仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第44話 「日溜まりの街」

オーディンから渡されたサバイブ…。リュウガはそれをずっと見つめていた。

記憶に残る、あの言葉…。

 

「使え。複製だが、サバイブには変わりない」

「そんなものは必要ない。オレはオレ自身の力で「おれ」になる」

 

「欠片如きが、本体に敵うと思っているのか?」

 

「…」

「貴様にも分かりきっている筈だ。いくら増大したとは言え、欠片は所詮、欠片だ。パズルのピースはどんなに大きくても、その1ピースだけでは意味を成さない」

ガシャァン!

リュウガは沈黙したまま、近くにあった鏡を破壊する。

「オレはもはや、欠片と言う枠組みには治まらない。それを超越した存在…。オレ自身が本体だ!」

そう言って、サバイブのカードを毟り取るように掴む。

「だが、オマエの言うとおりだ。だからそれを否定する。このカードで…!」

 

そう宣言して手にした、最強のアドベントカードの一つ。

「いつか変わる…いや、もう変わっている。変わり始めている…」

そういったリュウガである竜也の表情は、笑っていた。酷く楽しそうに…。それでいて邪悪に…。

 

あゆが行方知れずになってから数日が経った。

2011年1月3日。

ミツルが戦線離脱したのと入れ替わるように舞が戦線復帰。

リュウガやオーディンは、未だ目立つ行動をしていない。

ガキィ!ドガァ!

「はあっ!だあっ!うおおおおあああああああああああああぁ!」

あれから龍騎は、まるで自分の命を削るかのようにモンスターと戦い続けている。

「よせ竜也!」「やめて…!」

これ以上、龍騎を放っておけば、彼が狂ってしまいそうだった。

ナイトとファムが彼を羽交い絞めにして、止めようとするが…。

「離してくれっ!あゆが居なくなったのは、おれのせいだ!だからっ…!」

2人を突き飛ばし、既にデッキから引いたアドベントカードを強く握り締める。

「これは、罰なんだ!」

<FINAL VENT>

「はあああああああああああああああああああああああああぁ!」

「ガアアアアアアアアアアアアアアアァ!」

「たあっ!だああああああああああああああああああああああぁ!」

ズガアアアアアアアアアアアアアァ!

魂を吐き出すような雄叫びと共に、ドラゴンライダーキックを浴びせる。

今までよりも威力が高くなっているような気がする。

辺り一面を炎で覆いつくし、モンスターの命を奪った。その命はドラグレッダーに吸収され、糧とされる。

「ガアアアアアアアアアアアァ!」

「はぁ…はぁ…」

変身を解き、地面に膝をつく竜也。

体を酷使しすぎている。いくら戦闘慣れしていたとしても、彼にも限界はある。

「ごめん…あゆ…」

それでも、戦わなければならなかった…いや、戦いたかった。

戦う事で悲しさを紛らわせていたかった。

 

「やっぱり、あいつは…」

先程の事を、祐一と潤から聞いたミツル。

彼は佐祐理の隣の病室に入院し、復帰もかなりの時間を有すらしい。

…サバイブの力の恐ろしさを、身を持って感じた。

佐祐理は退院できていないものの、病院内を動けるほどには回復しており、ミツルの病室で話を聞いていた。

「あゆがいなくなって、相当ショックみたいだ。まるでモンスターみたいに戦っている」

「おかしいと思っていた」

ミツルが竜也のことを信じていたとは思えない言葉が出てくる。

舞も不自然に思い、理由を聞く。

「竜也が…おかしい?」

「竜也は孤児院にいたとき、決して強いヤツじゃなかった。明るくはあったが、もともとケンカは弱かったし、明るい性格もどこか不自然だった。どんなにケンカで負けても、悲しい事があっても、次の日はそれを忘れたみたいに明るかった。今考えると、不気味な程に」

「どういうことだよ?」

祐一がミツルの言葉の真意を尋ねる。少し溜息をついて答える。

「ようやくわかった。その不自然さは、あいつの演技だった訳だ。ついにその限界が来たんだろう…」

「竜也さんが…ずっとお芝居を…」

あの優しい笑顔と穏やかな表情、そして誰にも負けないような強い意志を持った彼は、本当の彼ではなかった。

佐祐理だけじゃなく、この場にいる全員がおどろく。

ミツルが話し終えたと同時に、真琴がドアを開けて入ってきた。

「ミツルぅ!」

ガバッ!

「がはっ!?」

入ってくるなり、ミツルに抱きつく。彼は傷が癒えておらず、軽いとは言え真琴の体重はかなりのダメージとなった。

「今日もいっぱい、いーっぱい、お話しするわよ!」「は…はな…れ…」

ミツルが真っ青になっている事に気づき、慌てて離れる真琴。

「あ、あうぅ…ごめんなさい…」

「おれ達は、もう一度リュウガを探す。香里と栞が彼自身から聞いた話だと、リュウガは竜也の何かを知っているらしいからな」

ミツルは戦えない。傷が癒えるまでの間は、ただ彼らが奔走するのを見守るしか出来ない。

真琴の頭を撫でた後、祐一たちに懇願した。

「頼んだ。あいつの苦しみを…開放してやってくれ」

「はちみつくまさん」

 

 

 

夢…

 

夢に終わりがなくなった日…。

 

いつものように…

 

いつもの場所で…

 

ずっとずっと…

 

ただ待つことしかできなくて…

 

それしかなくて…

 

だから…

 

今も待ち続けている…。

 

 

 

竜也はとある店で、じっと何かを見つめている。

「むぅ…」

目の先には、いろんな髪飾りがあった。

実は、明後日に当たる1月7日は、あゆの誕生日なのだ。だから、そのプレゼントを決めるため、こうやって品定めをしている。

「女の子の趣味って、分かんない…」

ただ、竜也に妹や姉はいない。この時点では気付いていないが、母親さえも…。

なので、女の子にどんなものを贈ればいいのかが全くわからないのだ。

「ヘアピン…いや、ちょっとつまんないかな…。だったら、このリボン…でもあゆって、いつもリボンつけてるし…」

 

「あ、竜也くん!」

 

「おわっ!?」

後ろから突然、声をかけられ、その声の主があゆだったために、竜也は心臓が飛び出そうになるほど驚く。

「うぐぅ…そんなに驚かなくても…」

「ご、ごめんごめん!いやぁ…もっと肝が座んないとね!あは、あははははははは…」

必死に取り繕ってみるが、不自然なのがバレバレだ。

「えっと…何見てたの?」

「い、いやぁ…その…あれは…そう!お母さんが髪留め買ってこいって言われて!」

そう言って、すぐ目に付いた、安い髪留めを手に取った。

「これで、おつかい終了!」

…これをあゆに渡すわけにも行かず、315円が無駄になった。

「ねえ、もし良かったら、これから手伝って欲しい事があるんだけど…」

竜也の服の袖を掴んで、あゆが頼む。

「ん、いいけど…」

 

そう言って、辿り着いた先は…。

「ここに埋めるの…?」「うん、未来の自分か、誰かのために」

そう言って、以前渡した「天使の人形」をビンに詰めて、土の中に埋めた。

「目印も何もないから、見つかるかな…」

「見つかるよ。誰かが必要とするなら、きっとね!」

そう言って埋めた、この場所…。

 

ここは、後のあゆが必死に土を掘り起こしていた場所だった。

 

そして、夜は明けていく…。

 

 

 

2011年1月4日。

ベッドの上でゆっくりと目を覚ました竜也。

「もしかして、あゆの探し物って…あの人形…?」

気が付くと、体が動いていた。あゆの探し物を見つけるために…。

 

数日前のあの場所に向かう最中…。

 

「遅いですよ、竜也さん」

 

聞きなれた声だった。

「あゆっ!?」

振り向くが、そこにいたのは…。

「こんにちは」

栞だった。

「そうだよな、あの娘は「さん」なんてつけないもんな…」

いつも、ストールを羽織って動きにくそうな格好だが、今日はいつもより厚着で、動く事に事欠かないような格好であった。

「あゆさんの探し物ですよね…?」

悟ったような表情で、栞は質問をする。

「よく分かったね」「えへへ、観察力はあるんですよ?」

ニッコリ微笑んで返す栞。そして、真剣な顔つきになって一歩、前に出る。

「わたしにも、お手伝いさせてください」

彼女の気持ちはすごくありがたい。だが…

「…うれしいけど、これはおれとあゆの約束なんだ。おれだけで見つけたい」

そう言って通り過ぎようとするが、彼女に腕をつかまれ、引き止められる。

「あゆさんばかり、見ないで下さい…」

かすれたような声だったが、はっきり聞こえた。

「せめて…あなたは一人じゃないって、気付いてください…。そうじゃないと…あなたを信じた人の気持ちは、どこに行けばいいんですか…?」

彼女は泣いていた。自分のために涙を流してくれる人がいる。

大切な人が、近くに居過ぎたために、感覚が麻痺しているのだろうと竜也は思った。

「…そうだよね…おれはもう一人じゃないのに…。あゆがいなくなって、まるで独りぼっちになったみたいに、殻の中に閉じこもって…」

竜也は、あまり明るくないが少し微笑んで見せ、栞の手を両手で握った。

「ありがとう栞ちゃん。一緒に手を貸してくれないかな?」

「…はい!」

 

サトルは血相を変えて、リュウガを探し回っていた。

「ミツル君を、あんなに傷つけて…竜也君も苦しめる…。絶対に許せない!」

同行していた久瀬は、ふと思いとどまる。

「彼を止めないと、これから大変な事になるのは分かっているが…」

リュウガを止めなければならない。

だが、相手はサバイブを所持している。言い換えれば、ナイトSとほぼ同等か、それ以上。

この2人はおろか、こちらがサバイブを使わなければ7人がかりでも勝てるか怪しい。

さらに現在、竜也に続いた実力者のミツルが戦線離脱中。竜也は今、無理に戦わせるわけにも行かないので、実質5人だ。

勝率は高くはない。

「それでも止めなきゃ!絶対に!」「…あぁ!」

サトルと久瀬は改めて決意を固め、リュウガの捜索を再開する。

 

暫くして、竜也は栞と2人で、あゆと分かれた場所に辿り着いた。

「ここに…埋まってるんですか?」「うん…」

「よぉ!探しものなら、おれ達も手伝うぜ!」「2人だけじゃ、大変でしょ?」

後ろから声をかけられ振り返ったら、潤と香里が立っていた。その手には大きなシャベルが握られている。

「もしかして…後を付けてきて?」

「おう、気配を消すのは、お得意だからな!」「2人が気付かなかっただけよ。さ、早いとこ見つけましょ?」

「お姉ちゃん…北川さん…」

こうして、4人で探し物を見つけるために奮闘を開始した。

 

久しぶりに家に帰ってきた秋子は、名雪と一緒に夕飯を作っていた。

「今日は、おいしいもの沢山作りましょう」「うん、わたしもそれ位しか出来ないから…」

名雪は、せめてサトル達が戦いの疲れを癒せることを必死にやっている。

 

「おい、青髪女…トラ坊主達が危ねぇぞ…!」

 

ふと声がした。それは聞きなれない声だ…少なくとも名雪にとってだが。

「…?」「どうしたの、名雪?」

振り返るが、声の主らしき姿はない。それどころか、名雪と秋子以外に、この家に誰かいる気配はない。

しかし、声だけは届く。

 

「急いで…!」「このままやと、マズいでぇ…!」「早く!」

 

「おかあさん、少し出かけてくる!」

そう言って、名雪は走り出した。

取り残された秋子は、名雪が残した調理中の食材を見つめて、呟く。

「…あの子達は、ずっと戦っているのですね…。きっと…そうですね…?」

そして天井を見上げ、ここにはいない、ある青年の名を呼ぶ。

 

「城戸さん…」

 

一方、サトルと久瀬は、リュウガに遭遇していた。

「探したよ…リュウガ!」「君を…止める!」

目の前には赤い瞳の竜也が、後を向きながら笑みを湛えて立ち尽くしていた。

「次は…オマエ達だ…!」

そう言うと同時に、デッキをVバックルに装填しながら振り向く。

「変身…!」

掛け声と同時に、リュウガへと姿が変わった。少し顔を上げた瞬間、仮面の奥の目が妖しく光る。

「「変身っ!」」

2人もタイガとゾルダに姿を変えて、臨戦態勢に入る。

「はああっ!」「せぇあぁ!」

 

一つの場所に絞って、ずっとシャベルを掘り進める4人。

ガッ…!

「あ…!」

そのうち、栞がシャベルの手ごたえに不自然さを感じ、手で掘り進めると、程なくして小さなビンが出てきた。

「竜也さん…これじゃあ…!」

別の場所を探していた竜也が、その声に反応し、その方向を見る。

「…あった」

栞から手渡され、土を払う。

それはボロボロだったが間違いない。7年前、あゆに贈った「天使の人形」だった。

「うおぉ!?栞ちゃんに手柄、盗られたぁ!」「黙ってなさい!」

ゴスッ!

「ぐはっ!?」

潤は香里によって黙らされ、地面に這い蹲る。

「でも…もうボロボロだ…」

悲しそうに呟く竜也。

その人形はあちこちに土埃がつき、羽は片方がもげ、天使のわっかは取れていた。

彼の手にある人形を持って、栞はポケットの中から簡単な裁縫道具を取り出した。

「本当に何でもあるんだな…栞ちゃんのポケット。まるで、ドラえ…」「ふんっ!」

ガスッ!

「ぐへっ!?」

潤、2度目の撃沈。

「簡単になら、修繕できます。わたしに任せてください」

 

ガキィン!

デストバイザーとギガホーンの攻撃は、意図も簡単に防がれた。

「壊せ…!」

「グオオオオオオオオオオオオオオオオォ!」

ドガアアアアアアァ!

「ぐああぁ!?」「うわああああぁ!」

リュウガの言葉に反応するかのように、ドラグブラッカーが何処からか現れ、タイガとゾルダを弾き飛ばす。

地面を転がり立ち上がると、辺りは炎に包まれていた。

<<SURVIVE>>

その音声に振り向くと、目の前にいた者はリュウガSに変わっていた。

「…久瀬さん、勝てると思います?」「難しいだろうね」

「だが、無駄に足掻くだろうな」

続きの言葉を予想していたかのように、リュウガSが呟く。

ハッとして前を見ると、目の前にブラックドラグバイザーツバイを突きつけたリュウガS

が居た。

ズダアアアアアアアアアァ!

「があああああああああああああああぁ!」「うわあああああああああああああぁ!」

至近距離から凄まじい威力の攻撃を受け、壁に叩きつけられ、地面を転がる。

「次の一撃で…終わる」

トドメを刺すべく、引き金に指をかけるリュウガS。

そのとき…

<<SURVIVE>>

別の音声が聞こえ、辺りに風が巻き起こる。

正体はナイトSだ。少し離れた建物の屋上に佇み、ファムも一緒にいる。

「リュウガ!」「あなたを…これ以上、野放しにはさせない!」

同時に飛び降り、地面に着地すると、リュウガSに2人で斬りかかる。

「フンッ!」

ガキィ!

その攻撃はリュウガSにとっては避けがたく、防ぐと言う形に治まった。

「今だ!」

<SHOOT VENT><FINAL VENT>

「ガルルルルルルル!」

ナイトSの言葉で、ゾルダはギガランチャーを構え、タイガは冷気を拳に纏う。

「ウオオオオォ!」

ズガアアアアアアアアァ!

「ぐうっ…!」「ああああっ!」

デストワイルダーがリュウガSに襲い掛かるが、彼はそれを、ナイトSとファムを振り払う事で避ける。

ナイトSにとっては、強いとは言え大ダメージではなかったが、ファムは違う。

それでも、リュウガSに一瞬の隙を作った。

「いけええええええええぇ!」「うおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!」

ズダアアアアアアアアアァン!ドガアアアアアアアアアアアアアァ!

ギガランチャーの弾丸はリュウガSに向かって発射され、タイガのクリスタルブレイクが同時にぶつかる。

間違いなく直撃だ。

だが…

 

簡単とは言ったが、見事に天使の人形は修繕された。

「栞ちゃん、ありがとう。本当に」

「良いですよ。竜也さんのお役に立てて、嬉しいです」

竜也に微笑みかけ、人形を手渡す。

「じゃあ、わたし達は帰るわね」「ちょ、香里~!香里さぁん!」

香里は、2人の様子を見て少し微笑んだ後、歩き去っていき、潤はその後を追いかける。

少しの沈黙の後…。

「竜也さん…あゆさんのこと…」「え…?」

小さな声だったので、聞き返すと…。

「あゆさんのこと…まだ好きですか?」

少し不安げに尋ねる栞。

「…うん」

俯きながら答える竜也。これは間違いない本心だ。

「わたしって…卑怯ですよね」「卑怯…?」

彼女は自嘲気味に笑い、後ろを向く。

 

「わたし…竜也さんが好きです」

 

「栞ちゃん…」

「わたしがどうして、竜也さんのお手伝いしたと思います?」

その声はなんとなくだが上擦っているように聞こえる。

「あゆさんがいなくなった今、もしかしたら、わたしに振り向いてくれるかもしれないって思ったからです…」

人形を見つけた喜びで、沈んでいた気分が少し元に戻ったからか、彼女の言葉が強く、そして重く圧し掛かった。

「自分でも、悪いって思います。それでも竜也さんに、わたしのこと見ていて欲しいです…」

そう言って、栞は振り返る。その瞳からは大粒の涙が流れていた。

「あゆさんを好きなままでいいです。竜也さんにとって、わたしは、あゆさんの代わりでいいです。だから…わたしを見てください。わたしを、竜也さんの支えにして欲しいです」

一歩ずつ近づく栞。彼女は自分の思いの全てをぶつけた。

しかし…

 

「君は「月宮あゆ」じゃない」

 

竜也はきっぱりと言い放った。

「竜也さん…?」

「君の気持ち、正直に言えばすごく嬉しい。久しぶりに胸があったかくなった。でも、君はあゆの代わりにはなれない。君は「美坂栞」だから。言われたとおり、おれはあゆが好きだ。この想いは多分、捨てられないし、この想いを残して、君と一緒にはいられない…。そうしてしまうと、最後には君を傷つけてしまうから…」

悲しい返事だった。

だが、その言葉の中には、本当に彼女を想う、真心が篭っているように栞は感じた。

そして、久しぶりに強い意志のこもった瞳の竜也を見た。

「おれは2人の女の子を幸せにできるほど、強くないよ…」

ただ、最後の言葉は悲しげな声だった。

「…優しいですね、竜也さん」

「優しくない、弱いだけだよ」

栞の言葉を強く否定する。

「竜也さんが…弱い?」

「…今から、あゆにも言わなかった、本当のことを話すよ」

一呼吸置いて、真実を話し始めた。

「おれは祐一や潤達より弱い。おれの判断が間違ってなければ、みんなはおれを強いと思い込んでるんだよね?」

栞には、意味が分からなかった。

龍騎である彼が…1年もの間、一人で戦い続けた彼が、弱い筈がない。

「これは全て演技。みんなに不安を与えないため、みんなが怖がらないように…強いフリをしているだけなんだ」

淡々とだが、すこし熱っぽく話し続ける。

「そして、いつの間にか、本当のおれが分からなくなった。偽った自分以外の自分が、分からなくなった。そして結局…彼女さえ守れなかった」

竜也は遠くを見つめる。その先には恐らく、もう一人の自分がいると感じて。

「多分…あの「仮面ライダーリュウガ」は、おれが分からなくなった「本当のおれ」なんだと思う」

 

キィィン…キィィン…

 

「栞ちゃん。君は偽ったり、見失ったりしないで。「本当の美坂栞」を」

そう言い残して、ポケットに人形を仕舞い、反応のするほうへ向かっていった。

取り残された栞は、下を向いて少しだけ悔しそうに、そして悲しそうに呟いた。

「そう言えるあなたを…わたし達が弱いと思えますか…?」

 

<<GUARD VENT>>

「終わりか…?」

リュウガSはとっさに、ブラックドラグランザーによる防御壁「ファイヤーウォール」を発動したため、無傷だった。

これほどにまで策をめぐらせても、リュウガSには傷一つさえつけられなかった。

タイガとゾルダにいたっては、ダメージが積み重なった事があり、遂に変身がとけ、気絶してしまった。

「マジかよ…!?」「そんな…!」

残されたナイトSとファムは絶望に打ちひしがれた。

しかし、それをリュウガSは待ってくれない。

<<SHOOT VENT>>

「ゼェアアアアァ!」

ズガアアアアアァ!

「ぐあああああああぁ」「きゃああああぁ!」

3人、しかもナイトSも同時に、ブラックドラグバイザーツバイから放たれる「メテオバレット」で吹き飛ばす。パワーの限界か、ナイトSは通常のナイトに戻る。

気絶したままの2人も壁に叩きつけられ、痛々しい出血が見られる。

少しずつリュウガSが近づいてくる。ナイトSでさえ敵わない脅威が、彼らの命を奪うために…。

「ダメなのか…!」

「やめて!もうやめてよ!」

言葉と共に現れたのは、名雪。

4人を庇うように立ち塞がり、両手を広げる。

その言葉に意識を取り戻したサトル。

「なゆ…ちゃん…!」

手を伸ばし、名雪を離れさせようと思ったが、身体中にダメージがあるため適わない。

「退け」

リュウガSは静かに、そして強く言い放つ。だが、名雪はそれに屈することなく一歩前に出た。

「退かない…!」

「ならば…潰す!」

名雪の拒否に対して、持っていたブラックドラグバイザーツバイから黒い炎を宿した刃「ドラグブレード」を呼び出し、ゆっくりと振り上げ、そして下ろす。

 

「はああああああぁっ!」

 

突如、2つの影がリュウガSに攻撃を仕掛ける。とっさに避けるリュウガS。

その姿は…。

「みんな!」「苦戦中か?」

竜也と、途中で合流した潤だ。すぐにデッキを構え、臨戦態勢に入る。

「「変身っ!」」

龍騎とライアは、リュウガSに向かって拳を握る。

が、当のリュウガSは戦う意志を見せない。変身をとき、赤い瞳の竜也に戻る。

「…」

じっと龍騎を見つめ、すぐに去っていった。

「…明日に見る夢で、オマエは全てを思い出す…」

少し後ろを向いて、そう言い残して…。

「おい、逃げるのか!?」「潤、とりあえず、みんなを!」

リュウガSには目もくれず、ナイトS達を抱き起こす龍騎。

「ようやく復活したって感じだな…」

変身が解除された祐一は軽く笑う。

「…いや、また演技することになっただけだよ…」

そう言った龍騎の仮面の奥の表情は、誰にも分からない…。

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

 

次回!

 

                    そんな…

 

あれって…!?

 

                    うそだ…

 

さぁ…総てを受け入れろ…!

 

                    あゆが…

 

そんなの…信じない!

 

 

 

 

第45話「真実」

 

 




キャスト

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

あゆ

相沢祐一=仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム

北川潤=仮面ライダーライア
美坂香里
美坂栞

久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理

水瀬名雪
沢渡真琴
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斉藤ミツル=仮面ライダーインペラー

龍崎竜也(?)=仮面ライダーリュウガ

仮面ライダーオーディン

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