仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon~   作:龍騎鯖威武

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第5話 「闇夜を切り裂く二人の剣士」

龍騎は見えない相手に、今までのモンスターとは何か違和感を感じていた。

「反応のないモンスター・・・ほんとにこいつはモンスターなのか?」

答えは見つからないが、目の前の見えない存在は、人々を脅かす脅威であることに間違いはないはず。

倒さなくては、何の罪もない人々が傷つけられ、命を落とすだろう。

龍騎は先程と同じように、意識を集中させ、見えない敵の気配を感じ取ろうとするが、

ガキンッ!

「ぐうっ!・・・くそ、気配で感じ取れない。どうやって戦えば・・・」

分析している間にも、見えない敵は攻撃を休めない。

背後から見えない敵が、龍騎目掛けて襲い掛かろうとしたそのとき、

「はあっ!」

「うおっ!?」

ザンッ!

見えない敵、魔物を自身の剣で切り裂く者がいた。

その者は先程、この戦闘に入る直前に出くわした少女だった。

「あなたは、祐一と一緒にいた・・・」

龍騎の言葉に舞は静かに頷くと、剣を構え、魔物を睨み付ける。

月光に輝く剣と、魔物を狙う鋭い瞳の少女は、どこか幻想的な雰囲気があった。

龍騎は少女の姿に一瞬、見とれていたが、すぐに我に返り、舞に警告をする。

「危険だよ!ただでさえ見えないモンスターなのに、普通の人間が敵う相手じゃない!」

「ちがう、あれは魔物・・・。そして、わたしは魔物を討つ者」

はじめて聞く言葉だった。

魔物・・・。モンスター以外にも、人々を脅かす存在がいるのか?

「魔物・・・モンスターじゃなくて?それに魔物を討つ者って・・・」

「どうやらおれ達は、それぞれの専門分野があるみたいだな」

「祐一・・・?」

後ろから、祐一が走ってきた。彼の言葉を聞くかぎり、モンスターと魔物は同一の存在ではないらしい。

「あゆは!?」

「安心しろ。今は一人だが、舞に聞いた限り、魔物はこの辺りにしかいないから、あゆに危険は無いってよ」

「そうか・・・でも心配だな・・・」

祐一はあゆは安全であると答えるが、龍騎の言うとおり、少々心配であることも事実だ。

「だから、あんたはあゆの所にいけ。魔物は、おれと舞がやる」

祐一は、あゆと関わりが深そうな龍騎を彼女の元に行かせることにした。おそらく、龍騎は不慣れな魔物との戦いで疲弊しているはずだ。休息を与えることも兼ねての考えだ

「でも、それは・・・いくら、戦ってきたからって、剣だけじゃ・・・」

しかし龍騎も、一度始まった戦闘を放棄することなど出来るわけがなかった。二人は今まで、魔物との戦いを繰り広げてきたようだが、普通の人間であることに変わりは無い。一般人をほうって逃げることは龍騎の性分では許せないことなのだ。

「じゃあ、仮面ライダー龍騎、あんたの力を貸してくれないか?」

「おれの力?」

祐一の妥協案に龍騎は戸惑う。

「ああ、あんた見たところ、おれ達の知らない怪物を相手にしてきたんだろ?魔物の気配は舞にしか感じ取れないから、舞の指示に従って攻撃してくれ。舞はあんたみたいに鎧は装備してないから、いつも心配でな。あんたがいれば、魔物も早く退治できる。舞、いいだろ?」

「はちみつくまさん」

「はちみつ?くま?」

今、魔物と対峙している少女が、彼女のイメージからは想像も出来ない言葉を述べた。

しかも、この状況下ではよっぽどのことが無いかぎり聞かない単語だ。

頭上に?マークが浮かぶ龍騎に、祐一は冷静に

「OKって意味だよ。ちなみにNOはぽんぽこたぬきさんだ」

「なんだそりゃ・・・?まあいいか。じゃあ・・・えっと、舞さんだっけ・・・名字は?」

「川澄・・・川澄舞」

「じゃあ舞さん、おれに指示出して。頼むね。あと、仮面ライダー龍騎って長いから、龍騎でいいよ」

舞はゆっくり頷くのを確認すると、龍騎と祐一は舞の両隣に立つ。

<SWORD VENT>

龍騎はリーチの長いドラグセイバーを呼び出し、いつでも攻撃に対応できるよう準備した。

「龍騎、右!」

「だあっ!」

ザンッ!

舞の指示通り、龍騎は右側を思い切りドラグセイバーで振りぬくと、確かな手応えが感じ取れた。

「あたった!」

「・・・効いてない」

「何!?」

舞の言葉を祐一は信じられなかった。今の音から言っても間違いなく直撃だった。しかし、たいしたダメージはないのだ。

 

キィィィン・・・キィィィン・・・

 

「モンスター!?」

「え・・・」

「ギイイィ!」

ドンッ!

「くっ!」

なんと、新たなるモンスター「シールドボーダー」が現れ、あろうことか、仮面ライダーでない舞を攻撃した。

いくら、戦闘慣れしている舞でも、モンスターとの戦いは不慣れ。魔物と対峙した龍騎のようにあっという間に不利な状態になった。

祐一は舞と違って魔物を感知できないうえ、モンスターに対する対抗手段もない。

「舞さん!・・・こんなときに・・・」

ガンッ!

「うぐあっ!」

一方の龍騎は魔物に攻撃される。

長時間の変身と多大なダメージが積み重なり、ついに龍騎は変身が解けた。

 

唯一無事である祐一は、龍騎のその素顔を見て息を呑んだ。

「おまえ、竜也じゃないか!?何で、おまえが・・・」

そう、今日出会ったばかりの龍崎竜也であった。

「くっ・・・今はそんなことどうでもいい!この状況はまずい・・・舞さんを連れて早く逃げて!」

「バカか!おまえも連れて行く!」

祐一は竜也と舞を背負って廊下を走った。

 

あゆは3人が戻ってくると安心して近づく。

「良かった・・・無事だっ・・・」

しかし、近寄ると、舞と竜也はところどころに打撲や傷があった。

「ひどい怪我・・・大丈夫!?」

「平気・・・」

「へへ、ごめんあゆ。ちょっとドジった・・・」

祐一に庇われながらも舞は平静を装い、竜也はおどけて見せたが、あゆには誤魔化せなかった。

「どうしよう・・・」

「大丈夫。ちょっと休んだらすぐ復活するから」

竜也はあゆを心配させないように振舞うが、すぐに変身することは困難だった。

舞は、ある方法を思いついた。しかし、うまくいくかどうか分からない上に、竜也の了承を得なければならない。

「竜也、あなたの仮面ライダー龍騎の力、貸して・・・」

「え・・・」

「舞?」

「わたしはモンスターに対抗できないし、あなたは龍騎になっても魔物に対抗できない。でも、わたしが龍騎になれば・・・」

確かに、その方法は有効かもしれない。

「・・・ごめん、それだけは出来ない」

だが、竜也は賛同することが出来なかった。

「なぜ?」

「一度、仮面ライダーになったら、いろんなものを背負わなきゃいけない。仮面ライダーになったとしても、全てのモンスターに勝てるとは限らない。あなたにこの十字架は重過ぎると思う」

仮面ライダーであることの苦しさや辛さを出来れば他人に痛感して欲しくなかった。

 

刹那

 

「ギイイィ!」

「うわっ!た、竜也くん!」

運の悪いことにシールドボーダーが現れた。

「そんな・・・追ってきたのか!?」

「魔物もいる・・・」

「共闘してるのか・・・!?」

「分からない・・・」

策がない。いや、あることはある。その方法を使えば、確実にこの場を切り抜けられるだろうが、それはどうしても避けたかった。

竜也は思いつく別の最善の方法を考えた。

「みんな離れて、おれが何とか時間を稼ぐ。その隙に学校から脱出して。いいかいあゆ?」

「でも、そんなこと・・・」

「ダメになりそうなときは、おれを見捨てて、周りの人と一緒に逃げるのが約束だよ」

「でも・・・」

「おれは平気。こんなところで死ぬつもりはないから」

あゆは、戸惑いつつも迷いを振り切り、祐一と舞の手を引こうとする。

しかし、

「うおおおおおお!」

「ゆ、祐一くん!?」

「祐一!?」

何を思ったか、祐一はモンスターと魔物に、木刀で立ち向かっていった。

「祐一逃げて、はやく!」

「竜也、おまえばっかり辛い思いする気かよ!?おれ達を何で頼らない!?」

「それは・・・みんなに辛い思いをして欲しくないから・・・」

「ふざけんなよ!たとえ仮面ライダーにならなくても、辛い思いはするモンだ!」

祐一に同調して、舞も竜也を説得した

「祐一の言う通り。それに、今ここでわたし達を頼らなかったら、もっと後悔することになるかもしれない。あなたもわたし達も・・・」

ガキィッ!

「うあっ!」

「祐一!」

「くっ・・・おれ達は、この場を切り抜ける。四人で力を合わせれば、きっと切り抜けられるはずだ!」

「竜也、もう一度力を貸して」

どうしてもこの手は使いたくなかったが・・・。

この二人になら、任せられるかもしれない。竜也は先程却下した案を受け入れることにした。

ただし、別の形であったが。

「二人をおれは信じてみる。これを使って!」

竜也は二人にあるものを渡した。

「これは・・・」

「カードデッキ。これで仮面ライダーに変身するんだ」

それは、龍騎とは別のカードデッキだった。祐一には蝙蝠のようなレリーフが、舞には白鳥のようなレリーフがそれぞれ刻まれていた。

「別のヤツ、持ってたのかよ・・・」

「出来れば巻き込みたくなかったけど、これを使ったら最後、モンスターとの戦いからは逃げられなくなる。覚悟できる?」

「ああ、承知の上だ!そうだよな、舞?」

「はちみつくまさん」

カードデッキを強く握り締める。二人の覚悟の表現だろう。

「あゆ、ちょっと待っててね。すぐに決着をつけてくるから」

「わかった。気をつけてね・・・」

竜也はあゆに笑いかけ、モンスターと魔物に向き直る。その表情は、大切なものを守ろうとする強い意志があった。

 

竜也はカードデッキをかざし、それに習い、祐一と舞も同じ動作を行う。

3人の腰に、全く同じ白銀のベルトが現れる。

「「「変身!!」」」

それぞれカードデッキを装填すると、幾つもの虚像がオーバーラップするように現れ、竜也は仮面ライダー龍騎に、祐一は蝙蝠をモチーフとした西洋の騎士のような仮面ライダーに、舞は白鳥をモチーフとした白いマントが特徴の仮面ライダーにそれぞれ変身した。

「これは・・・」

「祐一は仮面ライダーナイト、舞さんは仮面ライダーファム。どっちも剣を使った攻撃に特化した仮面ライダーだよ」

新たなる仮面ライダーの誕生であった。

魔物とシールドボーダーは少し怯んだが、即座に3人へ襲い掛かった。

「だあっ!」「おりゃあっ!」

ドガァッ!ズバァッ!

「グゥオオオォ!」

龍騎はワイルドボーダーに渾身の力をこめて殴る。ナイトも同時に腰に装備していた剣型の召還機「ダークバイザー」で切り裂く。

シールドボーダーは重量級だったが、2人のライダーの攻撃には堪らず吹き飛んだ。胸にあった盾は粉々に砕けてしまい、もう使い物にはならないようだ。

「す、すげぇ・・・力が強くなったし、ぜんぜん疲れない・・・」

「これが仮面ライダーの力。どんなに心優しい人でも、この力を身に付けた途端、力の凄まじさに陶酔して心を失い、悪の道に堕ちる事もある。だから、2人には使って欲しくなかったんだ」

説明する龍騎にナイトは疑問を覚えた。彼が悪の道に堕ちたとでも言うのか?

「何でそんなこと知ってるんだよ。おまえ、悪には見えないぞ?」

「ある人から、教えてもらったんだ」

「誰だよそれ?」

「それはまた今度教える。また来るぞ!」

龍騎の言葉どおり、怒り狂ったシールドボーダーが2人のライダーめがけて突進してきた。

 

「はあっ!」

ドスッ!

一方、ファムは腰に携帯してあったレイピア型の召還機「ブランバイザー」で魔物を突き刺した。

しかし、龍騎と同様、有効な攻撃ではなかった。

「効かない・・・」

シールドボーダーと応戦しながらも、ファムの様子がおかしいことに気付いた龍騎は考えを巡らす。

(ライダーの攻撃は聞かないのか?じゃあ、あの2人はどうやって倒してたんだ・・・?)

ふと目をやると、心配そうに見守るあゆの足元に舞が先程使用していた西洋刀があった。

そこから、一つの答えを導き出した。

「もしかして・・・あゆ!足元の舞さんが持ってた剣を、舞さんに渡して!」

「わ、わかったよ!はい、舞さん!」

投げ渡すのは危険であり、手渡しも戦いに巻き込まれる可能性があったため、あゆは床に滑らせるように渡す。

ファムは魔物の攻撃を避け、受身を取りながら剣を掴み取る。

「舞さん、その剣だけが魔物に有効なはずだ!それを使ってみて!」

龍騎の指示にファムは頷くと、いつも使っているように剣を構える。いつもよりその剣は不思議なほど軽く感じた。

「てぇいっ!」

ザンッ!

目には見えなかったが、ファムにははっきりと分かった。魔物は舞の剣の一閃の前に消え去った。先程感じていたもう一匹の魔物の気配はここから感じ取れないことから、おそらく逃げ遂せたのだろう

「倒した・・・」

変身を解除した舞は、ほっと胸を撫で下ろす。

「しゃあっ!あとはシールドボーダーだけだ!・・・どりゃあっ!」

「グオオッ!?」

今までの苦戦が不思議なくらい、龍騎とナイトは優勢だった。

龍騎は窓の外から、シールドボーダーを校庭へと投げ飛ばした。

「トドメだ。祐一、デッキからアドベントカードを引いて、持ってる剣にベントインして」

「ベントイン?」

「カードを剣にセットすること。早く!」

ナイトは龍騎の説明どおり、デッキからアドベントカードを引き、ダークバイザーにベントインした。

龍騎も同時にベントインする。

<FINAL VENT><FINAL VENT>

「キキイィ!」

空から、ドラグレッダーと巨大な蝙蝠が飛来する。

「なんだコイツ!?」

「ナイトの契約モンスター「ダークウイング」。あ、舞さんの契約モンスターは白鳥型の「ブランウイング」。ファイナルベントのときは、契約モンスターが一緒に攻撃してくれるはずだよ」

「そうか。じゃあ、いくぞ!」

ナイトは窓の外から空高くジャンプし、龍騎は構えを取る

「とおっ!」

「ふんっ!はあああああああああぁ!」

龍騎もナイトに続き、空高く飛び、ナイトの背中にはダークウイングが張り付きマントのような「ダークウォール」に変化する。

「はあああぁっ・・・だあああああああああぁ!」

「はあああっ!」

ズガアアアアアアァ!

龍騎はドラグレッダーのドラグブレスを纏ったドラゴンライダーキックを発動させ、ナイトはダークウォールをドリルのように変質させ急降下する「飛翔斬」を発動した。

 

舞とあゆは校庭のほうまで急ぐ。

そこは炎の海となっていたが、辺りのものは破壊されておらず、無事であった。

炎の中から、龍騎とナイトが出てくる。その後、炎は有り得ないほどの速さで消えた。

どうやら、普通の炎とは違うらしい。

その場所から、眩い光の塊のようなものが現れる。

それをドラグレッダーは吸収した。

「なんだアレ?」

「食事みたいなものかな。2人ともこれからは、定期的に契約モンスターにあれを食べさせないとダメだからね」

ドラグレッダーの食事を確認した後、

2人はカードデッキを引き抜いて変身を解き元の姿に戻った。

「やったな、舞!」

祐一の言葉に、舞は少し表情を和らげ頷く。

あゆは心配そうな顔で竜也を見つめていた。

「竜也くん・・・大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫!ほら、あゆも笑って。心配ないから!」

竜也が無事そうなのを確認して、あゆはその場にへたり込んだ。

とっさに竜也が支える。

「うおっと・・・あゆこそ大丈夫?怪我はしてない?」

「へーき。安心して力が抜けちゃった。うぐぅ・・・よかったぁ~」

4人はそれぞれ、勝利を分かちあった。

 

竜也は、この場は切り抜けたものの、2人がライダーになったことに罪悪感を覚えた。

「ごめん。結局巻き込んじゃった・・・」

「わたしは大丈夫。それに、わたし達もあなたを魔物との戦いに巻き込んだ」

「そういうことだ。お互いも持ちつ持たれつ、これからもよろしくな」

「ああ、よろしく」

二人の言葉に少し救われた気がした。

「祐一、そろそろ帰りたい」

「そうだな。じゃあ、おれ達はこれで」

「あゆ、おれ達も帰ろっか」

「うん。祐一くん、舞さん、バイバイ!」

あゆは別れのときくらい明るく別れようと、笑顔で元気いっぱいに手を振る。

舞と祐一は手を振りつつ、帰路に着いた。

「ところで、もう暗いけど送っていこうか?」

「うぐ・・・大丈夫・・・」

実は、あゆは暗いところが苦手で、お化けや幽霊の類は大嫌いだった。しかし、竜也は相当疲れているはずなので、あまり迷惑はかけられないと考え、一人で帰ることにした。

「バイバイ、竜也くん!」

「またね!」

勇気を振り絞り、思い切り駆けていった。あゆがいなくなるのを確認した竜也は家に帰ることにした。

 

 

 

続く・・・。

 

 

 

 

 

次回!

 

                   探し物してるんだ・・・

 

おれも探すよ!1人より2人ってね!

 

                あら、いらっしゃい。名雪か祐一さんのお友達?

 

名雪さんのお母さんなんですか!?

 

                よう、相沢!お、そいつってもしかして・・・

 

はじめまして、妹がお世話になったみたいね。

 

                栞ちゃんのお姉さん?

 

 

 

 

第6話「探し物」

 

 

 

 






キャスト

龍崎竜也=仮面ライダー龍騎

月宮あゆ

相沢祐一=仮面ライダーナイト
川澄舞=仮面ライダーファム
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