からっと晴天、太陽さんさんと。いかにも夏といった雰囲気だ。
まぁ、私のご主人様にとっては晴れてるのはあまり良くないのだが。私にとっては目の休憩になる。ほら、館の中って真っ赤だし。
私の主人であるレミリア・スカーレットの傍らを歩きながら、日傘を持つ。
お嬢様は陽に弱いのだ。
なんというか日傘って良いわ。こう、いかにも貴族っていう感じで。小さい頃から憧れてたのよね、こういう生活。立場的には従者だけど。
従者といえば、昨日の従者の飲み会面白かったわね。妖夢が主人の大食い自慢をしたり、うどんがうどん食べたり。
私達が今向かっているのは、博麗神社。お嬢様はすっかり霊夢のことがお気に入りのよう。二人の関係はどうなるのか、楽しみだわ。
そうこうしているうちに長い階段を登り、神社の境内に到着。境内に面した縁側に座りながらお茶を飲んでぼーっとしてる霊夢。それを見つけたおぜうは、タッタッと走りだして向かう。
「ちょ、ちょっとお嬢様!」
日傘から抜ければ、当然日光に当たる。そうすれば、吸血鬼であるレミリアお嬢ちゃんの皮膚は、焼ける。
霊夢に夢中になってるお嬢さんは、肌が溶けてゆくことも気がつかず、また私の引き止める声も聞こえないらしい。
博麗の巫女はと言えば、抱きつかれる3秒前にレミリアの訪問に気づき、2秒前に違和感を覚え、1秒前に異変に気付いた。顔と腕と脚がドロドロになったレミリアに抱きつかれ、絶叫し、気絶する。
そりゃあさぞかし、ホラーだったことだろう。
とりあえず私は、泣きじゃくるお嬢様を神社の中に移動させ、霊夢はその横に放っておいた。
紅魔館から徒歩で来たのだから、御嬢もさぞ口内が枯渇してあられるだろう、と思ってお茶を用意しておいた。アツでナツいし、私も喉が渇いたから冷たい麦茶にした。
3つの湯呑みののったちゃぶ台。その側に座り、ごくごくと麦茶を飲んで外気の熱を発散させる。
レミ嬢も暑いのか、口からちょっと麦茶をしたたらせながら飲んでいる。やはり、喉が渇いていたのだ。…ん、あれ?
そして、意識を取り戻した霊夢が、レミィの事を見て絶叫、気絶。
あ、吸血鬼って冷水が苦手だったっけ。でも顎が溶け、飲んでいるお茶が全てお洋服にかかっている事など気がつかないほどに、お嬢様は霊夢に夢中だ。
閑話休題。
自身をすっかり修復し終えたレミリアンナは、今度は脅かさないようにようにするぞ、と私に新しく熱いお茶をいれさせた。
しばらく経ち、
「…ん…あ、悪魔!」
おりしも、ガバッと霊夢が悪夢から覚めたかのように起き上がった。
辺りを見て、私とお嬢ちゃんが来訪していることを確認する。ずっと寝ていたせいもあったのか、喉が渇いたらしく、無言で麦茶を飲む。ごくごくと、喉を鳴らしながらキンッキンに冷えてやがるお茶を口に流し込む。
良い飲みっぷりだ。だが、ここからは私の時間ですわ。
───ザ・ワールド
湯のみを45度に傾けた霊夢が静止している。湯のみを拝借し、お茶を零れない程度に注ぎ、元の霊夢の手の中に戻す。
───そして時は動き出す。
以上を、十数回繰り返す。するとみるみるうちに霊夢の顔は酸欠で青くなっていく。
霊夢は当初5秒ほどで飲み干せると思ったらしいが、私のせいで1分間ほど飲み続けていた。ごくごくと。
とうとう限界なのか、ブハァッと湯呑みから口を離し、息を吸い込む。
ちなみに、お嬢様は1分間まじまじと見つめていた。なかなか楽しんでもらえましたわ。
「あ、あんたら。何しに来たのよ」
絶えた息を補給しながら、尋ねてくる。
それにはレミっさんが胸を張って、意気揚々と、返事をする。お茶を飲みながら。
ちなみにだが、この時はもう既に、お嬢様のお茶は冷めている。
「そんなの、遊びにきたに決まっえうえお」
冷たいお茶によって、舌が溶ける。舌が溶けると、上手く発音出来なくなる。
まあ、気絶してしまうのも仕方が無いだろう。
声にならない悲鳴を上げながらきゅうと意識を失った霊夢。
それに向かって、情熱を込めながら言葉になっていない話を続けるレミリアお嬢様。
夕焼け空でカアカアと無くカラス。
それを順番に見ながら、私は呟く。
「そろそろ秋ですわね……」
どういうことなんだ(どういうことなんだ)
冷水が苦手だという設定は意外とマイナーなんですね。流水が主流.…?