほどありますよ!ハアッ!」

答えながらも、オルタナティブ・ゼロは行動を止めない。一度地面を蹴って空に飛び上がり、拳をぶつけようとする。

「危ないっ!」

竜也たち仮面ライダーは、あゆたちを庇いつつ避ける。

「貴方達以外にも、現時点で5人の仮面ライダーの目撃情報があります。オレンジの戦士、銀色の戦士、黄緑色の戦士、水色の戦士、そして紫の戦士。彼らは全てモンスターと共に、街や人間に凄まじい危害を加えています。以上の内、4人はここ最近の目撃情報はありませんが、紫の戦士は、現在も破壊活動を続けています。彼らの姿の特徴からして仮面ライダーであることは明白。同じような仮面ライダーが、例え味方だとしても、信用できると思いますか?」

「てめぇ!?」

述べた戦士たちは、シザース、ガイ、ベルデ、アビス、王蛇の事だろう。オルタナティブ・ゼロの言葉からして、未だにオーディンの目撃情報は皆無らしい。

潤は頭に血が昇り、オルタナティブ・ゼロに掴みかかるが・・・

「そういったように、簡単に怒る攻撃的な点も問題ですね」

ガッ!

「ぐあっ!」

潤は、払い除けられる。

「ちがうよ・・・。ちがう!」

あゆは、オルタナティブ・ゼロに向かって力いっぱい叫ぶ。

「竜也くんたちと、あんな人たちを一緒にしないで!あの人たちは、悪いことをしているかもしれない・・・。でも、竜也くんたちは、ボクたちを守るために必死に戦ってるんだよ!」

彼女の心には、一時期、恐れていた事態が現実になろうとしているという焦燥が支配していた。

 

悪の仮面ライダーがいるのでは、万が一、仮面ライダーの存在が明るみになった場合、竜也たちの立場も悪いものとなるかもしれない・・・。

 

命を掛けて戦っている竜也たちを、そんな風に思って欲しくなかった。

「貴方は、初めてモンスターと遭遇したとき、どう感じましたか?」

「え・・・?」

あゆに疑問を投げかける、オルタナティブ・ゼロ。

・・・竜也と7年ぶりに再会したときのことだ。

あゆは、竜也たちとかけがえのないひと時を過ごしていた。

そのときに出会った、異形の怪物。

 

怖い・・・。

 

「・・・と感じたでしょう?」

まるで、心を読むかのように口を挟むオルタナティブ・ゼロ。

「仮に、初めてであったそれが破壊活動を行う仮面ライダーであって、貴方を守ろうとしている龍崎君も仮面ライダーだと知った場合、簡単に彼を信用していましたか?」

あゆは迷わず答える。

「信じてたよ!だって、竜也くんは・・・7年前からずっと変わってなかった!みんなのことをすごく大切にしてくれる!優しいところも・・・笑顔も…」

「違うよ」

竜也があゆの言葉を遮る。

「この街に戻って来る前、真司さんから龍騎を受け継いですぐの頃、おれの心は、ものすごく弱かった。今だって強くなんて無いけど・・・あのときのおれは、下手をすれば悪の仮面ライダーにだって成り得たかもしれない」

竜也の心の奥に、1年前より少し後の頃の記憶がよみがえる。

 

「グウウウウゥ!」

「きゃあっ!離してっ、助けてええええぇ!」

「はあっ!」

「グギァ!?」

「大丈夫ですか!?」

「いやっ!こ、来ないでバケモノ!」

「ち、違います!僕は、あなたを守るために・・・」

「いや・・・いやあああああああああああぁ!」

「どうして・・・?僕は、守りたいだけなのに・・・。こんなことなら・・・いっそ・・・」

 

「それに、人間は自分で理解し辛いモノは、怖がったり、拒否することが、多かれ少なかれある。仮面ライダーがそういう風に見られることは仕方がないことなんだよ・・・」

「そんなのいやだよ・・・ひどいよ・・・ぐすっ・・・」

大粒の涙を流しながら、竜也の胸に顔をうずめて泣きじゃくるあゆ。

竜也は、顔を伏せる・・・。

が、次の瞬間、オルタナティブ・ゼロに顔を向ける。

「でも、あなたに一つだけ言いたい!あなたたちや世界中の人々がなんと言おうと、絶対に、人々を守る!」

そう言って、あゆをそっと離し、デッキを構える。

「変身っ!」

現れたのは、人を守るという強い覚悟を持った一人の仮面ライダー。

「おれにやらせて。あの言葉を覆すつもりは無いけど、祐一達だって仮面ライダーとして、必死に戦っている。そのことを少しでも分かって欲しいから・・・」

龍騎は拳を構えて、オルタナティブ・ゼロとにらみ合う。

「デェアアァ!」「だあっ!」

ガッ!

2人はクロスカウンターの要領で、それぞれの拳がそれぞれの頬に抉りこまれる。

「うあっ・・・!」「ヌッ・・・」

龍騎は口元を拭うような動作を行い、叫ぶ。

「おれの尊敬する人が言っていました。人を守る思いや願いが何よりも強くて、その気持ちに見合った力を得た「人間」・・・。それが、本当の仮面ライダーなんだ!」

 

「この世界でも造られたのか・・・」

オーロラの壁を通して、龍騎とオルタナティブ・ゼロを見つめるオーディン。

「どの世界においても、神崎士郎及び、仮面ライダーオーディンの障壁となった。仮面ライダーではない戦士。・・・排除の手立てを考えねばな」

 

 

 

続く・・・。

 

 

 

 

 

次回!

 

                やはり危険ですね・・・。

 

報われないことだって、あるんだよ・・・

 

                くそっ!あの分からずやっ!

 

そんな・・・こんなことって・・・

 

               完成品、オルタナティブ・・・!?

 

 

 

 

 

 

第29話 「擬似戦士」

 

 






キャスト

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

月宮あゆ

相沢祐一=仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム

北川潤=仮面ライダーライア
久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ

沢渡真琴
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斉藤ミツル=仮面ライダーインペラー

一般女性

仲村ソウイチ
香川ヒロユキ=オルタナティブ・ゼロ

仮面ライダーオーディン
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