ロリ提督から幼妻に転職する羽目になった   作:ハンヴィー

63 / 65
連載を再開いたします。
といっても、相変わらず遅筆ですが……
再開するにあたって、過去の投稿分を読み直し、設定に無理があったり、矛盾点があったり、冗長だったり掘り下げ不足だった点が散見されたので、そう言った部分を修正しながらの投稿となります。
そのため、過去話と最新話で辻褄が合わないように見える部分も出てきますが、ご了承ください。
主な変更点は以下になります。


【舞台の設定】

 人類が宇宙に進出し、列強国は複数の銀河系を領有しているという設定ですが、アホ程広い銀河系を複数領有とか、いくらフィクションでも無理があったので修正します。
 太陽系ですら、オールトの雲を含めると、直径2光年もあると言われてますし、宇宙は想像を絶するほど広大です。
 なので、人類の活動領域は、天の川銀河のオリオン腕の一部宙域とします。


【呼称など】

 帝國宇宙軍は海軍の発展型なので、将官の閣下呼びは役職呼びに変更します。
 海軍は伝統的に将官に対して閣下呼びはしていなかったため。

 結婚後の摩耶の姓は軍内部では旧姓使用。
 現実世界でも旧姓使用が法制化されますが、それ以前から職場などでは旧姓使用が用いられていましたのでそれに倣います。
 まあ、ぶっちゃけると、どちらも同じ姓で紛らわしいためというのが理由です。


【キャラクターの掘り下げ】

 若干説明不足だったり、伏線っぽいものを張っておきながらスルーしていたものなどがあったため、そのあたりを解消するため、話を追加したりします。


63(前書きあり)

「東郷長官! スゴかったです! まさか、輸送艦でバレルロール決めるなんて!」

「ねえねえ、東郷長官! 長官は、艦載機乗り出身なんですか!?」

「いいや。私は生粋の鉄砲屋だ」

「テッポーヤってなんですかぁ?」

「馬鹿ね。鉄砲屋っていうのは、砲術畑出身の士官の事よ!」

 

 艦橋を出たところで、女性将士達に取っ捕まってしまった俺達は、さっきまで駄弁っていた科員食堂へと連れていかれた。

 そこで、三笠さんは、そいつらから他愛のない質問攻めにあっていた。

 そんな状況で戸惑うこともなく、女性将士達からの矢継ぎ早の質問をそつなく捌いている。結構手慣れている感じに見えた。

 そういえば、二群でも女性将士からの人気が高かった事を思いだした。

 鉄の女白菊が副官やってるせいで、おおっぴらに騒がれるようなことが皆無だっただけで。

 

「じゃあ、航空機の事は、専門外ってことなんですよね!」

「えーっ! それなのに、あんな凄いことやってのけたんですかー!」

 

 女性士官の一人が目を丸くして大袈裟に驚いた。その気持ちはとてもよくわかる。

 輸送艦は、巡航速度はそれなりだが、機動性自体はそれほど高くはない。

 姿勢制御スラスターの効き具合も、戦艦や空母のような大型艦ほどではないが平均以下だ。

 そんな輸送艦で、あんな大それたことをやってのけたのだ。

 たとえ航空屋だったとしても、普通に考えてあんなヤバイことはやらない。

 そもそも、あんな発想が想い浮かぶ時点で、正気を疑うレベルで頭がおかしい。

 まさか三笠さん、ヤバイ薬でもキメてたりしないだろうな。

 後で検査したほうが良いかもしれない。

 

「まあ、大したことではないさ。正確に艦をコントロールすることが出来れば、さほど難しいことじゃ無い」

「わー! クールで格好良いです!」

 

 苦笑気味に笑いつつ、コーヒーに口を付ける。

 そんな何気ない仕草が、イラつくほど様になっている。いかにも、出来る男っていう余裕な感じで腹が立つ。

さほど難しいことじゃ無い? あんなフザケた真似が、そうやすやすと出来てたまるかってんだ。

 内心で毒を吐きつつ、俺もコーヒーを口に含んだ。

 イライラした時は、カフェインの大量摂取に限るぜ。

 

「それじゃあ、それじゃあ! 秋月一佐は、何屋さんなんですかー?」

 

 複雑な思いで、やり取りを見守っていたら、こっちにお鉢が回ってきた。面倒くせえ。

 

「私は宙雷屋だ」

 

 俺はそっけなく言い捨てて、残りのコーヒーを一気飲みした。むせた。

 

「チューライヤってなんですかぁ?」

「生粋の駆逐艦乗りってことさ」

 

 こいつら、本当に軍人なのか。いろいろと心配になってきたぞ。

 

「秋月一佐! 駆逐艦乗りって、ヤカラが多いって聞くけどそうなんですか?」

「ぶっ!」

 

 駆逐艦乗りの俺に面と向かってそういう事聞くとか、怖いもの知らずにも程があるな。

 まあ、確かにハジケた連中が多いことは否定しないけどさ。

 ちょっと脅かしてやるか。

 

「そーだよ。駆逐艦乗りってやつは、ちょいと頭のネジが緩んでる奴が多くてね。私も含めてな」

 

 精々凶悪そうに見えるように、口の端を吊り上げて見せた。俺のロリ顔じゃあ、そんなふうには見えないだろうけど。

 

「だからな、口の利き方には、せいぜい気を付けたほうが良いぞ?」

「えええーっ! 怖いーっ!」

 

 わかってはいたけど、やっぱり、俺のロリ顔では全く迫力が無かったらしい。

 女性将士達は、楽しそうに笑いながら姦しく騒ぐだけだった。

 

「秋月一佐。あまり脅かすな。ところで諸君。そろそろ持場に戻ったほうが良いのではないか?」

「あっ! いっけなーい!」

「そろそろ、仕事に戻りますね!」

「長官、一佐! ありがとうございました!」

 

 彼女らは慌ただしく席を立つと、やって来た時と同様、慌ただしく去っていった。

 来るときもそうだったが、去るときもあっという間だった。

 

「ようやく静かになったな」

「んだね」

 

 彼女達が去っていた科員食堂の入口を眺めつつ、俺はため息交じりに同意した。

 

「んでもさ、女の子に囲まれて満更でも無かったんでしょ?」

 

 なんかさぁ、あしらい方がすげー手馴れてる感じだったんだよな。

 

「なんだ、摩耶。妬いてるのか?」

「妬いてる」

 

 俺は半目になって、三笠さんを睨みつけた。たぶん、眉間にも皺が寄っていたと思う。

 

「おいおい、摩耶……」

 

 三笠さんは、俺の予想に反して少し慌てているようだった。

 軽く流されると思っていたので、少し意外だ。

 

「こんなことは、日常茶飯事だっただろう。今更、何を言い出すんだ?」

「日常茶飯事ぃ? へぇ~……」

 

 ちょっと楽しくなってしまった俺は、面倒くさい拗らせ女みたいな反応を見せてみた。

 

「あのなぁ、摩耶。私がそんな男に見えるのか?」

「口では何とでも言えるしい~」

 

 うーん、なんて底意地の悪い女なんだろうね。

 三笠さんにそんな気は無いと知りつつも、こんなこと口走るんだからさ。

 でも、うちの艦隊で女性将士に人気があったのは事実だし、白菊みたいな中身はともかく、美人の副官が常に近くに居たし。

 あれっ、何だろ。からかうだけのつもりが、なんか本気でムカついて来たぞ。

 よく考えたら、司令長官の副官って、いかにもなポジションだよな。

 副官とそういう関係になった司令官や司令長官って、結構居たような。

 

「三笠さん、もしかして、白菊あたりと……」

「いい加減にしないと怒るぞ、摩耶」

「お、おう……。すまん」

 

 ちょっと声色が怖くなったので、ヘタレな俺は素直に謝った。

 確かに、ちょっと悪ふざけが過ぎたかもしれない。反省。

 

「そ、そうだよね。三笠さんは、ロリコンだもんな! よっ! 宇宙時代の前田利家!」

「まったく、お前は……。まぁ、良い」

 

 三笠さんは、何か言いかけたが、溜息交じりに首を振ると立ち上がった。

 

「どこ行くの?」

「自室に戻る」

 

 若干疲れた声でそう言って、三笠さんは行ってしまった。

 やっぱり、怒らせちゃったかな。さすがに前田利家は言いすぎたか。

 それにしても、勝手に嫉妬してウザ絡みして呆れられて不安になるとか、超絶面倒くさい女だよな、俺。

 

「謝りに行くか……」

 

 俺は科員食堂を後にして三笠さんを追うことにした。

 三笠さんの部屋の前まで来た俺は、軽く呼吸を整えた後、インターフォンを押した。

 

「誰か」

「あー、俺。だけど」

 

 少しして、ガチャリと扉が開いた。

 

「摩耶か。どうした?」

「うん、その」

「とりあえず、入れ」

「うん」

 

 俺は三笠さんの部屋に入った。

 軍艦の高級士官用個室なので、当然、俺の部屋と間取りは全く同じだ。

 

「あー、その。さっきはごめん」

「うん……? 何がだ?」

「何がって、その」

 

 俺が言い淀んでいると、三笠さんは理由に思い至ったのか、揶揄するような笑みを浮かべた。

 

「さっき、妙に絡んで来たことについてか? それなら、もう気にしていないさ。気にするな」

「そ、そうなの」

 

 優しい声音に、ほっとして息を吐く。

 良かった。あんまり怒っていなかったっぽい。

 

「実はな、摩耶」

「うん?」

「お前が嫉妬しているのを見て、少し楽しかったんだ」

「はぁっ!?」

 

 楽しかったぁ? 俺に嫉妬されるのが? なんだ、そりゃ。意味が分からんぞ。

 

「……何で?」

「何でって、そりゃあ……」

 

 本気で理解できなかった俺が真顔で尋ねると、三笠さんは、困ったように頭を掻いた。

 

「嫉妬されるってことは、つまり、愛されているって事だろう?」

「うわ。なにその発想。引くわー」

 

 嫉妬されるイコール愛されているっていう感覚は、まあ、理解できなくはない。出来なくはないが、不健全だし歪んでいる。

 俺だったら、嫌だけどなぁ。好きな人から嫉妬されるなんて。

 自分が、三笠さんに嫉妬されている場面を、ちょっとだけ想像してみる。

 うん。無理だ。超無理。絶対無理。

 だいいち、あの三笠さんが嫉妬している場面なんて、全く想像が出来ない。

 

「いや、まあ……済まなかった」

 

 俺がドン引きしたからなのか、三笠さんは心底すまなそうに頭を下げた。

 

「い、いや。そこまでしなくても良いから」

 

 なんか、謝るつもりでここに来たはずなのに、逆に謝らせてしまったぞ。

 

「実を言うとだな、嫉妬するお前の様子が可愛らしいというのもあった」

「ふえ」

 

 変な声が出た。不意打ちでそういう事言うのが、本当に卑怯だ。

 だけど、可愛らしいと言われて、ちょっと嬉しくなってしまう。我ながら、チョロすぎる女だ。

 

「いちおう言っておくが、普段のお前が可愛くないという意味では無いからな?」

「んお!?」

 

 ちょっ、まっ。また不意打ちかよ。くっそ。

上目づかいで三笠さんを伺うが、その表情からは、今の発言が、無意識なのか計算づくなのかは読み取れなかった。

 ああ、くそ。どっちにしろ、イケメンだから、許されるんだよな。何をやっても。

 

「どうした、摩耶」

「何でもない。何でもないです」

 

 言いながら、俺は立ち上がった。

 とりあえず、ごめんなさいは出来たし、それ以上の事は考えないようにしよう。

 俺の心の平穏のためにも。

 

「んじゃあ、俺は自分の部屋に戻るよ」

「そうか。また後でな」

「ん」

 

 三笠さんの部屋を出た俺は、盛大なため息を吐いた。

 なんか妙に疲れてしまった。

 あとは、もう、横須賀に着くまで部屋で不貞寝してよう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。