仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第47話 「奇跡」

 

目の前にいるリュウガは今までと同様…いや、それ以上の殺気を放っている。

近づいただけでも、殺されてしまうようなほどだ。

「竜也…」

彼の中にいる、祐一達の知る竜也に呼びかけてみた。

だが…。

「これが真の「おれ」だ。オマエ達も現実を見つめろ」

やはり、リュウガが意識を支配している。

それでも、絶対に諦めるつもりはない。

「まってろ竜也!おまえを助ける!」

「月宮あゆを救うために「おれ」自身が同化を望んだのに、どうやってだ?」

嘲笑するリュウガに対して、潤も軽く笑う。

「さぁな。でもな、おれ達の知ってる竜也なら、方法が分からなくても、ただ戦うだろう?それと同じだ!」

3人はデッキを翳し、そのまま祐一が宣言する。

「竜也はどれだけ困難があっても、最後には立ち上がった。おれ達は、その竜也を信じて…そして取り戻す!」

「「「変身っ!」」」

ナイト、ファム、ライアが、リュウガと対峙する。

「…これが「おれ」だという事が、分からないようだな」

そう呟き、リュウガの目が赤く光る。

 

病室内で、窓を見つめている久瀬。病室内に佐祐理も来ている。

見舞いに来ていた名雪が尋ねる。

「竜也君が心配ですか…?」

「なんとなく、胸騒ぎがして…」

なぜか、久瀬達には言いようのない不安が包んでいる。

「あいつを信じてはいるが…」「相手が、サバイブを持っていると考えると…」

ミツルやサトルにも、同じような気持ちだった。

「あぅ…でも、どうしよ…」「わたし達に…何か出来ることはあるんでしょうか…?」

真琴や佐祐理の言うとおり、彼らには何も出来ない。少なくとも戦う事はできない。

 

「言葉を伝える事は出来るはずだよ」

 

その声とともに、病室に入ってきたのは明久だ。

「あの…あなたは?」

「吉井明久、仮面ライダードラゴンナイト。城戸さんに頼まれて、この世界に来たんだ」

「城戸真司に…!?」

ミツルだけじゃなく、明久の「城戸さん」という言葉に、この場にいる全員が反応した。

明久自身、城戸真司がどこまでの存在かは分かっていなかったが、彼らの反応で、どれだけの人物か分かったような気がした。

「やっぱり、城戸さんは凄い人だったんだ…。あの人は、竜也を救って欲しいって言ってた。彼には君達のような仲間がいる。その絆が竜也を救えるかもしれないんだ」

実際、具体的に救う術は分からない。しかし、その言葉に嘘は無いつもりだった。

「今、竜也は大切な人との「約束の場所」にいる。戦わなくたって良い。でも、せめて彼に…言葉を伝えて欲しいんだ。これは君たちにしか出来ないから…」

そう言っていると、明久の後ろにオーロラが現れた。

「ここまでか。みんな、竜也を…」

言い終わらずに、彼はオーロラの中に消えた。

一瞬だけ沈黙があったが…。

「行くぞ!」

ミツルの言葉で全員が走り出した。

怪我があろうと、病院の誰かが止めようと構わず、ただ走った。

竜也を救うために…。

 

編集長室で、ゆっくりと窓を見つめている秋子。

「貴方は…何かが変わると信じてますか?」

その問いかけは、届かないはずの城戸真司に対してだ。

「わたしは信じています。きっとあの子達は、奇跡を起こします」

 

<TRICK VENT>

シャドーイリュージョンで3体に分身したナイトが、リュウガを囲う。

「フン…」

それを鼻で笑い、リュウガは一枚のアドベントカードを引く。

その絵柄には、赤と黒のドラグセイバーが描かれている。

<SWORD VENT>

龍騎達のバイザー音声と、リュウガの低いバイザー音声が混じった音声の後、リュウガの両手に2本のドラグセイバーが握られる。

やはり龍騎の力さえも取り込んでいるようだ。カードにさえ反映している。

恐らく、今までの中でも最強と見ていいだろう。

それでもナイトは臆せず立ち向かう。

「はああっ!」「たあっ!」「せああぁ!」

ナイトは同時に斬り込むが、リュウガはそれをしゃがみつつドラグセイバーで防ぐ。

このままでは、反撃される。

そう思ったファムとライアは、エビルウイップとウィングスラッシャーを構えて、さらにリュウガに一撃を加えようとする。

だが。

「グオオオオオオオオオオオオォ!」「ガアアアアアアアアアアアァ!」

ドガアアアァ!

「くああぁっ!」「どわあああぁ!?」

ドラグブラッカーとドラグレッダーに妨害される。そう、ドラグレッダーさえも、今は敵なのだ。

「ゼェアアアアァ!」

「うわああああぁっ!?」

リュウガは凄まじい力でナイトを全員弾き飛ばす。

分身は全て消え、ナイトは1体のみとなった。

だが、倒れ伏す3人に対しても、リュウガは容赦ない。

「ハアアァ!」

駆け寄り、ドラグセイバーで斬りつける。

ガキィン!

「くっ…!」

ナイトとファムが餌食になりかけたが、ダークバイザーとウイングスラッシャーで何とか防ぐ事に成功した。

しかし、長くは持たない。

「こんのおおおおおぉ!」

それが分かったライアは、エビルウイップでリュウガに攻撃を仕掛ける。

だが、それすらリュウガには避ける事が容易だった。

ガッ!

「うっ!?」「舞っ!」

すぐさまファムを蹴りつつ、遠くへと距離を置く。

バチィン!

「ぐああぁ!?」「相沢!」

そのため、エビルウイップはナイトに当たる事となった。

「オマエ達の知る「おれ」の力で…消えろ!」

<FINAL VENT>

リュウガがベントインしたのは、龍騎のファイナルベント。

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!」

「ハアアアアアアアァ…フンッ!」

辺りをドラグレッダーが舞い、地面を蹴って空に飛び上がる。

体を捻ったりするなど、動きはまさに龍騎をトレースしていた。

そこから繰り出されるのは…。

「マズい!」「くっ…!」「やべっ!?」

<GUARD VENT><GUARD VENT><COPY VENT>

恐らく避けられない。

ナイトはダークウォール、ライアはその複製、ファムはウイングシールドを装備して、防御に徹する。

「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!」

赤い炎を纏ったリュウガが放つドラゴンライダーキック。その威力は龍騎を上回っている。

ドガアアアアアアアアアアアアァ!

「うおおあああああああぁ!」「きゃあああああああああああっ!」「ぐあああああああああああぁ!」

爆風で、リュウガに3人の悲鳴が届いたか分からない。

辺りが静まり返ると、リュウガが着地する。

「…」

辺りを見渡すリュウガ。その仮面の表情は邪悪な笑みを浮かべていた。

その視線の先には、祐一、舞、潤が倒れていた。おそらく…。

「終わりだ」

そう吐き捨てたリュウガは、踵を返し歩き去ろうとした。

しかし…。

「…?」

何か違和感を感じ、振り返る。

完全に倒したと思い込んでいたが、彼らはまだ死んでおらず、立ち上がろうとしていた。

「死に損ないめ…」

「どうして…だと思う?」

満身創痍となっている祐一が、毒づくリュウガに問う。

少しだけ首を傾げるリュウガに、潤が答える

「今のファイナルベント…急所が外れていた。普通はありえないのにな…」

「多分…あなたの中にいる…わたし達が助けようとしてる竜也が、そうさせた…」

続いて答えた舞の言葉を聞いて、リュウガは笑う。

「まだ分からないのか?これが…このオレこそが、真の「おれ」なん…ウッ!?」

そう言い掛けたところで、リュウガは突如、胸を押さえて苦しみ始めた。

「グァ…な…何故…!?」

今まで唸るような声だったが、次の声は勇敢だが穏やかだった竜也の声が少し混じっていた。

「み…みん…な…早く…!ガッ…オマエ…!?」

「竜也っ!?」

その中に竜也の意識があることを確認した3人は、リュウガに…彼の中に押さえ込まれている竜也に呼びかける。

「おい、竜也!」「目を覚まして…!」「あゆちゃんが望んでると思ってるのか!?」

「黙れ!」

次の声はリュウガの意識の声だ。

「オマエ達に「おれ」の苦しみが理解できる筈が無いだろう!?」

今まで、静かに淡々と話していたリュウガが、これほどまで怒声をあげるのは始めてみた。

「どんなに似た苦しみを味わった者でも、他者の苦しみを完全には理解できない!」

 

「多分、あなたの言うとおりです」

 

「…!?」

その声とともに現れたのは…。

栞、香里、久瀬、佐祐理、名雪、真琴、美汐、サトル、ミツル。

竜也の仲間達だ。

香里が栞の言葉に続く。

「あなたや、今の栞が言ったように、わたし達はあなたの苦しみを、完全には理解できないわ」

いつもの調子を崩さず、きっぱりと言う。

さらに久瀬と佐祐理が一歩、前に出る。

「でも、一緒に考える事は出来る!」

「現に竜也さんは、わたし達の苦しみを一緒に共有して、そして一緒に考えてくれました!」

名雪とサトルも同様に、リュウガに語りかける。

「僕が昔の幸せを取り戻せたのも、竜也君の働きかけがあったからだよ!」

「うん…!どんなときも、わたし達を全力で支えてくれた!」

次にミツル、真琴、美汐が、前に出る。

「おれがどんなに憎んでも、救おうとした。それはおまえの、真の優しさだと確信している!」

「竜也のおかげで、またミツルと一緒にいられたの!」

「苦しむなら…わたし達が助けます!」

「だから戻って来い、竜也!変身っ!」

その言葉の後に、祐一がデッキを翳して、ナイトに変身する。

さらに、疾風のサバイブを引き、ダークバイザーツバイにベントインする。

<<SURVIVE>>

ダークブレードを引き抜いてナイトSに強化変身し、リュウガに切りかかる。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!」

しかし、それでも…。

ガキィン!

リュウガと龍騎、2体分の仮面ライダーのパワーを備えてるリュウガは、もはや通常形態でもナイトSと渡りあえる。

…筈だったのだが。

「…邪魔を…するのか!?」

リュウガは防いでいた左腕に抵抗を感じた。自分ではない竜也が邪魔をしているのだ。

「はああっ!」

ガキィン!

「ヌアァ!」

遂にリュウガに有効な一撃を与えられた。

地面に膝を着く。

「キサマらアアアアアアアアアァ!!」

憎しみがこれでもかというほど込められた声だった。

デッキに手を掛け、彼の最強のアドベントカードのサバイブを引こうとする。

その手を、暖かい光が包み込んだ。

「…!?」

 

「竜也くん…」

 

「…あゆっ!?」

ナイトSだけじゃない、この場にいる全員が驚愕した。

事情は明久や弦太朗から聞き、あゆはもういないことを知っている。

だが、この声は間違いなくあゆの声だ。

「ボクの最後のお願いはね…」

 

「竜也くんが、もう振り返らないで済みますように」

 

「だから悲しむのは、これを最後にして」

「やめろォ!おのれ、月宮あゆ!オマエはオレが救ってやるんだぞ!何故、邪魔をする!?」

ゆっくりと語りかけるあゆの声に対して、リュウガはほぼ錯乱状態。辺りの光を振り払おうと暴れまわっている。

「大丈夫だよ。もうボクは竜也くんに、十分救われたから。7年前にボクをかまってくれて、それからずっと、ボクは一人ぼっちじゃないって分かったから」

「ダマレエエエエエエエエエエエエエエエエェ!!!!」

光はあゆを形作り、リュウガを抱きしめた。一方、雄叫びはもはや獣のようになっているリュウガ。

「竜也くん…大好きだよ。ずっと!」

 

「あゆ!」

 

あゆがゆっくりと離れたと同時に、リュウガは地面に倒れ、変身が溶けたと同時に、もがき苦しむ。

「ガアァ!?グッ…キサマァ…グオォ!?オレから…オレから離れようと言うのか!?」

竜也の身体から、もう一人竜也が現れた。まるで映像がブレるように。

そして…。

「グアアアアァ!」「うああああっ!」

竜也と赤い瞳の竜也は分離した。2人の表情は、夕焼けでよく見えない。

あゆが愛した竜也は立ち上がり、淡く光っているあゆを見つめる。

「わかったよ、あゆ…。おれ…わかったから…」

2人は幼かったときのように微笑む。

地面に這い蹲っている赤い瞳の竜也は、焦りを込めたように立っている竜也に呼びかける。

「何を馬鹿なことを言っている…!もう一度、オレと同化しろ!まだ…月宮あゆを救えるんだぞ!?」

赤い瞳の竜也の問いかけに、竜也は彼を見ずに答える。

「あゆはこんな事、望んでない。誰かの犠牲で成り立つ命なんて、欲しがってない」

「自分の記憶や感情を、否定し続けるつもりか!?」

その言葉に、竜也は振り返る。

それを見つめていた祐一達は驚いた。

「竜也…」「あの…竜也君が…」

 

 

 

「泣いてる…」

 

 

 

そう、竜也の瞳には、とめどなく涙が溢れ出していた。

7年間、流さなかった涙。もう枯れ果てたと思っていた涙。

しかし、彼は泣いていた。

「違う…おれはすべて受け入れる。自分の中にある怒りや悲しみ、憎しみも…。あゆとの楽しかった記憶も、悲しかった記憶も…全部」

竜也は自分の記憶と感情を取り戻した。

だから…。

「だからこそ、おまえとは決別する!おれの心が生み出したモンスターであり闇…「リュウガ」。おまえとは…おれが決着をつける!」

そう言い放った。

「ハァ…」

赤い瞳の竜也は、全て諦めたかのように溜息をつく。

だが、次の瞬間。

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

酷く楽しそうに嗤う。

そして、竜也を指差す。

「違う、モンスターはオマエだ!オレもオマエと共に在る道を選ぶのはやめだ!」

立ち上がり、2人はデッキを翳す。

「オマエを消し、オレが「おれ」になってやる!」「来い、リュウガ!」

 

「「変身っ!」」

 

2人の仮面ライダーが向かい合う。似ていても、全く異なる存在。

少しだけ間があって…。

「はああああああああああああああああぁ!」「オオオオオオオオオオオオオオオォ!」

同時に駆け出した。

ドガアアアアァ!

2人の拳は、互いの胸に抉りこまれる。

「ぐあっ!」「グゥッ…!」

両者とも、一歩ずつ引き、胸を押さえ込む。

そして、次は片足を挙げて、蹴りの体勢に入った。

ただし龍騎のみだが。

「はああっ!」「ヌェアアァ!」

ズガアアァ!

「くっ…!?」「ウオオオオオオォ!」

そのキックをリュウガは受け止めて掴み、思い切り投げる。

「…!」

態勢を整え、上手く着地する。

前を見た瞬間…。

ガゴオッ!

「がはああぁっ!?」

顔面にリュウガの拳が叩き込まれ、地面を転がる龍騎。

 

「くそ、見てられねぇ…!」

業を煮やした潤が、ライアのデッキを取り出すが…。

「よせ」

ミツルがそれを止める。

「おい、斉藤!?」

「これは、あいつ自身の戦いだ。手出しは必要ない」

本当のことを言えば、ミツルも今すぐ戦いたかった。身体の怪我など関係なく。

だが、これは竜也が自分の全てを受け入れるための戦い。

「だったら、どうするんだよ!?」

「見守ってあげて…」

一番近くで見ていたあゆが、潤に告げる。

その後、誰も動けなくなったかのように、龍騎とリュウガの戦いを見つめていた。

 

<STRIKE VENT>

「ガアアアアアアアアアアアアアアァ!」

「だああああああぁっ!」

龍騎がドラグクローファイヤーで、リュウガに攻撃する。

<GUARD VENT>

「ヌンッ!」

ガキィ!

その一撃は、ドラグシールドによって防がれた。

「まだだ!」

<SWORD VENT><GUARD VENT>

龍騎は全ての武装を装備し、リュウガにさらに強力な一撃をお見舞いする。

「はあああああああっ!」

ガキィ!ズガアアァ!

「グゥアァ!?」

ドラグシールドによる防御をドラグセイバーでやり過ごし、ドラグクローに炎を纏わせてリュウガの腹部を殴った。

地面を転がり、這い蹲るリュウガ。

「…」

<ADVENT>

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!」

そのままベントインし、ドラグブラッカーを呼び出す。

「ドラグレッダーっ!」

その場にいたドラグレッダーに、龍騎が指示を送る。

「ガアアアアアアアアアアアアアァ!」「グオオオオオオオオオオオオオオオォ!」

2体の龍が、絡み合いながら戦う。

「はあっ!だあっ!であぁ!」「フンッ!ハアァ!ゼェアァ!」

ガッ!ドゴッ!ズガッ!

まさに一進一退の攻防。両者はほぼ互角だといえよう。

しかし…その決着の時は近づきつつある。

「ヌアアアアァ…フンッ!」

ゴッ!

「がはっ!?」

リュウガの拳が龍騎の腹を抉る。

「デェアァ!」

ガッ!

「ぐうっ!」

次は横面。

「ウオオオオオオオオオォ!」

ドガアアアアアアアァ!

「ぐあああああああああああああああああ!」

最後に胸部にキックを受け、慣性の法則に従い地面を引きずられながら、遠くまで転がる。

「竜也っ!」

その後ろには祐一達がいる。全員が心配そうに見つめる。

だが、あゆだけはずっと目を閉じ、祈るようにしていた。

咳き込みながらも、立ち上がる龍騎。

「がはっ…くっ…!」

デッキから引いたアドベントカード。

それは、竜也がモンスター相手にしか使わなかった最強の一枚。

<FINAL VENT>

「…」

リュウガもそれに呼応するように、アドベントカードを引き、ベントインする。

<FINAL VENT>

音声の後、龍騎はあゆを少しだけ見つめる。

そして…。

「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁ!!!!!」

彼の全てを賭けたかのように叫び、構える。

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!」

「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁ!!!!!」

一方のリュウガは、ゆっくりと静かに構える。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!」

「ハアアアアアアアァ…!!」

そして、両者同時に地面を強く蹴り、高く飛ぶ。

「だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!!!!!」

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!

赤い炎と黒い炎を纏った2人の龍の騎士が、激突する。

ドラゴンライダーキックとドラゴンライダーキック。

それは、今まで見てきた爆発の大きさの中でも最大だった。

「うわっ!」「くっ…!」「きゃあっ!」

祐一や舞たちは、その威力で少し後ろに下がる。

 

煙が晴れたとき、そこにいたのは…。

「龍騎…。竜也っ!」

鎧のあちこちにヒビが入った龍騎。

だが…。

「まだだァ…!」

遠くでリュウガも立ち上がっていた。

「オレは…他者の力を借りてでも…どんな卑劣なマネをしてでも…自分を手に入れる!」

そう言って翳したカード。

オーディンから受け取った「SURVIVE~烈火~」。

<<SURVIVE>>

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!」

リュウガSとなって、龍騎に襲い掛かる。

龍騎にはもう、アドベントカードを使い果たし、避ける力さえ残っていなかった。

ドガアアアアァ!

「ぐあああぁ…!」

苦痛の声もどこか掠れている。それでも立ち上がる。

「消えろォ…消えろォ!!!」

ズガアアアァ!ドゴオオオオォ!

何度も何度も、殴られ、蹴られ、吹き飛ばされる。

それでも…。

「何故だ…!?何故、立ち上がる!?」

絶対に倒れたままになる事は無かった。

満身創痍の状態でリュウガSの攻撃を何度受けても、立ち上がっている。

限界は当の昔に迎えているはずだ。

「やく…そく…だから…」

そう、これ以上悲しまないために…。悲しい思いを誰かにさせないために、立ち上がる。

龍騎のその背中に、あゆが手を置く。

「竜也くん…ボクも戦わせて…」

「あ…ゆ…」

「竜也くんが、もう悲しい事を振り返らないように…」

龍騎も、あゆの手を握る。

「ありがとう…あゆ。…さっきの言葉、嬉しかった…。おれも大好きだよ…」

 

 

 

<<<SURVIVE>>>

 

 

 

バイザー音声の直後、強い光が辺りを包み、赤みを帯びた白い羽が舞う。

リュウガSもそれに驚愕した。

「まさか…ここにあったのか…最後のサバイブ!?」

そう、あゆ自身が、オーディンが捜し求めていた「最後のサバイブ」だった。

呼ぶとするならば「SURVIVE~奇跡~」とでも呼ぶべきだろうか。

「「変身っ!」」

掛け声とともに、光が消える。

その姿は竜也のよく知る「仮面ライダー龍騎サバイブ」とよく似ていた。

白い翼が生え、白銀の鎧を纏っている。

「Kanonの物語」と「龍騎の物語」が創り出した新たな存在。

 

「仮面ライダー龍騎カノンサバイブ」

 

「ハアアアアアアアアアアアアアァ!!」

リュウガSが、その龍騎KSに向かって殴りかかる。

「だあっ!」

ドガアアアアアアアアアアアアアァ!

「グオアアアアアアアアアアアアァ!?」

しかし、リュウガSの拳は龍騎KSには届かなかった。

逆に攻撃を許された。

「はあっ!」

ドゴオオオオオオオオオォ!

「ウオオオアアァ!」

次に蹴りがリュウガSの胸部に当たり、凄まじい勢いで吹き飛ぶ。

<<SWORD VENT>>

リュウガSはブラックドラグバイザーツバイからドラグブレードを展開させる。

それに対し、龍騎KSはデッキからアドベントカードを引き、空に翳す。

<<<SWORD VENT>>>

その音と共にカードは消え、一本の剣「ドラグカリバー」を呼び出した。

「ゼェアアアアアアアァ!!」

ドラグブレードがドラグカリバーを破壊すべく唸りをあげる。

しかし、それも無意味だった。

バキィ!

「…!?」

ドラグブレードは折れた。ドラグカリバーを破壊する事などできないのだ。

「せあああぁ!」

ズバアアァ!

「グアアアアアァ!」

たった一撃で、リュウガSの鎧はヒビが入る。

「クソォ…クソオオオオオオオオオオォ!!!」

<<FINAL VENT>>

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアァ…!!!」

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!」

ブラックドラグランザーを従え、宙を舞う。

対する龍騎KSもデッキからアドベントカードを引き、もう一度、空に翳す。

<<<FINAL VENT>>>

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!」

その音声とともにドラグレッダーが現れ、「ドラグカノン」に姿を変える。

そして龍騎KSの手を、誰かが握った。

確認する必要はない。

 

「大丈夫…。あゆは…ここにいる」

 

「ふんっ!はああああああああああああああああああああああああああああああぁ!」

確信が持てる。竜也は独りじゃないと信じている。

翼を羽ばたかせ、空を飛ぶ。

高く、高く…。

「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!」

「だあああああああああああああああああああああああああああああぁ!!!」

龍騎KSの「カノンドラゴンライダーキック」と「ダークドラゴンライダーキック」がぶつかる。

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!!!

威力は、ドラゴンライダーキックをはるかに上回っていた。

そして…リュウガSが消滅していく…。

「馬鹿な…何故…オレが…!?」

最後までその理由を知ることなく、仮面ライダーリュウガはこの世界から姿を消した。

 

 

 

長かった爆風の後…。

祐一達が目を凝らすと、そこには倒れた竜也がいる。

近くには龍騎のデッキと、砕けたリュウガのデッキ、そして白い羽が一枚落ちていた。

彼のすぐ横にいる光は、ゆっくりと離れていった。

「ありがとう…竜也くん」

あゆの声で、そう言って…。

 

 

 

夢…。

 

夢が終わる日…。

 

雪が…

 

春の日溜りで、溶けてなくなるように…

 

面影が…

 

人の成長と共に、影を潜めるように…。

 

思い出が…

 

永遠の刻の中で、霞んで消えていくように…。

 

今…

 

長かった夢が、終わりを告げる…。

 

最後に一つだけ…

 

願いを叶えて…。

 

たった一つの願い…。

 

 

 

ボクの…願いは…

 

 

 

 

 

 

続く…。

 

 

 

 

 

次回…。

 

                    例えば、竜也さん…

 

自分が誰かの夢の中にいるって考えた事あります?

 

                    夢を見ている誰かは…

 

夢の中で、一つだけ願いを叶えられるんです

 

                    迎えにいってやれ…

 

夢の…中…

 

 

 

 

第48話「夢の果ての追複曲」

 

 

 





キャスト

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

月宮あゆ

相沢祐一=仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム

北川潤=仮面ライダーライア
美坂香里
美坂栞

久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理

水瀬名雪
沢渡真琴
天野美汐
虎水サトル=仮面ライダータイガ
斉藤ミツル=仮面ライダーインペラー

水瀬秋子

吉井明久=仮面ライダードラゴンナイト(断空我さんの作品より特別出演)

龍崎竜也の記憶と感情=仮面ライダーリュウガ
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