仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第35話 「残酷な本来の形」

 

 

「みんな…そう想ってるんでしょうか…?」

「うん、きっと。だからここであきらめないで、もっと立ち向かってみようよ。大丈夫だから」

竜也は自然と野上良太郎達に心を開き、彼らの導きを期待していた。

そう、昔の城戸真司に対してのように…。

 

キィィン…キィィン…

 

モンスターの接近音が響き渡る。

本来『龍騎の世界』または『龍騎の異世界』の仮面ライダーにしか感じ取れないのだが、ここにいる津上翔一、野上良太郎、ヒビキも感じ取ることが出来る。

紅渡や剣崎一真、天道総司に乾巧も同様。

つまり、オリジナルの仮面ライダー全員が可能というわけだ。

「行こう。俺達も手伝うから」

津上翔一は立ち上がり、竜也に手を差し伸べる。

それを掴み立ち上がった竜也。

「じゃあ、少年の彼女かな。着いて来るか?」

先ほどと同じように、右手首をくるりと回し、いたずらっぽく笑うヒビキ。

「か、彼女…!?」

あゆは、その言葉で顔が真っ赤。竜也も同様だ。

「ヒビキさん。あまり、からかわないでください。あゆちゃん、どうする?」

野上良太郎はヒビキに弱々しく注意し、あゆに聞く。

「行くよ!竜也くんに今まで守ってもらったもん。だから次は、ボクが守る番!」

あゆの決意に満ちた返答に、野上良太郎は優しく笑い、ライダーパスを翳して竜也の家の玄関を開く。

ちょうど、その瞬間の時刻は「午前11時11分11秒」。

「な、なんだ!?」「わぁ…!」

 

そこは、いつもの景色ではなく、虹色の空と何処までも続く砂漠、そして数多の扉だった。

 

プアアアアアァン…

遠くから警笛のような音が鳴り響き、新幹線のようなものが凄まじい速さでやってきた。

「ここは時間の狭間。そしてこれは時を越える列車「デンライナー」。今回は時を越えないけど、移動には最適なはずだよ。さぁ乗って」

野上良太郎に促され、竜也とあゆは「デンライナー」に乗り込んだ。

津上翔一とヒビキもそれに続く。

 

車両内は食堂車のようであり、中には、気の強そうな印象のある女性、奇抜な服装の女性、身なりの良い壮年の男性、そしてそれぞれ赤、青、金、紫の4体の怪人がいた。

とっさに竜也は身構えたが…。

「よう坊主。お前が真司の連れか?」

「え…?は、はい…」

赤い鬼のような怪人はなんとも気さくに話しかけた。どうやらモンスターではないらしい。

あまりの敵意の無さに、竜也は緊張が一気にほぐれた。

「やぁ、僕がエスコートしようか?」

「あ、えっと…」

続いて、青い亀をモチーフにしたような怪人があゆに向かって、手を差し伸べる。

当のあゆは、戸惑ってあたふたしていた。

「ウラ、困ってるでしょ!」

ボコ!

「いたっ!」

青い怪人は気の強そうな女性から拳骨をくらう。…物凄く痛そうだ。

奇抜な服装の女性が近づいてきて、妙に明るい感じで竜也とあゆに話しかけた。

「いらっしゃいませ~。デンライナーへようこそ!あと良太郎ちゃん、翔一君、ヒビキさん、おかえりなさい!」

「ただいま、ナオミさん」「いつもありがと真魚ちゃん…じゃなかった、ナオミちゃん」「よ、ただいま」

家に帰りついたように言う野上良太郎達。ちなみに津上翔一が名前を言い間違えたのは、この女性が『アギトの世界』にいる「風谷真魚」に酷似しているからだ。

「おかえり良太郎。…その子達が?」

「うん、龍崎竜也君に月宮あゆちゃん。2人とも紹介するね。僕の『電王の世界』にいる仲間たち。ハナさんにナオミさん。さっき竜也君に話しかけたのがモモタロス。あゆちゃんに話しかけたのがウラタロス、あそこで腕を組んで座ってるのがキンタロス、絵を描いているのはリュウタロス。そして、あの端っこに座っている人がこのデンライナーのオーナー」

「よろしくね」「ぐおぉ…」「あはは、よろしく~!君、僕よりちっちゃ~い!」

「ウラタロス」「キンタロス」「リュウタロス」はそれぞれ挨拶をする。キンタロスが寝ているのは置いておこう。

ただ、リュウタロスの一言にあゆがムッとする。

「うぐぅ~!気にしてるのにぃ…」

「こらリュウタ、あゆちゃんをイジメないの!」

リュウタロスは「ハナ」に叱り付けられ、縮こまってしまう。

「ごめんね、あゆちゃん。それと竜也君だよね、良太郎から聞いてるよ。安心して。わたし達は味方」

「うん、ありがと…」

ハナは竜也たちに優しく話す。リュウタロスやウラタロスに高圧的だったので、特にあゆは怯えていたのだが、少し安心したようだ。

「本来、デンライナーはチケットやパスを持っていなければ搭乗できないのですが、良太郎君に免じて、今回の件が治まるまでは、フリーということにしましょう」

「あ、ありがとうございます、オーナーさん」

「オーナー」は、静かに淡々と話す。その言葉の内容から竜也達に協力的なのは理解できた。

「…たいへんだったでしょう?」

「…はい」

ハナの言葉で、先ほどのことを思い出す。

 

そう、竜也はこの世界の元となった2つの世界…いや、どの世界の住民でもないのだ。

つまり、竜也のいるべきところは存在しない。

 

下を向いた竜也に「モモタロス」が話しかけた。

「なんだよ、落ち込みやがって。あのサングラスと白マフラー達が言ってた事、気にしてんのか?」

ここで言う「サングラス」は剣崎一真、「白マフラー」は紅渡のことである。

「天道たちの言うことなんか、気にせんでええで。あいつら、かなり強引やからな」

「そうそう、女の子を平気で泣かせるなんて、どうかしてるよ」

いつの間にか起きていたキンタロスやウラタロスも竜也を気遣う。

「みんな、紅達の悪口はやめろよ」

意外にも、今まで黙っていたヒビキは紅渡達を擁護した。

続いて、津上翔一が話す。

「竜也君、あゆちゃん。紅君達は決して悪い人じゃないんだよ。確かに、4人とも竜也君を苦しめてるかもしれないけど、それは君のいる世界を想ってやってることだし、その方法が正しいとも考えてない。でも今は世界を救う方法がそれしかないし、本当はみんな辛いはずなんだ。それを隠して竜也君を消そうとしているんだ。押し潰されそうな罪悪感に必死に耐えながら…」

あゆは、今まで剣崎一真や紅渡たちは心を持たない冷酷な存在と見てしまっていた。

だがそれは違うのかもしれない。今のヒビキと津上翔一の言葉でそう思えてきた。

ずっとヒビキたちが話し始めて、ずっとデンライナーの窓を見ていた野上良太郎は、突然、振り向く。

「…さ、モンスターのいるところに着いた。行こう」

「ちょっと待て、良太郎」

突如、モモタロスが良太郎に声をかけた。

「今のそいつじゃ、まともに戦えねぇ!」

そう言うと、モモタロスの身体は半透明になり、竜也の体にとりついた。

いわゆる憑依というやつだ。

その瞬間、竜也の髪は総毛立ち、赤いメッシュが入り、瞳の色も赤くなった。

「俺、参上!(ど、どうなってるんだ!?)」

「た、竜也くん!?」

モモタロスの声で叫ぶ竜也(以下、M竜也)。竜也も叫んだのだが、身体が言うことを聞かず、その声はモモタロスにしか届かない。

今、竜也の身体はモモタロスが支配しているのだ。

さすがにあゆも、開いた口が塞がらない。

「ちょっとだけ手伝ってやるよ!」

「あ、まってよ!」

そう言って、M竜也はデンライナーを飛び出した。

あゆ、野上良太郎、ヒビキ、津上翔一も続く。

 

冷酷に告げた剣崎一真。

その優しい心を仮面ライダーと言う名の仮面で隠して…。

「どういうことだよ?」

祐一が聞く。

「龍崎竜也を消さないならば、少なくとも消滅までの時間を延ばす方法はある。それが物語の矯正だ。お前たちを本来辿った物語に近づける」

剣崎一真は理解し難い言葉を残し、オーロラの中へ消えた。

「とりあえず、竜也君をさがそうよ!」

サトルの言葉で、全員が竜也を探し始める。

 

それが命取りになることも知らずに…。

 

その頃、買い物に出かけていた秋子が横断歩道を歩いていると…。

「水瀬秋子だな?」

ふと、声をかけられる。

振り返ると、乾巧が立っていた。

「貴方は…?」

「…悪いが、アンタには本来の物語に沿った運命を辿ってもらう」

「あの、どういう…」

 

パアアアアアアアアアァ!

 

クラクションがけたたましく鳴り響くが、秋子が気づいたときは遅かった。

おそらく、乾巧に呼び止められなければこのような事態にはならなかっただろう。

辺りには人だかりができ、救急車が呼ばれようとしている。

「こうするしかないんだ…。こうするしか…」

残された乾巧は、自分に言い聞かせるように呟き続けた。

 

竜也を探し始めたミツルと真琴と美汐。

目の前には天道総司が現れた。

「天道総司…!」「あうぅ…」「邪魔をするのですか…!?」

怯えきって、ミツルの後ろに隠れる真琴。

「沢渡真琴、お前は運命に逆らうことは出来ない。あるべき形に戻れ。この世界ではなかった「妖狐」としての記憶を取り戻し、運命に身を任せろ」

天道総司が真琴に向かって手を翳す。

すると…。

「あ、あぅ…」

「「真琴っ!?」」

突如、真琴が倒れた。

ミツルが真琴の額に手を置くと、凄まじい熱を感じた。

「まさか…あのときみたいに…!?」

真琴と別れた数日前、彼女は高熱を出し、記憶を失い、自分の前から姿を消した。

昔のような恐怖に苛まれるミツル。

「真琴、おきろっ!真琴おおおおぉ!」

「はぁ…はぁ…ミ…ツ…ル…」

必死に揺するが、すでに真琴の意識はない。苦しそうに顔をしかめ、荒い呼吸を繰り返している。

それでも弱々しく、ミツルの名前を呼ぶ。助けを求めるように…。

「間もなく、本来の物語の中で彼女が失っていた記憶を全て取り戻す。この世界では存在しない「妖狐」の記憶を取り戻し、自分が人間であった記憶を忘れ…」

「天道総司いいいいいいいいいいいいいいいいいぃ!」

怒り狂ったミツル。

デッキを構えてVバックルに装填し、インペラーへと変わった。

「ミツルさん、落ち着いて下さい!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!!」

美汐の忠告を一切耳に入れず、咆哮を上げながら天道総司へと襲い掛かる。

しかし、天道総司は一切取り乱さず、カブトゼクターとハイパーゼクターを呼び出す。

「変身」

<HEN-SHIN><CHANGE HYPER BEETLE>

ガキィ!!

インペラーの怒りに満ちた攻撃も、カブトHFには全く効き目がなかった。

「ハッ!」

ガコォ!

「ぐがあああぁ!」

逆に反撃を許され、無様に地面を転がるインペラー。

「おのれぇ…!」「ミツルさん!」

自分の力のなさを思い知る。大切な存在を傷つけた者に一矢報いることすら出来ない。

美汐が必死に抱き起こす。

その様子を見ていたカブトHFは変身を解く。

「考えは変わったか?龍崎竜也を消せ。そうすれば彼女は俺達が救う」

「竜也を…消す…」

心が揺らいだことを確認した天道総司は、歩き去った。

しかし、その後ろにあった表情は、決して冷酷な表情ではなかった。

例えるならば、罪を犯した者が悔いる表情…とでも言うべきか。

 

潤と香里と栞の前には、紅渡が現れる。

「出やがったな…相手になってやる!変身!」

デッキを構えてVバックルに装填し、ブライへと変身する。

「香里、栞ちゃん、行け!」

「でも…」「北川君…」

「早く!こいつ等に先を越される前に!」

ブライの説得に応じ、竜也の捜索を再開しようとするが…。

「僕は貴女に用があるのです、美坂栞さん」

紅渡はそういうと手を振り上げ、辺りをオーロラで包み込んだ。

「きゃっ!」「な、なによ!?」

目の前を覆うオーロラに驚いて飛び退く2人。逃げ場はない。

「くそ!」

<SWORD VENT>

ブライはガルドサンダーの羽を模した「ガルドセイバー」を構え、攻撃を開始する。

「うおりゃあああぁ!」

「貴方には用がないのですが…やむを得ません。変身」

紅渡の言葉で、覆っていたオーロラからキバットとタツロットが現れ、ベルトと腕に自ら装着され、キバEFへと姿を変えさせた。

「ザンバット…!」

キバEFが呟き、タツロットの口に手をやると、そこからザンバットソードが現れた。

ガキィン!

ブライの渾身の一撃だったが、キバEFには苦にもならなかった。

「ハアッ!」

「おわあぁ!」

ドガアァ!

「ぐあっ!」

吹き飛ばされ、オーロラに叩きつけられたブライ。

「北川君!」「北川さん!」

ブライの身を案じた2人が駆け寄る。

「まだだ!」

<ADVENT>

「クワアアアアァ!」

ガルドサンダーが現れ、キバEFに襲い掛かるが…。

「バッシャーフィーバー…!」

キバEFはタツロットのレバーを引き、腕に「バッシャーマグナム」を装備し、タツロットと合体させる。

「ハアアァ…ハッ!」

ズダアアアアァ!

バッシャーマグナムはタツロットを経由し、炎と水を纏った光の弾丸を放った。

キバEFの必殺技の一つ「エンペラーアクアトルネード」である。

「ケアアアアアァ!」

ここで爆発を起こし、中にいる者が巻き込まれることを懸念したためか、どうやら威力は抑えたらしい。

ガルドサンダーの致命傷には至らなかったが、それでも一時的に行動不能へと陥ってしまった。

「くそっ!」

「では、本来の物語へ…」

変身を解いた紅渡はオーロラの中に手を突っ込み、なんとも美しいバイオリンを取り出した。

その名は「ブラッディ・ローズ」。

紅渡は目を閉じて、ゆっくりと演奏を始める。

その曲は、悲壮感の漂う曲調で、自然と栞の目から涙がこぼれた。

「えぅ…身体が…?」

栞が突如、地面に座り込む。

「栞っ!」「栞ちゃん!」

ブライと香里が駆け寄るも、近づいたときには意識がなかった。

「本来の物語では完治できなかった病が、この世界では完治しました。だから、本来の物語に沿って、病を再発させたのです。世界の崩壊までの時間を長引かせるために…」

「なんですって!?」「おまえっ!」

「龍崎竜也さんを排除することに協力していただければ、美坂栞さんの病は、僕が責任を持って治しましょう」

ブライと香里の非難を無視し、オーロラの中へと消える紅渡。

「また一つ…美しい音楽が消えるのかな…。父さん、これで良いんだよね…?」

苦痛に満ちた表情を誰にも見せずに…。後悔の言葉は誰にも聞こえないように…。

 

M竜也達の向かった先は、王蛇が破壊活動をしていた。

反応の原因は、ベノスネーカー、メタルゲラス、エビルダイバーにあった。

「足りないんだよこれじゃあ!もっと戦わせろおおおぉ!」

「おう、蛇野郎!」

「あぁ?」

「俺のカッコイイ変身、特別に見せてやる!」

そう言って取り出したのは、カードデッキ。

「変身!」

普段とは少し違うポーズでVバックルに装填する。

いつもの龍騎だが、様子は激変していた(以下、M龍騎)。

「ヘヘッ。俺、再び参上!」

決めポーズを取ると、デッキからアドベントカードを引き、ドラグバイザーにベントインした。

どうやら、使い方は理解しているらしい。

<SWORD VENT>

ドラグセイバーを構えるM龍騎。ブンブンと振り回しながら王蛇に攻撃を仕掛ける。

「いくぜ、いくぜ、いくぜええええええぇ!」

「ハハハハハハ!いいぜ、オマエェ!」

「モモタロスと竜也君を援護ましょう!」

野上良太郎の言葉で、津上翔一とヒビキはベルトと音角を取り出す。

「「変身!」」

3人はそれぞれ電王LF、A響鬼、アギトSFに変身した。

「あゆちゃん、隠れて!」「うん…!」

電王LFから促され、近くの物陰に潜むあゆ。

「シャアアアアアアアアァ!」「グオオオオオオォ!」「シュウウウウウゥ!」

しかし、彼らがM龍騎の応援に向かうことは出来ない。ベノスネーカーたちが立ち塞がっているからだ。

「ウラタロス、力を貸して!」

<URA ROD>

「テェアァ!」

デンカメンソードのレバーを引き、エビルダイバーに向かって振りかざすと、デンリールが現れ、エビルダイバーを縛りつけ、押さえ込もうとする。

「よろしくな!」

A響鬼は腰に携帯していた「ディスクアニマル」をアームドセイバーで読み込み、「ハガネタカ」「カブトオオザル」「ヨロイガニ」へと変形させ、メタルゲラスに援護を指示した。

ガキィ!ズガァ!ガゴォ!

「グゴオオオオオォ!」

かなり強力な支援メカなのか、メタルゲラスは怯むどころか吹き飛ばされ、動きが鈍くなっていた。

「シャアアアアアァ!」

溶解液を吐き出すベノスネーカー。その動きを瞬時に見極め、すばやく避けるアギトSF。

両者一歩も譲らずといったところか。しかし、総合的な実力はアギトSFが圧倒的に勝っていた。

「ハァッ…!」

シャイニングカリバーを呼び出し、ベノスネーカーに応戦する。

 

ガキィン!

その間もべノサーベルとドラグセイバーがぶつかり合っている。

「オマエ、何時もより面白いなァ!」

「当然だ!俺は最初から最後まで、徹底的にクライマックスなんだからよ!」

この2人は、もしかしたら似た者同士なのかもしれない。

戦うことを望み、その2人が今ここで出会った。唯一の違いは、その戦う意志がどこに向かっているかだろう。

M龍騎の中にいるモモタロスは、自分の大切なものを守るため、戦いを望んでいる。

一方の王蛇は、自分の中に沸き起こる闘争本能に身を任せていた。

 

サトルはモンスターの反応を聞きつけ、竜也を探しつつモンスターのところへ向かっている。名雪も後に続いているが…。

「そんな悠長にしていて良いのか?」

そこに剣崎一真が立ち塞がった。

「モンスターが暴れてるんだよ!どいて!」

「水瀬秋子が事故に遭い、瀕死の状態でもか?」

「おかあさんが…?」

名雪が明らかに動揺した。剣崎一真はオーロラを呼び出し、それを指差す。

まるでテレビの映像のようにオーロラに映ったのは、惨劇となった道路とひしゃげた車、そして、血塗れになった女性の手…。

 

秋子だった。

 

「いや…いやああああああああああああああああぁ!」

「なゆちゃん!」

名雪は悲鳴を上げて走り去り、サトルもそれを追いかけた。

 

戦闘を続けているM龍騎と王蛇。

「デェア!」「ウラァ!」

ガキィン!

両者一歩も引かない。

しかし…

「…私の言った事が聞こえなかったか?」

「オマエ!?邪魔するなァ!」

オーロラが現れ、王蛇とベノスネーカーたちを連れ去った。

「ヘヘッ…尻尾巻いて逃げやがったぜ!」

勝ち誇ったように笑うM龍騎。

そこに意外な人物が現れた。

「あ、なんだテメェ?(ミツル…?)」

真琴を抱きかかえたミツルと、彼を必死に抑えようとする美汐。

「ミツルさん、やめてください!」「天野、邪魔しないでくれ…」

ミツルの声は震えていた。今までのような強い意志はどこにもない。

「竜也、許せ。こうしないと…真琴が…真琴が…」

呪文のように真琴の名前を呟き、ゆっくりと地面に降ろす。

「変身…」

デッキをVバックルに装填し、インペラーに姿を変え、ゆっくりと歩いていく。

M龍騎に向かって…。

「はああああああああああああああああぁ!」

ドガァ!

「ドワァ!何だよ!?(み、ミツル!?)」「ミツルさん、どうしたの!?」

突如、大きく叫びながら駆け出し、蹴りをぶつけた。

あゆもM龍騎も事態が把握できない。

「もう真琴を二度と失いたくない!だから頼む竜也、消えてくれ!」

その様子を見た電王LFは

「もしかして、物語の矯正を…!?」

何かに気づき、オーロラを使ってアギトSFを残して、どこかへ向かった。

 

あの後、秋子は病院に搬送され、名雪たちもそこへたどり着いた。

容態は悪いらしい。

待合室で、ずっと両腕で顔を覆って俯いている名雪。

「なゆちゃん…」

ゆっくりと肩に手を置こうとしたサトルだったが、名雪は身体を揺することで拒絶した。

「今までずっと一緒だったお母さんが、死んじゃうかもしれない…。もしそうなったら…わたし…もう笑えないよ…」

「そんな事ない!秋子さんは絶対に大丈夫だよ!」

「さぁ、どうだろうな…?」

そこに現れたのは乾巧。

「本来の物語もいくつかあり、彼女が死んだ物語も存在する。俺たちが物語を矯正したから、死ぬことも有り得る」

「君達が秋子さんを…!?」

サトルが立ち上がり、乾巧の胸倉を掴んだ。

ちょうどそこへ、患者が搬送された。

 

それは栞だった。

 

「栞!栞っ!」「栞ちゃん、しっかりしろ!」

一緒に潤と香里が着いてきたが、治療室の前で止められ、待合室で待たされるよう言われた。

「紅がやったらしいな…」

乾巧が呟く。

香里は待合室のソファーに座り、潤に話し始めた。

「栞、紅渡さんが言ったように、昔は重い病気にかかっていたの。やっと治って、これから学園生活を楽しもうって喜んでたのに…。女の子らしい恋もしたいって言ってたのに…。どうして…?」

「香里…」

「龍崎竜也のせいだ。…とは言っても、彼が居なくなったところで、彼女が死ぬ物語も存在していたがな」

2人の会話の中に入ってきた乾巧。

香里はいきなり立ち上がって、乾巧に詰め寄った。

「ねぇ、あの娘は何のために生まれたの!?せっかく取り戻せた喜びを失うためだけに生まれたって言うの!?」

「…彼女達を救いたいか?」

救いの手を差し伸べるように言う乾巧。

「そんな方法、あるの?」

サトルは警戒心を持って聞く。

「本来の物語を、世界を崩壊させずに直接、大きな干渉が出来るのは、オリジナルの仮面ライダーである俺達だけだ。龍崎竜也を消せば、それが可能となる。つまり、何が言いたいか分かるな?…これでも、迷うか?」

それだけ言い残して、乾巧はオーロラの中へ消えた。

 

久瀬、佐祐理、祐一、舞は同じ場所に集まった。

「見つかった…?」

「ダメだよ、どこにも居ない。途中でモンスターの反応があったけど、すぐに途切れて見失った」

「くそ、どこに居るんだよ…!」「北川さん達は、どうだったんでしょう…?」

どうやら、4人は街中を探したが見つけられなかったようだ。

「みんな!」

そこに野上良太郎とヒビキが現れた。

「僕らが竜也君のところまで連れて行く。渡さん達が、僕達の考えてた最悪の行動に出たんだ!」

「急ぐんだ!早くしないと少年が!」

有無を言わさず、野上良太郎たちはオーロラで4人を連れ去った。

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

 

次回!

 

             おれのせいで…みんなの幸せが壊れていく…

 

なゆちゃんが二度と笑えなくなるなんていやだ!

 

             どっちを選べばいいんだよ!?

 

なんで、竜也くんが全部悪いの…!?

 

             これは…!?

 

今日の空…澱んでるなぁ…

 

 

 

第36話「絆」

 







キャスト

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

月宮あゆ

相沢祐一=仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム

北川潤=仮面ライダーブライ
美坂香里
美坂栞

久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理

水瀬名雪
沢渡真琴
天野美汐
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斉藤ミツル=仮面ライダーインペラー

モモタロス
ウラタロス
キンタロス
リュウタロス

ハナ
ナオミ

オーナー

浅倉タカシ=仮面ライダー王蛇

紅渡=仮面ライダーキバ エンペラーフォーム
剣崎一真=仮面ライダーブレイドキングフォーム

津上翔一=仮面ライダーアギト シャイニングフォーム
乾巧=仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム
ヒビキ(日高仁志)=仮面ライダーアームド響鬼
天道総司=仮面ライダーカブト ハイパーフォーム
野上良太郎=仮面ライダー電王 ライナーフォーム

仮面ライダーオーディン

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