仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~ 作:龍騎鯖威武
第4話 「真夜中の学校」
夕飯を済ませた竜也は食器を洗い、家でくつろいでいた。
「今日はいろいろあったなぁ・・・」
今日一日の出来事を思い出していた。古い友人との再会、新しい人々との出会い。一人でいることの多かった竜也にとって、この一日の出来事はとても刺激的だった。
これからも、さまざまな人との出会いがあることに期待を膨らませ、寝床につくことにした。
しかし・・・
キイィィン・・・キイィィン・・・
「またか・・・!?」
それは後回しのようだ。モンスターの反応音が耳に入った瞬間、竜也は家から飛び出て、反応のする場所へと向かった。
不意に、後ろから・・・
「まって!」
少女の声が聞こえた。聞きなれた声だった。後ろを振り向くと、先程別れたばかりのあゆがこちらに向かって全力で走ってきている。
「あゆ、帰ったんじゃないの?」
「そうなんだけど、高校から、物凄い音が聞こえて・・・」
「高校?」
「だから、さっきのおばけが来たのかと思って・・・」
竜也は確信した。方向からいっても間違いない。
「おれもさっきモンスターの気配を感じたんだ。たぶんそこだな・・・」
「いくの?」
「ああ、おれが行かなかったら、犠牲になる人がいるかもしれない。そんなのは嫌だから」
「だったら、ボクもいく!」
あゆの突拍子もない言葉に竜也は驚いた。彼女に心配させていることは理解しているが、その行動はモンスターとの戦いに巻き込まれる危険性がある。
「それはダメだよ!危険だし、万が一あゆに何かあったら・・・」
「竜也くんだって、もっと危険な目に遭ってるよ!」
竜也は、これ以上説得していても聞いてくれそうにないと感じ、あゆの願いを聞き入れた。
それにこの口論が長引けば、モンスターによる犠牲者が増えるかもしれない。
「・・・わかった、全力で君を守る。でも、もしおれが駄目になりそうなときは、おれに構わずに、周りの人を連れて一目散に逃げて。これだけは約束して」
あゆがうなずくと、竜也はカードデッキを取り出した。それをかざし、白銀のベルトが現れる。
「変身っ!」
竜也が叫び、デッキをベルトに装填した瞬間、幾つもの虚像がオーバーラップするように現れ、仮面ライダー龍騎に変身した。
変身直後に、ドラグバイザーにアドベントカードをベントインした。
<ADVENT>
無機質な音声とともに真紅の龍ドラグレッダーが現れる。
龍騎はあゆの手をとり、
「乗って。こいつなら、より早くモンスターの居場所に行ける」
「う、うん」
あゆは、巨大な龍に怯えていたが、ドラグレッダーは暴れることなくあゆが乗ることを受け入れた。龍騎も続いてドラグレッダーの後ろに乗る。
「ドラグレッダー、頼む!」
「ガアアァァ!」
龍騎の言葉に呼応するようにドラグレッダーは咆哮して飛翔し、モンスターの居場所に、凄まじい速さで向かった。
一方、高校の校舎内・・・。
広い廊下で二人の少年と少女が、目に見えないモノと対峙していた。
「祐一、気をつけて」
「ああ、分かってるよ!」
少年は今日の夕方ごろに竜也と出会った祐一である。木刀を構え、目に見えない「魔物」の攻撃に対応できるように集中する。
髪を結んだ少女の方は静かに西洋刀を構え、魔物の様子を伺っている。
程無くして、魔物は音も無く少女に襲い掛かった。
「やあぁっ!」
ザンッ!
しかし少女は冷静に魔物を回避し、スキの出来た魔物の背中を西洋刀で切り裂く。
大振りな一撃ではなかったが、魔物には十分な効果があった。
少女は、西洋刀を振りかざして魔物を貫く。
魔物は命を失ったかのように、ゆっくりと消えたのが分かった。
「舞、やったのか?」
「はちみつくまさん」
舞と呼ばれた少女は、頷きながら彼女のイメージには合わない言葉を言う。肯定の言葉のようだ。
二人が安堵したそのとき、
「ギイイイィ!」
「「!?」」
二人が見たことの無い異形が襲い掛かってきた。とっさによけることが出来たが、一瞬でも反応が遅れていたら、異形の餌食になっていただろう。
魔物とは明らかに違う存在だった。今までの魔物は、姿は見えず気配だけで確認できる存在だったが、この異形は、はっきりと目視できる。
猪のような姿に、胸部から突き出した大砲のようなものが特徴的だった。
「舞、これも魔物か!?」
「違う・・・これは魔物じゃない」
二人は戸惑いながらも、目の前の敵に対し、臨戦態勢に入る。
異形が二人に襲い掛かろうとするが、
「ガアアァァ!」
ズドォ!
鼓膜が破れるような咆哮と共に、ドラグレッダーが開いていた窓ガラスから入り、異形に頭突きをお見舞いした。異形はたまらず吹き飛び、壁に激突する。
「・・・龍?」
二人が呆気にとられていると、ドラグレッダーは窓から出て行き、代わりに龍騎とあゆが同じ窓から入ってきた。
しかし、あゆは窓の淵に足を引っ掛け
べちっ!
「うぐっ!」
顔から思い切り床にたたきつけられた。
「あ、あゆ!大丈夫!?」
「うぐぅ・・・平気・・・」
赤くなった鼻をさすりながらも、あゆの言葉を聞いてほっとした龍騎は、祐一と舞に向き直る。
「大丈夫ですか!?・・・あれ、祐一と女子高生剣士?」
異形は、祐一のことを知っているような口ぶりだが、祐一は全く身に覚えがない。
「・・・だれ?」
「おまえ、おれを知ってるのか!?」
「・・・まあ、話は後でいいや。あゆ、二人を安全なところへ!」
「うん、二人とも、こっちに来て!」
「あなたは・・・」
「お、おい!何だよおまえら!説明しろよ!」
「いいから!」
少女は、二人の手を引いて、廊下の先の暗闇へと溶け込んでいった。
龍騎は3人が視界からいなくなるのを確認した後、「モンスター」と睨み合う。
「このタイプはワイルドボーダーか。素早いうえに、あの胸の光弾が厄介だな・・・」
龍騎は以前、このモンスターと同じタイプのモンスターに対峙したことがあった。
故に、このモンスターの特徴とその強さは理解していた。しかし、所持しているアドベントカードや今までの戦闘経験を駆使すれば、そう強敵でもない。三人のことも気になるので、出来れば早々に決着を付けたかった。
「しゃあっ!来い!」
龍騎はファイティングポーズを取り気合を入れると、龍騎とワイルドボーダー、両者とも駆け出した。
あゆ、祐一、舞は、先程の廊下とはかなり離れた階段に身を潜めた。
祐一はとりあえず、初対面の少女に自分の疑問をぶつけた。
「おまえらは一体何者なんだ?あの怪物を知ってるのか?」
しかし、あゆは首を左右に振って、
「あのお化けは「モンスター」って言って、ボクも今日の夕方に初めて見たんだよ。ボクと一緒に来た人はボクの幼馴染で「仮面ライダー龍騎」って言うんだ。これも、さっき教えてもらったばかりだよ」
あゆは、龍騎の正体をあえて隠して二人に説明した。竜也は隠せと言った訳ではないが、彼女はそうしたほうが良いと判断した。
次は舞が、あゆに尋ねた。
「・・・仮面ライダー龍騎は人間?」
「もちろんだよ。今はボク達を守るために一生懸命、戦ってるけど、いつもはとっても優しい男の子だよ」
あゆは人間だということ、とても優しい人であることなどは正直に話した。
「・・・勝てるの?あの怪物に」
「きっと大丈夫。ボクは信じてるから」
あゆは強い意志のこもった瞳でその言葉を述べた。祐一はあゆのその表情に驚いていた。こんな小さな女の子がこんなにも強い想いをもてるのかと。
突然、舞は立ち上がり、
「魔物・・・。仮面ライダー龍騎の場所に向かってる。・・・しかも二匹」
「何!?」
「え、どうしたの?」
あゆは、先程の表情はどこへ行ったのか、きょとんとした顔で二人を見つめていた。
「この子、どうしよう・・・」
「おまえ、名前は?」
「あゆ、月宮あゆだよ」
「じゃあ、あゆ。おれ達はもう一度、仮面ライダー龍騎のいるところに行く。たぶん、あいつが戦ったことのない怪物がいるからな。おまえはここで待ってろ」
「えっ・・・でも」
あゆが戸惑うのは訳があった。今日の夕方、あゆが龍騎の戦いに首を突っ込んだばかりに、彼は怪我を負ったのだ。戦えない人の介入は龍騎にとっては足枷になるかもしれない。
竜也の名前を隠していたので、龍騎という名前にいつも通り「くん」をつける。
「龍騎くんは、普通の人が戦いの近くに来たら、いやと言われても守ろうとするんだよ。二人がもしモンスターに襲われたら・・・」
舞は、持っている剣を見つめ、握っていた手にさらに力を込めてあゆを見た。先程のあゆに負けないほど強い意志のこもった瞳で。
「おれ達にも背負ってるものがあってな」
「そう。わたしは、魔物を討つ者だから・・・」
「魔物・・・?」
「祐一」
「ああ!」
「でやぁっ!」
バキィ!
龍騎は先程のソロスパイダー戦の如く、ワイルドボーダーを圧倒していた。
<STRIKE VENT>
アドベントカードをベントインし、ドラグレッダーの頭部を模した「ドラグクロー」が、龍騎の右腕に装着された。
「はああああぁ・・・たあっ!」
ゴオォッ!
龍騎は力強く構え、右腕を思い切りワイルドボーダーに向けて突き出すと、ドラグレッダーとドラグクローがドラグブレスを吐き出した。
「グギャアアアァ!」
ドガァン!
凄まじい火炎に成す術もなく、ワイルドボーダーは爆散した。
「よっし!・・・あゆたちが心配だな・・・」
龍騎があゆたちの元へ急ごうとするまさにそのとき、
ズガァ!
「ぐあっ!」
龍騎の背中に強い衝撃が走った。振り向くが、そこには何もいない。
「なんだ、一体・・・」
ガキィ!
「うあっ!」
次は右側から龍騎を狙ってきた。
「くそっ!やっぱりモンスターが・・・ん?」
龍騎は毒づく途中で、ある疑問に気付いた。
先程の攻撃を受けるまで、モンスターの接近を伝える、仮面ライダーにしか聞こえない反応音が聞こえなかった。こういったタイプのモンスターは初めてだった。
「新しいタイプか・・・?気配で感じ取れるかな・・・」
龍騎は仮面の下で目を閉じ、精神を集中させ、目に見えない敵の存在を感知しようとする。
しかし、心の奥で焦燥に駆られ、集中は乱れていた。
(・・・何かが違う。・・・こいつはモンスターじゃないのか?)
続く・・・。
次回!
おまえ、竜也じゃないか!
あれは魔物・・・。
魔物・・・?モンスターじゃなくて?
おれ達はそれぞれの専門分野があるみたいだな。
戦わせて。あなたと同じ力で・・・。
信じるよ、二人を。
第5話「闇夜を切り裂く二人の剣士」
キャスト
龍崎竜也=仮面ライダー龍騎
月宮あゆ
相沢祐一
川澄舞