仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第3話 「戦いと約束」

 

仮面ライダー龍騎は蜘蛛に似た怪人「ソロスパイダー」と向かい合いファイティングポーズを取る。

幸い、あたりにあゆと栞以外の人はおらず、場所も開けた土地なので、移動する手間は省けた。

「シャアアアアアアアア!」

先手はソロスパイダーだ。腕にある鋭い爪が、獲物である龍騎を襲う。

しかし龍騎は

「・・・はぁっ!」

ガキィン!

なんと左腕で防ぐ。普通なら切り落とされたであろう。そうならなかったのは、龍騎の召還機「ドラグバイザー」が竜也の左腕を守ったからである。

「たあっ!」

ドガァッ!

「グギッ!?」

龍騎は余っていた右腕を思い切り振り上げ、ソロスパイダーを殴り飛ばす。その強力な拳にソロスパイダーは数メートル吹き飛ぶ。

怒り狂ったソロスパイダーは先ほどよりもさらに勢いを上げ、その凶刃を龍騎に振りかざす。龍騎は先程ベルトに装填したカードデッキから、一枚のカードを引く。そのカードには紅い青龍刀が描かれていた。左腕に装着された召還機「ドラグバイザー」にカードを差込み、読み込ませる行為「ベントイン」を行った。

<SWORD VENT>

ドラグバイザーから無機質な音声が流れると、空から光と共にカードに描かれていた青龍刀「ドラグセイバー」が龍騎のもとに現れる。それをソロスパイダーに負けじと、龍騎はドラグセイバーを右手に斬りかかる。

「でやぁっ!」

ザンッ!

「ギシャアアアアッ!!」

ドラグセイバーは凄まじい切れ味で、ソロスパイダーの右腕の爪を切り落とした。あまりの痛みに膝をつき絶叫するソロスパイダー。

そのときの龍騎はどこか悲しそうな雰囲気があった。

 

物陰で見ていたあゆはそのことに気付く。

「竜也くん、悲しそう・・・」

「あゆさん?」

栞には感じ取れなかったのだろう。不思議そうな表情であゆに聞いた。

無理もない。今の竜也の顔は、龍騎の巨大な赤い目と額の龍の紋章が特徴の仮面に覆われているため、外からは表情が読み取れない。しかし古い友人であるからなのだろうか、あゆには分かった。あの竜也であった真紅の戦士は戦いたくて戦ってるわけではない。何か、使命感の様なもののために戦っているように思えた。

「だって・・・あんなに辛そうな竜也くん、初めて見たよ・・・」

「・・・そうでしたか。でも、わたし達には・・・」

「止めないと!」

「えっ!?」

「だって、あんな竜也くん見てられないよ!」

「あ、あゆさん!竜也さんが逃げてろって言ってたじゃありませんか!」

栞の制止を振り切り、あゆは龍騎の元へ走った。

 

龍騎はソロスパイダーに対して優勢だった。今まで戦い続けてきた経験もあるからか、苦戦はしなかった。彼は渾身の力でソロスパイダーを蹴り飛ばす。ソロスパイダーはされるがままに、吹き飛ばされる。

龍騎はカードを引く。それにはカードデッキや仮面の額の部分にも刻まれた龍の顔の紋章が描かれていた。

これを使えば勝てる。そう確信した。

そのとき、

「まって!」

「あゆ!?」

あゆが龍騎にしがみつく。女の子の力とは思えない力だった。突然のことに龍騎は困惑するが、すぐにあゆを引き剥がそうとする。

「あゆ、離れて!危険だ!」

「もういいよ!あんなに悲しそうにしてる竜也くん見たくない!」

この状況を好機と見たか、ソロスパイダーは龍騎とあゆに襲い掛かる。しかも、あろうことかソロスパイダー側にあゆが居たため、彼女が凶刃に晒されることとなった。

「シャアアアアア!」

「危ない!!」

咄嗟のことだったが、龍騎はすぐに気付き、あゆを抱きかかえて避ける。しかし、

ザァッ!

「うあっ!」

「竜也くん!!」

うまく避けきれずに、龍騎は右腕を切りつけられた。比較的、装甲の薄い部位だったため、深刻とまでは行かないが、鋭い痛みが襲う。

「いっつつ・・・あゆ、大丈夫?」

「ごめんなさい!ボクのせいで・・・」

「あゆが無事なら儲けもの。栞ちゃんは?」

「まだ隠れてる・・・」

「よし、あゆもさっきのところに隠れてて。おれなら大丈夫だから」

「でも・・・」

「いいから。ね?」

あゆに心配をかけないように、見えないと分かっていても、仮面の下で優しく微笑む。

龍騎に促されたあゆは戸惑いつつも、先程隠れていたところへ向かう。

再びソロスパイダーに向き直った龍騎は、持っていたカードをベントインする。

<FINAL VENT>

その音声と共に、空から真紅の龍が現れた。龍騎の契約モンスター「ドラグレッダー」である。

龍騎をはじめとした仮面ライダーは、契約モンスターの力を使うことにより常人を超えた力を発揮するのである。契約モンスターの力でライダーの力も上下するが、ドラグレッダーは比較的、強力なモンスターなので、龍騎も能力値だけで言えばライダーの中でトップクラスである。

ドラグレッダーは、龍騎の周りで円を描くようにして飛ぶ。

「ふんっ!はあああああああああああ!」

そして龍騎は力を蓄えているのだろうか。力強いポーズで構え、腹の底から湧き出るような声で叫ぶ。

足をそろえ、強く地面を蹴る。すると龍騎は、空に飛び上がった。身体をひねり、小さく丸める。その先にはソロスパイダーがいた。

ドラグレッダーは口から、灼熱の火炎「ドラグブレス」を吐く。その瞬間に龍騎はとび蹴りのポーズを取る。

「だあああああああああああっ!」

ドガアァァッ!!

ドラグブレスの凄まじい勢いで龍騎は急降下し、ソロスパイダーに激突し、強烈な爆発とともにソロスパイダーは跡形もなく消し飛んだ。

龍騎の必殺技「ドラゴンライダーキック」。その威力は数十メートル離れていたあゆと栞にまで余波が来たほどだった。

「ひゃあっ!」「きゃあっ!」

あまりの力に吹き飛ばされそうになるが、近くのものを必死に掴んだおかげで吹き飛ばずに済んだ。

龍騎が炎の中から現れる。デッキをベルトからはずし、変身を解く。そこには竜也がいた。

その表情は酷く疲れているようだった。

 

「竜也くん・・・」「竜也さん!」

隠れていた二人が心配そうな表情で駆け寄ってくる。右腕が少し痛むが、それを悟られないように取り繕う。

「二人とも平気?怪我は?」

「ボクは大丈夫・・・」「わたしも平気です。竜也さんは?」

「なんともないよ。二人を守れてよかった・・・」

ファイナルベントの余波が少し心配だったのだが、二人とも平気そうなのを見て、竜也は心から安堵した。

「ありがとうございます。竜也さん、すごくカッコよかったです!まるでヒーローですよね!」

栞は戸惑う反面、竜也の戦いに感動していた。彼女は、誰かを守るために戦う正義のヒーローというものにも、とても憧れていた。

しかし、竜也は困ったように笑い、

「はは・・・カッコよくなんてないし、おれには、ヒーローなんて似合わないよ・・・」

「え?」

「・・・でも、そう言ってくれたりする人がいると嬉しいよ。ありがとう、栞ちゃん」

栞は、竜也の先程の表情に困惑したが、彼の言葉で再び栞も笑顔になる。

「た、竜也くん、怪我してる!!」

先程から、黙りっぱなしだったあゆは、竜也の右腕を見てびっくりして大声を上げた。

コートの袖口から出血していたのだ。先程のこともあり、あゆはとても悲しくなった

「あ・・・血が」

「うぐぅ・・・やっぱり、あのとき・・・」

「あぁ、これはさっきのファイナルベントで、その辺の建物にぶつかったと思う。あゆを庇ったときはそんなに痛くなかったよ?」

嘘だった。あゆを心配させないため、罪悪感を持たせないためだった。幼い頃からあゆも竜也もそういう性格だった。二人とも、とても思いやりがあった。

「・・・でも、手当てはしないと!」

「大丈夫だよ。帰って水にでもつけたら・・・」

「わたしに任せてください」

栞はポケットの中から、消毒液や包帯などの医薬品が出てきた。どこから見ても、栞のポケットに入る量ではなかった。

「どこにこんなにたくさん入るスペースが・・・」

「それは秘密です。あ、そこに座ってください」

栞に言われたとおり、近くにあったベンチに座る。栞が竜也のコートの袖を捲り上げると、二の腕から出血していた。龍騎のスーツに守られたため、あまり大きな傷ではないが、放っておくのは好ましくない。栞は、慣れた手つきで竜也の手当てを行う。心配そうに見守るあゆに気づいた竜也はニッコリと微笑む。

「あゆ、大丈夫だって。男だったら、傷の一つや二つ付けないと強くなれないんだよ?」

「・・・そうなの?」

「そうなの。それに、この傷のおかげであゆを助けられたんだから」

「うぐぅ・・・やっぱり、ボクをかばったせいで・・・」

「あ・・・」

竜也は墓穴を堀り、嘘は早くもばれてしまった。何とかフォローする言葉を探す。

「でも、気にしないでよ。あゆが悲しい顔したら、守った甲斐がなくなるよ?さっきのたい焼き食べてたあゆの笑顔が、おれは好きだから」

栞は竜也の手当てを終わらせた。

「終わりましたよ」

「ありがとう。おれ一人じゃ、こんなにうまく出来なかったよ」

「どういたしまして。それより竜也さん、さっきのあゆさんへの言葉、ある意味告白ですね」

「え!?」

「へ?あ、いや・・・これは・・・」

竜也とあゆはリンゴのように顔が真っ赤になる。それを見た栞はくすくすと笑い、それにつられて竜也も苦笑いをした。あゆも、なぜか笑えた。ようやく、さっきの3人に戻れたようだ。

 

栞と別れ、あゆと竜也は夕闇の中を歩く。

「ねぇ、竜也くん」

「・・・ん?」

あゆは、意を決して聞いた。

「戦い・・・やめない?」

「・・・」

「だって、竜也くん、あのとき悲しそうだった・・・」

あゆの脳裏には赤い戦士の姿が浮かぶ。今回は自分のせいで迷惑がかかったし、この想いも単なる押し付けであることは分かっている。

それでも、大切な友達の戦う姿が、あゆには見ていられなかった。

「あゆ、戦うことは大変だし苦しいけど、おれは戦いをやめるつもりはない。仮面ライダーであることから逃げることはしない」

ある程度、想定した答えが返ってきた。あゆにはなぜ戦い続けるか分からないが、竜也はこれからも戦うつもりだ。

ならば、せめて・・・

「それなら、ボク・・・竜也くんの力になれない?」

「力・・・?」

「うん。ボクに、竜也くんが今やってることを無理やり、止めることはことは出来ないよ。だからせめて、竜也くんの力になりたくて・・・」

竜也は無言になる。あゆは、竜也に更なる迷惑がかかったと思った。

「ご、ごめんね。ボクなんかがいても、迷惑に・・・」

「じゃあこれからも、おれにあゆの笑顔をみせてくれる?」

「え・・・?」

「あゆの笑顔を見ると、元気が湧くんだ。これからの戦いで辛くなったときや苦しいときは、あゆの笑顔が、おれの何よりの力になる筈だから。ダメかな?」

竜也は、今の自分の正直な気持ちを告げた。あゆは、涙を流しながらも微笑む。竜也が自分を受け入れてくれたことがとても嬉しかった。

「ほら、涙拭いて!笑顔を見せてくれる約束だよ?」

「うん!じゃあ、指きりしよ?」

「あぁ!そういや、昔もこんなことたくさんしたっけ」

「えへへ、そうだね」

あゆは、ミトンの手袋を外す。竜也の小指とあゆの細くてやわらかい小指が絡み合う。

「「ゆ~びきった」」

二人はお互いに微笑む。

「約束だよ」

「うん、約束」

 

竜也の表情がいきなり変わった。何かを思い出したようだ。

「あっ!今日の晩飯がない!」

「えっ!?」

「探さないと・・・あら?」

竜也が買った夕飯の食材はすべて、通りすがった道に置いてあった。どうやらもとの道まで戻ったようだ。

「あった!おれの晩飯!」

「よかったね」

 

その後、それぞれの家へと帰るときが来た。

「じゃあ、ボクはここで」

「送っていかなくて平気?」

「うん。まだそんなに暗くないから大丈夫」

「そっか。気をつけてね」

「うん!ばいばーい!」

あゆは、夕闇の中へとあっという間に消えた。竜也は手を振りながら、それを笑顔で見送った。

「約束か・・・あの日の、約束・・・」

約束という言葉を呟きながら、竜也も家路へ歩みを進めた。

 

「龍崎竜也、仮面ライダー龍騎・・・。長い間、捜し求めていましたが、ついに見つけましたよ」

竜也は、自分の後ろで黒いコートを着た若い男が、竜也と同じようなカードデッキを左手に持ち、彼を見つめていたことは気付かなかった。

 

 

 

続く・・・。

 

 

 

 

次回!

 

 

ここにも、モンスターが・・・。

 

         ボクも一緒に行く!

 

わたしは魔物を討つものだから・・・。

 

         祐一と、女子高生剣士?

 

おれ達にも、背負ってるものがあるんだよ!

 

         ・・・何かが違う。

 

 

第4話「真夜中の学校」

 




後書き
いかがだったでしょうか?
ライダーはちょびっとだけでしたね。口調でばれるかもしれませんが、誰だかわかりますか?
次回は川澄舞が登場し、新たなライダー誕生の予感・・・!?
お楽しみに・・・。


キャスト

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

月宮あゆ

美坂栞

黒いコートの男

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