仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第43話 「別れの夜想曲」

この時間が、1秒だったのか、1時間だったのか、よく分からない。あゆも竜也も…。

ただ、ある程度の時間があって、2人は離れた。

ボーっとする2人。

「あっ…!」

そして、あゆが意識を現実に戻したように、顔を真っ赤に染め、困ったような表情をして、一歩下がった。

「そ、その…ボク…ごめんなさいっ!」

「ど、どうして謝る必要があるんだよ!?」

竜也もハッとして、あゆから少し下がる。

くちづけなど2人にとっては初めてのことであり、お互いどう対処すればいいのかが分からない。

「だってボク、竜也くんの気持ち、無視してこんなこと…」

「おれは…」

 

「あゆが好きだ!」

 

「えっ…!」

「7年ぶりに、おれと再会して…おれが龍騎になって、危険な事に巻き込まれることになっても、暴走してバケモノみたいになっても、あゆはおれのこと、拒絶しなかった。それどころか、おれのことを支えてくれた。「仮面ライダー」とか「バケモノ」としてじゃなくて、おれ自身を見てくれた。それが嬉しかった!だから、君の事が好きだ!あゆは…おれのこと、好き…?」

自分の想いを全てぶつけた後、彼女の気持ちを聞き返す。

「ボクも…ボクも竜也くんのこと、ずっとずっと好きだったよ!」

一呼吸置いて、目を強く閉じて半ば叫びかけるように告白する。

「竜也くんがボクのこと、好きでいてくれるのなら…ボクも、ずっと竜也くんのことを好きでいられると思う!」

あゆはそれだけ言うと、顔を両手で隠す。

彼女もまた、竜也のことを想う人だった。

「よく分からないけど、きっとそういうものだって、ボクは思うよ…」

2人の心は、今ここに真の意味で通った。

「えっと…あはは、何言ってるんだろ、ボク。似合わないセリフは、言うものじゃないね…」

「ううん、そんなことない。おれも同じ気持ちだから」

あゆの手を優しく握り、微笑む。

「7年ぶりに再会できたんだ。これから7年分、思い出を作らないとね」

「竜也くん…。うん!」

あゆが竜也の胸に飛び込み、それを抱きしめ返す。

 

その姿を、嫉妬に燃えるような赤い瞳の竜也が見つめていた…いや、睨んでいた。

踵を返し、彼は離れていく。

「偽りで塗り固めた分際で…」

 

「ただいま」「ただいま、みんな!」

その後、竜也とあゆは家に帰りつく。いつもどおり、ミツルと真琴が出迎えてくれた。

「竜也、あゆ、おかえり!」「遅かったな。探し物か?」

「うん、そんなところ。見つからなかったけどね…」

そう言って、2人は顔を見合わせる。

だが、双方が互いの顔を見ると、先ほどのことを思い出し、顔が紅潮してしまう。とっさに目を逸らす。

竜也の目線の先には、ミツルと真琴がいる。2人はエプロンを着ていた。

「あれ…ミツル、真琴ちゃん、もしかして…」

「そうよ、あたしとミツルで料理!2人は待ってなさい!」「…既に皿を2枚割った奴が言うな」

「あうーっ!なによ!」「事実だろうが…」

早速、ケンカを始める2人。ただ、こんな日が続く事がミツルや真琴にとっては喜ぶべき事なのかもしれない。

「まぁまぁ…じゃあ、今日は2人に任せるよ。楽しみにしてるね」

竜也はそう言って、自分の部屋に向かった。

 

「ニャ~」

「真司さん…。おれ、誰よりも大切な人が出来ました」

自分の部屋で、ピロを撫でながら、天井を見上げる。

以前、城戸真司が言った言葉。

 

「人は、ただ一人では、どんなに強くても、何も変えられない。支えてくれたり、信じてくれる人がいれば、どんなに弱くても、何かが変えられる。その人が誰より大切な人なら、なおさらだ」

 

彼の言葉を、今なら強く信じられる。

「もっと…強く、いられる気がします」

ピロの撫でていた手を止め、ふと考える。

「でも…あゆは、幸せなんだろうか…?」

いま、自分は間違いなく幸せだと思う。だが、あゆはどうだろう?

あゆは、竜也を好きでいるとは言ったが、それは彼女にとって枷にはならないのだろうか。心配な気持ちで押しつぶされそうにもなるだろうし、命の危険に晒されることもある。

例え彼女が幸せだと言い張っても、それは本当の幸せなのか?

そんなとき、五代雄介の言葉も思い出した。

 

「もっと、我侭になっても良いと思うな」

 

「…もうちょっとだけ、自分の我侭、通してもいいですよね、五代さん」

暫くぶりの肩の荷が下りた笑顔を、誰に見せることなく、つくる。

そんなとき、ベランダのほうからノックをする音が聞こえる。

不思議に思いながらも、カーテンを開けると…。

「はわわ…」「あゆ!?」

そう、雪まみれになったあゆが体を震わせていた。

すぐに戸を開けて彼女を中に入れ、毛布をかける。

「うぐぅ…寒かったよぉ…」「上着も着ないで、どうしてだよ…!」

「…竜也くんとお話したくて…」「だからって、外を通る事ないだろ!?」

風邪でもこじらせたら大変だ。さすがに竜也は、あゆを叱り付ける。

「だって…ミツルさんと真琴ちゃん、すごく楽しそうだったから…」

邪魔をしたくなかったようだ。確かにここに来るためには、台所を通る必要がある。

「…バカだね」「うぐぅ…竜也くんにバカにされるなんて…」

あゆは優しい。それでいて、ちょっと自己犠牲的。でも怖がりで、臆病で、泣き虫で。

そんな彼女が愛おしく思えた。あゆの頭に手を置く。

「でも、そんなところを好きになったんだから、おれもバカなのかも…いや、バカだな」

「本当に?」「うん、本当」

彼女の額に、そっと口付けをするため、顔を近づけようとするが…。

「竜也、ご飯よ!ほら、バカあゆも!」

「うぐぅ!真琴ちゃんまで!」「はいはい、今いくね!」

真琴が呼んだため、直後に起こったあゆとのケンカを止めることも踏まえ、食卓へ向かう。

 

「…」

そのころ別の竜也は、一枚のアドベントカードを見つめている。

それは…

 

「SURVIVE~烈火~」だった。

 

次の日…。

「結局…手がかり無しだな…」「もう一人の竜也なんてなぁ…」

「彼は、恐らく用心深い。そう簡単に尻尾は見せないだろうね…」

祐一、潤、久瀬が百花屋で話をしている。

リュウガの手がかりを追っていた。だが、まるで掴めない。もともと存在していないかのように。

「栞ちゃん、竜也のこと心配してる」「だろうな…あいつ、竜也のこと気に入ってるからな…」

「でも、龍崎君は月宮君のことを…。彼女のことを思うと、胸が痛い」

潤がふと思い出したように言う。

あれから栞は、祐一達とは行動を別にしてリュウガを追っている。竜也の苦しみの大きな要素だからだろう。

 

「見つからないね…」

今日も、あゆと一緒に探し物をしたが、全く見つからない。

ベンチに座る。あゆは竜也の手の上に、自分の手を置く。

「きっと、今は見つからなくてもいいのかも…。今はすごく幸せだから…幸せな間は、見つからなくていいのかもしれない…」

そう言って、竜也に微笑んで見せた。一方竜也は、ふと思い出したことがあった。

「…そっか。じゃあ、おれの探し物、良い?」

「え…どんな?」

あゆの言葉に、すこし企み笑いをして答える。

「見てみたいな、あゆの学校。それがおれの探し物。報酬として、たいやきどう?」

「やった、いいよ!」

これが2人を引き裂く事になるとは、知る由もなかった…。

 

「きっと、見つけます…!」

栞は、様々な場所を探している。ただ、全くと言っていいほど、手がかりはない。祐一達と同様だ。

「おねえちゃん、どう…?」「ダメよ。全く持って」

姉である香里も協力してくれているが、結果は変わらない。

だが…それは、突然やってくる事もある。

「…龍崎君?」

目の前に現れたのは、竜也。下を向いて、ゆっくりと近づいてくる。

「ううん…おねえちゃん、違う!」

栞は香里の言葉を否定し、竜也に近づいた。彼女は、確信がある。

竜也は、あんなに影を落とした雰囲気ではない。

「あなたは…竜也さんじゃありませんね…?」

その言葉に、顔を上げる竜也。目を閉じていたが、ゆっくりと開く。

 

赤かった。

 

「…正しくもあり、間違いでもある」

本当の竜也が見せるとは思えないほど、邪悪な笑みを浮かべる。

ガッ!

「あっ…!?」

突如、栞の首を掴み、強い力で押さえつける。

「オレは「おれ」であり「おれ」ではない」

「えぅ…けほっ…!」「やめなさい!」

栞を救うべく、香里は無謀とわかっていても立ち向かう。

「邪魔だ」

ガッ!

「きゃぁっ!」

開いていた手で、香里の頬を強く叩く。

「言うなれば、オレは「おれ」の欠片が成長したモノ…」

「かけ…ら…?」

「奴が何故、長い間、孤独に戦い続けていても、あの性格を保っていると思う?」

意味不明とも取れるが、なにか意味深でもあるような言葉を並べる竜也。

「奴は欠けているんだよ」

 

「よせ!」「やめるんだ!」

 

「来たな…」

竜也が呟くと、現れたミツルとサトルが彼に襲い掛かった。だが、まるで先を読んでいるかのように栞を離し、すばやく避ける。

その隙に、香里が栞を抱きかかえ、その場から少し離れる。

「栞、しっかりしなさい!」「おねえちゃん…」

「あうぅ、大丈夫…?」「栞ちゃん…!」

後から名雪と真琴も来て、栞を抱き起こす。

同時に、ミツルとサトルが赤い目の竜也を睨む。

「おまえ…リュウガ!」

「斉藤ミツル…。「おれ」の古い友。まず、オマエから潰す…!」

そう言って彼が取り出したのは、黒いデッキ。

「変身…!」

バックルに装填すると、黒い虚像が竜也を包み、その姿をリュウガへと変えさせた。

「あいつはおれの苦しみを解放した。今度は竜也の代わりに、おれ達がおまえを倒す!」

「ミツル君、行こう!」

「「変身っ!」」

タイガとインペラーが構えを取り、リュウガと対峙する。

しかし、リュウガは全くうろたえず、むしろ喉を鳴らしながら笑う。

「…オマエ達、王蛇サバイブの餌食になるところだったようだな」

そう言って、デッキからアドベントカードを引く。

「今回は間違いなく、サバイブの餌食になるだろう」

そのカードは初めて見る絵柄だったが、炎を背景に黄金の翼。確信が持てる。

辺りには、業火が覆いつくし、雪を溶かし、街を焼き尽くそうとしている。

カードを翳しただけで、この余波が現れるほどのエネルギーを有したアドベントカードは一つだけ。

「烈火の…」「サバイブ!?」

リュウガは左腕を突き出す。すると炎に包まれ、ブラックドラグバイザーは、龍召機甲「ブラックドラグバイザーツバイ」に変化した。

「美坂達、早くここから離れろ!」

<<SURVIVE>>

インペラーが忠告しているうちに、リュウガは「SURVIVE~烈火~」をブラックドラグバイザーツバイにベントインする。

彼は見る見る炎に包まれ、それが消えたときには、雄々しくも禍々しい姿に変わった。

「仮面ライダーリュウガサバイブ」。

 

病室で、舞が外を見つめる。

「舞、どうしたの…?」

佐祐理が彼女を不思議に思い、話しかける。

「闇が…大きくなった」

彼女の「能力」の欠片が、何かを伝えている。

「ミツルが…危ない!」「舞っ!?」

舞は体に無理を言わせ、病室を出て行く。

 

あゆの学校を目指して、歩き続ける。2人の手には、出来立てのたいやきが握られている。

「竜也くん…ボク、怖いんだ…」

「怖い?」

唐突に、あゆが不安げな表情で呟く。

「今ボクは、本当に幸せ。でもそれが全部夢で、いつか消えちゃうんじゃないかって…」

以前、自分が龍騎であるがために、彼女を安心させる言葉は言えなかっただろう。

だが、今は言える。今の竜也は、大切な人がいるおかげで、自分自身を強く思えるから。

「…安心して。おれはこの雪が溶けて、春になっても、夏や秋が来て、また冬になっても、ずっと、あゆと一緒にいる。約束する」

横を向くと、あゆは涙を流していた。

「うぐ…ぐすっ…」「ほら、泣かないで。せっかくのたいやきが、しょっぱくなるよ?」

涙を拭きつつ、強がりな言葉を言う。

「うぐぅ…いいもん、懐かしい味だから」

「…急ごう。また降ってきそうだよ、雪」

竜也は、あゆの手を引いて歩いた。

 

ドガアアアアアァ!

「ぐおおおおあああああああああぁ!?」「うわあああああああぁ!」

「サトちゃん!」「ミツルぅ!」

サバイブの力は圧倒的過ぎた。2人は全く歯が立たず、ただされるがままに攻撃を受ける。

リュウガSは、倒れ伏した2人に確実な止めを与えるため、ゆっくりと近づく。

このまま立ち向かい続けても、恐らく全滅。

ならば…。

「…ここまでか。サトル、真琴達を連れて逃げろ。おれがあいつを止める!」

インペラーは苦肉の策を言う。ただ、それは自分を犠牲にする事を意味する。

「ミツル君!?」「斉藤君、何言ってるの!?」

「死ぬつもりですか!?」「どうして、あなただけが!?」

タイガを押して、真琴達の元に向かわせる。

「いいから行け!あいつは恐らく、おれ達全員が逃げたところで、追ってくる。そもそもあいつの今回の目的は、おれと言っていた。ここはおれが適役だ!」

「ミツル、だめよぅ!」

真琴だけは、インペラーに近づいて離れようとしない。

「行け!死にたいのか!?」「それじゃあ、ミツルが死んじゃうわよぅ!」

このまま説得していれば、いずれリュウガSの魔の手によって、仲間が死んでしまう。

時間はもう無い。

「くそ…止むを得ん!」

<ADVENT>

「キキイィ!」「ギイイィ!」

「ガゼール達、サトル達を連れて行け!早く!」

契約モンスターは、主のライダーに絶対服従する。ギガゼールやメガゼール達は、タイガや真琴達を抱えて、走り去った。

「ミツルぅ!ミツルうううううう!」

「ミツル君!くそ、離せ!」「やめてっ!まってよ!」

「斉藤君、やめなさいよ!」「あなたが死んだら、真琴さんは!」

5人の姿が見えなくなると、インペラーは嘲笑にも見える笑みを仮面の中で浮かべて言う。

「勘違いするな、おれは死なない。真琴と結婚すると約束したからな…!」

「別れは済んだか?」

振り返ったときには、リュウガSが目の前にいた。

ドゴオオォ!

「ごがあああああぁ!」

強い勢いで吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。

「あぁ…済んだ。…ただ、おまえとの別れだがな…!」

「…妥協した復讐鬼が」

再び、リュウガSの豪腕がインペラーに襲い掛かる。

 

あゆが案内するとおりに道を進んでいく。

だが、街からはどんどん離れ、雑木林がある獣道になっていく。

「あゆ…本当に…」

「あるよ…」

竜也があゆに問いかけるが、あゆ自身もどこか不安げな表情だ。

雑木林もなくなるどころか、どんどん険しくなり、やがて森の中に入っていった。

「こんなところに…学校が…」

「絶対にあるもん…!」

自分に言い聞かせているようにも見える。ただ、竜也はあゆを信じるしかなかった。

「あ、あそこ…!あそこが…ボクの…!」

森の中を通り抜けて、見えてきた開けた土地。

そこには…。

 

百花屋にいる祐一達の前に、舞が現れる。

「舞、おまえ!?」

「祐一…ミツルが…死んじゃう…!」

 

ズガアアアァ!ドガアアァ!

「ぐがあぁ!がはあっ!」

リュウガSの凄まじい速さと威力を備えた拳が、何度もインペラーの体に打ち付けられる。

普通ならば意識を失い、下手をすれば絶命してもおかしくない攻撃を、何度も受けても、立ち上がる。

「…どうした…本物の竜也は…もっと良い一撃だったぞ…?」

苦し紛れの挑発にも見えるが、インペラーの言葉は正しい。

以前のミツルが受けた竜也の拳は、心を感じた。自分のことを本当に想ってくれる、真心のこもった拳だった。

ただ、リュウガSの拳は違う。

インペラーであるミツルの命を奪うために振るう、無感情な拳だ。

「うおおおおおおおおぉ!」

自分も、最大の力を持って蹴りを放つ。

だが残酷な事に、リュウガSは防ぐ事も避ける事もしない。

…この攻撃自体が無意味なのだ。

ガッ!

「ぐっ…!?」

お返しとばかりに、インペラーの首を掴んで高く持ち上げる。

「強がりか…相変わらずだな」

「おまえ如きに…相変わらずなど…言われたくない!」

ドゴオオオオオオォ!

「がっ…!?」

リュウガSの拳が、再びインペラーの胸にぶつかる。

一瞬だけ呼吸が止まり、直後に気を失いそうなほどの苦痛が全身を走り、地面を転がる。

もう一度リュウガSを見つめると、彼は一枚のアドベントカードを握っていた。

「終わりだ…!」

<<FINAL VENT>>

「グオオオオオオオオオオオオオオオォ!」

音声と共にドラグブラッカーが現れ、その姿が「ブラックドラグランザー」に変わり、リュウガSの辺りを舞う。

避けるために、身体中にムチを撃ち、インペラーは立ち上がる。

だが、それは遅すぎた。次に前を向いたときには、黒い炎を纏ったリュウガSが視界を覆うほどに近づいていた。

「…真琴、やっぱり結婚はダメだ…。他を当たってくれ…」

 

<<ADVENT>>

 

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!

凄まじい爆発が起こったが、リュウガSは手応えを感じなかった。

「…逃がしたか」

そう、インペラーは取り逃がした。

サバイブを使うライダーを出し抜けるライダーは…。

「相沢…!?何をしている!リュウガが追いかけてくるぞ!?」

「ったく…カッコよく死ぬつもりだったのか!?」

同じサバイブを使うライダー、ナイトSだけだ。

ダークレイダーのバイク形態で、すばやくインペラーを拾ったのだ。

舞によって、ミツルの危機を知らされ、助けに来たらしく、なんとか救うことが出来た。

ダークレイダーを止めた先には、真琴達もいた。

「もう…!ミツルのバカ、バカ、バカ、バカ、バカぁ!」

「ミツル君、もう絶対にあんなことしないでよ!僕とは相棒だろ!?」

「本当に、北川君と言い、斉藤君と言い…」「死んだら、誰かが悲しむんですよ!?」

「でも良かったよ…。斉藤君、平気だったから…」

変身を解いたミツルは、自分の行動がどれだけ軽はずみな行動をしたのかを思い知った。

「お願い、ミツル…一人にしないでよぅ…」

「すまない、真琴…」

それだけ言って、ミツルは意識を失う。

 

竜也とあゆが辿り着いた先には…。

学校はなく、ただ大きな切り株のある開けた土地だった。

「ここって…」

竜也は見た事がある…いや、夢の中で見ただけの話なのだが。

夢の中で、リュウガと対峙した場所と全く同じだ。

そして…7年前のあゆと過ごしていた夢で、自分があゆに教えた「とっておきの場所」。

「どうして…ボク…ここ知ってる…学校…?」

あゆが、ゆっくりと切り株に近づいていく。

「だってボク、ここにいるよ…?それなのに、どうして…!?」

雪に足が埋もれる事も気にせずに膝をつき、泣き叫んだ。

「ボク、ここにいたらいけないの!?」

「あゆ…!?」

「嘘だよっ…そんなの嘘だよ!」

あゆはいつも背負っている、羽の付いたリュックを下ろし、ふたを開ける。

彼女の記憶では、ここには教科書が入っているはず。

「だって、この前も行ったよ!みんなと、お勉強して…それで…!」

だが、リュックの中身は…

 

何もなかった。

 

「あぁっ…!?」

「あゆ、どうしたんだ!?」

竜也があゆの背中を支えて、落ち着かせようとする。

しかし、あゆはゆっくり立ち上がり、リュックを放って歩き去った。

「…ボク、探さないと…」

「ま、まってよ!」

彼女の軽いリュックを抱え、追いかける。

 

かなり長い時間探し続けていたが、あゆは見つからない。

辺りはすっかり夜になり、このままでは見つけられないかもしれない。

なにか強い焦燥が竜也を支配している。

ふと、目を凝らした先に、あゆを見つけた。

「あゆっ!」

彼女は地面に座り込み、土を掘っている。

「何やってるんだ…!?」

手は赤く、血が滲んでいる。それでも無心に、ただ掘り続けている。

「何やってるんだよ!?」

「探し物だよ…」

彼女がこんなに暗い様子を見たのは、7年ぶりだと思った。だが、そんなことは気にしていられない。このままだと、あゆは凍傷になる。

「探し物って…ここに埋まってるの?…なら明日、出直そうよ!?」

「ダメだよ…だって…」

酷く悲しい笑みを湛えて、涙を溜めながら、あゆは竜也のほうを向く。

 

「夜は…明けないかもしれないよ…?」

 

そう言って、再び土を掘り始める。

「あゆ…」

竜也は自分のコートを脱ぎ、あゆにかける。

「竜也くん…?」

「どうしても、探さなきゃならないんだろう?」

そして、竜也も地面を掘り始める。

「…だったら2人で見つけて、早く帰ろう。ミツル達も待ってるから」

「…うん」

どれくらい続けていたか分からない。ただ、2人の体に沢山の雪が積もるほど、没頭していた。

「結局、見つからなかった…」

あちこちに2人の努力の証がある。竜也はあゆの頭の雪を払う。

「また来ようよ。何度だって、手伝うから。えっと、あゆのリュックは…あった」

そう言って、近くに置いていた、あゆのリュックを取りに行く。

「ごめんね、竜也くん」

「良いよ、これくらい」

 

「もう、会えないと思うんだ」

 

「え…!?」

身体中から、血の気が引くのが分かった。

「…せっかく、7年ぶりに会えたのに…ボクのこと、好きでいてくれたのに…」

「あゆ…?」

「ごめんね…竜也くん」

その声が、遠くから聞こえたような気がした。

「な、何言って…!?」

振り向いたとき…

「あゆ!?」

 

あゆはいなかった。

 

頭の中に、あゆの声がリフレインする。

「せっかく、7年ぶりに会えたのに…ボクのこと、好きでいてくれたのに…」

「ごめんね…」

自分の心が、無限の闇に引きずり込まれたように感じた。

 

「あゆうううううううううううううううううううううぅ!」

 

キィィン…キィィン…

 

「うおおオオオオおおおおオオおオオあああアアアアアあアァ!!!!!」

 

モンスターの反応を聞きつけ、潤と久瀬がその場所に駆けつける。

「なんだ…!?」「あれは…」

そこには、大量のモンスターの残骸と…

残骸の山の頂上で獣のように佇み、赤い目を悲しく光らせている龍騎だった。

手には、あゆのリュックが握られていた。

 

 

 

 

 

続く…

 

 

 

 

 

次回!

 

                    おれのせいだ…

 

竜也さん…

 

                    彼女さえ…守れなかった…

 

これは、罰なんだ!

 

                    知ってますか…?

 

 

 

 

第44話「日溜まりの街」

 







キャスト

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

月宮あゆ

相沢祐一=仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム

北川潤=仮面ライダーライア
美坂香里
美坂栞

久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理

水瀬名雪
沢渡真琴
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斉藤ミツル=仮面ライダーインペラー

龍崎竜也(?)=仮面ライダーリュウガ

五代雄介=仮面ライダークウガ アルティメットフォーム

城戸真司=仮面ライダー龍騎(初代)
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